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更新日:2019.05.24 / 掲載日:2019.05.24
マツダ、MAZDA3の国内販売を開始

MAZDA3 セダン(左)/MAZDA ファストバック(右)
マツダは「日常が鮮やかに輝くパーソナルカー」をコンセプトにデザイン、走行性能、静粛性、質感などの基本要素を一新したコンパクトセダン/ハッチバック「MAZDA3(マツダ・スリー)」を、5月24日から全国のマツダ販売店を通じて発売した。
MAZDA3は従来のアクセラをフルモデルチェンジしたものだが、今回の新型から国内名称のアクセラではなく、グローバルネームを名乗ることになった。車名はセダンボディがそのまま「MAZDA3セダン」、ハッチバックボディは「MAZDA3ファストバック」となる。
新型MAZDA3は同社の今後のクルマ造りの方向性を示す新世代商品の幕開けという位置付けとなる。新たな次元の「走る歓び」を届けるモデルとされ、日本の美意識をテーマとする「魂動デザイン」を深化させるとともに、次世代車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE(スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー)」や最新の「SKYACTIV(スカイアクティブ)エンジン」によって基本性能の向上を図っている。
エンジンラインナップは5月24日販売開始の1.5リッターガソリン(ファストバックのみ)、5月24日予約受注開始(7月下旬販売開始予定)の2リッターガソリン、5月24日販売開始の1.8リッターのディーゼル、そして7月予約受注開始予定(10月販売開始予定)の次世代エンジン「SKYACTIV-X(スカイアクティブ エックス)」の4タイプ。
車両本体価格はファストバックが218万1000~362万1400円、セダンが247万~355万1200円(いずれも消費税込)。

MAZDA3 セダン(左)/MAZDA3 ファストバック(右)
日本の美意識を礎とする新たなエレガンス

エクステリアデザイン

新型MAZDA3は「Car as Art(アートとしてのクルマ)」というマツダデザインの哲学を追求し、魂動デザインをさらに深めた。日本的な引き算の美学によって装飾をそぎ落とし、フォルムそのものの美を究めた造型をセダンとファストバックという個性の異なる2つの姿に表現している。


MAZDA3 FASTBACK(マツダ・スリー ファストバック)

「色気のある塊」をテーマに、ボディサイドにはキャラクターラインを敢えて設けず、流れる「光の移ろい」で生命観を表現。スピード感のあるルーフと力強いCピラーの造形により、キャビンとボディがひとつの塊のような存在感を放つ。


MAZDA3 SEDAN(マツダ・スリー セダン)

「凛とした伸びやかさ」がテーマ。伝統的な3ボックスのセダン様式にのっとり、水平基調のラインと伸びやかなワンモーションフォルムにより、落ち着いた大人の品格と上品な美しさを表現している。


今後のマツダを象徴する、新たなランプ表現



ランプ表現は魂動デザインの深化に合わせ、新たにつくり上げている。引き算の美学に従ってシンプルな美しさを表現するとともに、クルマの骨格や軸を感じさせる「丸」の形と深さの表現にこだわった。
丸型4灯のリアコンビランプは前方へ向かうグラデーション発光を採用。ファストバックは立体的なアウターレンズで塊感を、セダンは「丸」を近付けてエレガントさや安定感を、それぞれ演出している。
MAZDA3 FASTBACK(マツダ・スリー ファストバック)
MAZDA3 SEDAN(マツダ・スリー セダン)
ボディカラー

ポリメタルグレーメタリックはファストバック専用に新開発。
マツダを代表する匠塗りのソウルレッドクリスタルメタリックとマシーングレープレミアムメタリックに加え、ファストバック専用色としてポリメタルグレーメタリックを開発。ファストバックは全8色、セダンは全7色をラインナップしている。
ソウルレッドクリスタルメタリック(6万4800円高)
マシーングレープレミアムメタリック(5万4000円高)
ソニックシルバーメタリック
ディープクリスタルブルーマイカ
ジェットブラックマイカ
スノーフレイクホワイトパールマイカ(3万2400円高)
チタニウムフラッシュマイカ
ポリメタルグレーメタリック ※ファストバック専用色
インテリアデザイン

