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こんにちは！
今回は、ボルボにお乗りのお客様より、エンジンオイルが漏れているというご相談をお受けしました！
それは大変だ！というわけで、早速ですが点検していきます！

タペットカバーよりオイル滲み

オイルセンサ、リヤクランクオイル滲み、漏れ
撮り忘れましたが別角度では雫になっています

オイルトラップより滲み

一見経年劣化による各部オイル漏れのようですが、実はこちらのお車、半年ほど前に別件修理で燃料の高圧ポンプを交換を私がしています
その際タペットカバーを外すので、タペットカバーのパッキンも新品に交換しているのです

また、その後もオイル交換等メンテナンスの際には私がさせていただいたのですが、このような各部からのオイル漏れはなかったのです
経年劣化によるオイル漏れにしては、いっぺんに色々なところからエンジンオイルが漏れてくる
しかも新品に交換したところまで・・・おかしいですよね？
各部を洗浄した後、試しにエンジンオイルのフィラキャップやレベルゲージを緩めに取り付けてエンジンをかけたのち、時間をおいて再度確認してみます
すると雫になるくらいのオイル漏れが緩和されました

今回のオイル漏れのメカニズムです
エンジンのクランクケースには、ブローバイガスという未燃焼ガスが溜まります
成分は主にエンジンオイルです

ピストンが上下に動きますので、ピストンの下にガスがいるままだと圧力によりピストンが動きづらくなってしまうのが想像できるでしょうが？
これをポンピングロスといいます

ではロスをなくすためにはどうすればいいかというと、吸気圧力を利用してブローバイガスを吸い上げることで、吸入空気やガソリンに混ぜて燃焼させてしまおうという仕組みになっています
そのため、正常なエンジンであればクランクケースの中の圧力は負圧になります

ところが、このブローバイガスの通り道がふさがってしまうとどうでしょうか？
エンジンがかかっていると、ピストンも当然上下します
すると逃げ場のないブローバイガスが押されます
押されたガスにより、エンジンの構造上弱いところに圧力がかかります
オイルシールやエンジンの部品のつなぎ目です
それらが押されてしまうためにオイル漏れが起きてしまうという現象が発生するのです

見にくいですが、これがブローバイホースです
中は完全に乾いていることから、やはりブローバイ系統の異常によるものだと思われました
(エンジンや使用の環境によっては、そもそもブローバイガス中の油分が少ないために乾いてて正常な場合もあります)
また、ブローバイ系統で異常がある場合は、他のインテークホースがオイルまみれになっていることが多いです

これが主原因のオイルトラップです
先ほども出てきたオイル漏れしていた部品ですね！
クランクケースから出てきた油分たっぷりのブローバイガスから、油分をなるべくオイルパンに戻しつつ、ブローバイガスだけ吸っちゃおう！という構造です
ボルボ以外にも、フォルクスワーゲンとか、結構輸入車には多い構造です
国産にはついてないですね～
そもそものブローバイの流量が違うのでしょう

あら、ヘッドガスケットも漏れてますね

目の前に見えてはいるのですが、脱着の為にはエンジンオイルクーラ、インテークマニホールド、セルモータを外さなければなりません
本当はオルタネータも外すのですが、うまいこと外しました（笑）
セルモータはFoMoCoです
フォードのセルモータですね！

念のためパーツクリーナを拭いて導通確認です
新品は当然導通しているのに対し、もともと付いていたものは導通がありません
やはり中で詰まっちゃってますね

経年劣化で固くなったブローバイ系統のホースも一式交換します！
亀裂が入って余分な空気を吸入してしまうとエンジン不調になってしまいますから！

せっかくインテークマニホールドを外したので、普段は見えないエンジンの吸入通路も点検します
これは・・・！
バルブフェースがスラッジもっこもこです！
スラッジは吸気抵抗になるばかりでなく、ポロっと塊がバルブフェースとシートの当たり目に噛んでしまうと圧縮不良になり一瞬でエンジン不調になってしまいます！
点検してよかった・・・

この姿勢で約2時間、インテークバルブをひたすらほじくりました
スラッジはかなり硬化していてガビガビになっていました
もっときれいにしたかったのですが、これ以上はシリンダヘッドオーバーホールでないと厳しかったです・・・

ですがバルブフェースの色や輪郭は判別できるくらいにはなりました
当分スラッジのバルブ嚙みこみはないでしょう！
オーバーホールは高額修理ですから
そうなる前のこうしたひと手間が実はかなり大事なんですよね
大事なことなんで二回言います
ひと手間が大事なんです

一通り組んだら、エンジンオイルの交換と同時に漏れ止め剤を入れます
こちらの漏れ止め剤、某輸入車ショップの販売品なのですがかなり強力です
20万キロ走ったヴィッツのだだ漏れリヤクランクシールですらピタッと止めた実績があります
こちらを投入させていただき、それでも漏れ箇所がある場合は修理とさせていただく手筈です
いきなり全部を直しちゃうととんでもない修理代になってしまいますからね
そういった考えがあってのご提案＆修理という段取りに今回はなっています
決して手抜きじゃないですよ！

すべての作業を終えたら試運転を行います
漏れ止め剤の効果が出てくるまで若干の時間がかかるのですが、それでも以前ほど漏れはなくなりつつありました！
恐らくもう少し走行すると、大部分のオイル漏れは止まってくれます

また、走行した感じも、エンジン内の圧力が正常になったことでポンピングロスもなく、以前に増して吹け上りがよくなりました！
要経過観察ではございますが修理のご利用ありがとうございました！