中古車購入
更新日:2020.04.08 / 掲載日:2016.08.19
今明かされる中古車燃費の真実
工業製品であるクルマは、経年劣化で性能や機能が劣化してしまう。では、最近なにかと話題の燃費性能はどうか。今回は実際に3つの比較テストを敢行し、その実情をチェックした。
現代自動車の最重要性能燃費の真実を明らかにする
20年くらい前まで、クルマは最高速度や最高出力といった性能が主な評価対象だった。それがいまや、軽やコンパクトカーはもとより、スーパーカーにまで燃費性能が求められる時代となっている。
では、中古車の燃費はどうか。はたしてボディや内装同様、燃費性能も劣化してしまうのか。今回は、車種、年式といった条件ごとに、中古車(古いモデル)と新車とを比較する3つの燃費テストを実施した。いま中古車燃費の真実がわかる!
気になる疑問 中古車の燃費性能は劣化しないのか?
最新燃費ランキングトップ10(新車)
カタログ燃費と実燃費はどうしてこうも違うのか?
燃費性能の追求は激化し、ついにはカタログ燃費と実燃費との乖離問題も取りざたされるようになった。そういやカタログ燃費ってすごく優秀だけど、どうしてこうなった?
開発陣は努力をしてるだけ問題は計測方法にあり!
清水氏の愛車であるフェラーリ458は5km/Lを切る極悪燃費車。だが年間10日くらいしか乗らないため、燃費はそれほど気にならないらしい
TEXT/清水草一
1962年東京生まれ。中古車、新車問わずこれまで40台以上ものクルマを購入してきたベテラン自動車評論家。自動車専門誌から一般誌までさまざまな雑誌で連載を持っている。首都高研究家、交通ジャーナリストとしても活躍中。
欧米と比べて優しい日本における燃費基準
なぜカタログ燃費と実燃費はこんなに違うのか?
それは単純に言って、「テストでいい点を取ろうとして、全員が努力するから」だ。
日本における燃費基準は、欧米と同様、シャシーダイナモというローラーの上で計測される。JC08モードの場合でスタートから終了まで20分くらいだが、その間、ここで時速何kmまで加速して減速して次に・・・と、細かい内容が決まっていて、その通りに走る(下記参照)。
その「時速何kmまで何秒間で加速して」という細かい基準(走行モード)が、日米欧でそれぞれ違う。日本は欧米に比べると全体に低速だ。最高速だと日本は80km/hまで、アメリカが96km/hまで、欧州が120km/hまで。
このあたりでまず多少差が付くが、日米欧どの地域でも、メーカー側はなんとかいい数値を出すように最大限の努力をするのは同じ。それぞれの走行モードに合わせて一番低燃費が出るようにエンジンをセッティングして、燃費走行のF1ドライバーみたいな凄腕に運転させて、極限の低燃費を出すわけだ。しかしテスト問題に対して最大限頑張るのは当たり前で、いい数字が出たからってメーカーを非難するには当たらないよね?
つまり、問題はテストの内容にあるってこと。
テストの内容に関しては、欧州が一番条件的に厳しくて実燃費に近い値になるはずだが、実際にはアメリカのほうがさらに実燃費に近い。プリウスの一グレードで比較するなら、日本のJC08モードで37.2km/L、欧州で32.5km/L、アメリカで22.8km/Lになる。
というのはアメリカは、「マイナス7度という低温下でエアコンをオンにして走行する」といった、すごく燃費的に厳しい条件を前提にした補正値を掛けるから。実際にテストで出た点数に対して、「フツーの人はこんなに取れません!」ということで、0.7で掛け算した数字が市街地燃費くらいと思えばいい。実際にはもうちょっと複雑な計算式だけど、まあだいたいそんな感じである。
実は日本のカタログ燃費も、0.7を掛けると割合実燃費に近くなる。単純な話、日本もアメリカのような補正値を導入すれば、マトモな数字になるわけだ。
ただしアメリカでは、燃費はメーカーの申告制。ウソをつきたければつけないことはないが、ウソをついてその燃費が出ないと必ず訴訟になり、巨額の賠償金を取られて評判もガタ落ちになる。だからメーカー側は、逆に実際より辛い燃費数値を申告する傾向にある。訴訟社会のアメリカならではだ。
実は2018年度中に、カタログ燃費は国際基準(WLTP)に移行することが決まっている。つまり、日本の大甘なカタログ燃費も数年以内に変わるはず。それまではカタログ燃費に0.7を掛けて目安にするしかないだろう。
カタログ燃費の定義
10・15モードとは?
