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更新日:2021.03.31 / 掲載日:2019.09.06
普通免許で運転できるの?積載車の免許について制度が変わったのを知っていますか?

グーネット編集チーム
実は、平成29年3月に免許制度が改正されたことはご存じでしょうか。
この改正で「準中型免許」が新設されたことにより、これまで普通免許で運転できるとされていた一部の車種が、クルマの大きさによっては準中型免許でないと運転できないようになりました。
今回は、運転に必要な免許が変更となった車種のうち、「積載車」に注目して、積載車の運転に必要な免許や免許制度についてご紹介します。
積載車とは
まず、「積載車」とは何でしょうか。クルマ関係のお仕事をされていない人は、聞き慣れないかもしれません。
積載車とは、自動車や建設車両を載せて運ぶための車両を言います。
普通免許で運転できるのはいわゆるセダンなどの乗用車だと思われがちですが、大きさ次第では積載車も運転できます。
大きさ次第では、というところがポイントで、平成19年6月より前に取得した普通免許、平成19年6月から平成29年3月までに取得した普通免許、平成29年3月以降に取得した普通免許では、運転できるクルマの大きさの限界が違うのです。
なぜこうなったのかというと、免許制度が変わって、新しい種類の免許が追加されたためです。制度が改正される前に取った免許については、新しく追加された免許についても持っているものとみなすことで、運転ができるという仕組みになっています。
免許制度改定について

グーネット編集チーム
免許の区分がいろいろあり、名称も似ているので、複雑でわかりづらいかもしれません。混乱しないように、まずは法改正の順に確認していきましょう。
あわせて、法改正が積載車の運転にどのような影響を与えたのかもご説明します。
平成19年(2007年)の免許制度改正
平成19年6月1日以前は、普通免許と大型免許という区分けでした。つまり、普通と大型の間には他の区分はなかったのです。
平成19年6月2日以降、普通免許と中型免許と大型免許に分かれました。平成19年6月1日までに普通免許を取得した人は、車両総重量8トンまでのクルマを運転できます。
平成19年6月1日以前に普通免許を取得した人については、現在の免許区分は中型(8トン)限定免許になります。積載車の場合、積載するクルマを含めて車両積載量5トン未満、最大総重量8トン未満であれば、普通免許で運転することができます。
平成19年の免許制度改正後、次の平成29年改正までに免許を取った場合
一方、平成19年6月2日以降、次の改正がある平成29年3月11日までに普通免許を取得した人の場合は、車両総重量5トンまで運転できます。
車両総重量5トン以上、11トンまでが中型免許として新設されたためです。
平成29年改正では準中型が登場
平成29年3月12日からは、準中型という区分が登場しました。
準中型免許とは車両総重量3.5トンから7.5トンまでのクルマを運転できる免許です。
平成19年6月2日以降平成29年3月11日までに普通免許を受けた人は、「運転できる準中型車は準中型車(5トン)に限る」という記載の入った準中型免許になります。
一方、平成29年3月12日以降に普通免許を取得した人は、3.5トン未満の車両を運転できます。運転できる車両の範囲で言えば、平成29年3月12日以降に普通免許を取得した人が一番狭いです。
しかし、この改正までは普通免許しか取得できなかった18~19歳の人が、普通免許を取得していなくても準中型免許を取得できるようになったという利点もあります。
なお、原則として、免許を受けた当時の区分で運転できる車両は今も運転できます。
新しく免許制度が新設されたからと言って、自動的に運転できる車両の範囲が狭くなることはありませんので安心してください。
平成29年法改正後の認識
平成29年の法改正後の免許制度を整理します。
平成29年の法改正の後の自動車の免許区分は、大型免許、中型免許、準中型免許、普通免許、大型特殊免許、大型二輪免許、普通二輪免許、小型特殊免許、原付免許の9種類です。
また、車両の区分については、
・車両重量3.5トン未満
・最大積載量2.0トン未満
・乗員定員10人以下
を普通自動車とします。
・車両重量3.5トン以上7.5トン未満
・最大積載量2.0トン以上4.5トン未満
・乗員定員10人以下
こちらは準中型自動車になります。
・車両重量7.5トン以上11.0トン未満
・最大積載量4.5トン以上6.5トン未満
・乗員定員29人以下
こちらは中型自動車です。
・車両重量11.0トン以上
・最大積載量2.0トン以上
・乗員定員30人以上
こちらの条件を満たす車両は大型自動車です。
それぞれの区分に合った免許を持たなければ、運転できません。例えば、車両総重量をクリアできていても、車検証に記載されている最大積載量をオーバーしている場合は、上位の免許を持たなければ運転できません。
ただし、以前に運転できた車両については、限定という形の条件がついて、運転できるようになっています。迷うのは、小さいバスでしょう。
マクロバスの車種によっては乗員が14名ですので、乗員オーバーのため準中型免許では運転できません。
また、積載車も積載車自体の重量のみでなく、積載するクルマの重量も考慮する必要があることを念頭に置いておきましょう。
準中型とは?
