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更新日:2020.07.15 / 掲載日:2020.07.15
【アウディ Q3・Q3スポーツバック】フルモデルチェンジと同時に魅力的な派生モデルを追加
Q3スポーツバック(左)、Q3(右)
文●大音安弘 写真●アウディ
アウディ・ジャパンは、2020年7月7日、プレミアムコンパクトSUV「アウディQ3」のフルモデルチェンジと、Q3ベースのコンパクトクロスオーバーSUVである「アウディQ3スポーツバック」を新設定することを発表した。価格は、Q3が438万円~543万円。Q3スポーツバックが452万円~563万円となる。全車右ハンドル仕様となり、8月19日より販売が開始される。
8年ぶりの全面刷新となる第2世代「Q3」
8年ぶりにフルモデルチェンジを受けたQ3
扱いやすいサイズと機能的なキャビンが支持され、アウディSUV「Qシリーズ」の中心的役割を果たしてきたQ3は、2010年より世界各地に投入され、140万台を販売。日本でも2012年より累計1万5000台を販売してきたアウディの看板モデルのひとつである。
8年ぶりとなるフルモデルチェンジが実施された第2世代Q3は、新世代アウディで強調される、よりダイナミックなスタイリングに加え、機能性及び快適性の向上を図ったモデルである。
スタイリングは、SUVらしい安定感を強めたボリュームとアクティブなキャラクターを印象付けるアグレッシブなものに進化。最も印象的なのが、Qシリーズのアイコンであるオクタゴン(八角形)のシングルフレームが生み出すクールなフロントマスクだ。より立体的な形状となったグリルの左右には、アウディらしい先進性を意識させるLEDヘッドライトを装着する。テールランプも似た形状が採用され、こちらも同様にLED式となり、前後のターンシグナルは、お約束の流れるウィンカーこと「ダイナミックターンインジケーター」を採用する。サイドビューは、シンプルかつ美しい面を与えながらも、ホイールアーチを強調することで、立体的かつ力強さを表現。これはアウディのアイコン「クワトロ」からインスピレートさせたものだ。
ボディサイズはひとまわり拡大され、そのスペースが室内空間のゆとりに振り分けられた
ボディサイズは、全長4490mm×全幅1840mm×全高1610mm(※Q3 35TFSIの値)とし、ホイールベースは2680mmを確保。先代比で、全長+90mm、全幅+10mm、全高+15mm(従来型1.4TFSIの値)と少しずつサイズアップが図られており、ホイールベースを+75mmとするなど、その恩恵がキャビンの拡大に繋がっていることが分かる。またそのサイズアップも、実用性に影響のない範囲に留められたといえるだろう。
液晶モニターを用いたメーターパネル「バーチャルコクピット」は全車標準装備
アウディらしいデジタルなスタイルのキャビンは、Qシリーズの中でも個性的な立体構造のダッシュボードが印象に残る。タッチスクリーンのインフォテイメントが収まるフレームベースにも、オクタゴングリルがモチーフとして取り入れられているのも特徴。メーターパネルは、アウディ自慢のデジタルメーター「バーチャルコクピット」を全車で標準化。
荷室容量は先代に比べて70L増となる530Lを確保。リヤシートを畳めば、1525Lまで拡大される
快適性では、ホイールベースの延長によるキャビン拡大の恩恵により、Q3では後席のヘッドクリアランスも拡大。後席にはスライド機能も設けられる。さらにラゲッジスペースも、70L増となる530Lを確保。リヤシートを畳めば、1525Lまで広げることが出来る。
ホイールベースが75mm延長されたことで後席足元の余裕が増した。スライド機構も備わる
アスリートな双子「Q3スポーツバック」が誕生
ブランニューモデルとなるQ3スポーツバック
第2世代Q3の最大のトピックは、派生車「Q3スポーツバック」の設定だ。アウディでは、新型モデルをアウディ初のコンパクトクロスオーバーSUVと位置付ける。この意味は、より都会的なキャラやクーペとミックスしたスタイルなど様々な要素を含めたものといえるが、アウディSUVの将来を広げる存在であることは間違いない。
クーペライクなローカットスタイルが特徴だが、アイコンのオクタゴングリルも、グリッド形状のQ3と異なり、ハニカムデザインとなるのもポイント。リアテールもガラスエリアの傾斜が強くなり、バンパー形状もよりワイドとなることから、より筋肉質なシルエットにまとめられている。
Q3の利便性を受け継ぎながら、スポーティなスタイルを実現させた
ボディサイズも少し異なり、全長4500mm×全幅1840mm×全高1565mm(※Q3スポーツバック35TFSIの値)となり、Q3比較で全長が+10mm、全高-45mmと背を抑えることで伸びやかなスタイルを実現している。キャビンのデザインは共通だが、ルーフ形状の違いから、ヘッドクリアランスやラゲッジスペースの最大積載容量が1400Lまでとなるが、Q3の利便性の高さを出来る限り受け継ぐように配慮したことが感じられる。ただ快適性脳に差はなく、後席にはスライド機構もQ3同様に備わる。
待望のクリーンディーゼルも!
