輸入車
更新日:2024.09.04 / 掲載日:2024.09.04

2024年最新!あの輸入車はなぜ人気!? 新車・中古車の売れ筋からヒミツを紐解く

VISUAL MODEL : ランドローバー ディフェンダー 130

写真●内藤敬仁
(掲載されている内容はグーワールド本誌2024年10月号「新車・中古車の売れ筋から「いま」がみえてくる[人気モデルの秘密を紐解く]」記事の内容です)

ひと口に人気モデルといっても、その見方はいろいろある。新車、中古車、ジャンル別、価格別、年齢別といった感じだ。ここでは、グー関連のさまざまな情報から編集部が独自に判断し、その内容をお届けしたい。物ごとには原因があって結果が導き出されるものだが、まさに、輸入車の市況もそのとおり。そして、その原因から人気モデルになるまでの過程が興味深かったりする。

本格オフローダーがモテすぎる理由

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス、澤田和久
※ナンバープレートは、すべてはめ込み合成です。

SUVブームがスタートしてから20年余り。コロナ禍での三密禁止により加速したキャンプブームと重なるように、アウトドアシーンで映えるオフローダーが注目を集め続けている。その秘密を探っていきたい。

アウトドアブームは人気のキッカケに!?

 いまやSUVはブームではなく、自動車業界の主軸になっている。各メーカーのラインアップを見ればわかるように、その種類はかなり豊富だ。特にジャーマン3と呼ばれるドイツの御三家はそうで、小さいモデルから大きいモデルまで幅広いレンジで構成される。しかも、サイズだけでなく、SUVクーペのような派生モデルも出て、選択肢はどんどん増えていく一方だ。
 そんななかで、昨今人気なのが本格オフローダー。ここでフィーチャーするジープ ラングラーやディフェンダー、メルセデス・ベンツ Gクラスなどがそれを牽引する。
 ではなぜこうしたモデルが人気なのだろうか。
 そもそもSUVはこうしたモデルを起源とする。正確にはピックアップトラックをベースに2列目シートとキャノピーを取り付けたモデルだが、これらもそれと同類。“ラダーフレーム+前後リジッドアクスル”が基本形のプリミティブなつくりからスタートする。
 だが、2000年代初頭からのブームでは、より乗用車チックな方向にラインアップは方向転換された。セダンやクーペ同様「モノコックボディ+独立懸架式サスペンション」でつくられるモデルが大多数になってきたのだ。BMWのXシリーズやアウディのQシリーズ、ボルボのXCシリーズなどはまさにそれ。メルセデス・ベンツはMクラスからスタートし、GL系クラスへと昇華させた。思い起こせば、Mクラスはラダーフレームでデビューするも早々にモノコックへスイッチしている。そしてそれらは乗り心地がよく、操作性がいいことで広く浸透した。
 そして2000年から20年経つと、今度はそんなSUVが蔓延したことで、マーケットは新たなSUVの個性を欲するようになった。他人とは異なるSUVはないものかと皆が探し求めたのだ。
 そんな折り、コロナ禍となり“三密”なるものが取り沙汰されるようになる。そこで人々が目をつけたのが家族単位で行うキャンプ。そう、アウトドアブームの再来である。そこで、「アウトドア=オフローダー」の図式のもと、ここでフィーチャーするラングラーたちに光が当てられるようになった。キャンプ場に乗り付けてカッコいいクルマ。それが本格オフローダーである。
 実際、そうした景色が似合うのはたしか。クルマを停めて振り返ると一気に空気が変わっているのを感じる。思いのほかアウトドア感は高まり、自然とテンションは上がるのだ。
 それだけではない。舗装路を外れた道での走りも安心。大きな石や木の根っこに気づかず走ってもボディにダメージなし。それほど気を使わずして特別なエリアにたどり着くことができる。
 というのが本格オフローダー人気の理由。こいつに乗ると非日常感が得られるからね。それに最近はゲリラ豪雨もあるから、実用性もバッチリである。

