車検・点検・メンテナンス
更新日:2024.06.28 / 掲載日:2021.08.31
車用バッテリーの充電方法3つ!充電できないときの対策法は?
「車用バッテリーって充電が必要なの?」「いつどこでどうやって充電するの?」と、バッテリーに関して疑問を抱いている方も多いのではないでしょうか。
結論からいうと、エンジンが正常に動いていれば、バッテリーの充電は基本的に必要ありません。しかし、バッテリー上がりや電圧が低下している場合は例外です。
そこで今回は、バッテリーの充電が必要なタイミングと充電方法をご紹介します。また、自宅用のバッテリー充電器についても解説しているので、興味のある方はぜひ参考にしてください。
車のバッテリーは基本的に充電不要?

「バッテリーの充電」と聞くと、本体を取り出して電源に差し込むイメージを抱くかもしれません。しかし、車は発電の役割を担う「オルタネーター」を搭載しており、走行中にバッテリーを充電しています。そのため、特別な充電作業は基本的に不要です。
オルタネーターは、エンジンが動く力(回転力)を使って電気を生み出し、予備電源としてバッテリーを充電します。車が停止していてもエンジンを回転させていれば、バッテリーは充電可能です。
つまり、車のバッテリーを「エンジンの力で充電する電池」と覚えておくと、イメージしやすいでしょう。
車のバッテリーに充電が必要な2つのタイミング

エンジンの始動には、セルモーターに向けたバッテリーからの電気供給が欠かせません。車用バッテリーの充電は基本的に不要ですが、必要となるタイミングが2つあります。バッテリーの寿命も関係するので、事前に確認しておきましょう。
1:バッテリーが上がったとき
バッテリーが上がったときは、ブースターケーブルやジャンピングスターターなどを使って外部から充電します。バッテリーは自然放電するため、ヘッドライトや室内灯の消し忘れだけではなく、エンジンをしばらく動かしていないこともバッテリーが上がる要因になるので注意が必要です。
また、バッテリー上がりが頻繁に起こる車は、バッテリー内部が傷んでいる可能性もあります。バッテリーは寿命が近くなると蓄電量が減るため、「2年以上使用している」「エンジン周りに不調を感じる」「ヘッドライトが暗い」といった場合は、バッテリーの交換を検討するとよいでしょう。
2:バッテリーの電圧が低下したとき
バッテリーの標準電圧は、通常で12.5~12.8V、エンジン始動時で13.5~14.5Vです。計測器で12.5V以下を示す場合は電圧が低下しているので、交換もしくは充電を行ないましょう。
また、バッテリーの電圧低下がわかる前兆もあります。気になる方は、アイドリング時に下記に該当する症状が出ていないか確認してみましょう。
・アイドリングストップが機能しない
・セルの回転音が弱く、エンジンがかかりにくい
・ヘッドライトやメーターの照明が暗い
・ワイパーやパワーウィンドウの動きが鈍い
前兆を見極める際は、昼間よりも電気使用量が増える夜間に検証するのがおすすめです。
車のバッテリーを充電する3つの方法

車のバッテリーは、おもに3つの方法で充電が可能です。エンジンがかかる状態であれば、いつでも簡単に充電できるので、充電量に不安がある方は試してみてください。
週1回、50~60km/hで20~30分走行する
バッテリーはエンジンの回転力で充電しているので、まずは車を一定速度で動かしましょう。バッテリーの充電が目的の場合、エンジン回転数が大きいほど充電効率が良くなります。
週1回以上、長時間の運転をする方は、日頃から十分充電されていると考えられます。車に乗る機会が少ない方は自然放電を回復させるため、週1回は50~60km/hで20~30分走行しておくと安心です。
カーバッテリー充電器を使う
毎週、50~60km/hで20~30分走行する時間がない場合は、カーバッテリー充電器の活用もおすすめです。自宅のコンセントが使えるため、気軽にバッテリーを充電できます。
なお、一般的なカーバッテリー充電器の使用手順は以下のとおりです。
1.車をコンセントが使える範囲内に移動させ、車の電圧に合ったカーバッテリー充電器とブースターケーブルを用意する
2.車のボンネットを開けてバッテリーの位置を確認する
3.赤いケーブルをバッテリーのプラス極に、黒いケーブルをバッテリーのマイナス極につなげる
4.カーバッテリー充電器の電源を入れ、充電アンペア数を設定する
5.現状でのバッテリーの電圧と充電量を確認する
6.充電を開始し、充電量90%超えを確認したら完了(バッテリーの構造上、充電量は100%にならない)
7.充電が完了したら、カーバッテリー充電器の電源を切ってコンセントを抜き、つないだケーブルを外す
作業の手間やリスクがあるので、初めてカーバッテリー充電器を使用する方や車の構造に詳しくない方は、マニュアルなどをしっかり確認したうえで行ないましょう。カーバッテリー充電器の選び方や、使用上の注意点については後半で詳しく解説します。
整備工場に依頼する
安全でスムーズな充電を希望する方は、整備工場へ持ち込むのがおすすめです。ほとんどの整備工場でバッテリーの補充電を受け付けているので、定期的なメンテナンスも兼ねて依頼すればバッテリーを長持ちさせることにもつながります。
ただし、充電完了までに10時間程度かかるため、時間に余裕を持って依頼しましょう。
補足:緊急時はアイドリング充電で対応する
車を走行させるのが難しい場合は、アイドリングや空ぶかしで充電することもできます。ただし、アイドリング中はエンジンの回転数が1,000rpm以下になるため、次回のエンジン始動に必要な分だけ充電できると考えておくのが無難です。
空ぶかしで充電する際は、騒音を配慮しながらエンジンの回転数が2,000rpmを超えるまで踏み込みましょう。
車用バッテリー充電器の選び方