2011年まで日本で主に使用されていた燃費の測定方法。「○秒間アイドリング状態、○秒間○km/hまで加速、○秒で減速して停止」といった複数の走行パターンを、シャシーダイナモ(ローラーの上にタイヤを載せて走行する台)の上で計測した数値。市街地走行をイメージした10パターンのモードと、郊外走行をイメージした15のパターンのモードを組み合わせて同名称となった。
JC08モードとは?
現在新車のカタログに掲載されている燃費数値で、10・15モード燃費値があまりに現実(実燃費)とかけ離れているという声を反映し、2011年4月から採用された燃費の測定方法。変更期の数年間は、カタログに10・15モードと併記されることも多かった。より実際の走行パターンに近い数値とすべく、測定条件も厳しいものとなっており、10・15モードよりおよそ1割ほど数値が落ちる。
ブームの先駆け役と現役燃費王者とのハイブリッド対決
今回の燃費テストコース
【一般道】
埼玉県ふじみ野市→群馬県前橋市(約90km)
【高速道】
関越道・前橋インター→同・三芳スマートインター(約80km)
【合計】約170km
並んで走るとデザインの変化が見てとれる。先々代型も今見れば現行型よりおとなしい
10年の差が感じられたモーターの加速性能
まず最初にテストしたのは、新車でも中古車でも人気のプリウス。中古車は先々代型の2代目モデルを用意した。年式は古いが、トヨタが開発費を相当かけたと言われる、当時から世界トップクラスの燃費性能をもつモデルだ。
ハイブリッドカーということで電池に余裕がある時はモーターのみでEVモード走行をする。現行型はバッテリーが進化しており、この領域が多く燃費にも差がでると予想されたが、それは加速時の力強さにあらわれた。高速走行時も、現行型は気がつけばスピードが出ている感覚で、いつモーターのアシストが始まったのかわかりにくい味付けとなっている。一方、先々代型は、年式から考えれば妥当な話だが、走行中にエンジンがかかる際の振動が大きく、運転していて驚かされたこともあった。
乗り心地は現行型のほうが優秀だが、旧型もフワフワとした独特の浮遊感を維持している。走行は10万km以下ということで、足まわりに劣化はそれほど感じられなかった。
先々代型プリウス(H16年式)
中古車相場:40万~80万円 走行距離7万7000km
セダンでデビューしたプリウスはこの2代目からハッチバックとなる。当時は斬新だった5ドアハッチバックスタイルや近未来風のインテリアも、現在では地味な印象に。同車がベストセラーとなったのは次の3代目モデル以降だが、それなりに売れた型なので流通台数は少なくない。
SPEC(S)
全長×全幅×全高 | 4445×1725×1490mm |
---|---|
車両重量 | 1250kg |
パワーユニット | 1.5L直列4気筒エンジン+モーター |
エンジン最高出力 | 77ps(57kW) |
駆動方式 | 2WD |
10・15モード燃費 | 35.5km/L |
現行型プリウス(新車)
新車価格:242万9018~339万4145円
常に販売トップ争いに名を連ねるベストセラーモデルにして、燃費性能の現役王者でもある。現行型は2015年12月にフルモデルチェンジ。燃費性能にも貢献する独創的なスタイリングを採用し、着座位置が低いのも特徴だ。プリウスとしては初めて4WDモデルも設定されている。
SPEC(Sツーリングセレクション)
全長×全幅×全高 | 4540×1760×1470mm |
---|---|
車両重量 | 1370kg |
パワーユニット | 1.8L直列4気筒エンジン+モーター |
エンジン最高出力 | 98ps(72kW) |
駆動方式 | 2WD |
JC08モード燃費 | 37.2km/L |
一般道で差をつけ、高速はほぼ同じ。10年前の旧型が完全勝利
現役王者が大勝するかと思いきや、ストップ&ゴーの多い一般道では先々代型が1km/L以上の差をつけて勝利。高速でほぼ同数値に。両車ともかなり優秀だが、先々代型の低燃費さに驚かされる結果に。
※すべての価格は参考価格です。
※中古車市場データはGoo-net2016年7月調べ。
いまだ現行型の人気モデルでは5年の差がどんな部分にあらわれるか?
