新車試乗レポート
更新日:2021.12.23 / 掲載日:2021.09.22

新型アクアの魅力大解剖【OVER200km 公道ロングランテスト編】

TNGAプラットフォームや新開発バッテリーの採用など、完全刷新を果たした新型アクア。走りは? 燃費は? 気になるその実力を丸一日走り通して徹底チェック。トヨタの最新ハイブリッド専用車は、ズバリ“買い”なのか!?

●文:川島茂夫 ●写真:澤田和久

新世代コンパクトHVがもたらす新たな価値とは!?

 TOYOTA 新型アクア

●車両本体価格:198万〜259万8000円 ●発売日:7月19日

トヨタ最小かつ最新のTHS Ⅱ専用車

 トヨタ自慢のハイブリッドシステム「THS Ⅱ」を搭載し、「実用的な環境車を持続可能な形で提供する」と謳う。新世代アーキテクチャーのTNGAに基づく新型はさらなる燃費向上を果たし、運転支援機能やインフォテイメント、給電機能など、各種装備も最新仕様に。

アクア G E-Four

試乗車■新型アクア G E-Four ●車両本体価格:242万8000円 ●ボディカラー:ダークブルーマイカメタリック

中間グレードとなる「G」の4WD車で、内装色はブラック。新設計のE-Fourシステムの実力も気になるところだ。オプション装着品は16インチアルミホイールやトヨタチームメイト等の安全&運転支援機能、寒冷地仕様など。オプション総額は39万2590円だ。

●全長×全幅×全高(mm):4050×1695×1505 ●ホイールベース(mm):2600 ●最低地上高(mm):155 ●最小回転半径(m):5.2 ●車両重量(kg):1220 ●パワーユニット:1490cc直列3気筒(91PS/12.2kg・m)+フロントモーター(80PS/14.4kg・m)+リヤモーター(6.4PS/5.3kg・m) ●トランスミッション:電気式無段変速機 ●WLTCモード総合燃費:30.0km/L ●タイヤ:185/65R15 ※オプションを含まず

アクア Z

試乗車■新型アクア Z (FF) ●車両本体価格:240万円 ●ボディカラー:プラチナホワイトパールマイカ(3万3000円高)

最上位グレードのFF車で、内装色はブラック。16インチアルミや運転支援機能のほか、カラーHUD(ヘッドアップディスプレイ)を装着。オプション総額は41万3600円だ。

●全長×全幅×全高(mm):4050×1695×1485 ●ホイールベース(mm):2600 ●最低地上高(mm):140 ●最小回転半径(m):5.2 ●車両重量(kg):1130 ●パワーユニット:1490cc直列3気筒(91PS/12.2kg・m)+フロントモーター(80PS/14.4kg・m) ●トランスミッション:電気式無段変速機 ●WLTCモード総合燃費:33.6km/L ●タイヤ:185/65R15 ※オプションを含まず

公道初乗りインプレッション

室内は馴染みやすく快適実用燃費はヤリスと同等

 パワートレーンラインナップにハイブリッド車を置くのは近年開発されたトヨタ車では常識。それほど一般化した中でハイブリッド専用車としてどのような価値を持たせるかが新型アクアの興味深い点である。ひとつのポイントはキャビン実用性だが、これは同車格にあたるヤリス対比でのアピールポイント。後席に乗り込んでみると確かにヤリスよりひと回り以上広く感じられた。ヘッドルーム等の寸法面の余裕が拡大したこともあるが、リヤピラーの圧迫感の減少やサイドウインドウ視界など、視覚的な閉鎖感の改善効果も大きい。もっとも、アクアがことさらキャビン実用性重視で開発されたわけではなく、前席優先のヤリスに対して標準的なバランス感覚でまとめたと考えたほうがいい。

 意外だったのは内装の設えだ。先進感とプレミアム感を押し出すと予想していたのだが、どちらのタイプも過度な演出を控えて大人っぽい雰囲気でまとめていた。センターメーターの廃止など、レイアウトはオーソドックスになったが、HUD(ヘッドアップディスプレイ)の設定やパッドPC型DA(ディスプレイオーディオ)などもあり、インパネ全体は今風のまとまり。先進感よりも馴染みやすさを重視した感じだ。

 一方、継承すべき特徴の筆頭は燃費だが、スペックで比較するとヤリスに及ばない。車重を考えれば仕方ないのだが、「燃費一番」の座は奪還できていない。とは言っても、今回の試乗での実用燃費は一般路で28km/L前後、高速道で32km/L前後。酷暑の約230km走行での平均燃費はFF/4WDともに31km/L超を達成。これはヤリスを除けば同クラスで最も優れた燃費であり、テスト条件を考慮するなら実力としてはヤリスと同等と考えるべきだろう。

パワー感にゆとりがあり、挙動はゆったりしなやか

 しかも、ドライブフィールはヤリスよりゆとりが感じられた。燃費と同様に動力性能も重量ハンデを負うはずなのだが、中庸域の力感がワンランク勝っている。

 その要素のひとつがエンジン回転数の抑制だ。蓄電量によりエンジンの稼働頻度や使用回転域が異なるが、同様の状況で走らせている時でもアクアの方がエンジン回転数が低めであり、トルクが太い感じなのだ。もっとも、エンジン回転を抑えるのも善し悪しで、低回転で粘らせて加速させると余力感は優れるものの、3気筒のパルス感が目立つ。