ヒトとクルマの一体感をこれまで以上に強めるために、コクピットはドライバーを中心に左右対称にレイアウトし、ドライバーに正対する造形としている。

ステアリングホイールと3眼メーター、左右エアコンルーバーを左右対称に配置。革シボの表現など素材の質感にもこだわり、無駄のないシンプルな美しさや心地良さ、質感の高さをかつてないレベルで実現。また、先代以来の「バニシングポイント(遠近法の収束点)」の考え方を強化し、パーツや造形はドライバーの視界に違和感なく配置され、視覚的な“軸感”が高められている。

2層成形シフトパネル
艶やかな漆黒のシフトパネルは、深い透明感を持ち、光を受けると精緻な柄が浮かび上がる新たな仕立てだ。これは2層成形という技術を採用したもので、上層のカラークリアパネルが光を透過・減衰させ、下層の黒メタリックパネルがその光を反射。光の移ろいで変化する表情豊かな質感を実現している。
インテリアカラー
■ブラック・レザー内装(セダン、ファストバック共通)
■ブラック・ファブリック内装(セダン、ファストバック共通)
■ピュアホワイト・レザー内装(セダン専用)
■バーガンディ・レザー内装(ファストバック専用)
移動時間が心地よくなる室内空間
運転のしやすさの基本はドライビングポジションにあると考えるマツダは、運転中であっても人間にとって自然な姿勢でいられることを重視。自然に運転に集中でき、疲労しにくいドライビング環境を調えている。
また、マツダはドライバーが表示された情報の意味や操作の方法を考えてしまうことを「意識のわき見」と呼び、これを排除することを追求。ドライバーが直感的に理解&操作できるHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)をつくり上げている。
自然な運転感覚をもたらすドライビングポジション

ドライビングポジション重視のひとつが、多彩な調節機構だ。太ももの浮きや圧迫が発生しないよう、シートのチルト調節機構を全車に標準装備し、骨盤を立てて座るというマツダの理想とする着座姿勢をサポートする。また、ステアリングのテレスコピック量は10mm拡大して70mmとされ、体格に応じた調整の精度が高められている。
ATシフトノブ
MTシフトノブ
シフト位置はステアリングからの持ち替えとシフト操作のしやすさから決められ、シフトフィールは節度感と滑らかさを図っている。操作頻度の高いMTシフトノブは上面と左右の面をやや平らな形状として、軸間の表現と操作性の向上を両立させている。
HMIとクラフトマンシップ
ヒトとクルマの接触面となるHMIは、「意識のわき見」を防ぐレイアウトや警告表示の表現などとともに、スイッチなどの操作感も人間工学に基づいて研究されている。こうした情報系や操作系の造り込みが、「走る歓び」を感じさせる小さな、しかし重要な部分となっている。

7インチTFT液晶メーター
メーターパネルの中央は7インチの液晶とし、情報をシンプルかつ集中的に表示。ドライバーの視線移動まで計算した配置によって、これまで以上に運転に集中できるものとしている。
アクティブ・ドライビング・ディスプレイ
視線移動や運転への集中度に有利なアクティブ・ドライビング・ディスプレイ。一般的にHUD(ヘッドアップディスプレイ)と呼ばれる投影式の情報表示をマツダは積極的に採用している。
8.8インチセンターディスプレイ
横長タイプの表示を採用し、操作は可万ダーコントロールに一本化。また、メーターやアクティブ・ドライビング・ディスプレイとフォントを統一して、心地よい一体感を表現している。
静粛性能とオーディオシステム

音に関しても人間中心の開発を徹底。ヒトの聴覚のメカニズムに着目し、静粛性の質を高め、スピーカーの位置と方向を一新したオーディオシステム「Mazda Harmonic Acoustics(マツダ ハーモニック アコースティックス)」を新開発した。



