パーツ取付・交換
更新日:2020.09.28 / 掲載日:2020.09.28

タイヤが八の字なのにはどんな意味がある?キャンバーをつける効果について

真正面から見て、タイヤが八の字になっている車を見かけることはないでしょうか?レース観戦が好きな方でなら、レーシングカーのタイヤが八の字になっているのをご存じかと思います。
「タイヤを八の字にすることに、どのような意味があるんだろう?」と思っている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、タイヤが八の字になっている意味について、解説していきたいと思います。メリット・デメリットも併せて解説するので、ぜひご一読ください。

タイヤがハの字の車は、ドレスアップを目的とした改造車によく見受けられます。八の字はネガティブキャンバーとも呼ばれ、角度がキツイものは通称「鬼キャン」と呼ばれます。見た目が、鬼のように極端なキャンバー角という意味です。

逆八の字のものはポジティブキャンバーと呼ばれますが、現在はメリットがないので基本的にキャンバーをつける場合はネガティブキャンバーです。

一般的な市販車は、アライメント調整でキャンバー角を変えることができます。
しかし鬼キャンバーの場合は、通常のアライメント調整では対応できません。そのための改造を施す必要があります。

具体的な方法としては、アッパーマウントの位置を変更します。社外品のサスペンション(調整式アッパーマウントの車高調)に換えることで、アッパーマウントの位置を変更できます。
また、キャンバーボルトと呼ばれる純生のボルトよりも細いボルトを取り付け、ボルト穴の幅で角度を変えます。

キャンバーをつけるメリットは?

タイヤの角度を八の字にする主なメリットは、コーナーでの接地性の向上です。コーナリング時にタイヤが地面に踏ん張る方向に作用するため、グリップ力が上がります。

また、キャンバースラストによる直進性の向上が見込めます。タイヤの傾きによって倒れようとする力が左右で相殺され、その力が車を直進方向に走らせようとします。 10円玉を転がすと傾いたほうに曲がっていくのと、理論的には同じです。

キャンバー角をつけるのは、主にレーシングカーなどです。できる限り速くコーナリングする必要があるため、ネガティブキャンバーに設定されています。F1などをよく観察すると、かなりネガティブキャンバーになっていることに気付くはずです。

ちなみに、昔はポジティブキャンバーに設定されている車も多くありました。昔はパワーステアリングが装備されていない車が多く、角度を変えることでハンドル操作を軽くする効果が見込めたからです。

ドレスアップだけでなく、キャンバーの調整は性能面にも影響を与えるのです。

キャンバーをつけすぎるとデメリットが多い

メリットが多いように思えるキャンバーですが、もちろんつけすぎは良くありません。
まず、鬼キャンにするとタイヤが極端に摩耗します。本来タイヤは均一に摩耗していきますが、鬼キャンの場合角度が極端なためタイヤの端だけが摩耗していくのです。

実際に接地している面はわずかで、これでは細いタイヤを履いているのと同じです。これによって、ものすごいスピードでタイヤが減っていきます。そうなっていくと、グリップ力が次第に失われて、結果的に重大な事故につながる可能性があります。

それだけでなく、無理な負担がかかって足回りのパーツが破損する可能性もあります。サスペンションが正常に機能しないため、乗り心地や走行性能も悪くなります。

このように、鬼キャンにはドレスアップ以外のメリットはなく、むしろ走行においては性能が著しく低下してしまうので大変危険です。常にメンテナンスをする必要が生じるため、実用性は極めて乏しいといわざるをえません。

キャンバーをつけても車検は通る?

キャンバーの角度自体に規定はないため、車検は問題なく通ります。 ただし、キャンバー角自体に規定はなくても、それによってタイヤがはみ出す範囲には規定があります。
車軸中心から前方に30度、後方に50度(タイヤの上80度分)がフェンダー内に収まっていないと車検に通りません。

また、鬼キャン仕様の場合は話が変わってきます。鬼キャン仕様の車は、車検の基準である最低地上高9cm以上がクリアできない可能性が高いからです。
キャンバー角を極端につけると、足回りの調整によっていわゆるシャコタン状態になりがちです。車検を通すためには、最低地上高を確保する必要があります。

まとめ

今回は、タイヤのキャンバー角について解説してきました。
ポイントは、以下のとおりです。
・キャンバーをつけるメリットは、コーナーでの接地性の向上
・鬼キャンはデメリットが多く、タイヤの異常な摩耗や足回りの破損を招くおそれがある
・キャンバーの角度自体の規定はないが、タイヤのはみ出し範囲には規定がある

一般車の場合は、ドレスアップ効果を求めてキャンバー角を変更することがほとんどだと思いますが、あくまで法律の範囲内で楽しむようにしましょう。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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