災害対策・防災グッズ
更新日:2020.01.08 / 掲載日:2019.10.30
車が水没した時の対策と対処法
グーネット編集チーム
車の水没と聞くと川に車ごと転落したり、津波に車がのまれたりと、大災害を想像する人が多いかと思います。しかし、集中豪雨や浸水などの水害で水没してしまうこともあります。
いざというときのために車が水没した時の対策と対処法を確認しておきましょう。
車が浸水によって水没した時の対策
集中豪雨などで道路が浸水した場合、水深が浅いうちに、水の被害を受けない高いところに車を移動して水没を避けるのが理想です。
浸水によって水没してしまうとエンジンの調子が徐々に悪化してエンストを起こします。この状態になったらすみやかに車の外に脱出して、避難しましょう。一度水没してエンストを起こした車のエンジンをかけると、故障につながるのでエンジンはかけてはいけません。
どのくらいの水深まで運転できるのか
車が水没するとエンジンが停止して車が動かなくなります。どのくらいの水深でエンジンが停止するかというと、マフラーの位置が目安です。
車のマフラーが完全に水に浸かると排気ガスが外に排出できなくなるため、エンジンルームに水を引き込んでしまい、エンジンが停止します。
水害時のニュースで、ある程度水に浸かりながらも車が動いている映像を見たことがあると思いますが、マフラーの位置は車種によって異なるので、自分の車も動くから大丈夫と過信して、無理な運転をしないようにしましょう。
水没してしまったら
やむを得ない理由で車を動かしたい場合は、シフトをニュートラルにして人力で押して車を動かしましょう。また、ハイブリッドカーや電気自動車では感電の恐れがあるので人力で押さずに専門業者に連絡しましょう。
いずれにしても、冠水して車内にまで浸水してしまった場合は、車をとめてエンジンを停止させるのが基本です。その上で、安全な場所に歩いて移動することになりますが、いきなり車外に飛び出してはいけません。水深がどのくらいか、路面の状態が安全なのかを把握するのが先決です。
もし、深く水没して水圧の影響でドアが開かず、窓も開けられない場合、窓ガラスを割る必要が出てきます。脱出用ハンマーを装備していればベストですが、必ずしも車載しているとは限りません。
そこで、ヘッドレストを使って窓ガラスを割る方法があります。取り外したヘッドレスとのシャフト部分を窓ガラスの隙間に差し込み、テコの原理で手前に引くことで窓ガラスを割ることができるのです。
車体ごと海などに転落して水没した時の対策
海や川に転落して車が水没した場合の対処法も確認しておきましょう。
まずはあわてないことが大切です。落ち着いてシートベルトをはずしましょう。浮いている方の窓を開けて脱出します。パワーウインドウが故障して動かない場合に備えて、窓を割って脱出できるようにハンマーを常備しておきましょう。
窓が開かずハンマーがない場合は、胸から首あたりまで浸水し、外との水位差があまりなくなったころを見計らってドアを蹴りだして脱出します。
車はすぐには沈まないので落ち着いて車内と外界の様子を確認し、タイミングをはかって一気に脱出しましょう。
水没した車はどうすればよい?
グーネット編集チーム
それでは、車が水没した後の処理の方法を解説していきます。
車両保険の対象になるか確認する
車両保険に入っている場合、保険の対象になるかを確認するのが先決です。
というのも、洪水や台風などによって車が水没した場合は、通常車両保険で補償されますが、地震を原因とした津波などで車が水没した場合は、車両保険に加入していても補償は受けられないのです。
修理する
愛着がある車で浸水の程度が限られている場合、修理して乗り続けたいと思う人もいるでしょう。軽度な浸水の場合、5万円程度で直ることもありますが、マフラーまで浸水した場合、最低で50万円程度の費用がかかってきます。
気を付けたいのは、一旦水没した車は冠水歴扱いとなり、その後売却したとしても、著しく低い評価となることです。また、直ったように見えても、電気系統の故障やトラブルや臭いが再発することや、見えない部分のボディの劣化が進んでいく可能性もあります。よほど軽度の浸水でない限り、修理は慎重に検討することがおすすめです。
廃車買取に出す
先述のように、一度でも水没した車は、冠水歴車という評定が付き、後々の売却時に査定金額が低くなりますし、完全に泥や臭いを取り除くのには費用も時間もかかります。そこで、廃車買取に出して処分するという選択肢があります。
自動車税や自賠責保険が月割りで還付されたり、水没していない部分がパーツ取りとして評価されたりして、ある程度の値段が付くことがあり、次に買う車の資金の一部になるかもしれません。
水没しているからといってあきらめずに、廃車買取の査定に出してみることがおすすめです。
車が水没しないように気を付けること
それでは、車が水没しないために、気を付けることをご紹介していきます。
天気予報で定期的にチェック
まずは、定期的に天気予報をチェックすることがおすすめです。洪水は必ずしも台風と重なるわけではありません。ゲリラ豪雨や突発的にできた低気圧でも、短時間で大雨が降れば局地的に冠水する可能性があります。
ハザードマップを調べる
また、市町村が出しているハザードマップを事前に確認しておくことも重要です。
それらのハザードマップには、浸水地域や冠水道路、避難所の情報が載せられており、あらかじめ自分が住んでいる場所が浸水のリスクが高いのかが分かります。
周りに海や河川があるか確認する
家の周りの地形についても細かく把握しておくとよいでしょう。自分の家が窪んだ場所にある場合や、河川が近い場合は、浸水の可能性がないとはいえません。そんな時は、大雨などが降り出す前に、安全な場所に車を移動させておくことも考えられます。
例えば、勤務先が安全な高台にあれば、許可をもらってそこに駐車する、安全な時間貸しの立体駐車場の上層階に1日だけ駐車しておくといったことも考えられます。いずれにしても、天候が悪化する前に早めに移動させておくことが重要です。
まとめ
今回は、車が水没した時の対策と対処法として、水没した時の手順や、その後の保険対応や修理などの後処理、水没を防ぐポイントについて解説してきました。
修復歴などと同じように、水没車には冠水歴という記録が残り、価値が大きく下がってしまいます。また、費用と時間をかけて修理したけれども、電気系のトラブルが再発するといったリスクもあります。
最も重要なことは、車が水没するリスクがある場合、車での不要不急の外出を避けるだけでなく、安全な場所に早めに避難させることではないでしょうか。