車のエンタメ
更新日:2018.03.01 / 掲載日:2018.03.01
1930年代の奇抜なコンセプトカー「ダイマクション カー 」を知っていますか?
皆さんはモーターショーに行かれたことがあるでしょうか。そこには、市販されているクルマ、発売間近なニューモデルのほかに、「コンセプトモデル」という近未来的なカタチをしたクルマたちが展示されています。コンセプトモデルはある意味、デザイナーやエンジニアの理想をストレートに表現したり、これからメーカーが進んでいく指針となるモデルであったりします。
今回ご覧いいただくのは、そんなコンセプトモデルたちの先祖ともいえるような、1933年に発表された革新的なコンセプトモデルの姿です。「ダイマクション カー」と呼ばれるこのコンセプトモデルは、あるアメリカのエンジニアによって作られました。彼の名はリチャード バックミンスター フラー。1895年に生まれ、発明家にして、デザイナー、建築家、思想家、詩人として多彩な才能を発揮した人物です。このダイマクション カーは、今の時代でも十分に独創的、革新的に映るデザインを持つ、意欲的なモデルとなっています。
これが希代のコンセプトモデル「ダイマクション カー」です。カリスマ発明家のバックミンスター フラーが生み出したもので、11名が乗車して、100kmを7.8Lのガソリンで走行するという、当時としては優秀なパフォーマンスを誇る仕様となっていました。
個性的な形をしたクルマはちゃんと走っています。ところで余談ですが、このクルマの開発において、彫刻家のイサム ノグチが石膏製の風動モデルを製作しています。
こちらの映像は、バックミンスター フラーが発明した「ダイマクション ハウス」の映像です。
フラーが生涯にわたって挑戦したテーマは「人類の生存を持続可能なものとするための方法」を探ることでした。彼の代名詞ともなっている球体の建築物「ジオテック ドーム」やダイマクション カーもその一環で、ユニットバスも彼の発明によるものだといいます。しかし、膨大な発明のほとんどは、製品化、実現されることはなく、今日の彼に対する評価は不当に低いものだとする声もあります。このダイマクション カーも、当時多くの注目を集めたそうですが、試運転中に不幸な事故があり、プロジェクトへの出資が途絶えてしまい、生産されることはありませんでした。
近年、再評価の気運も高まっているというバックミンスター フラー。彼は時代を先取りしすぎたのかもしれませんね。