コーティング・クリーニング
更新日:2023.11.30 / 掲載日:2023.11.30
コーティングした車にコンパウンドは使える?基礎知識や施工手順を解説

コーティング施工車についた傷はコンパウンドを使い、目立たなくすることが可能です。しかし、浅い傷にしか効果がないため、深い傷は専門業者に修理を依頼する必要があります。
この記事では、コンパウンドの基礎知識を紹介し、コーティング施工車にコンパウンドを使う手順や注意点を解説しています。また、おすすめのコンパウンド5選を紹介していますので、ぜひ参考にしてください。
1.コーティングした車にコンパウンドは使える?
コンパウンドは、コーティングした車にも使えます。ただし、コーティングも一緒に削れてしまうため、再コーティングなどのメンテナンスが必要です。
(1) コンパウンドは傷を目立たなくするもの
コンパウンドとは、車体についた細かい傷を目立たなくする研磨剤のことです。コンパウンドを傷の凹凸に塗り込み、磨くことでその部分を滑らかにし、傷を目立たなくします。
また、以下の用途などでもコンパウンドは使われます。
・ゆず肌(塗装などで表面が波打った状態)の慣らし ・ボディのツヤ出し ・イオンデポジット(水滴が乾いた後のシミ)の除去 ・古いコーティングの除去 |
なお、コンパウンドはボディのクリア層(ボディの一番上の層)にある傷や汚れなどの部分を削り、それらを目立たなくするものです。そのため、クリア層を削り過ぎた場合は塗装を剥がしてしまい、下地が出てくる恐れがあります。
(2) コンパウンドを使った部分は再コーティングが必要
コンパウンドを使った部分はコーティングが取れてしまうため、その部分は再コーティングする必要があります。
もし、コーティングの効力が全体的に落ちている場合は、車全体を再コーティングしましょう。磨いた部分の周りだけ再コーティングすると、その部分だけ光沢が強くなり、見た目の美しさを損なうことにつながります。
2.コンパウンドの効果がある傷とない傷

