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故障・修理
更新日:2022.11.07 / 掲載日:2018.08.29

車の塗装(剥がれ・劣化)の修理工程は?DIYの塗装方法・業者による板金塗装の値段相場を解説

車の塗装(剥がれ・劣化)の修理工程は?DIYの塗装方法・業者による板金塗装の値段相場を解説

近年、車の塗装技術の進歩や性能向上によって、経年劣化にともなう色あせや剥がれは起こりにくくなってきました。しかしながら、いろいろなケースで再塗装が必要となることもあり、中には自らの手で塗装補修をしたい、と考えるユーザーもいることでしょう。

そこで今回は、車の塗装が必要となるケースと塗装作業の基本的な流れを整理しつつ、自分でDIYにチャレンジする際に必要なものや、注意すべきポイントなどについて解説をします。あわせて、プロの塗装業者に車の塗装を依頼するメリットや、具体的な値段の相場にも触れていきます。

車の塗装が必要となるシチュエーション

車の塗装が必要となるシチュエーション

車の塗装面が劣化してしまうのにはいくつかの原因があり、原因と症状により塗装の修理方法が異なってきます。まずここでは、なぜ塗装補修が必要になってしまったのか、想定されるシチュエーションをいくつか挙げて、その後の対処法について整理していきます。

擦り傷・ヘコミによる板金塗装補修

車の塗装が必要となるパターンで最も多く考えられるのが、何かしらの障害物との接触によりできた擦り傷やへこみの補修です。ごく浅い擦り傷の場合は、タッチアップやコンパウンド等による塗装補修だけでカバーできますが、深い擦り傷やへこみをともなうケースでは、板金作業をともなう塗装補修が必要になってきます。

場合によっては、塗装を剥がして下地から整え、中塗り、ベースコート、クリアコートの作業工程を挟むなど、大掛かりな板金塗装・修理となります。

塗装の劣化による色あせ

車を10年・15年と乗り続けていると、紫外線や雨、鳥のフン、黄砂などの影響で塗装面が化学反応を起こして劣化し、色のくすみや色あせが目立ってしまうことがあります。そのため、車を保管する際は、できれば車体にカバーをかけたり、屋根のある駐車場を利用するなど対策を取ると良いでしょう。

また、洗車をマメにすることも色あせ防止に繋がりますが、洗車後にしっかりと水分を拭き取らないと、ボディに残った水分のレンズ効果によって、色あせを進行させてしまうことになりかねないので注意が必要です。特に鳥のフンは酸性のため、放置しておくと車の塗装を溶かしてしまう恐れがあります。付着していた場合は、速やかに拭き取りダメージを未然に防ぐ必要があります。

塗装の剥がれ・ひび割れ

車の塗装補修が必要となるシチュエーションのうち、最も早急な対処が必要となるのが、ボディへ強い衝撃が加わったことによる、塗装面の剥がれやひび割れが起こってしまっているケースです。

車の塗装には防錆加工が施されていますが、飛び石や衝突により剥がれやひび割れが発生した箇所は、鉄板がむき出しとなってしまうため、そこが雨や空気に触れることでサビが発生してきます。外観からサビを目視で確認できるのは、剥がれやひび割れのある場所だけですが、サビは塗装の内側にどんどん広がっていくため目立たないからと放置せず、できるだけ早く塗装補修を行う必要があります。

車を好きな色に塗り替える全塗装(オールペイント)

車の購入時は気に入っていたボディカラーが飽きてしまって、自分好みのカラーに車の塗装を塗り替えたいというシチュエーションがあるかもしれません。その場合は、「オールペイント」と呼ばれる全塗装を施すのが一般的ですが、個性を出すために車体のボンネットやルーフなど、一部だけを塗り替えるユーザーもいます。

また、カラーリングにあわせて自分のお気に入りのアニメキャラをペイントしたり、純正色では設定されていないような、光の当たり方や見る角度により表情が変化するマジョーラカラーやマットなカラーリングなど、こだわりのある個性的なボディカラーへの変更も可能です。