人間が感じる音には「音の大きさ」「音の時間的な変化」「音の到来方向」という3つの性質があることに着目。音の大きさだけに留まらず、変化や届き方をコントロールすることによって不快感を抑え、質の高い静粛性を追求している。また、ボディパネルとマットの間に空間を設けた2重壁構造をマツダ車で初採用している。

旧アクセラ(左)/新型MAZDA3(右)
ドアパネルからドアスピーカーを独立させ、スピーカー取り付け用の穴を排除。インナーパネルとドアトリムによる2重壁構造とともに、重さの増加を最小限としながら遮音性能を高めた。
ドライバーを主役とした安全の進化/コネクティビティ
マツダの安全思想「MAZDA PROACTIVE SAFETY」は、ドライバーが安心してクルマを運転でき、乗る人すべてが「走る歓び」を満喫できることを目指している。
アクティブセーフティ「i-ACTIVSENSE」

ドライバー・モニタリング
前側方接近車両検知(FCTA=Front Cross Traffic Alert)
クルージング&トラフィック・サポート(CTS)

アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)
i-ACTIVESENCEには新たに「ドライバー・モニタリング」「前側方接近車両検知(FCTA=Front Cross Traffic Alert)」「クルージング&トラフィック・サポート(CTS)」が採用され、アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)の制御を高度化している。
運転中のドライバーを赤外線カメラと赤外線LEDでチェックするドライバー・モニタリングは、システムが危険と判断すると警報を発したりブレーキ警告のタイミングを早めるなど、より安全な制御の実現に活用されている。
FCTAはドライバーの認知を補う機能で、新採用のフロントサイドレーダーによって死角の情報を収集、出会い頭事故の回避をサポートする。
CTSは渋滞にも対応するACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール=追従クルコン)と操舵トルクのアシストを組み合わせたもので、高速道路での疲労軽減に寄与する。 ALHはハイビームの遠方照射性能を向上させ、車速やカーブの度合いに応じた緻密な配光制御を実現している。
MAZDA3に採用されるi-ACTIVSENSE一覧

パッシブセーフティ
軽量・高剛性・安全ボディ
SRSエアバッグシステム
衝突回避や運転支援の機能向上とともに、万一の事故の際に乗員や歩行者を保護するボディ構造も進化。超高張力鋼板を多用することで軽量化と強度アップを実現し、エネルギー吸収効率の高い新構造を採用するなど、走行性能や燃費性能と安全性能の両立を進めている。
そのほか、運転席&助手席エアバッグ、カーテン&フロントサイドエアバッグに加え、マツダ初の運転席ニーエアバックまで標準装備される。
マツダ コネクトの進化
新型MAZDA3は一部グレードを除き車載通信機を標準設定として、24時間365日のカーライフサポートサービスを導入する。
また、スマホ連係や直感的なHMI、電子オーナーズマニュアルなど、カーコネクティビティシステムの使い勝手が向上。
ナビゲーションはユニット内に3Dジャイロセンサーを内蔵し制御ロジックを最適化するとともに、インターネット検索のような「フリーワード検索機能」を採用するなど、使いやすさが大幅に高められている。
人間中心の発想で磨き抜いた「走る歓び」

新型MAZDA3はヒトの歩行時のバランス能力に注目し、理想の運転姿勢を「歩行状態」と定義。人間の能力を活かすためにクルマ全体を最適化した新世代車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE」を新開発し、新たな発想に基づいてシートからボディ、シャシー、タイヤに至るまで車両構造を刷新。安心して楽しく運転できる環境を調えている。

パワートレイン
マツダが世界で初めて実用化した独自の燃焼法「SPCCI(火花点火制御圧縮着火)」を採用するSKYACTIV-Xをはじめ、最新のSKYACTIVエンジンを搭載している。トランスミッションはタイプ/グレードごとに6速ATまたは6速MTが用意される(末尾のラインナップ/価格を参照)。
次世代エンジン「SKYACTIV-X」