コンパウンドの効果がある傷とない傷を具体的に解説します。傷以外に効果があるものなどもご紹介しましょう。
(1) コンパウンドの効果がある傷
コンパウンドの効果がある傷などは以下のとおりです。
1. 車についた浅い傷
2. 鳥の糞やシミ
3. イオンデポジット
順にご紹介します。
①車についた浅い傷
爪がひっからない程度の浅い傷は、コンパウンドを使うことで目立たなくなります。具体的には、以下の傷に効果があります。
・こすれば消える傷
・水をかけると消えたように見える傷
・タオルなどで磨いたときの擦り傷
・洗車時のブラシ傷
・砂埃などが原因の小さな傷
これらの傷は、基本的に塗装表面にあるクリア層についており、磨くことで傷の凹凸が滑らかになるため、元の光沢やツヤを取り戻せます。
②鳥の糞やシミ
クリア層に留まっている鳥の糞やシミは、コンパウンドで取り除くことが可能です。
鳥の糞は酸性成分が含まれており、長期間放置するとコーティングを剥がし、クリア層や塗装面を侵食します。侵食が塗装面に達するとコンパウンドでは対応できないため、専門業者に依頼する必要があります。
③イオンデポジット
イオンデポジットはコンパウンドを塗布し、磨くことで除去できます。イオンデポジットとは、車のボディに付いた水滴が白いリング上になって残るシミのことです。水道水の中に含まれるカルキや塩素、ミネラルなどの不純物が乾燥することで発生します。
イオンデポジットを放置するとシミが悪化し、塗装面を陥没させるウォータースポットになる可能性があります。
(2) コンパウンドの効果がない傷
コンパウンドの効果がない傷は以下のとおりです。
1. ぶつけてできた凹み傷
2. 下地が見えている傷
3. 爪で引っかかる傷
4. 樹脂やゴム部品の傷
順にご紹介します。
①ぶつけてできた凹み傷
車をぶつけてできた凹み傷は、車体そのものの修理が必要になります。必要に応じて専門業者に依頼しましょう。
②下地が見えている傷
下地が見えている傷はクリア層だけでなく、塗装面も剥がれている状態です。この状態でコンパウンドを使った場合、傷を悪化させる原因になります。下地の色と塗装色は異なるため、違った色が見える場合は傷が下地に達しています。
③爪で引っかかる傷
傷の断面を爪で触り、爪が引っかかる場合はクリア層だけでなく、塗装面や下地まで傷が達しています。この場合、コンパウンドを使って磨くと、傷の悪化につながります。
④未塗装樹脂やゴム部品の傷
車のボディに使うコンパウンドは、ホイールアーチや室内部品の未塗装樹脂やタイヤなどのゴム部品には使えません。これらの部品にコンパウンドが付着すると、化学反応により変色する可能性があります。
3. コンパウンドの種類と選び方
コンパウンドには多くの種類があるため、研磨したい場所や傷に応じた複数のコンパウンドを組み合わせて使います。以下のポイントをもとに、適切なコンパウンドを選びましょう。
1. 粒子の大きさから選ぶ
2. 用途に合わせて選ぶ
3. 水性と油性から選ぶ
順にご紹介します。
(1) 粒子の大きさから選ぶ
コンパウンドは粒子の大きさによって、基本的に以下のとおり分類されています。傷の深さや範囲などによって使い分けられます。
番手の数字が大きいほうが粒子が大きく、小さい数字のほうが粒子も小さくなります。粒子が大きいと研磨力が強く、小さいと弱くなるのが特徴です。
番手 | 粒子 | 用途 |
---|---|---|
600〜800 | 粗目 | 広い傷用、ウールバフに使用 |
800〜1,000 | 中目 | 通常の傷、浅い傷用、ウールバフに使用 |
1,200〜1,500 | 細目 | 肌調整用、ウールバフに使用 |
2,000〜3,000 | 極細目 | 磨き跡用、水アカ除去用、スポンジバフに使用 |
6,000〜15,000 | ツヤ出し | ツヤ出しや磨き上げ用、スポンジバフに使用 |
バフとは、ポリッシャーに取り付けて塗装面の傷を研磨、ツヤ出しする目的で使います。

ウールバフとは、羊毛で作られた磨きパッドです。比較的研磨力が高いのが特徴で、粗目の粒子で研磨するときに使われます。スポンジバフは、スポンジで作られた磨きパッドです。ウールバフより研磨力が低く、小さな粒子のコンパウンドのときに使われます。
(2) 用途に合わせて選ぶ
コンパウンドは、「リキッドタイプ」と「ペーストタイプ」の2つの形状に分けられます。研磨する部分や範囲など用途に合わせて適切な形状を選びましょう。
形状 | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
リキッドタイプ | ・液状 ・広範囲の研磨に向いている ・粒子が小さい場合が多い |
・伸びがよいため、均一に塗り伸ばしやすい ・磨きムラが出にくい |
・粘度が低く流れやすいため、角度のある部分は研磨しにくい ・気温が高い日は乾燥しやすい ・磨き剤が飛び散りやすい |
ペーストタイプ | ・クリーム状 ・急な角度や狭い範囲の研磨に向いている ・粒子が大きい場合が多い |
粘度が高く流れにくいため、ボディサイドや下側を研磨しやすい | ・粘度が低いため、均一に塗り伸ばしにくい ・長期保管しにくい |
(3) 水性と油性から選ぶ
コンパウンドには主成分が水性と油性の2種類あり、それぞれ特性が異なります。以下の表は、水性と油性のメリット・デメリットをまとめています。
種類 | メリット | デメリット |
---|---|---|
水性 | ・研磨力が強く ・光沢が持続しやすい ・洗い流しやすい |
・磨きムラが目立ちやすい ・コンパウンドが乾きやすい ・研磨カスが出やすい |
油性 | ・滑りがよいため、初心者でも扱いやすい ・傷つけないように作業しやすい ・研磨カスが出にくい |
・研磨力が弱い ・洗い流しにくい ・油分が傷の凹凸を埋めて、傷が隠れやすい |
4. コンパウンド商品おすすめ5選
コンパウンドを選ぶポイントをもとに、おすすめのコンパウンド5選を紹介します。
(1) シュアラスター|スピリットクリーナーダーク

