エンジン始動出来ない　セルスターターは回る　水温センサーの特性ズレ　ホンダ：オデッセイ｜車検・点検・修理のグーネットピット

「昨日までは調子良かったんだけど」とＭ様よりお電話。
内容は、セルスターターは回るがエンジンが始動できないとの事。
車両は、ホンダ：オデッセイのＶ６エンジン。
整備士さん２名で、キャリアカーにて引取（ウインチ積載）入庫。
早速点検をおこなっていきます。
ＩＧ・ＯＮで、不具合コードを確認するも異常無し。
セルモーターは元気。燃料ポンプは回ってる。
ＩＧコイルからのスパーク電圧は出ている。が、
スパークプラグはダラダラと燃料で濡れる。（前バンクで確認）
シリンダの圧縮はある。（前バンクで確認）
カブって始動できなかったとしても、今だに始動できない。
では原因は？？？。
タイミングベルトがズレた？、２次エア吸いが発生？、などなど
色々と仮定してもイマイチ・ピンとせずで、若干ハマり気味。
前側バンクのスパークプラグを炙って乾かし、とりあえず組戻し。
再始動を試みた所「バス・・バス・・バ・バ・ババー」と始動。
かなりのレベルで不調ですが、点検するにはラッキーです。
２点ほど、見落としが判明しました。

見落としその①は、コンビネーションメーター内の水温計です。
イグニッションをＯＮにしただけで、オーバーヒート状態を指してます。
見落としその②は、診断機で点検した際に、不具合コードしか見なかった。
ＥＣＵに入力されるデーターを確認すれば、水温センサーがおかしな状況
になってる事に気が付けた筈でした。
（この場合の「Ｈ－ＬＩＭＩＴ」は水温が「１５０℃」超えを表す）
私の解釈が大きく入ってますが、始動が出来ない理由は、
「超オーバーヒートしてるのに、エンジンをかけるのか？それはダメです」
と、エンジンＥＣＵが言ってる様な気がします。
（実際のエンジンは冷え冷えでオーバーヒートしてませんが、ＥＣＵは
センサーからのデーターありきですので・・・）
水温センサーは熱によって抵抗が変わる特性を利用しています。
この車両の場合は、完全暖気で２００～４００Ωの抵抗値であるか？など
ちゃんとした点検方法はあります。が、
冷たいと電気の流れが悪く（抵抗大）、暖かいと流れが良く（抵抗少）なる
ことが、大まかなイメージになので、コネクタを引き抜きます。

メーターの水温が一気に下がりました。
抵抗大というより、断線状況が反映されています。
この事から、車両ハーネスと、ＥＣＵ入力側は悪く無いと予想できる
ので、水温センサーの取替を行います。
センサーの先端が冷却水に浸るので、作業時に冷却液が漏れるイメージ
がありますが、エンジンが冷間時で、ラジエターキャップが付いた状態
だと、センサーを取り外しても、殆ど液漏れしません。
（他の冷却ホースが外れていたりすればエア通路が出来て漏れます）
新品の水温センサーからの情報は、現在「７℃」です。
現実的な数値と言えます。
ここからのエンジン始動は？、一発始動と言える程に快調に。
「キュキュブゥーン」です。

見た目からは、まったくわかりませんが、
不具合の水温センサーは、内部でショートしている模様でした。
車両の方は、始動と試運転を繰り返し、快調が確認できＯＫ。
作業完了となります。

電装部品の寿命判断は難しいと、つくづく思い知らされます。