準中型自動車は、
・車両重量3.5トン以上7.5トン未満
・最大積載量2.0トン以上4.5トン未満
・乗員定員10人以下
という条件を満たす自動車です。
準中型自動車というとピンとこないかもしれませんが、いわゆる2トントラックや3トントラックが当てはまります。具体的にはコンビニの配送トラックなどです。
4トントラックについては、準中型自動車の条件に当てはまらないので、中型自動車になります。
4トントラックを運転したい場合は、中型自動車免許を取ってください。
普通免許で乗れるクルマは?車種は?何トンまで?
改めて整理すると、以下のようになります。
平成19年6月1日以前に普通免許を取得した人・・・中型(8トン)限定免許
平成19年6月2日以降平成29年3月11日までに普通免許を受けた人・・・準中型(5トン)限定免許
平成29年3月12日以降・・・普通免許
平成29年3月12日以降に普通免許を取得した人は、普通自動車しか運転できません。
普通自動車の条件は以下の通りなので、重量や積載量が基準を超えてしまうと運転できません。
・車両重量3.5トン未満
・最大積載量2.0トン未満
・乗員定員10人以下
普通免許で乗れないクルマの免許取得はどうすればいい?
平成29年3月12日以降に普通免許を取得した人でも、仕事やプライベートで準中型自動車や中型自動車を運転したいときはあるかもしれません。
そのままの免許で運転すると反則になるのでいけませんが、上位の免許を取得すれば運転できるようになります。
平成29年3月12日以降に普通免許を取得した人で、準中型免許を取りたい場合、普通自動車と同じく18歳になれば教習所で教習を受けるなどして取ることが可能です。
準中型免許は、運転歴に関係なくチャレンジすることができます。
中型免許の場合は、20歳にならないと免許を受けることができません。
さらに、制度改正以前に免許を取得して、中型自動車や準中型自動車に条件付きで乗れるようになったものの、せっかくなら限定を解除したいという人もいるはずです。
限定を解除したい場合は、限定解除のための講習を受けましょう。
準中型免許の5トンまでという限定を解除するには、4時限の講習を受けて限定を解除することができ、限定が解除されたら、通常の準中型免許になります。
中型免許の8トンまでという限定を解除する場合は、4日講習を受ければ解除可能です。
例えば、仕事で積載車を運転することになった場合でも、中型免許があれば安心です。
限定の条件にひっかかるかどうか悩んでしまうくらいなら、限定を解除してしまうというのも一つの方法です。
まとめ
積載車を運転するには、どのような免許が必要になるのか、おわかりいただけたでしょうか。
普通免許でも、車検証に記載されている積載量・車両重量を確認したうえで、普通免許で規定されている範囲を超えていなければ運転可能ですが、実際にクルマを積載して運転するのは難しいため、積載車を利用するなら最低でも準中型免許を取得するとよいでしょう。
上位の免許に挑戦する、限定を解除する、そのまま持っておくなど、人によって活用方法はいろいろあるかと思いますが、違反にならないように、自分の免許で運転できるクルマの種類をきちんと把握しておきましょう。