車塗装の基本的な手順・流れ・方法

車塗装の基本的な手順・流れ・方法

車の塗装が必要となってくるシチュエーションが整理できたところで、ここからは実際に塗装や板金補修、オールペイントなどが、どのような過程で進んでいくのかについて触れていきます。車の塗装について基本的な作業手順を知っておくことで、自分でDIYに挑むときはもちろんのこと、塗装の専門業者に依頼する際にも、業者が塗装工程を経ているのかを知ることにより、料金との比較対象や業者の見極めにも役立ちます。

下地作業の手順・流れ

車の塗装補修を行う場合は、いったん塗装面をすべて剥離する必要があり、基本的にはダブルアクションサンダーを用いた、フェザーエッジ加工が施されます。このフェザーエッジ加工とは、小さな擦り傷やへこみを埋めるパテは、鋭角になった部分が残っていると剥がれやすくなるため、エッジを滑らかに丸めることで剥離するのを防ぐ加工方法です。

傷やへこみが鋼板まで達していた場合は、成型のためのパテが塗布され、荒研ぎ・本研磨を経て、塗料を吹き付けていきます。大きなへこみが残るでこぼこの面は塗装をする前に、下処理として下地を滑らかにする必要があります。丁寧に下地を仕上げることで、塗装の仕上がりにも大きな違いが出てくる重要な工程です。

塗装作業の手順・流れ

下地の処理作業が完了後、いよいよ塗装作業に取り掛かります。車の塗装面は前項でも触れたように、耐久性や発色を良くしながらも、サビを防いで塗料の乗りを良くするプライマリー・サフェイサーや、ボディカラーのベース層、塗装面を保護しつつしっとりとした輝きを放つクリア層など、役割の異なるいくつかの層に分かれた構造になっています。

車種によっては、これ以上の工程を経た6層塗装などがありますが、ここでは一般的な車種に採用されている、4層構造の塗装作業について以下で解説していきます。

なお、車の塗料作業を始める際は、塗装がほかの場所に付着しないよう、丁寧にマスキング処理を施してから塗装作業へ進みます。

1.プラサフ(プライマー・サフェイサー)の塗布

スプレータイプのケミカであるのプラサフは、車のカラーペイントと下地との付着性(密着性)を確保するプライマーと、塗装面の細かい隙間を埋めてペイントの発色を向上させるサフェイサー、双方の役割を果たしています。

プラサフを塗布する際は、下地が見えなくなるまで数回重ね塗りをし、塗布後に発生するスプレーダストは、1000番程度の耐水ペーパーに水をつけながら、塗布面がツルツルになるまで研磨します。

2.ペイントの塗布

1の作業が終了したら、車のカラーに適合したペイント剤を塗布します。一度に厚塗りはせず乾燥させながら、最低でも5~6回に分けて慎重に重ね塗りをします。

3.クリア剤の塗布

艶や光沢を高める透明の塗料であり、紫外線から本塗装を守る役割も果たしています。2の工程で塗布したペイントより、広範囲にわたって比較的薄めに4~5回程度に分けて塗布していきます。

4.ボカシ剤の塗布

3までの作業が完了すれば、最後にスプレーダストを無くすボカシ剤を塗布します。ペイント剤及びクリア剤を塗布してから15分程度経過し、完全に乾いてから塗布をしていきますが、非常に垂れやすいので薄く、スピーディーに塗布する必要があります。

なお、すべての塗装作業に際し、事前に周囲のボディに各ケミカルが飛沫しないように、風やホコリの入らないガレージなどといった作業場の確保や、丁寧なマスキング処理が必要となります。

自分(DIY)で行う車塗装について

車に大きなへこみがある場合は、専門機材や高度なテクニックが要求される板金塗装が不可欠となります。ですが、比較的小さな擦り傷や範囲の狭い色あせの補修程度であれば、DIYで補修することも可能です。ここでは、DIY塗装に必要と考えられる準備や道具、あまり経験のないユーザーによる塗装補修でよく見られる失敗例と、それを防ぐための注意点について解説します。

自分(DIY)の車塗装で必要な準備・道具

先ほどお伝えした下地処理作業及び、塗装作業を自分でチャレンジするには、以下のようなものを準備する必要があります。

・風やホコリの入りにくい作業場所
・マスキング素材(マスキングフィルム/マスキングテープ)
・汚れてもいい服装/手袋/ゴーグルなど
・パテ/プラサフ
・カラースプレー/クリア剤/ボカシ剤
・コンパウンド