今回の燃費テストコース
【一般道】
神奈川県横浜市都筑区
→静岡県御殿場市(約95km)
【高速道】
東名高速・御殿場インター
→同・横浜青葉インター(約75km)
【合計】約170km
最新型にはアイドリングストップ機能が搭載されているが、一般道では燃費に差が出ず
ボディはそれなりだが足まわりは劣化なし
コンパクトSUVのなかでも高い人気を誇るジュークだが、次期型の具体的な話はまだ聞こえてこない。すでに5年目となるが、デザインがいまもさほど変更されていないことなどから、ユーザーから高い評価を得ていると考えられる。そこでこのステージでは、初期型のジュークと最新モデルとを対決させた。
同じ現行型とはいえ、年式に5年もの差がある。外見の違いはわかりにくいが、運転するとそれなりに差が感じられた。古いモデルはボディが若干しなるが、新車はシャッキリしている。同様に、エンジンのレスポンスもほんのすこし反応が遅く、加速がワンテンポ遅れるような感じがある。ただ一方で、足まわりはほとんど劣化が感じられなかった。乗り心地にも差はなく、気持ちよく長距離を完走することができた。
ちなみにこのテスト車は、オーナーによればメンテナンスをほぼしていないとのこと。それでこの状態を維持できているのだから、クルマ自体の設計が優秀なのだろう。
現行型ジューク(H23年式)
中古車相場:80万~230万円 走行距離1万3000km
デビュー当時注目を集めた奇抜なデザインが特徴。最初期型にはターボエンジンの設定がなかったが、半年後に追加される。テスト車の走行距離は少なく感じられるが、近年では自動車保険の区分けとして「年間3000km以下」という設定もあり、都市圏在住のオーナーには珍しくない。
SPEC(15RS)
全長×全幅×全高 | 4135×1765×1565mm |
---|---|
車両重量 | 1170kg |
パワーユニット | 1.5L直列4気筒エンジン |
最高出力 | 114ps(84kW) |
駆動方式 | 2WD |
JC08モード燃費 | 17.2km/L |
現行型ジューク(新車)
新車価格:197万5320~346万8960円
5年の間に、ターボモデルの追加、ニスモバージョンの追加、エンジンの改良などが実施された。外観の変更はわずかで、グリルやバンパーなどに手が入れられた程度。また、グレード体系を変更し、15RSは廃止。ひとつ上のグレードであった15RXが最廉価モデルとなっている。
SPEC(15RX Vセレクション パーソナライゼーション)
全長×全幅×全高 | 4135×1765×1565mm |
---|---|
車両重量 | 1200kg |
パワーユニット | 1.5L直列4気筒エンジン |
最高出力 | 114ps(84kW) |
駆動方式 | 2WD |
JC08モード燃費 | 18.0km/L |
一般道はほぼ互角も、高速ではすこしだけ差がつく
非常に接戦となり、一般道ではわずか0.1km/Lと誤差の範囲。高速でも1km/Lの差しかつかなかった。普段オーナーが一般道ばかり走っているということで、エンジンにクセがついているということも考えられる。
わずか2年落ちの“ほぼ新車”には新車との間にどれだけの差があるのか?