水アカと小傷に対応するコンパウンド。こちらの商品はブラックなど濃色車用ですが、白色や淡色車用も販売されています。メタリックやパール、マイカ塗装車などにも使えます。
粒子 | 形状 | 主成分 |
---|---|---|
極細目 | リキッド | 油性 |
(2) 3M|コンパウンド DC-1L

ゆず肌(塗装などで表面が波打った状態)を落とし、肌調整(コーティングや塗装の波打った表面を研磨し、均一にする)することで、次の研磨作業を楽にするコンパウンドです。伸びがよい液剤のため、施工しやすいのが特徴です。
粒子 | 形状 | 主成分 |
---|---|---|
細目 | リキッド | 水性 |
(3) 3M|コンパウンド ハード1/ハード2/ウルトラフィーナプレミアム 3本セット

出典:コンパウンド ハード1/ハード2/ウルトラフィーナプレミアム 3本セット|Amazon
細目と極細め、ツヤ出しの3種類がセットになった便利なコンパウンド。傷の範囲や深さに合わせて粒子を使い分けることで、美しいツヤを得られます。
粒子 | 形状 | 主成分 |
---|---|---|
細目、極細め、ツヤ出し | リキッド | 水性 |
・「コンパウンド ハード1/ハード2/ウルトラフィーナプレミアム 3本セット」の公式販売ページ(Amazon)
(4) Holts|コンパウンド・ミニセット

下地処理や傷消し、水アカ除去、ツヤ出し、鏡面仕上げに対応するセット商品。粗目と細目、極細目が揃っており、順に使うことで傷を滑らかにし、ツヤ出しが可能になります。
粒子 | 形状 | 主成分 |
---|---|---|
粗目、細目、極細目 | ペースト | 油性 |
(5) ピカピカレイン|液体コンパウンド

