車の最新技術
更新日:2022.07.15 / 掲載日:2022.03.07
クリーンディーゼル車とは?ディーゼル車の今後やメリットやデメリット、注目車種を紹介
ディーゼルエンジンに代わり注目を集めるようになったクリーンディーゼル。耳にする機会は増えてきましたが、どのようなものなのか知らない人も多いのではないでしょうか。実は、クリーンディーゼルは次世代の自動車としても注目されており、購入を促進するための「クリーンディーゼル補助金」も設けられています。
国内外の自動車問わず、クリーンディーゼルを搭載している車も増えてきています。そこで今回は、クリーンディーゼルが誕生した背景と、搭載している車をまとめてご紹介します。
クリーンディーゼルが誕生した背景と今後
まずは、クリーンディーゼルが誕生した背景を簡単にご紹介します。
そもそも「ディーゼル車」とは
ディーゼルエンジンとは、ガソリンの代わりに軽油を使うエンジンです。1893年にルドルフ・クリスチャン・カール・ディーゼルによって発明されました。ガソリンよりも燃料代が安く、大きなエンジンを作りやすいのがメリット。また、ガソリンよりも燃費が良く、車の維持費を抑えられる点も特徴です。
一方で、不完全燃焼が起こりやすく、窒素酸化物や大気汚染ガスが出やすいというデメリットがあります。特に、2000年代に入ってからはディーゼルエンジンの排気ガスによる大気汚染が問題視されるようになりました。
2003年に「ディーゼル車規制条例」が制定
ディーゼルエンジンの排気ガスによる環境汚染を問題視し、2003年には地方公共団体が「ディーゼル車規制条例」を制定しました。基準を満たしていないディーゼル車の走行が禁止されているのはもちろん、従来のディーゼル車をそのまま使用するには、フィルターの設置(微粒子物質の規制のみの場合)が必要になりました。
ディーゼル車の規制強化により誕生したのが「クリーンディーゼル」
ディーゼル車規制条例を受けて、粒子状物質や窒素酸化物の排出量の少ないディーゼルエンジンとして開発されたのが「クリーンディーゼル」です。クリーンディーゼルを搭載した自動車は、環境保護に配慮した次世代自動車として認定されています。
また、クリーンディーゼル車を普及させるために、国や地方自治体では補助金を設けている点も特徴。「クリーンディーゼル補助金」では、対象車を購入するときの税金の免除などが受けられます。
「ユーロ6」が与える今後のディーゼル車への影響
ヨーロッパ連合は2014年に「ユーロ6」を施行し、自動車の排出ガスを規制しました。
ユーロ6は非常に厳しい排ガス規制であり、これをクリアするためにはコストがかかります。
ユーロ6をクリアするためにかかるコストは排気量によってほとんど変わらず、1.5Lのコンパクトカーに30万円かかると仮定して、3Lの大型セダンなら40万円程度です。
500万円の車の40万円と200万円の30万円では、車両価格に及ぼす影響が全然違います。こうした理由から、欧州では価格帯が安価なコンパクトカーのディーゼル車が減少傾向にあるのです。
こうした影響を受け、今後はディーゼルエンジンにモーターを組み合わせた「ディーゼルPHEV」などが市場に投入されることが予想されます。ガソリン車に続き、ディーゼル車もハイブリッド化される流れになるでしょう。
クリーンディーゼルとディーゼルのエンジンの違い
それでは、具体的にクリーンディーゼルにはどのような性能が搭載されているのかをご紹介します。従来のディーゼルと比較しながら、クリーンディーゼルならではの特徴をチェックしてみてください。
「コモンレールシステム」を搭載している
従来のディーゼルエンジンとの最も大きな違いは、燃料噴射システム「コモンレールシステム」を搭載している点です。ポンプよりも高い圧力をかけそれを電子制御することで、完全燃焼に近づけることが可能に。
不完全燃焼が原因となり排出されるススや排気ガスの排出を抑えることができるようになりました。コモンレールシステムの登場により、ディーゼルエンジンの最も大きなデメリットだった、有害物質の排出をクリアできるようになったのです。
振動や騒音も軽減
従来のディーゼルエンジンは、運転中の大きな音や自動車の揺れが気になっていた人も多いはず。クリーンディーゼルでは、振動の原因となるピストン系のディーゼルノック音を軽減するシステムを搭載しています。
また、エンジンの構造自体が変わったので静音化にも成功しました。クリーンディーゼルになったことで、乗り心地や使い心地もアップしています。
粒子状物質の排出を抑制する工夫も
エンジンだけでなく、他の設備によっても粒子状物質を制御する工夫がされています。「微粒子捕集フィルター」は、エンジンから排出される排気ガスをフィルターによってろ過するというもの。排出される粒子状物質の量を抑えることが可能です。
また、「尿素SCRシステム」は窒素酸化物とアンモニアを化学反応させることで、窒素酸化物を浄化させるシステムです。このように、様々な新しいシステムを取り込むことで、ディーゼルエンジンのデメリットを克服しています。
クリーンディーゼル車のメリット
クリーンディーゼル車に乗るメリットは、一体どのようなものなのでしょうか?以下で詳しく見ていきましょう。
燃費が良い
ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて熱エネルギーの変換効率が良く、ガソリンエンジンと比較して2、3割程度燃費が良いです。
例えばマツダのCX-3を例にすると、1Lあたりの燃費はガソリン車では16kmですが、ディーゼル車では20kmとなります(WLTCモード燃費)。