今回の燃費テストコース
【一般道】
埼玉県鴻巣市→茨城県笠間市(約95km)
【高速道】
北関東道・友部インター→東北道・羽生インター(約105km)
【合計】約200km
同じ2Lの水平対向4気筒エンジンを搭載するが、新型では若干の機能向上がはかられている
目に見えない部分で進化をしていた新型フォレスター
最後のステージでは、わずかな年式の差がどう影響を見せるかどうかをテストした。中古車には「登録済未使用車」というものが存在するが、今回借り出した旧型車も、わずか2年落ち、走行は1万kmちょっとというコンディションで、登録後すこしだけ乗ったような物件だ。
ただフォレスターというクルマは、毎年細かな改良が行なわれている。今回の旧型車はB型と呼ばれるモデルで、最新車はD型だ。目に見える差はシャークフィンアンテナなど主に装備の差だけだが、実は剛性の強化や足まわりのセッティング変更、エンジンの燃焼改善、トランスミッションの改良など、見えない部分で多数の変更点がある。これらの細かな改良が走りに影響をおよぼし、最新型はエンジンが若干パワフルで、トランスミッションの制御も細かく感じられた。
とはいえ、これらはモデル変更によるもので、旧型に関しては劣化しているような箇所もみられず、こちらだけ乗れば不満はいっさいない。
現行型フォレスター(H26年式)
中古車相場:190万~200万円 走行距離1万2000km
現行型で4代目となるミドルサイズSUVで、水平対向エンジンとシンメトリカルAWD(4WD)を搭載する。テスト車のような初期型の頃からの運転支援システム「アイサイト」はグレードによって設定されており、バージョンは古くても搭載車は中古市場で人気となっている。
SPEC(2.0i-Lアイサイト)
全長×全幅×全高 | 4595×1795×1695mm |
---|---|
車両重量 | 1480kg |
パワーユニット | 2.0L水平対向4気筒エンジン |
最高出力 | 148ps(109kW) |
駆動方式 | 4WD |
JC08モード燃費 | 15.2km/L |
現行型フォレスター(新車)
新車価格:214万9200~312万8760円
現行型の最新版は、2015年11月にビッグマイナーチェンジ。デザインを多少変更したほか、走行性能の強化もはかられ、アイサイトもアクティブレーンキープ機能の追加や全車速追従機能付きクルーズコントロールの性能向上など、進化をはたしている。
SPEC(Xブレイク)
全長×全幅×全高 | 4610×1795×1735mm |
---|---|
車両重量 | 1510kg |
パワーユニット | 2.0L水平対向4気筒エンジン |
最高出力 | 148ps(109kW) |
駆動方式 | 4WD |
JC08モード燃費 | 16.0km/L |
高速道路での差は、エンジンやトランスミッションが影響か
一般道の差はわずか0.1km/Lのみ。一方、高速道は1.3km/Lの差がついた。これは上記のトランスミッション制御やエンジンの出力特性の違いが影響していると考えられるが、旧型も決して悪い数字ではない。
※すべての価格は参考価格です。
※中古車市場データはGoo-net2016年7月調べ。
燃費テストを終えて ~実燃費とカタログ燃費を比較してわかったこと~
中古車の燃費性能に劣化はほぼ見られない
燃費にはさまざまな要素が影響するが、車重もその要素のひとつだ。そのためグレードごとに異なる装備の(重量の)差が燃費に影響を及ぼす。今回は、出来るだけ装備差がすくないグレードを揃えたものの、プリウスに関しては(型が違うので)いかんともしがたく、車重の差が顕著に燃費値の差となって出たようだ。そもそもプリウスは、2車のカタログ値が10・15モードとJC08モードで種類が異なる。その差を1割として統一すると、先々代型の燃費達成率は88%へとさらに向上する。現行型の達成率が低かったのはともかく、10年落ちのモデルの達成率が新型に勝っていたというのは、今回のテストで最も驚かされたこと。中古車の燃費性能は劣化が少ないという証明となった。