ムラになりにくい、初心者でも使いやすい商品です。表面仕上げに最適な極細目と鏡面仕上げができる超極細目、さらにクロス2枚とスポンジ3個が付属されています。そのため、こちらのセットがあればすぐに施工できます。コーティング前の下地処理や、ガラスコーティング被膜の除去にも対応可能です。
粒子 | 形状 | 主成分 |
---|---|---|
極細目、超極細目(ツヤ出し) | リキッド | 油性 |
- ・「液体コンパウンド」の公式販売ページ
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5. コンパウンドを自分で施工する方法
コンパウンドの施工方法について解説します。施工する前の下準備と施工後のメンテナンスも重要です。
(1) 施工前の準備
施工前に必要な準備をご紹介します。
①必要な道具を揃える
1. カーシャンプー
2. シャンプー用スポンジ
3. 洗車時の水滴拭き取り用クロス
4. 水道水(用意できる場合はコーティング用の純水も)
5. コンパウンド
6. コンパウンド塗布用のスポンジやクロス(コンパウンドによって使い分ける)
7. ポリッシャー・バフ(持っている場合)
8. コンパウンド拭き上げ用のクロス
9. マスキングテープやビニール
10. コーティング剤
11. コーティング剤塗布用のスポンジやクロス
12. コーティング拭き上げ用のクロス
②車を洗車する
車のボディには砂やほこりなどが付着しています。これらが付着したままでは、コンパウンドを使ったときに、ボディを傷つける可能性があります。カーシャンプーを使って洗車し、砂やほこりなどをきれいに落としましょう。洗車後は、ボディについた水滴をクロスで拭き上げてください。
(2) 施工手順
コンパウンドの施工は以下の手順でおこないます。
①マスキングテープなどで周辺を保護する
コンパウンドが研磨する塗装面以外に付着しないように、研磨する周辺をマスキングテープやビニールで保護します。未塗装樹脂やゴム部品などに付着すると、変色する可能性があります。
②コンパウンドで傷を磨く
摩擦熱を抑えるために、コンパウンドを塗り込むスポンジやクロス、バフを水で濡らしてください。スポンジやクロス、バフにコンパウンドをつけて、傷と周辺を磨きます。上から下、左から右など直線を意識しながら均一に磨きましょう。それぞれの磨く向きの工程を入れると、効率的に作業できます。円を描くように磨くと傷やムラの原因になるため注意しましょう。
③クロスでコンパウンドを拭き上げる
クロスでコンパウンドを拭き上げます。コンパウンドが付着したままでは、ボディに悪影響を与える可能性があるので丁寧に拭き上げてください。
拭き上げるときに、磨き残しなどがないかを確認します。まだ傷が目立つ場合は、再度コンパウンドを使い磨きましょう。
④一番小さい粒子で仕上げる
最後に一番小さい粒子のコンパウンドを使い、仕上げの磨き作業をします。一番小さい粒子で磨くことで、ボディに残った磨き傷などがきれいになりツヤが出ます。
再度コンパウンドを拭き上げ、周辺の保護に使ったマスキングテープなどを剥がしたら終了です。
(3) 施工後のメンテナンス
コンパウンドを使った部分のコーティングが取れているため、その部分を再コーティングします。
再コーティングは、コンパウンドで磨いた範囲より少し広めにコーティングします。たとえば運転席ドアを30cm四方で磨いた場合、運転席ドアパネル1枚、または半分をコーティングしてください。
もし、コーティングしてから時間が経っている場合や効力が全体的に落ちている場合は、車全体を再コーティングしましょう。
6. コーティング車にコンパウンドを使うときの注意点
コーティング車にコンパウンドを使うときは、以下の3つに注意してください。
1. 傷の大きさや深さにあったものを使用する
2. 直射日光が当たらない場所で施工する
3. 深い傷は無理に削らない
順にご紹介します。
(1)傷の大きさや深さにあったものを使用する
粒子が大きい(研磨力が強い)コンパウンドから使うと、必要以上にボディを傷つけてしまう可能性があります。粒子が小さいもの(研磨力が弱いもの)から使い、傷が消えないときは、徐々に大きな粒子のものを使いましょう。
具体的には、極細目→細目→中目と順に粒子の大きさを上げていきます。大まかに傷が消えたら細目→極細目→ツヤ出しと仕上げの磨き作業をおこないます。
ただし、研磨の経験があり、適切なコンパウンドがわかる場合は、小さい粒子から順に使う工程は省略してもよいでしょう。
(2)直射日光が当たらない場所で施工する
コンパウンドの施工は、直射日光が当たらない日陰か屋内でおこなってください。
車に直射日光が当たるとボディが熱を持ちます。さらに、磨くときの摩擦熱が加わることで、必要以上に削れてしまう可能性があるのです。
また、コンパウンドが乾きやすくなるため、作業効率の低下にもつながります。そのため、気温が高い日の施工も避けるのがよいでしょう。
(3)深い傷は無理に削らない
コンパウンドの効果があるのは、爪がひっかからない浅い傷のみです。それ以上の深い傷は塗装面や下地を削ることになり、傷が広がったり深くなったりする恐れがあります。
見た目がより悪くなり、サビの原因にもつながるでしょう。そのため、爪がひっかかる傷や凹み傷などができた場合は、専門業者に修理を依頼してください。
7. 車のメンテナンスはグーネットピットにお任せください
コンパウンドは特別な道具を必要としないため、比較的簡単に傷を目立たなくすることが可能です。しかし、コンパウンドはボディを直接削り、傷が目立たなくする仕組みのため、誤った使い方は傷の悪化につながります。
また、コンパウンドはクリア層で留まっている浅い傷や汚れ、水シミなどにしか効果がありません。そのため、下地が見える深い傷や凹み傷は専門業者に修理を依頼する必要があります。
もし、きれいに施工する自信がない人や自分で修理できない傷がある人は、グーネットピットにお任せください。グーネットピットには車のメンテナンスの専門スタッフが在籍しています。傷の修理だけでなく、日頃のメンテナンスやトラブルにも丁寧に対応します。