燃料代が安い
クリーンディーゼル車の燃料は軽油なので、ガソリンよりも1Lあたりの単価が安くすみます。しかもディーゼル車は燃費が良いので、相乗効果でさらに燃料代を安く抑えることができます。
加速性能に優れている
軽油はガソリンに比べて燃焼エネルギーが大きいため、それだけ太いトルクを発生させることができます。また、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンに比べて圧縮比を高く取れるため、さらにトルクを増大させる要因となります。
補助金の対象になっている
クリーンディーゼルは「クリーンエネルギー自動車(CEV)等導入促進対策費補助金」の対象になっているので、補助金を受けることができます。
受け取れる補助金は「(車両本体価格-基準額)×補助率」で計算されるので車種によって異なりますが、上限額は15万円となっています。
クリーンディーゼル車のデメリット
いいことずくめに思えるクリーンディーゼルですが、デメリットも存在します。どのようなデメリットがあるのか、以下でご紹介します。
メンテナンス費用が高い
まず1つ目のデメリットは、メンテナンス費用の高さです。ディーゼル車はガソリン車に比べるとオイル交換のスパンが短く、オイル代がかかります。用意するオイルもディーゼル専用となり、ガソリン車用のオイルより高額です。
オイル代だけでなく、ディーゼルエンジンは燃焼時に発生させるススが溜まるので、ガソリンエンジンに比べるとメンテナンスの頻度は多くなります。
その他、ディーゼル車が排出するススを浄化するために必要なアドブルー(尿素)の補充コストもかかります。
寒冷地に向かう際は給油のタイミングに注意が必要
軽油はガソリンより粘度が高く、低温時に流動性が悪化する特徴があります。運転中であればエンジンが温まっているので問題ありませんが、寒冷地で長時間駐車する場合は注意が必要です。
寒冷地で販売されている軽油には、凍りにくくする添加剤が入っています。そのため、移動途中で給油して、添加剤をガソリンタンク内で混ぜていけば、凍結を防ぐことが可能です。寒冷地に行く際は、現地の「添加剤入り軽油」を給油することを覚えておきましょう。
注目されているクリーンディーゼル車3選
最後にクリーンディーゼルが搭載されている注目の自動車を厳選してご紹介します。クリーンディーゼルを搭載している車は、じわじわと増えてきています。ぜひ、参考にしてみてください。
スポーティーな外装「ATENZA」
・全長:4,865mm・全幅:1,840mm
・燃費(JC08):14.8~16.6km/L
・総排気量:1,997~2,488cc
・乗車定員:5名
・価格:283万円~
デザイン性と走行性を重視したセダンのフラッグシップモデル。曲線美が美しいフォルムは高級感があり、思わず目に留まります。エンジンには、クリーンディーゼルエンジン「SKYACTIV‐D2.2」を採用している点も特徴で、環境に配慮した心地良い走りを実現しています。
オシャレなクリーンディーゼル車「ミニクーパーD」
・全長:3,835~4,315mm・全幅:1,725~1,820mm
・燃費(JC08):14.0~23.9km/L
・総排気量:1,496~1,998cc
・乗車定員:4~5名
・価格:238万円~
細部までこだわったオシャレなデザインが特徴的なMINIからも、クリーンディーゼル車が登場しています。「クーパーD」(3ドア/5ドア)は、クリーンディーゼルを搭載しており、利便性とデザイン性を両立しているのが特徴。オプションやカスタマイズできるメニューが豊富なので、利用シーンや好みに合わせてアレンジすることができます。
ファミリーカーとしてもおすすめ「CX-8」
・全長:4,900mm・全幅:1,840mm
・燃費(JC08):17.0~17.6km/L
・総排気量:2,188cc
・乗車定員:6~7名
・価格:319万円~
マツダのSUVの中で上位モデルであり、外観、内観どちらも上品で洗練されたデザインとなっています。「街乗りから高速までゆとりのある走り」をコンセプトとしているため、馬力も充分。進化したクリーンディーゼル「SKYACTIV‐D2.2」を搭載しており、環境に配慮している点も魅力的です。車内も広々としているので、ファミリーカーとしても向いています。
まとめ
今回は、クリーンディーゼルの歴史や特徴、クリーンディーゼルを搭載している自動車をまとめてご紹介しました。クリーンディーゼルは環境に配慮したディーゼルエンジンで、次世代の自動車として注目されています。国内外問わずクリーンディーゼルを搭載している車も増えてきており、今後益々期待できます。
ぜひ、クリーンディーゼルを搭載している車にも注目してみてください。
クリーンディーゼルの中古車
ライタープロフィール
1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
グーネットでは軽自動車から高級輸入車まで中古車購入に関する、おすすめの情報を幅広く掲載しておりますので、皆さまの中古車の選び方や購入に関する不安を長年の実績や知見で解消していきたいと考えております。
また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
誌面が主の時代から培った、豊富な中古車情報や中古車購入の知識・車そのものの知見を活かして、皆さまの快適なカーライフをサポートさせて頂きます。
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