車検時に下回り洗浄や下回り塗装は必要か

車検の見積もりには、よく「下回り洗浄」という項目があるのを知っていますか？下回り洗浄？車の下を洗浄すればいいの？それならば自分でできるのでは？と思ってしまいますよね。

そこで今回は、車検時の下回り洗浄の必要性、自分で洗浄を行う方法など、下回り洗浄やさび止めに関する様々な疑問について解説します。

車検時の下回り洗浄は必要？

車検場の検査ラインでは、車を持ちあげるなどして下から検査官がテストハンマーを使って下回りを叩きながらチェックします。

その際に、泥や油で汚れていてはひび割れやオイル漏れなどがあってもきちんと検査できないため、車検の前には下回りを洗浄するのが一般的となっています。

例えば、車検では車の下回りに装着されているドライブシャフトブーツなどゴム製のブーツ類が破損していないか、中からグリス（潤滑油）が飛び散っていないかをチェックする点検項目があります。検査時に下回りがあまり汚れていると、これらのチェックがしにくくなってしまいます。下回り洗浄を行うのは、車体の底面をきれいにして検査をしやすく、また不具合を発見しやすくするためなのです。

しかし、下回り洗浄は法律で義務付けられているわけではありませんので、車検の際に必須かと聞かれれば答えは「不要」です。そのため、車検の作業内容に下回り洗浄が含まれていたとしても、依頼する業者によっては断ることも可能でしょう。

ただし、検査に支障をきたすほど下回りが汚れているなど、洗浄をしたほうがよいケースも考えられます。車体を持ち上げてプロに洗浄してもらう機会もそうそうありませんので、車検の機会にお任せするという捉え方もできます。

下回り洗浄を自分で行う方法とは

車での遠出の頻度が少なく下回りの汚れがさほど気にならない場合、車検時の下回り洗浄にかかる費用を抑えたいと考える方もいるかと思います。そのような場合は、ホームセンターなどで高圧洗浄機を入手して自分で下回り洗浄を行う方法もあります。

下回り洗浄を自分で行う際の注意点としては、タイヤ周りに設置されているABSセンサーなどの電気関係の部品には、水をかけすぎないようにしましょう。また、電気自動車の充電中に下回り洗浄を行うと、漏電から火災を引き起こす可能性があり大変危険です。そのため、充電しながらの洗浄は絶対に避けましょう。

別途、下回り洗浄を業者に頼みたい場合は、ディーラーや洗車専門店、カー用品店のほか、ガソリンスタンドの洗車機に下回り洗浄のオプションがある場合もあります。

それぞれメリット・デメリットがありますので、自身のライフスタイルに合った方法を選択するとよいでしょう。

下回り洗浄の頻度・さび対策について

では車検の時以外にも、下回り洗浄は必要なのでしょうか？答えはYESで、車をよい状態で維持するためには、定期的な下回りの洗浄とさび止め対策は有効なメンテナンスといえます。特に降雪地帯や海に近い地域では、下回りのさびが発生するリスクが高くなるため、洗浄やさび止めの処理を行うのがおすすめです。

冬の雪道には、雪が早く溶けるように塩化カルシウムの融雪剤を散布しています。現在では、車の下回りに防錆鋼板が使われるようになって昔ほど錆びにくくなったとはいえ、塩化カルシウムの付着を放置すると下回りが錆だらけになってしまいます。最低でも、スタッドレスタイヤからノーマルタイヤに交換するタイミングで(年1回)下回りを洗浄するようにしましょう。

また、車を大事に乗りたい方や下取り価格を下げたくない方、海の近くにお住まいの方などは、あらかじめ板金塗装や整備工場などに「下回り防錆塗装」を依頼するのもおすすめです。部品を塗装してコーティングすることで、下回りの錆を防いで防錆力を高めることができるのです。値段は車種や状態によって変わりますが、新車は下地作りが必要ないので安く済む傾向にあるようです。

そのほか、雪国や海辺に住んでいるわけではなく、レジャーや旅行などで定期的に海辺や雪国を訪れる場合は、カー用品店やホームセンターなどでスプレータイプの防錆塗料を購入することをおすすめします。防錆スプレーは油脂性の塗料で無色透明ですし、値段も安いので手軽にさび止めの塗装ができます。

なお、自分でさび止めの塗装を行う際は、防錆塗装の前に樹脂系の下地も塗るとよいでしょう。そうすることで、被膜が剥がれにくくムラにもなりにくくなるため、より錆を防ぐことができます。

中古車を購入する際は、下回りの状態も見てみよう

中古車を購入する際、外装や内装・エンジン周りなどはチェックするかもしれませんが、下回りの状態は割と見落としがちです。しかし、長年海辺や雪国で使用されていた自動車は下回りが錆でひどい状態になっていることが多いです。下回りの錆が酷いと車の故障原因にもなりうるため、中古車を購入するときには注意が必要です。

まとめ

今回は、下回り洗浄の依頼先や車検時の必要性、自分で洗浄を行う方法や頻度など、下回り洗浄に関する様々な疑問について解説しました。

車検時の下回り洗浄に関しては、法律で義務付けられているわけではありませんが、検査をしやすくするために併せて行うのが一般的です。

下回り洗浄の方法は、ディーラーや洗車専門店、カー用品店に依頼するほか、ガソリンスタンドの洗車機に付いている下回り洗浄のオプションを利用する方法もあります。それぞれにメリット・デメリットがありますので、費用や仕上がりの面も考慮して選ぶとよいでしょう。

また、高圧洗浄機を入手して自分で下回り洗浄を行う方法もありますが、電気関係の部品には水をかけすぎないことと、電気自動車は充電中に洗浄を行わないように注意が必要です。

特に雪国では道路に散布された融雪剤によって下回りがさびやすいため、最低でも年に1回は下回り洗浄するのがおすすめです。あらかじめ下回りのさび止め塗装を行っておくと防錆力を高めることができるので、日頃から対策しておくとよいでしょう。