Profile:自動車ジャーナリスト 九島辰也
ファッションや旅にも造詣が深い自動車ジャーナリスト。これまでアメリカ、ドイツ、イギリスと各国のクルマを乗り継いでいる。

[ジープ ラングラー アンリミテッド]年齢性別問わずに大人気の本格モデル

 ルビコントレイルをはじめとするアメリカの山道で鍛えられた四駆システムはまさに本格派。かなりの悪路を走破できる実力を持つ。スタイリングは元軍用車だけに無骨さが際立つ。写真は今年マイナーチェンジした最新型。グレードはサファリ。ダッシュボードのディスプレイが大きくなり利便性が増した。

ジープ ラングラー アンリミテッド サハラ(8速AT) ●全長×全幅×全高:4870×1895×1845mm ●ホイールベース:3010mm ●車両重量:2000kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1995cc ●最高出力:272ps/5250rpm ●最大トルク:40.8kgm/3000rpm ●新車価格:799万円〜889万円(ラングラー 全グレード)

[ランドローバー ディフェンダー 130]ステイタスも勝ち取ったリアルオフローダー

 ランドローバーのなかで最もオフロード色が強いのがディフェンダー。オフロードにおけるハイスペックを有する。ボディタイプは3ドア/5ドア標準ボディ/5ドアロングボディの3タイプで、90/110/130と呼ばれる。エンジンはガソリンとディーゼルの直4や直6、ガソリンのV8など豊富に用意される。

ランドローバー ディフェンダー 130 アウトバウンド D300(8速AT) ●全長×全幅×全高:5275×1995×1970mm ●ホイールベース:3020mm ●車両重量:2610kg ●エンジン:水冷直6DOHCターボ+モーター ●排気量:2993cc ●最高出力:300ps/4000rpm ●最大トルク:66.3kgm/1500-2500rpm ●新車価格:1183万円〜1675万円(ディフェンダー 130 全グレード)

さらなる進化を遂げた本格オフローダーの金字塔「メルセデス・ベンツ Gクラス」

 Gクラス自体のデビューは1979年だが、起源はオフロード専門メーカーで知られるかつてのシュタイヤープフ社が開発した1920年代の6×6のオフローダーまで遡る。NATOに採用されるなど実力は十分。現行は今年7月にアップグレードされている。

積めてこそ正義!脱力系MPVの見どころ

アウトドアは、キャンプはもちろん、食事やアクティビティなどをどう楽しむかが大切。そして、いかに気持ちがアゲることができるかが重要だろう。そう、相棒となるクルマもしかるべしなのだ。

肩の力を抜いて楽しめるのがいい!

 アウトドアブームのなかで、本格オフローダー以外にも人気を集めているカテゴリーがある。それがこの脱力系MPV。ルノーカングーに代表されるミニバンである。
 これらの特性は荷物がたくさん積めること。キャンプでいえば、ターフからテント、寝袋、ツーバーナー、ダッジオーブン、食器類、クーラーボックスなどがあり、それに加えて趣味のラジコンや釣り道具、自転車を運ばなくてはならない。が、天井が高く縦に積み込める積載力がそれを許容する。横方向には限界があるからね。縦が肝心。
 それじゃ「ハイエースを頂点とするワンボックスでいいんじゃない?」ってことにもなりかねないが、ここで注目したいのは“脱力系”というワード。とにかくたくさん積みたいんだが、それほど頑張らないというのがひとつの指針となる。のんびりとマイペースで楽しむ感じだ。なので、そこには雰囲気が必要。機能性はもちろん重要だが、クルマのデザインやカラーリング、世界観がカギとなる。
 ということで、注目されているのがカングーを筆頭とするフレンチMPV。シトロエンベルランゴやプジョーリフターあたりである。国産ならトヨタシエンタやホンダフリードあたりだろう。気分はまるでカフェオーナー。そんな感覚が多くの人に注目されている。

