新型車比較・ライバル車対決
更新日:2021.07.02 / 掲載日:2021.06.25
2021注目SUVバトル【4】CX-30 vs C-HR「走り自慢の個性派対決」
SUV市場は、未だかってないほどの実力モデルが集う超激戦区。それゆえどれを選んでもハズレはないが、できれば大当たりを引きたいのは人情だろう。ここでは気になる対決の行方に迫ってみる。
MAZDA CX-30
価格帯:239万2500~371万3600円
見た目の印象はマツダ3のリフトアップ仕様。走りの方向性も似ていたが、4月の最新改良で足回りのサスチューンを変更。乗り心地を重視したコンフォート性能を大幅に強化している。
TOYOTA C-HR
価格帯:238万2000~314万5000円
ニュルブルクリンクで鍛えたサスチューニングは一級品。ガズーが手を入れたGRスポーツも設定されているが、標準仕様車でも乗りごたえは十分すぎるほどスポーティだ。
共にスポーティだが実用性能に差があり
C-HRの本質はSUVをモチーフにしたスペシャリティカー。ハイブリッド車には4WDは非設定で、最低地上高も最大で155mmしかない。走りやスポーツをテーマに割り切ったコンセプトだ。 一方、CX-30はマツダ3をベースに開発されたSUV。一見ではC-HRに近いが、CX-30はある程度のレジャー用途も念頭において開発されており、キャビンはある程度の広さが確保されている。前席中心という使い方では便利に使える一台である。 4WD車もしっかりとラインナップされている。レジャー用途も意識しており、キャビンも広いとまではいえないが、相応の広さが確保されている。
MAZDA CX-30
TOYOTA C-HR
チェックポイント1/走行性能
最新改良でCX-30は乗り心地を改善、走りの質感が大きく高まった
燃費はC-HRのハイブリッド車がベストだが、操舵感や巡航時の余力はCX-30のスカイアクティブX車や、ディーゼルターボ車が優れている。フットワークは、軸の通った安定感やコントロール性を持つCX-30がやや優位。C-HRもスポーティな味付けだが、CX-30に比べると少々ルーズな印象も感じてしまう。ちなみにCX-30は最新の改良でサスチューンを変更しており、従来車で感じていた角のある突き上げ感が明らかに減少。上質な乗り味を実現している
チェックポイント2/キャビン&ラゲッジ
クーペライクな2台でも実用性能は大きな差がある
CX-30は実用性の向上を狙った設計も持ち味だが、同クラスのライバル勢の中ではキャビンも荷室も余裕が少ない。レジャーワゴンとして活用するには、少し窮屈なシーンもあるだろう。ただそれでもC-HRと比べれば実用的なSUVとして評価できる。C-HRは後席レッグスペースやヘッドルーム、荷室奥行きなどの要点こそ押さえているが、後席の視界や乗降性、嵩張る荷物の積載性への配慮は今ひとつ。レジャー用途には明らかに不向きな一面がある。
チェックポイント3/装備&機能
運転支援機能は標準装着が前提のC-HRが上
先進運転支援機能はマツダ車のウイークポイントのひとつだったが、現在は走行ライン制御型LKAを含むクルージング&トラフィック・サポート(CTS)の採用により、標準的な機能をカバーしている。ただ、C-HRはトヨタセーフティセンス(TSS)が全車に標準採用されるのに対して、CX-30のCTSは上級グレードに限定されてしまう。車載ITもヘルプネットなどの要点は押さえているが、C-HRのディスプレイオーディオの方がサービスは多彩だ。
【最終ジャッジメント】ズバリ、ベストバイは?
MAZDA CX-30
CX-30は走りのみならず実用性もなかなか優秀 CX-30は雰囲気のみならず、ある程度の実用性を求めるユーザーにもオススメできる。ディーゼルターボ車などの上位パワートレーンを選べば走りの面もいろいろと追求できる。そういった一般的なSUV用途とは外れた所にいるのがC-HR。実用面などからSUVでなければならない理由があれば、ここはCX-30を選んだほうが不満は出にくい。C-HRは走りに見るべき魅力はあるが、ガンガン使い倒したいユーザーには、明らかに不向きなクルマだ。
●文:川島茂夫/月刊自家用車編集部