カーライフ
更新日:2021.04.16 / 掲載日:2021.04.09
EV・PHEVを使った最強ワークスペース構築術【九島辰也のクルマのある時間 第1回】

文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス、サンワサプライ
コロナ禍において生活パターンが大きく変わったと叫ばれています。クルマ業界でも外資系企業や大手メーカーは社員の出勤を制限していたり。毎日決まった時間に決まった場所に行くのが身体に染みついている方々は、かなり生活のリズムが狂ってしまったことでしょう。“自粛太り”なんて言葉をよく耳にします。
そんなこともあり、じつは新型車の発表会はほとんどオンラインで行われています。我々視聴者(メディア)は、事前に送られてきたアドレスにアクセスしてその時を待ちます。最初はあまり経験ないですからね、自分ひとりなのにちょっと緊張したりして。「こっちの声聞こえたりしないよな」、なんてあらぬ心配したり。
でも、慣れてくればこんなお気楽なことありません。わざわざ出向かなくて済むんですから。原稿の合間の気分転換にもなります。ただ、ジャパンプレミアはまだしも、ワールドプレミアになると話は違います。日本時間22時、いやいや午前1時なんてのも。主催者は主にヨーロッパメーカーなので彼らに都合のいいGMT(グリニッジ標準時)で開始しますから、そんなことになります。先日も夕食後にワインを飲みながら待っていたら、開始30分前に寝落ちしてしまいました。残念。プラス9時間の壁は厚い。
さて、そんなオンラインを使った新しい様式ですが、スペースが問題になっているのは見逃せません。それぞれ環境は異なるでしょうが、それまで家に仕事スペースがなかった方々はお困りのようです。リビングルームでドーンと陣取っていると嫌われます。完全に家事の邪魔ですからね。
そこで今脚光を浴びているのがクルマです。ガレージにあるもうひとつの部屋に白羽の矢が刺さりました。ここなら家人を邪魔することも、家人から邪魔扱いされることもありません。
【車中泊×クルマ】キャンピングカー選びの条件【九島辰也のクルマのある時間 第2回】
クルマをワークスペースとして活用するときの問題点

ミニバンの2列目シートは、テレワーク用スペースとして最適
クルマはミニバンなら最高ですがセダンでも快適です。助手席側の後ろの席を陣取ります。前席をグイッと一番前までスライドさせれば、「こんなに広いんだ!」と感動しますよね。なんたってそんな風に使ったことありませんから。で、センターコンソールの後ろ端にパソコンを置いたり、その辺からアームを伸ばしてケータイを固定したりします。おっと、意外と快適。
ですが、ここで2つ問題が発生します。オンライン会議を1時間で切り上げてサッと部屋に戻るなら良いのですが、それが2本、3本と続くと電源が寂しくなってきます。つまり、電源確保が課題となります。
それともうひとつはエアコン。最近で言えば季節が変わり、かなり外の気温も安定してきました。周りの騒音で聞こえなかったり、会議のやり取りが漏れるのを気にしなければ窓を開けて会議をするのも良いでしょう。ハッチバックやSUVならリアゲートを開けておくのもオススメです。ですが、つい先日までの寒さだったり、これから襲ってくる猛暑を鑑みれば、エアコンは必至。快適な温度設定なくして会議はできません。
それじゃエンジンをかけっぱなしでエアコンをオンにしておけばいいじゃないかというと、それも良し悪し。排気ガスがガレージに充満したり、近所の家との間で騒音問題になるなどいろいろ問題でしょうから。まぁ、こまめにエンジンをかけたり切ったりする手もありますが、会議に身が入らないですよね。面倒くさい。
PCやタブレットを置くためのグッズも販売されている(写真:サンワサプライ)
サンワサプライの車載用ノートパソコンテーブル「CAR-NPCT1」
電動車であればPCやスマホを充電しながらテレワークできる

電気自動車であれば、エアコンや電源が使い放題。ガソリンエンジンのような音や振動もないため、近隣トラブルにもなりにくい
そこで、これらの悩みをすべて解決してくれるクルマがあります。みなさんもうご存知ですよね。電動車です。例えば、EVと呼ばれる完全な電気自動車であれば、なんら問題はありません。給電用のACアダプタが最初から装備されているので、そこにパソコンのコンセントを繋ぐだけ。簡単でしょ。リアカーゴにあっても延長コードでOK。しかもEV自体を家庭用200Vの充電ポートに繋いでおけば電気は絶えません。要するにエアコンもそのままずっとオンにしておけるというわけです。完璧ですね。
EVだけじゃありません。PHEVと呼ばれるプラグインハイブリッドも同様に使えます。このジャンルも給電を売りにしていますからACアダプタも問題なし、エアコンもたまにエンジンがかかるかもしれませんが、EVモードのままでかなりいけるでしょう。もちろん、プラグインなので充電しながらだとなお安心です。
それじゃ外部充電のないハイブリッドはどうかというと、車種によるかと。トヨタは「クルマ給電」と名付けたAC100V・1500Wのアクセサリーコンセントをメーカーオプションとして用意しています。これは、ハイブリッドシステムに使われる駆動用バッテリーを生かした仕組み。残念ながら後付けはできませんが、便利そうなので覚えておきたいですね。
といった観点からクルマを選ぶ時代にきているのでしょうか。コロナ禍で新たな価値が注目されているのは確かです。マイカーに何を求めどう付き合うのか。新たなクルマ選びの指標ができそうです。
ホンダeは車載WiFiを備えるため、ネット環境も心配なし。テレワークとのマッチングは良好だ
プラグインハイブリッド車のアウトランダーPHEVは、広い車内空間と給電機能を生かして移動オフィスとして活用できる
トヨタのハイブリッド車はメーカーオプションで100V・1500Wの外部給電機能が搭載可能
トヨタの外部給電機能は、電気の「質」にもこだわっており、PCなどの精密機器が安心して利用できるのがポイント
執筆者プロフィール:九島辰也(くしま たつや)

自動車ジャーナリストの九島辰也氏
外資系広告会社から転身、自動車雑誌業界へ。「Car EX(世界文化社 刊)」副編集長、「アメリカンSUV(エイ出版社 刊)」編集長などを経験しフリーランスへ。その後メンズ誌「LEON(主婦と生活社 刊)」副編集長なども経験する。現在はモータージャーナリスト活動を中心に、ファッション、旅、サーフィンといった分野のコラムなどを執筆。また、クリエイティブプロデューサーとしても様々な商品にも関わっている。趣味はサーフィンとゴルフの”サーフ&ターフ”。 東京・自由が丘出身。