輸入車
更新日:2020.07.04 / 掲載日:2020.07.04

ロールス・ロイス|ブランドヒストリー vol.3|

文●ユニット・コンパス 写真●ベントレー
※中古車参考価格はすべてグーネット2020年6月調べ。
※写真は一部本国仕様の場合があります。
(掲載されている内容はグーワールド本誌2020年8月号の内容です)


世界を代表する高級車ブランドであるロールス・ロイス。時代が移り変わり、モデルラインアップが変わったいまでも、その本質は創業からけっして変わらない。

ロールス・ロイスが富裕層の心を掴んだ理由

 19世紀末に誕生した自動車。だが、当時のクルマはまだ信頼性が低く、その魅力を十分に楽しめる代物とは言い難かった。英国の上流階級出身のチャールズ・スチュアート・ロールス男爵もそのひとりで、モータースポーツに傾倒するかたわらで、フランスから輸入したクルマの品質の低さに閉口していた。
 一方、発電機とモーターの事業を成功させたエンジニアのフレデリック・ヘンリー・ロイスも、同じ悩みに直面していた。そこで彼は自社による自動車の改良に着手する。堅実な設計を採用し、なおかつ製造品質にとことんこだわったヘンリー・ロイスの「ロイス10HP」は、たちまちイギリスで評判を集めた。それを聞きつけたロールス男爵は、ロイスに共同で事業を行うことを提案する。稀代の高級車メーカー「ロールス・ロイス」はこうして誕生した。
 ロールス・ロイスにまつわる伝説はその数にいとまがないが、その多くが信頼性とサービス品質の高さにまつわるものだ。裕福な人々にとって、クルマの故障で自分の予定や行動に支障が出ることがいかに気分を害するのか、二人のロイスはよく知っていたのだ。ロールス・ロイスの名前を世界に広めた名車「シルバーゴースト(1906年)」も、設計そのものは保守的であったが、卓越した作り込みにより、抜群の静粛性とスムーズな乗り心地を誇ったという。
 ロールス・ロイスは新技術の採用を声高に主張しない。これは、長くその最高出力などのスペックが非公開であったのと同じく、クルマの魅力は性能だけで判断できないという、彼らの哲学が反映されたものだ。
 正しい設計と良質な素材、丹念な作り込み。ブランド誕生から100年を超えても、彼らの信念はけっして揺るがない。
 フロントノーズに燦然と輝くパルテノン神殿のごときフロントグリルは、無言のままに、そのことを我々に教えてくれる。

既存のクルマに満足できなかった二人のカーガイが手を結んだ

  • チャールズ・スチュアート・ロールス男爵

  • フレデリック・ヘンリー・ロイス

 イギリス自動車界の名士で、スポーツカー愛好家であったチャールズ・スチュアート・ロールス男爵と、完璧主義的な技術者のフレデリック・ヘンリー・ロイス。二人が理想のクルマを製造、販売していこうと1904年に作られたのがロールス・ロイス社。彼らの作る「完璧なクルマ」は、裕福な人々の気持ちをつかんだ。

[CLOSE UP]セレブリティが愛用したもっとも有名なロールス・ロイス

 おそらく世界でもっとも有名なロールス・ロイスは、「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」(1967年)のリリースとほぼ同時に公開された。オーナーはザ・ビートルズのジョン・レノン。このファントムVには、後席の代わりにベッドと冷蔵庫、そしてレコードプレーヤーが備わる。

  • 原点である10HPは卓越した品質と性能を誇った

     ロイスが自社工場で開発したロイス10HP(1904年)は、既存の技術を使いながらも、品質と性能に卓越していた。その優秀さに着目したロイス卿が販売を決意し、「ロールス・ロイス」が誕生する。

  • ブランド創立100年を記念し作られた初のコンセプトカー

     100周年を記念し、2016年に公開されたロールス・ロイス ビジョン・ネクスト 100は、同社として初のコンセプトカー。完全自動運転で、AI「エレノア」が運転に加え執事のようにサポートしてくれる。

  • 電気自動車だからこそ可能なもてなしの世界を追求

     ビジョン・ネクスト 100のディテールには、ほかのブランドとの違いを感じさせるディテールが詰め込まれている。エンジンのあったスペースに、専用トランクを搭載するアイデアもそのひとつだ。

  • 時代が求めるSUVもついに登場あくまでもロールス・ロイス流

     2018年に日本上陸を果たした同社初のSUV「カリナン」。テールゲートを備えながらも、荷室との間はガラスパーテーションで仕切られており、SUVであっても変わらない上質感を提供する。

いまオススメの中古車で探せる[ロールス・ロイス]

ファントム(先代)

 ブランドにとって間違いなく立役者となったのが先代ファントム。戦前から受け継がれてきた最上級モデルの名前に相応しく、標準ボディでも5.8mという巨体。6.7LV12エンジンを搭載する。
中古車参考価格帯:1000万円~3800万円(03年~17年 全グレード)

レイス

 ゴーストのクーペ版であるレイス。戦前に販売されていたモデルの名前を70年を超えてリバイバルしたことも話題となった。6.6LV12ツインターボで最高出力は632馬力と性能も超一級。
中古車参考価格帯:2100万円~3100万円(13年~20年 全グレード)

ゴースト

 全長5.4m、ロングホイールベース版では5.7mに達する堂々たる体躯を誇りながら、スリークな魅力もあわせ持つ4ドアセダン。販売開始から時間が経ったこともあり、中古車物件も豊富だ。
中古車参考価格帯:1160万円~1950万円(09年~20年 全グレード)

ドーン

 2015年に登場した4シーターオープンモデル。レイスの単なるドロップヘッドではなく、ドアの前方が開く「コーチドア」を採用している。エンジンはレイスと同じ6.6LV12ツインターボだ。
中古車参考価格帯:2800万円~3500万円(15年~20年 全グレード)

シルバースパー

 シルバー シャドウの後継車で、プラットフォームを受け継ぎながら、メカニズムを洗練させた。後席の快適性を追求した5.4mのボディはいまみても威厳に満ちあふれる。中古車価格も魅力。
中古車参考価格帯:270万円~480万円(80年~00年 全グレード)

シルバー シャドウ

 1960年代に誕生し、80年まで販売されたシルバー シャドウ。モノコックボディを初採用、ロールス・ロイスにとって近代化のさきがけとなった。台数は少ないが中古車も販売されている。
中古車参考価格帯:400万円~660万円(65年~80年 全グレード)

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グーネットマガジン編集部

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1977年の中古車情報誌GOOの創刊以来、中古車関連記事・最新ニュース・人気車の試乗インプレなど様々な記事を制作している、中古車に関してのプロ集団です。
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また、最新情報としてトヨタなどのメーカー発表やBMWなどの海外メーカーのプレス発表を翻訳してお届けします。
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