ジュークに関しては、旧/新型ともに95%以上という優秀な達成率となった。これは、今回のコースの速度域や混雑具合が同車に合っていたとともに、5年程度では燃費は劣化しないということもみてとれる。
フォレスターのテスト結果を見てわかったのは、たとえ2年しか年式が違わなくても、その間にどんな内容の車種改良が行われたかによって、燃費に差が出てしまうことがあるということだ。現行型の数年落ちモデルを狙っているようなら、その間に行われた改良の内容をよく調べてみることをおすすめしたい。
グレード | S | Sツーリングセレクション |
---|---|---|
パワーユニット | 1.5L直列4気筒エンジン+モーター | 1.8L直列4気筒エンジン+モーター |
駆動方式 | 2WD | 2WD |
トランスミッション | CVT | CVT |
車重(kg) | 1250 | 1370 |
最高出力(ps) | 77 | 98 |
実燃費(km/L) | 28.4 | 27.5 |
---|---|---|
カタログ燃費(km/L) | 35.5 | 37.2 |
達成率(%) | 80 | 74 |
満タン時走行可能距離(km) | 1278 | 1182 |
グレード | 15RS | 15RX Vセレクションパーソナライゼーション |
---|---|---|
パワーユニット | 1.5L直列4気筒エンジン | 1.5L直列4気筒エンジン |
駆動方式 | 2WD | 2WD |
トランスミッション | CVT | CVT |
車重(kg) | 1170 | 1200 |
最高出力(ps) | 114 | 114 |
実燃費(km/L) | 16.7 | 17.1 |
---|---|---|
カタログ燃費(km/L) | 17.2 | 18.0 |
達成率(%) | 97 | 95 |
満タン時走行可能距離(km) | 868 | 889 |
グレード | 2.0i-Lアイサイト | Xブレイク |
---|---|---|
パワーユニット | 2.0L水平対向4気筒エンジン | 2.0L水平対向4気筒エンジン |
駆動方式 | 4WD | 4WD |
トランスミッション | CVT | CVT |
車重(kg) | 1480 | 1510 |
最高出力(ps) | 148 | 148 |
実燃費(km/L) | 14.9 | 15.5 |
---|---|---|
カタログ燃費(km/L) | 15.2 | 16.0 |
達成率(%) | 98 | 97 |
満タン時走行可能距離(km) | 894 | 930 |
これが正しい!? 燃費Q&A 燃費が良くなる走り方
下流自動車評論家 TEXT/マリオ高野 さまざまな職を経験した後、現在の職に就いたマニアック系自動車ライター。愛車は2台のインプレッサ。
今回のテストでは平均的な結果が出るようなるべく普通に走ることを心がけたが、本当は走り方に気を使うことで燃費はもっと稼げるもの。そこでここでは低燃費走行のポイントについて、クルマのプロに話を聞いた。
Q アクセルはどのように扱うべきか?
A.ジワッとゆるやかに踏むことを意識
絶対的な意識づけとして大事なのは、「いかにしてアクセルを踏まずに運転するか」ということ。低燃費を実現するための最大の秘訣は、可能なかぎりアクセルを踏まずに運転することに尽きるからだ。アクセルを踏む際は、腫れ物に触るように繊細な感覚を研ぎ澄ませて、できるだけジワ~ッと、ゆるやかに踏むことを心がけよう。上り坂などでエンジン回転を上げざるを得ない状況でも、ガバッとは踏まずにジワッと。もちろん、後続車の迷惑にならない範囲でジワッと踏むことを忘れずに。
Q 渋滞時はどうやって走るのが正しい?