SKYACTIV-X
新型MAZDA3は次世代型ガソリンエンジン・SKYACTIV-Xを搭載する初の市販車となる。SKYACTIV-Xは、スパークプラグの点火をきっかけとする燃焼室内の圧力上昇を利用して圧縮着火を制御する「SPCCI」を実用化した世界初の内燃機関で、ガソリンエンジンの伸びのよさとディーゼルエンジンの優れた燃費・トルク・応答性を融合。MAZDA3ではマイルドハイブリッドシステム「M Hybrid(エム ハイブリッド)」と組み合わせて採用され、効率的なモーターアシストによってさらに燃費の向上を図っている。
新型MAZDA3には2リッターのSKYACTIV-Xエンジンが設定され、この秋から販売されることとなっている。
M Hybrid

SKYACTIV-Xエンジンに組み合わせられるのが、減速エネルギーの回生や駆動アシストを行うM Hybridだ。回生したエネルギーはベルトドリブン・インテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ベルト式ISG)によって電力に変換され、24Vのリチウムイオン電池に蓄電される。ISGの採用によって、アイドルストップからのエンジン始動もより静かになっている。
ガソリンエンジン「SKYACTIV-G 1.5/2.0」
SKYACTIV-G 1.5
SKYACTIV-G 2.0
クリーンディーゼル「SKYACTIV-D 1.8」
SKYACTIV-D 1.8
GVCと協調制御のi-ACTIV AWD

i-ACTIV AWD
新型MAZDA3の4WD車は、従来のシステムから一歩進んだシステムを採用。
従来のシステムはタイヤの動きや路面状況などをリアルタイムでモニターし、スリップの予兆を検知してトルク配分を行うが、新システムは4輪に「常に余裕を持つこと」を追求。雨や雪はもちろん、ドライ路面でも常にタイヤのグリップ力に余裕を確保し、前後輪のグリップバランスをコントロールして安定走行を実現し、かつ後述するG-ベクタリングコントロール(GVC)との協調制御を導入することで「意のままの走り」を手に入れている。
新世代車両構造技術「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE」(スカイアクティブ・ビークル・アーキテクチャー)

マツダが継続している人間研究の成果を盛り込み、体を動かしても酔ってしまうことのないヒトの能力を、乗車中にも発揮できる状態を目指して開発された「SKYACTIV-VEHICLE ARCHITECTURE」によって、違和感や不安感、不快感のない、人間の感覚にとって自然に寄り添う乗り心地と操縦安定性を実現している。
骨盤をしっかり立たせ、脊柱のS字カーブを維持できる構造としたシートは、無意識に体の重心バランスを取ることができ、自然に頭部を安定させられるため、余計な筋力を使わず、長時間乗車でも疲れにくく快適に過ごすことができる。
基本骨格のストレート化と環状構造を基本とするボディは、剛性を高めるとともにエネルギー伝達効率を向上させた。従来の上下左右に加えて前後方向にも骨格を連続させることにより伝達遅れの低減を果たし、ダンパーやタイヤの機能が最大限に発揮できるようになっている。また、塗面からのエネルギーを特定の部位に集め、その部位に減衰構造を採用することで、騒音の原因となる振動を効果的に低減している。
前後サスペンションも一新。フロントは従来と同じマクファーソンストラット式を進化させ、リアには新開発されたトーションビーム式のシステムを採用。ブッシュやジョイントなどの内部/細部を煮詰め、ジオメトリーを新設計することにより、コーナリング中のリニアな動きを可能としている。
理想の姿勢で座り続けられるシート。
剛性とエネルギー伝達効率、振動の減衰特性を高めたボディ。
路面からの入力を正しくリニアに伝えるサスペンション。
新世代車両運動制御技術「SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS」(スカイアクティブ・ビークル・ダイナミクス)

G-ベクタリング コントロール プラス(G-Vectoring Control Plus = GVC Plus)
駆動トルク制御のGVCにブレーキによる車両姿勢安定化制御(直接ヨーモーメント制御)を追加したGVC Plusを採用。素早いハンドル操作に対する車両の追従性や挙動の収束性を大幅に改善。また、i-ACTICE AWDの4WDシステムとの協調制御により、より幅広い環境で効果的な制御・挙動を提供してくれるようになった。
主要諸元/新旧数値比較

ラインナップ/価格