DIYで車塗装をした際の良くある失敗例と注意点(ブツブツ・ゆず肌・ムラ)

DIYで車の塗装に挑戦したユーザーによくある失敗例と、それを回避するコツについて以下で紹介しますので、DIYで車の塗装に取り組んでみたいという方はぜひ参考にしてください。

【ブツブツができてしまったしまった例】
・原因:下地処理の不足や、ごみやホコリなどが塗装時に混入したことが考えられます。
・対策:塗装前に車を良く洗車、拭き上げをするとともに、風が入らずホコリの舞わない作業場所を確保しましょう。
・対処法:塗装作業中にブツブツを発見したら注意深く除去し、乾燥後であれば耐水ペーパーで研磨しましょう。

【ゆず肌になってしまった例】
・原因:古い塗装の剥離不足や、塗り込み・塗り重ねの不足が考えられます。
・対策:下地処理作業の徹底に加え、スプレーの移動速度を緩め、塗装の重ね塗り回数を増やすことで防ぐことができます。
・対処法:塗料の乾燥後、いったん耐水ペーパーで研磨をして面を整え、再塗装を施します。

【カラーリングにムラができてしまった例】
・原因:ペイントケミカルの粘度が不適切であったり、塗布パターン・ボディとの距離
・スピードなどが不均一であると発生しやすくなります。
・対策:スプレーが詰まっていないかを確認したり、良く塗料を混ぜた上で塗布パターンを均一にする必要があります。
・対処法:クリア剤の塗布前であればペイント面を良く乾燥させたのち、ムラを取る為もう一度塗料を塗布していきます。クリア剤の塗布並びに乾燥後の場合は、研磨してやり直すしかありません。

自分(DIY)で車塗装を行うメリット・デメリット

DIYで車の塗装を実施する最大のメリットは、何と言っても補修コストを節約できることですが、それに加えて個性を出したいユーザーからすれば、自分の好みやこだわりを反映させた色合いに調整できることもメリットと言えるでしょう。

一方、前項でも紹介したように、しっかりと道具などを準備して細心の注意を払っても、車の塗装作業は工程が多い上、ある程度経験とテクニックを要するため、なかなか満足した仕上がりにならないことがデメリットになります。

車の塗料・塗装タイプの種類

車の塗料・塗装タイプの種類

DIYで車の塗装を実施する場合は、カー用品店で市販されているスプレータイプの塗料・塗装を用いることになります。一方、プロの塗装業者の場合は、塗料を均一で細かく塗布できる専門的な塗装方法と道具を用い、塗料タイプの種類も少々異なります。

タッチペン

一般ユーザーが、最も手軽に利用できる塗料の種類と言えば、やはりどこにでも売られているタッチペンとなってきます。前述した細かい作業工程や準備などを必要とせず、目立ってしまった車の小傷や塗装の剥がれを、簡単に隠すことができます。

とは言え、傷の上に塗っただけで段差はそのままの為、タッチペンでの塗装補修は応急処置と捉えるべきでしょう。広範囲の退色や傷を補修する場合は、このタッチペンだけで対処するのは困難になります。

塗装用スプレー

車の塗装で使用するプラサフやペイント剤、ボカシ剤、クリア剤などは、スプレー缶に入ったものがカーショップなどで販売されており、容易に入手可能です。しっかりと下地処理を施しコツさえ押さえれば、かなり満足のいくきれいな仕上がりが期待できます。しかしながら、市販のスプレー缶は力加減が難しい上、噴射範囲も均一ではないため、ブツブツの発生や色むらの原因になってしまいがちです。

一方、プロの塗装業者はどうしているかと言うと、ガンスプレー(エアブラシ、スプレーガン)と圧縮空気を使用するコンプレッサーなどの専門機材を使って車の塗装を施しています。このガンスプレーは、塗料が非常に細かい霧として噴出され、その噴霧量を細かく均一に調整できるため、ブツブツや液だれ、塗りムラなどが発生しにくいのが特徴です。

