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更新日:2017.12.14 / 掲載日:2017.12.06
たまにはスポーツカーを語ろう ホンダS2000真価を問う ~スポーツカーに新たな息吹は感じるのか?
ズバリ、S2000はMCでよくなったの? ダメになったの?

【本記事は2006年1月にベストカーに掲載された記事となります。】S2000がその象徴ともいえるエンジンを2Lから2.2Lに排気量アップした。これはホンダにとっては一大事ともいえることだと思う。なにしろ9000回転まで回る、250馬力を発揮する2L NAエンジンは、ホンダのテクノロジーの象徴ともいえるものだからだ。ズバリ、皆さんが気になるのは、「で、2.2Lになって、S2000はよくなったの? それともダメになったの!?」という部分だろう。ワシも当然そこが気になっていたのだ。2.2Lエンジンを搭載した新しいS2000は、ちょっと走っただけでもハッキリとわかる違いがある。イチバンの差は、いうまでもなく大幅な動力性能の向上だ。パワースペックは2Lが250ps/22.2kgmだったのに対し、新しい2.2Lは242ps/22.5kgmとなり、トルクの数字はアップしているが、最高出力は8psもダウンしている。スペック至上主義がいいとは思わんが、S2000のようなスポーツカーだと、パワーダウンというのはちょっと気になる部分ではある。
排気量アップとチューニングの見直しによるトルクアップ

上が2.2L版のタコメーター。8000回転からレッドゾーンとなっている。下が旧型となる2Lのタコメーター。9000回転以上がレッドゾーンとなっていることがわかる
が、先述のとおり、乗ってみれば明らかに2.2Lモデルのほうが速いのだ。これは排気量アップとチューニングの見直しによるトルクアップが理由。2Lエンジンの最大トルクは7500回転で発生していたのだが、2.2Lは6500回転から7300回転の間で最大トルクを発生する。さらに、2Lの6000回転時のトルクと同等のトルクを3000回転で発生しているのだ。3000回転あたりのトルク感は説明を受けるまでもなく段違いに太くなっていることがわかる。加えてギアレシオの変更もある。6速は高速巡航時の燃費向上のためハイギアード化されているが、1速から5速はローギアード化されている。これにより、さらにピックアップが向上しているのである。
2.2Lはエキサイティング度が薄くなった

上が2.2L版のタコメーター。8000回転からレッドゾーンとなっている。下が旧型となる2Lのタコメーター。9000回転以上がレッドゾーンとなっていることがわかる
細かい部分ではあるが、DBW(ドライブ・バイ・ワイヤ)の採用もある。2Lモデルでは一般的なメカニカル式のスロットルだったが、DBWを使うことで、ドライバーのアクセルの踏み方に応じたスロットルのコントロールが可能となり、よりレスポンス、ピックアップが向上しているとのことだ。と言うと、いいことずくめのように思われるかもしれないが、しかしそのいっぽうで2Lエンジンが誇った「9000回転まで回る」超高回転ゾーンが味わえなくなってしまったのも事実。そこまで使う機会は少ないとはいえ、「いざとなったら9000回転まで回すことができる」というのは、S2000の大きな魅力であったし、アピールポイント。2.2Lは「いいクルマ」になったとは思うが「エキサイティング度」は薄くなったと思う。
新旧モデルを乗り比べ

エクステリアはアルミホイールのデザインが変更された以外はいっさい変更なし。ボディカラーは写真のブルーが新設定されている
ただ、新旧モデルを乗り比べると、より速く、より扱いやすく、より快適なのは明らかに2.2L。50~80km/h加速を計測(3速固定)したのだが、2Lは5秒43だったのに対し2.2Lは4秒58と0.9秒も速かった。
S2000はよくなった

エクステリアはアルミホイールのデザインが変更された以外はいっさい変更なし。ボディカラーは写真のブルーが新設定されている
この時の回転は3000回転から5000回転。ちょうどトルクがイチバン太くなっている回転域で、大きな差が出たということだ。バカにしたらいかんパワーダウンだ。で、S2000の評価だ。ワシとしては「S2000はよくなった」とハッキリ断言したい。