自宅用にバッテリー充電器を用意する際は、使用しているバッテリーの電圧や種類を確認し対応した充電器を選びましょう。
対応電圧を確かめる(12V用と24V用)
バッテリー充電器には、おもに「6V用」「12V用」「24V用」の3つがあります。6Vは基本バイク用なので、車に使う場合は12Vもしくは24Vのどちらかを選択しましょう。乗用車には12V、トラックやバスなどには24Vを使うのが一般的です。
バッテリー充電器は電圧の合ったものを使用しないと、故障や未充電のリスクがあります。購入に迷ったときは、電圧を調整できるタイプを買っておくと便利です。
バッテリーに対応しているか確かめる
ハイブリッド車・アイドリングストップ車などを除き、鉛バッテリーの搭載が一般的です。鉛バッテリーには、「開放型」「密閉型」の2種類が存在するため、どちらに対応しているのか調べてから購入しましょう。
特にMF(メンテナンスフリー)の密閉型は、急速充電により膨張・破裂の危険があるため、注意して選んでください。
自分で車のバッテリーを充電するときの注意点3つ

バッテリー充電器を使用するときの、過充電や爆発に関する注意点を3つご紹介します。初めて車用のバッテリー充電器を使う方は、十分に注意しながら取り扱いましょう。
バッテリーは取り外してから充電する
「プラス・マイナスの端子を間違えてつないでしまった」「過充電をしてしまった」などのトラブルが起きた際に被害が広がらないよう、バッテリーは取り出してから充電しましょう。
ただし、バッテリーを取り出す行為自体にもリスクがともなうため、車のマニュアルを熟読し、安全に気を付けて行なってください。
過充電を防ぐために充電時間を計測する
過充電防止機能が付いていないバッテリー充電器を使用する場合は、充電時間を必ず計測しましょう。過充電になるとバッテリー内部の電解液が減り、寿命が短くなるリスクがあります。
最悪の場合、火花が散ったり、水素ガスが大量発生して破裂したりするケースも考えられ大変危険です。
端子付近に緑色の固体が付着している場合は、過充電の繰り返しが原因なので個人で判断せず、専門業者にメンテナンスを依頼しましょう。
爆発を防ぐためにキャップ(液口栓)を開放する
バッテリー充電時は気泡が発生するため、キャップ(液口栓)を開放して行ないましょう。内部で気泡が大量発生すると、圧力により爆発する恐れがあります。「一般社団法人日本電池工業会」でも注意喚起されているので、充電の前に確認しておくのがおすすめです。
参考:http://www.denchi.info/publication/ts-003.pdf
車のバッテリーが充電できない?故障の疑いと原因

バッテリーの充電がうまくできないときは、寿命もしくは故障が疑われます。バッテリーは平均2~3年で寿命を迎えますが、使用状況によって異なるため目安と考えておきましょう。下記では、故障の原因について2つ解説します。
原因1:衝撃や過充電による「バッテリーの故障」
バッテリーは車内に搭載された状態であっても、外部からの衝撃で内部の電極が破損するケースがあります。交通事故など、強い衝撃が加わったことがなかったか思い返してみましょう。また、過充電や電極の配線ミスによるショートもバッテリーの故障につながります。
原因2:回路異常が発生する「オルタネーターの故障」
オルタネーターは車の発電機と呼ばれる部分なので、故障しているとバッテリーが正常でも十分な充電ができません。一時的にエンジンがかったとしても、再度立ち往生する可能性が高いので、安全な場所へ移動して確認するのがおすすめです。
オルタネーターが故障すると、異音の発生やエンジンの駆動力の低下、バッテリー警告灯の点灯などが起こります。テスターがある場合は、エンジンを始動させた状態でバッテリー端子の電圧が13.5~14V程度に達しているかを調べてみてください。
原因の特定が難しいときは、自己判断せず専門業者に相談しましょう。「グーネットピット」では、バッテリー周りのトラブルに強い、最寄りの整備工場を検索できます。困ったときは、ぜひ活用してください。
https://www.goo-net.com/pit/
まとめ
通常、車のバッテリーは走行時に充電されるため、自分で充電する必要はありません。しかし、バッテリー上がりや電圧の低下が見受けられるときは、外部から充電を行ないます。特に、車をあまり使わない方は自然放電による電圧低下のリスクがあるので、週1回に50~60km/hで20~30分の走行を心がけましょう。
また、バッテリー充電器の使用には十分な注意が必要です。過充電や爆発のリスクを避けるためにも、慎重に取り扱ってください。「バッテリーの充電がうまくできない」「バッテリーやオルタネーターの調子が良くない」などで困った場合は、無理に自己解決しようとせず専門業者に相談するのがおすすめです。