[ルノー カングー]欧州プチバンブームの火付け役が新型に

 現行型は昨年3月に発売が開始されたモデル。14年ぶりのフルモデルチェンジで、デザインはもちろん、全長を210mm長くすることで積載性をさらに高めた。観音開きのゲートを開けばシートアレンジ次第でかなりのスペースが確保される。エンジンは1.3Lガソリンターボと1.5Lディーゼルターボの2種類を用意。400万円を切ったスタート価格もうれしい。先代モデルもいまだ人気だが、新型も台数を増やしそうだ。

ルノー カングー クレアティフ(7速AT) ●全長×全幅×全高:4490×1860×1810mm ●ホイールベース:2715mm ●車両重量:1650kg ●エンジン:直4SOHC ディーゼルターボ ●排気量:1460cc ●最高出力:116ps/3750rpm ●最大トルク:27.5kgm/1750rpm ●新車価格:395万円〜419万円(カングー 全グレード)

この走りの質感は積み重ねてきた経験の賜物

速いだけのクルマは多々あれど、走りの質感も高いとなれば、おのずと選ぶクルマは絞られてくる。

正統派スポーツモデルはいつの時代も人気!

 アウトドアブームを利用した趣味性でクルマを選ぶ方法もあるが、クルマ好きにとって正当な選び方も人気は高い。それは走って楽しいクルマ。パワーと軽快なフットワーク、それと操ることの楽しさをじっくり味わわせてくれるモデルも健在である。
 たとえばメルセデスAMGやBMW Mシリーズは人気だ。クルマ好きであれば一度はステアリングを握りたいと思うのは当然だろう。ただ、そのなかの上位モデルはパワーもド級なら価格もド級。そう易々と手に入れることはできない。
 そこで注目されるのがC43やM2のようなモデル。ブランドバリューはそのままにサイズも価格も身近になる。もちろんそれなりに費用はかかるが、それだけのテクノロジーが投入されていることを鑑みると納得だ。
 さらに言えば、インテリアの質感や高級感も高い。それだけのブランドなのでしっかり感じられる。単に“走り”だけに特化したつくりではない。よって、同乗者からもいいコメントが聞こえる。じつはその辺も大事。乗せて褒められるのも人気クルマの大切なポイントとなる。

[メルセデスAMG C43]涼しい顔して速い!それがAMG

 2021年リリースのW206をベースとしたAMGモデル。C43として2022年にセダンとステーションワゴンが同時に発売された。目玉はエンジンで、それまでの3LV6から2L直4ターボにダウンサイジングしている。が、最高出力408馬力とそれまでよりパワーアップしているからすごい。

メルセデスAMG C43 4マチック(9速AT) ●全長×全幅×全高:4785×1825×1450mm ●ホイールベース:2865mm ●車両重量:1860kg ●エンジン:直4DOHCターボ ●排気量:1991cc ●最高出力:408ps/6750rpm ●最大トルク:51.0kgm/5000rpm ●新車価格:1235万円(C43のみ)

[BMW M2]やっぱりMTという人にオススメ!

 こちらは今年6月にマイナーチェンジが発表された2シリーズクーペをベースにした高性能モデル。ボディサイズがかつてのM3に近いということでも人気を得ている。エンジンは3L直6ツインターボで、最高出力は480馬力に達する。オプションで6速MTが選べるというおまけ付きである。

BMW M2(6速MT) ●全長×全幅×全高:4580×1885×1410mm ●ホイールベース:2745mm ●車両重量:1710kg ●エンジン:直6DOHCターボ ●排気量:2992cc ●最高出力:460ps/6250rpm ●最大トルク:56.1kgm/2650-5870rpm ●新車価格:988万円(M2 全グレード)

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九島辰也(くしま たつや)

ライタープロフィール

九島辰也(くしま たつや)

外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。

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