A.低燃費のためには渋滞解消まで待つ
燃費走行にとって、渋滞は全開加速の次に最悪な状況。できることはかぎられてしまうが、燃費を最優先に考えるなら一時的に運転を停止して、渋滞が解消するまで待つしかない。渋滞でも運転し続けるしかない場合は、すこしでも流れの良い車線を選択できるよう、前方の視界を確保することを重視。さらに、大型トラックやバスの真後は避け、先の分岐や合流ポイントを把握して、比較的スムーズに流れそうな車線を選択する。トヨタのハイブリッド車など、比較的渋滞時の燃費の悪化が少ない車種を選ぶのもひとつの手だ。
Q エンジンブレーキは積極的に使うべき?
A.アクセルオン再開時のエンジン回転に注意
キャブレター車ではない燃料噴射が電子制御化された現代のクルマは、アクセルをオフにすると燃料の供給が止まることが多い。エンジンブレーキ中も燃料はカットされ続けるので、エンジンブレーキは積極的に使うのが吉といえる。しかし、低めのギヤでエンジンブレーキを使い、エンジン回転が高い状態からアクセルを踏むと、アクセルを踏んだ瞬間から燃料の供給量が激増してしまうので、エンジンブレーキをやめるタイミングが重要。アクセルオンを再開するときは、エンジン回転が低い状態を狙う。
Q 車間距離はどれくらいが適当なのか?
A.できるだけ広めにとるのが吉
低燃費走行のためには、車間距離を詰めるのは厳禁。車間距離を詰めると、どうしても無駄なアクセルを踏むことが増えるからだ。市街地でも高速道路でも、前方のクルマの動きを把握することが無駄なアクセル操作を減らすことにつながる。前方のクルマが無駄なブレーキを踏んでも、自車はエンジンブレーキでの減速で対処できるよう、車間距離は少し広めにとるのが望ましい。レースでは車間距離をほとんどゼロにして空気抵抗を減らすという高度な技もあるが、一般道では危険なのでやめよう。
Q アイドリングや暖機はどうするべきか?
A.暖機運転は「丁寧に走る」で十分
最近のクルマはエンジン始動直後からすぐに発進しても大丈夫なので、暖機運転は、通常時より少し丁寧に走るように意識する程度で十分。停止しながら行う必要はない。エンジンの始動直後は早く暖まるよう燃料が濃い状態が続くので、停止しているより走らせた方が効率的なのだ。アイドリングについては、ストップ機構が備わっていればクルマ任せでOK。同機構未搭載車では、「開かずの踏切」など、1分以上の停止が確実な場合は手動でエンジンを止めたほうが燃費は良くなる。
Q メンテナンスは燃費にも影響するのか?
A.エンジンオイルの劣化に注意
もちろんメンテナンス状態の悪いクルマに低燃費は期待できない。定期的な点検を受けていれば問題ないが、注意したいのはエンジンオイルの劣化具合。エンジンオイルの劣化が進むとエンジン内部の抵抗が増えるので、燃費は如実に悪化する。盲点となりがちなのはハイブリッド車のオイルの状態。ハイブリッド車は運転中のエンジンのオン/オフ頻度が高く、オイルの温度変化が大きいので、意外と劣化が早いということを覚えておこう。
「JC08モード燃費25km/L超えは当たり前!」 もう中古でしか手に入らない!低燃費モデル購入ガイド
燃料代も車両価格も安いほうがいいはず
テスト結果を見ると、中古車の燃費は劣化しない可能性が高いことがわかった。そうなると俄然、低燃費モデルが欲しくなってくるわけだが、ここであえて「中古でしか買えないモデル」を選ぶことをおすすめする。
さすがに現行型プリウスのように40km/Lもの燃費値を持つモデルはないが、それでも現行車の平均的な値より低燃費なモデルが数多く存在する。かつて「ハイブリッドカーは浮いた燃料代で車体価格のもとが取れるのか?」などと言われたが、中古で入手すれば一挙両得である。
トヨタ 先代型プリウス 38.0km/L(10・15モード)
中心相場:70~180万円
どんなクルマ?