ガンスプレー自体は、ホームセンターに行けば数千円で購入可能ですが、組み合わせるコンプレッサーは安いものでも数万円しますし、ペイント剤を配合する専門知識も必要になるため、一般ユーザーが塗装補修のコストを削減するために、購入・使用するのは現実的ではありません。

刷毛(ハケ)・ローラー

アウトドア派に人気の高いオフロードカーを所有するユーザーの場合、スプレーではなく刷毛やローラーを使用して、つや消しのマットな仕上がりのカラーリングにチャレンジする方も見受けられます。また、プロの塗装業者の場合でも、あえてマット仕上げにするため、刷毛やローラーを使用することもあります。

このような塗装方法は、ガンスプレーの様に高価なコンプレッサーを購入する必要がないため、あえて荒い仕上がりの全塗装を目指す場合は、一般ユーザーでも取り入れやすい塗装方法と言えます。

車塗装の業者依頼について

車塗装の業者依頼について

最近のDIYブームに乗って、車の塗装にチャレンジしてみたいと思うユーザーも増えていますが、ここまで触れてきたように車の塗装は、ある程度の専門知識やテクニックが要求され、さらに多くのケミカルや機材を準備しないと、きれいに仕上げることができません。

そこで最後に、プロの塗装業者に依頼するメリットと、その料金相場について紹介していきます。

車塗装の専門業者に依頼するメリット

塗装の専門業者に依頼する最大のメリットは、何と言ってもその仕上がりの良さが挙げられます。腕の良い業者に依頼すれば、どこを補修した箇所なのか、全く判別できないほどの仕上がりが期待できます。

バンパーに軽くついた小傷の補修程度であれば、器用な方ならきれいに仕上げることができるでしょうが、大きな擦り傷や広範囲にわたる色あせ、大きなへこみがあり、板金塗装を必要とする補修の場合は、仕上がりを考えると塗装の専門業者に頼った方が無難と言えるでしょう。

車の塗装にかかる値段・料金相場

塗装の専門業者に依頼する場合は、仕上がりと引き換えにある程度の費用が必要になります。以下では、塗装の専門業者による板金・塗装作業の料金相場を、ケースごとに挙げていきます。まずは、ディーラーが設定する軽微な傷・へこみの修復作業料金からみていきましょう。

傷(深さ2cm以内)

・手のひら半分(10x10cm相当) バンパーの場合13,000円程、パネルの場合23,000円程
・手のひらサイズ(10x20cm相当) バンパーの場合20,000円程、パネルの場合29,000円程
・手のひら1枚半(10x30cm相当) バンパーの場合25,000円程、パネルの場合33,000円程

傷+へこみ(バンパーは亀裂・変形の場合は対象外)

・手のひらサイズ(10x20cm相当)※傷の深さは2mm程度まで 33,000円程
・手のひら1枚半(10x30cm相当)※傷の深さは2mm程度まで 38,000円程

上記は、おおむね各ディーラーの塗装修復作業の相場になりますが、あくまでも料金は一例であり、車種やボディカラー、傷の状態などにより異なる場合があります。塗装修理作業を依頼する場合は、事前に実車を見てもらい値段を確認してください。

また、バンパーなどについた大きな傷を補修する場合、板金・塗装作業を依頼するより、パーツごと交換してしまった方が安上がりで、修理完了までにかかる時間が早くなるケースもあるため、自分で判断せず、ディーラーや修理工場などに相談することをおすすめします。

なお、愛車のボディカラーに飽きてしまったなど、車の全塗装を検討している場合は、以下の料金相場を参考にしてみてください。

車の全塗装にかかる料金相場

ソリッド塗装
同色:200,000円~350,000円程、色変え:250,000円~380,000円程

メタリック塗装
同色:260,000円~400,000円程、色変え:320,000円~480,000円程

パール塗装
同色:300,000円~460,000円、色変え330,000円~500,000円程

こちらの料金相場はあくまでも一例となります。決して安価ではありませんが、個性的で人とは違ったクオリティーの高い全塗装は、非常に魅力的なドレスアップと言えるでしょう。また、全塗装の場合は依頼する塗装業者やボディカラー、仕上がりによって大きくその価格が異なるため、依頼する前に複数の専門業者とよく相談をし、相見積もりを取るなどして比較をしながら検討することをおすすめします。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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