三菱デリカＤ：５　バッテリーあがり（漏電）｜車検・点検・修理のグーネットピット

三菱デリカD:5　始動不良でのご入庫です。
3～4日乗らなかったら、エンジンがかからなくなったとのこと。
チャージして、エンジン始動するも翌日にはまた始動不良となり、レッカー搬送されてきました。
普通に、”バッテリーの寿命かな？”と、思われますが、念のため調べていきます。

まずは、バッテリーの状態をを専用のテスターで行います。
バッテリーの電圧が9Ｖ以下と完全にあがっているので、ひとまず充電。
12.5V程度まで充電できたので、始動してみると特に問題なく始動できました。
やはり、バッテリー上がりによる始動不良ではあるようです。
では、バッテリーを含む基本のシステムチェックをしていきます。
・バッテリーの劣化状態
・始動時電圧チェック
・充電状態チェック

・バッテリーの充電がまだ途中なのでいまいちですが、それでも交換レベルでは
ないようです。（年数もたっていますので、要注意という感じです）
・始動時電圧も問題なく、高負荷時のバッテリー性能、セルモーターも
大丈夫のようです。
・充電性能も現状問題なしで、オルターネーターも大丈夫のようですね
実際には、症状が出ていない状態だから、正常だという可能性もありますが、
ま、他も調べていってみましょう。

バッテリーの漏電チェックをしていきます。
電源をオフにし、ドアを全部閉め、大体10分以上放置した状態でバッテリーからの
持ち出し電流を測ります。
０．６９A（アンペア）
あ・・・お漏らししていらっしゃる。
通常、電気負荷が何もない状態では、多くても0.1Ａ以下であってほしいです。

0.69ＡＸ24時間＝16.56Ａ　小さなバッテリーだと2日もすればエンジンが
始動できなくなりそうなレベルの漏電です。
毎日乗ってたら気づかないかもですね。

常時電源の流れているヒューズを確認し、電流の流れているヒューズを探ります。
最近の車は、いろんなところにバックアップが入っているので、作業は慎重に。
トヨタなんかで、ナビのセキュリティがセットされていて、バックアップが切れると
起動時にセキュリティコードを求めてきます。
お客様が覚えてらっしゃるといいのですが、中古車の車両で前オーナーがセットしてると
面倒なセキュリティー解除の作業をしないといけないので、むやみにヒューズは抜けないのです。
電気が流れているヒューズは、光るようになってればわかりやすいのにな～。

お、反応があった。0.69A→0.08A
このヒューズは・・・いろいろ嚙んでるな～
・ABS､ASC､HSA
・INVECS-Ⅲ CVT
・MMCS
・エレクトリックテールゲート
・オーディオ用予備コネクター
・クルーズコントロールシステム
・コーナーセンサー
・セキュリティーアラーム
・ターンシグナルランプ、ハザードランプ
・電子制御4WD
・電動スライドドア
・ドアコーテシランプ、
　スライドドアステップランプ
・バニティーミラーランプ
・ハンズフリーインターフェースシステム
・フルオートエアコン
・マルチアラウンドモニター
・リヤディスプレイ
・リヤヒーター
・リラックスルームイルミネーション
・ルームランプ、パーソナルランプ、
　ラゲッジルームランプ、
　イグニションキーシリンダーイルミネーションランプ
・・・おっふ

ま、基本のルームランプからですかね？
ルームランプスイッチが、ドアで点灯する位置になってますが、ドアを開けても
点灯せず、ONにしても点灯しない。”球切れかな？”
まあ、ドアを閉めてれば関係ないしな～と、スイッチ周りをカチャカチャ操作してると
ある操作で、電流が流れなくなりました。
お？ビンゴ？
どうやら、ルームランプの”ON””DOOR””OFF”だけでなく、ランプ部を押せるタイプで
マップランプ機能もあるようです。
どうやら、ユーザー様はどこかのタイミングで、マップランプを操作し
点灯しないことを気にかけずに、そのままＯＮの状態にしていたようです。

でも、点灯しないのに電流流れるとは、LEDランプに交換して内部不良とかかな？
と、はずしてみたら通常の白熱球のタイプでした。
ん？なんで？

電球の抵抗値を測り、
5.3Ω
導通はしているなぁ

新品は、1.6Ω
これか～

運転席も助手席も、電球の抵抗値は新品の数倍あり、指ではじくと抵抗値が変わります。
断線はしてなくとも、内部フィラメントが接続不良を起こしてるようです。
左右とも同じメーカーなので、製品不良というより耐久性の問題かな？

電球を交換して、点灯確認し問題なし。
電流計を繋ぎ、すべてのスイッチをOFＦにすれば、待機電流は0.08Aまで約一分で到達。
これで大丈夫のようですね。

今回のまとめ
通常、電球の球切れなら、スイッチがONだろうと点灯せず電流も流れないし、
スイッチが”DOOR”位置だろうとドアを開けない限り、電流は流れない。
しかし、電球は抵抗値が大きく、点灯しない状態にもかかわらず、微電流が流れる故障により
また、マップランプスイッチが”ON”であったため（ノック式の為、見た目に
ON-OFFの判断はできない）、常に電流が流れる状態であったと推測されます。

わかってしまえば単純なこと。
でも、そこに行きつくまでの過程が故障探求の面白いところです。

ご入庫ありがとうございました。

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