3代目にして販売台数トップに輝いたモデル。トヨタ独自のハイブリッドシステムや空力性能を進化させ、燃費性能も世界トップに。
市場動向
ベストセラーとなったモデルだけに、中古車流通量は非常に多い。特に2011年までの初期3年間の物件は、120万円程度でそれなりの良物件が揃っている。
販売年月:2009年5月~2015年12月
サイズ:4480×1745×1490mm
エンジン排気量:1797cc
トヨタ 先々代型プリウス 35.5km/L(10・15モード)
中心相場:40~80万円
どんなクルマ?
世界初の量産型ハイブリッドカーから数えて2代目となるモデル。ボディは軽量化され、空力特性を考えられたデザインが採用された。
市場動向
ブレイク前のモデルということで、先代型ほど流通台数は多くないが、相場は底値となっている。テストでも明らかになった圧倒的な低燃費性能は魅力。
販売年月:2003年9月~2009年5月
サイズ:4445×1725×1490mm
エンジン排気量:1496cc
スズキ アルトエコ 35.0km/L(JC08モード)
中心相場:40~70万円
どんなクルマ?
先代型アルトをベースに開発された燃費スペシャルモデル。ベーシックな装備はそのままに徹底的な軽量化が施された。
市場動向
市場在庫があまり多くないレアモデルだが、昨年あたりから初期型の中古車がすこしづつ増えつつある。50万円以下の好物件を見つけ出したい。
販売年月:2011年12月~2014年12月
サイズ:3395×1475×1520mm
エンジン排気量:658cc
ホンダ 先代型フィットハイブリッド 26.4km/L(JC08モード)
中心相場:50~120万円
どんなクルマ?
先代フィット(2代目)に追加されたハイブリッド仕様車。使い勝手の良さはそのままに、軽量なハイブリッドシステムを搭載する。
市場動向
そろそろ現行型が3年目を迎えて相場も下がる頃なので、この先代型はさらに相場が下がると予想される。2011年式は流通台数が豊富で選びたい放題だ。
販売年月:2010年10月~2013年9月
サイズ:3900×1695×1525mm
エンジン排気量:1339cc
トヨタ 先代型パッソ 27.6km/L(JC08モード)
中心相場:30~120万円
どんなクルマ?
トヨタ最小モデルの2代目。徹底して使い勝手の良さが追求されており、取り回しも優れている。ダイハツ・ブーンは兄弟車。
市場動向
晩年までそれほど販売台数が落ちることなく売れたため、市場流通台数は多く、比較的年式が新しい物件も100万円以下でそれなりに選ぶことができる。
販売年月:2010年2月~2016年4月
サイズ:3650×1665×1535mm
エンジン排気量:996cc
ホンダ 2代目インサイト 31.0km/L(10・15モード)
中心相場:30~100万円
どんなクルマ?
プリウスの対抗馬として5ドアハッチバックで開発され、3代目プリウスに先行する形で2009年にデビュー。一昨年生産終了となった。
市場動向
初期型は爆発的に売れたため、2009年式の流通量がかなり多め。相場も底値となっており、燃費性能や使い勝手は十分優れているので買いの一台。
販売年月:2009年2月~2014年3月
サイズ:4390×1695×1425mm
エンジン排気量:1339cc
まとめ
中古車の燃費性能はそれほど落ちるものではないという事実
カタログ燃費と実燃費の違いを解説したうえで、3種類の実燃費測定テストを敢行し、中古車の燃費は決して悪くない、劣化も少ないということを証明した。古くなった低燃費車を中古で安く入手するというのは、かなりお得な選択肢といえるのではないだろうか。
とはいえ、今回はこのような結果となったが、燃費というのは走行条件によっても変わるものである。たとえカタログ燃費値が悪いモデルでも、もしかしたら乗り方や道路状況によってはいい燃費が出ることもあるだろうし、そこを目指して運転を楽しむのもいいだろう。
※すべての価格は参考価格です。
※中古車市場データはGoo-net2016年7月調べ。