エアコン　しばらくすると冷えなく（効かなく）なる　コンプレッサマグネットクラッチ　摩耗｜車検・点検・修理のグーネットピット

「エアコンが、しばらくすると効かなくなるのですが」
とご相談頂きました。
今時期の場合は、冷房が効かなくなる症状です。
ご入庫の際には、正常に作動している感じがするのですが、点検
にお時間を要する為、お車をお預かりしました。
症状を再現させて不具合の目途をつける為、室内の吹き出し口に温度計
を刺し入れて、ガス圧を観察します。

この日は、外気温度が３０℃近くありました。
吹き出し口からの冷風が１０℃以下まで下がる能力があり、
ＣＲ－ＶのＡＣシステムは正常ならば優秀だと思います。
この状態で１０分位い経過した頃に、ピタッと冷風が出なくなり
「温い」風に変わりました。
この時のエアコンシステム状態は、ＡＣコンデンサーファンが作動
しており、内部の凍結（水分で）や、ガス圧異常でのシステムロック
では無い模様です。
マニホールドゲージを見ると、冷媒の高圧と低圧の差が徐々に無くな
なっていく事から、エアコンコンプレッサの作動が何等かの原因で出来
ないと予想されます。

この車両は、コンプレッサのＯＮ・ＯＦＦをマグネットクラッチ
で行います。（クッ付く、離す）
その名のとおり、電磁石で磁化させてです。
マグネットクラッチへの電流は、リレーを使用しています。
そのリレーが損傷している可能性もあるので、点検します。
ホーン等も共通の形をしているので、付け替えれば確認できます。

エアコンガスとリレーまでは、正常と判断できました。
残りは、リレー（ジャンクション裏側）からコンプレッサまでの
不具合と特定できました。
ここで、
コンプレッサの取替となれば、料金が嵩みます。
ハーネス系か本体なのかの確認が必要になり、マグネットクラッチ
に信号が行くのか直接確認する事にします。
テスト用の割り込み配線と、検電テスターを使います。

お車をリフトアップし点検準備をしますが、アンダーカバー
の装着がプッシュリベットというクリップが沢山使われており、
マイナスドライバーでは、時間もかかるし損傷させるので工具
を使います。
先端で挟めば引き抜けるので重宝します。
この工具に慣れた頃、３つ爪タイプや斜めのものなど多数種類が
出てきてそれぞれの形の工具を準備しています。
そんなに種類は出来ればイラナイと思うのが正直な所です。

先ほどの検電テスターを割り込ませた状態です。
通電時は、赤くＬＥＤが点灯し、ブザーも鳴ります。
エアコンが効かなくなった時のテスター状態で不具合
を絞ります。

すると、信号は来てるがマグネットクラッチが吸引（ＯＮ）
していない事が原因と特定できました。
エンジンを停止して、クラッチ部分のギャップを見ると広がって
いる様子がうかがえます。
予想するに、
コンプレッサが内部で冷媒を圧縮させる際に熱が出ます。その熱で
金属が熱膨張してギャップ（隙間）が大きくなり、電磁石で吸引で
きない距離まで離れた事が不具合の原因と仮定できます。
コンプレッサ本体が冷えれば、また正常に戻る事も理解できます。

先端のマグネットクラッチだけの部品供給もありますが、
状況、距離、年式、保証、等々から、今回はリビルト品で
対応させて頂く事をご了解頂きました。
２日程待ち、部品が入荷です。
取替はいつもの手順で、ガスの回収と同時にガスクリーニングです。
本体を比較します。
隙間を測定するのに、シックネスゲージを用います。
決まった厚みの板を差し込んで測る方法です。

マグネットクラッチのギャップ摩耗限度が、このタイプは
０.６５　です。
不具合の出たものは、余裕で入りました。
熱膨張すると益々ギャップは広くなってきます。

リビルト品は、組付け最小隙間
０.３５　以上必要の所、ジャストです。
摩耗すれば隙間が大きくなるので、最小隙間は
理想です。
封入されたエアコンオイルの状態や、梱包からも、
「シッカリしたリビルト品」をご提供頂いてる噂
どおりの保証期間２年の業者様です。
ありがとうございます。

取替作業は順調に進み、完了となりました。

エアコン修理に関してだけではないのですが、
お客様に症状を良く確認しないと、今回の様な修理に至れない
場合もあると振り返り思いました。
安易にガスクリーニングしたり、ガス補充やケミカル注入などを
行わず良かったとホッとしています。