故障・修理
更新日:2020.08.31 / 掲載日:2020.08.31

キャブレター分解洗浄2前編、スバルサンバーを懐走仕様!

キャブレターの分解洗浄を始めたのはいいのだが、かなり多くの部品が製造廃止となっている。ギリギリOHができる程度。ガスケット類は手に入るので洗浄して元に戻すことはできた。そして組み上がって走ってみたら、驚くほど性能が改善。加速も高速巡航性能も上がり体感できるレベルまで復活してくれた。もっと早くにやっておけばよかった。ユーザーは急いで部品発注だぞ!

 KVサンバーのキャブレターを抜き出して、ようやくクリーンルーム(ただの部屋だけど)に持ち込んでいよいよ分解となるが、風雨にさらされた外観はひどく汚れが堆積していてパーツクリーナーなどを使ってブラシで汚れを落としていくことが先決。灯油やガソリン、アルコールなどとブラシ(ナイロン・鉄・真鍮)を使ってゴシゴシやる。配管類や汚れのひどい部分は鉄で。キャブレター本体は軽合金の鋳物で作られているので、真鍮を使って汚れを落とす。家庭用洗剤なども効果的だ。状況によっては漬け置き洗いも有効。ホース類などを外して灯油などに漬けて汚れを浮かすといいだろう。漬け込んでいる間に水路の復活を試みる。T型の樹脂配管は「1405KA020」。かなりボロボロで、キャブレターを外したら破損していなくても交換しておいたほうがいい。この樹脂パーツはいつ作られたものか分からないので、入手したら柔軟性を出すために、熱湯で煮沸を15分ほどしておくと、樹脂内部に水分が入り込んで硬化が遅くなる。今回ゴムホース類は交換しなかったが、できれば併せて交換しておいたほうがいいかもしれない。漬け置きの間にブラシでゴシゴシやるとかなり汚れが落ちてくれる。洗浄を終えるとマークと型番が読み取れ、日立のキャブレターであることが確認できた。できるだけバラバラにして洗浄したいのだが、今回は先にディーラーに行ってパーツがどのくらいあるかを確認してから分解を行った。万が一パーツが手に入らないとキャブレターを元に戻すことができず、走行不能に陥るからだ。オーバーホール用のガスケットキットなどが手に入るということだったので、とりあえず分解できるところまでやってみた。フロートレベルの確認と流入量を決めるフロートバルブが見えるが、バルブを外してみるとかなり段付きがあって磨耗が進んでいる。これが壊れるとオーバーフローしてしまい、状況によっては走行不能になる。バイクユーザーだと割と壊れる部分として認識しているユーザーも多いはず。が、このバルブは製造廃止になっていて入手は不可能。まあ、サイズさえ合えば他車のも流用できるかもしれないが。

第 21 回 キャブレター分解洗浄2

劣化して割れてしまった樹脂配管がゴムホース側に残ってしまったので、プライヤーで軽く握って割れを起こして抜けやすくする。

割れた樹脂配管を、ラジオペンチでていねいに引き抜く。ホース内に樹脂部分が残らないように。破片はトラブルの原因になる。

金属配管はワイヤーブラシで冷却水のカスをていねいに取り除き、わずかにラバーグリスを塗っておくとホースを入れやすくなる。

新品の樹脂配管は製造年が不明なので、15分ほど熱湯で煮沸しておくと樹脂に水分が入り込んで柔軟性が増すので折れにくくなる。

ホース類は現車のものを使ったが、できれば交換したほうが得策。エンジン始動ができないので、冷却水は始動後にエア抜きを実施。

取り外したキャブレターの外観。パーツクリーナーと鉄・ナイロン・真鍮ブラシを使って細部まで洗浄する。根気のいる作業だ。

外観をキレイにすると日立製キャブであるマークとHVB32の文字が確認できた。消えたマーキングは、同色で再度マーキングする。

バタフライ側の内部。パーツクリーナーとナイロンブラシを使ったらかなりキレイになった。上部のアイドルポートは真っ黒だが。

キャブ下部のフロートチャンバーは全体を浮かせて垂直にそっと取り外すこと。フロートとセカンダリジェットが露出する。

矢印の先にあるフロートバルブを押すツメが位置を決定する。バルブステムにツメが接触する位置が端面から14mmが正規位置。

セカンダリジェットをよく見るとガソリンカスが積もっているので取り外して洗浄。ドライバーはきっちりサイズの合ったものを使用。

ぴったり合わせる

セカンダリジェットの奥にファーストジェットが見えるのでこれも取り外して洗浄する。ドライバーでねじ山を傷つけないように。

フロートのピンを抜くとバルブが取り外せる。円すい状の部分に段付きができていてこれが損傷するとオーバーフローだが、製廃!

製造廃止!

16158KA200
キャブレター分解洗浄の時は必ず必要なガスケットキット。再使用はトラブルの原因になるので、先に発注しておきたいパーツ。

16186KA030
16173KA091
16293KA020
インマニ側の取り付けに必要なガスケットとシール類。ここからエアを吸うと混合気が薄くなってしまうので、こちらも交換必須。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

グーネットピット編集部

車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
自動車整備に関するプロ集団です。愛車の整備の仕方にお困りの方々の手助けになれればと考えています。

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