 また、高速域でのEV走行頻度も高く、パワーアシストも含めて電動力を効果的に使っているようだ。ことさらの電動感や刺激的なドライブフィールを求めないのは従来型あるいは他のトヨタ製ハイブリッド車と同じだが、ヤリスと比較すると多少シリーズ式ハイブリッド的な電動感を覚えた。

 フットワークは従来型よりも乗り心地寄りの設定だ。従来型はダンパーで高速安定性を稼いでいるようなチューンであり、引き締まった味わいが安心感をもたらす一方、低中速域では突き上げが目立った。新型はFFと4WDで若干リヤの突き上げ感に差があるものの、同様の状況でもストロークに転嫁されたしなやかさを示す。車軸周りの揺動が質感を多少損ねているが、街乗りと高速長距離走を上手くバランスさせている。

 乗り心地はヤリスに対するアクアのアドバンテージでもある。重量とホイールベースが有利に働いていることもあるのだろうが、相対的にゆったりとした味わいは両車のキャラの違いにも相応である。

 ヤリスと同様にEPB(電気式パーキングブレーキ)を採用していないので誤解してしまったが、ACC(追従機能付クルーズコントロール)は停車保持機能を備えた全車速型となり、渋滞走行時の使い勝手が向上。簡単セットで操舵と加減速、前後進切替えも自動となるアドバンストパークも想像以上に実践的。キャビン実用性やプレミアム感で特筆すべき点はないのだが、最新のコンパクトカーらしい機能や装備内容に圧倒的な実用燃費は、従来型からの乗り換えユーザーなら正に隔世の感だろう。

 特筆すべき燃費のほかはウェルバランスでまとまっているのがアクア。言い方を換えるならウェルバランスだからこそ燃費最優先で選べる安心感が大きな魅力である。

FFとE-Four、どう違う?

4WD

FF車のリヤサスがトーションビーム式なのに対し、リヤモーターが組み込まれる4WD車(写真)はダブルウィッシュボーン式だ。

FF

【CLOSE-UP】「バイポーラ型」のニッケル水素電池を新採用

駆動用車載電池として初採用のバイポーラ型ニッケル水素電池は大きな電流を発生でき、従来比で約2倍の出力向上を果たしている。

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駐車場所を選び、スイッチポンですべての操作を自動で行い、Pレンジで完了。所要時間も短く、ストレスフリーだ。オプション設定の「トヨタ チームメイト」に含まれる。

【ザ・燃費】約230km走行で31km/L達成!

乗り手を交代しながら常時大人2名乗車で横浜から河口湖まで往復。エアコンはオートで25℃、ECOモード使用、ACC不使用。数値は車載燃費計/距離計から算出している。
区間データで20km/Lを割ったのは連続登坂の1区間のみ。上り勾配が大半の往路平均でも23km/L弱、下り勾配の復路平均では50km/Lに迫る数値だった。しかも、FFと4WDがともに同等の数値と傾向で、実用燃費で30km/L前後という際立つ性能を示した。

【参考】先代の実測燃費は25.6〜30.6km/L

コースが異なる上、満タン法で算出していたため参考程度になるが、先代アクアの燃費は市街地/郊外路/高速道/山岳道でそれぞれ27.7/30.6/27.8/25.6km/Lだった。

【結論】トヨタのHVコンセプトの見本! プリウスからの乗り換えもアリ!?

 試乗して一番に先に頭に浮かんだのは2、3代目のプリウスからの乗り換え需要である。従来型からの乗り換えも当然狙いだが、キャビン実用性やこれ見よがしの高級感ではなく、燃費に裏打ちされた先進パワートレーンの実用車はプリウスのコンセプトとも合致する。アクアやプリウスを乗り継いできたユーザーにすればトヨタハイブリッド車の先進性を理解しやすい。

 安全装備が充実しているのでコスパならXを狙うのも悪くないが、前述の視点で選ぶなら最上級グレードだ。センターメーターに慣れたドライバーにはHUDをOP装着できるのも魅力である。性能面の4WDハンデはほとんどないが、価格を考慮するなら降雪地域のユーザー以外はFFが順当だ。

おすすめグレードはコレだ!!
Z(FF) ●車両本体価格:240万円

買い換えオススメ度 for 現行ユーザー=100%

さらなる省燃費性能と最新運転支援機能の採用で世代違いの進化。買い換え価値は十二分だ。

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内外出版/月刊自家用車

ライタープロフィール

内外出版/月刊自家用車

オーナードライバーに密着したクルマとクルマ社会の話題を満載した自動車専門誌として1959年1月に創刊。創刊当時の編集方針である、ユーザー密着型の自動車バイヤーズガイドという立ち位置を変えず現在も刊行を続けている。毎月デビューする数多くの新車を豊富なページ数で紹介し、充実した値引き情報とともに購入指南を行うのも月刊自家用車ならではだ。

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