パワートレインはQ3とQ3スポーツバックで共通。1.5L直4ターボと2L直4ディーゼルターボを採用
パワートレインは共通で、ガソリン車となる「35 TFSI」は、1.5Lの直列4気筒DOHCターボエンジンを搭載。最高出力150馬力/5000~6000rpm、最大トルク25.5kgm/1500~3500rpmを発揮する。気筒休止機能「シリンダーオンデマウンドシステム」付きの燃費効率にも優れたユニットで、WLTCモードで14.3km/L~14.2km/Lを実現。駆動方式は、FWDのみとなる。
待望のクリーンディーゼル車は「35 TDI」は、2.0Lの直列4気筒DOHCターボエンジンで、最高出力150馬力/3500~4000rpm、最大トルク34.7kgm/1750rpm~3000rpmを発揮。最高出力こそガソリン車と同等だが、発生回転数が低い上、最大トルクは9.2kgmも高いのがポイント。しかも燃費消費率も15.4km/L(WLTCモード)を実現。その差が小さくも見えるが、ディーゼル車は、アウディの4WDシステム「クワトロ」が標準となるため、そのアドバンテージはもっと大きなものだ。トランスミッションは、全車でDCTの「7速Sトロニック」を組み合わせる。
分かりやすいグレード構成
グレード構成はシンプルで、「標準車」、装備が充実した「アドバンスド」、スポーティな「Sライン」を用意
近年のアウディモデルに倣い、グレード構成は、シンプルなもの。ベースとなる「標準車」と装備をアップグレードした「アドバンスド」、Sライン専用外装パーツやスポーツシート、スポーツサスペンションなどを加えたスポーティ仕様となる「Sライン」の3つのグレードを用意。Q3のガソリン車「35 TFSI」では全仕様を設定するが、Q3のクリーンディーゼルでは「アドバンスド」と「Sライン」の2タイプを用意。
Q3スポーツバックでは、より設定を絞られ、ガソリン車は、標準車の「35 TFSI」と「35 TFSI Sライン」の2タイプ。そしてクリーンディーゼル車は「35 TDI クアトロSライン」のみとなる。
SUVに拡大されたスポーツバック
高性能モデルであるSQ3の開発も進められており、日本導入が期待される
スポーツバックと聞くと、アウディ A3での登場が思い出されるため、実用的なイメージも強いが、近年のアウディでは、機能性とスタイルを重視したクロスオーバー的存在という意味を持つようで、Q3スポーツバックは、「アウディ初のコンパクトクロスオーバーSUV」と表現する。またデザイン面では、大人しい先代のキャラクターを払拭し、Q2の遊びとQ5の洗練さを融合させたもので、「バランス」を重視したという。それは幅広いライフスタイルに対応できる存在となった。まさにサイズ感と機能性は、日本の道路事情にもマッチしたものといえるだろう。今後の展開として、高性能モデル「SQ3」の開発も進められているようで、こちらも日本導入が計画されている。
アウディの世界戦略でも、重要なポジションを担うQ3。初のフルモデルチェンジでは、質感の向上だけでなく、新たな個性も生み出された。ふたつの個性を持つ初めてアウディSUV「Q3」が、日本市場でどのように評価されるか、注目だ。
アウディ Q3 35 TDIクワトロ Sライン(7速AT)データ
■全長×全幅×全高:4495×1840×1610mm
■ホイールベース:2680mm
■車両重量:1700mm
■エンジン:直4DOHCディーゼルターボ
■排気量:1968cc
■最高出力:150ps/3500-4000rpm
■最大トルク:34.7kgm/1750-3000rpm
■サスペンション前/後:ストラット/ウィッシュボーン
■ブレーキ前/後:Vディスク/ディスク
■タイヤ前後:235/50R19