コーティング・クリーニング
更新日:2023.12.28 / 掲載日:2023.12.28
コーティングに使うポリッシャー5選 選び方や使い方、注意点を紹介

コーティング作業前にポリッシャーを使い、丁寧に下地処理することで、コーティングの仕上がりがより美しくなります。しかし、ポリッシャーには複数の種類があるため、どれを選べばよいか悩んでいる人もいるでしょう。
この記事では、自動車整備士がおすすめするポリッシャー5選をご紹介します。自分に合ったものを選ぶ方法や使い方、注意点も解説しています。コーティングをより美しく仕上げたい人はぜひ参考にしてください。
1.車用ポリッシャー 特徴とメリット
車用ポリッシャーとは、ボディの表面を磨き、小傷や汚れを取り除く道具です。
先端に取り付けたバフ(研磨パッド)にコンパウンドをつけ、ボディに押し付けながら回転させることで、ボディの表面を研磨します。
ポリッシャーは均一に磨けるため、手作業よりムラになりにくいのが特徴です。ボディのツヤが復活し、コーティングがより美しく仕上がります。
また、ポリッシャーは手作業に比べて、効率よく広範囲を研磨できるため、下地処理にかかる時間を短縮できます。
2.ポリッシャーの選び方
ポリッシャーには複数の種類があり、それぞれ研磨力や給電方法が異なります。以下のポイントをもとに自分に合ったポリッシャーを選びましょう。
1. 回転方式
2. 給電方法
3. 形状や重量
4. バフの種類やサイズ
5. 静音性
順にご紹介します。
(1)回転方式
ポリッシャーには以下3種類の回転方式があり、それぞれ研磨力に違いがあります。
①シングルアクション
シングルアクションは、3種類のなかで一番研磨力が強いポリッシャーです。パッドの単一回転のみで研磨し、強力な研磨力で深い傷やひどい汚れを効率よく取り除くことが可能です。
しかし、研磨力が強すぎるため、誤った力加減で作業すると塗装面を傷つけてしまう恐れがあります。また、「オーロラマーク」と言われる、オーロラに似た模様(磨き跡)も発生しやすいため、プロ向けのポリッシャーになります。
②ギアアクション
ギアアクションは回転運動に加えて、小刻みな動きで研磨するポリッシャーです。シングルアクションより研磨力は落ちるため、中間研磨として用いられやすいタイプです。
細かな傷から深い傷に対応し、ひどい汚れも除去できるため、洗車業者やコーティング業者でも採用されています。さらに、研磨傷やオーロラマークが発生しづらいため、初心者から中級者の人向けのポリッシャーです。
③ダブルアクション
ダブルアクションは3種類のなかで一番研磨力が弱く、初めてポリッシャーを使う人向けのタイプです。回転運動に加えて、上下に動くことで、ボディを研磨します。
研磨力が弱く、ボディを傷つける可能性が低いため、ポリッシャーの動かし方や力加減が心配な人でもきれいに仕上げられます。
主に仕上げ磨き用に使われるタイプのため、深い傷やひどい汚れを磨くにはシングルアクションやギアアクションがよいでしょう。
(2)給電方法
給電方法は以下2種類あります。
1. コンセント式タイプ
2. コードレスタイプ
順にご紹介します。
①コンセント式タイプ
コンセント式タイプは、コンセントやシガーソケットに接続して作業する必要があります。作業中にコードが邪魔になる可能性がある一方、高い回転力を長時間維持できるのがメリットです。
②コードレスタイプ
コードレスタイプは、事前にバッテリーを充電して作業します。コンセント式と比較して回転力が弱くなるのがデメリットですが、コンセントがない場所や狭い場所で使うのに適しています。
作業中の充電切れを防ぐために連続稼働時間を確認し、予備のバッテリーも準備しておく必要があります。
(3)形状や重量
ポリッシャーの形状や重量は、使用時の負担や作業効率に大きく影響します。ポリッシャーは意外と重量があるため、初心者の人や使い慣れない人は使いにくいと感じるかもしれません。
そのため、「縦長」の形状をしたポリッシャーが比較的持ちやすく、長時間使用しても疲れにくいためおすすめです。
また、コンセント式は比較的軽いものが多いですが、コードレスタイプの充電が必要なポリッシャーはバッテリーを搭載している分、重くなりやすい傾向があります。使いやすい重量の目安は1.0〜1.5kg程度です。
(4)バフの種類やサイズ
ポリッシャーに取り付けるバフは、作業内容によって使い分ける必要があります。バフには、主にウールバフとスポンジバフの2種類あります。
種類 | 素材 | 特徴 |
---|---|---|
ウールバフ | 羊毛で作られた研磨パッド | 比較的研磨力が高く、粗磨きのときに使われる |
スポンジバフ | スポンジで作られた研磨パッド | ウールバフより研磨力が低く、中間研磨や仕上げ研磨のときに使われる |
また、バフのサイズは商品によって異なるため、使いたいバフがポリッシャーに適しているかを確認してください。バフのサイズは、商品のサイトなどで確認できます。
(5)静音性
研磨力が強いポリッシャーは、稼働音が強い傾向があります。住宅街や作業する時間帯によっては、周囲の迷惑になるかもしれません。
そのため、作業場所や時間帯なども踏まえながら、どのくらい稼働音がするかを確認してください。稼働音は、商品のスペックや購入レビューなどで確認しましょう。
3.【整備士おすすめ】ポリッシャー5選
ポリッシャーを選ぶポイントをもとに、自動車整備士がおすすめするポリッシャー5選を紹介します。
(1)GEX 125-1 AE PROFESSIONAL|BOSCH

出典:GEX 125-1 AE PROFESSIONAL|BOSCH
1.3kgの軽量ボディのため片手で扱いやすく、初心者や中級者にもおすすめのポリッシャーです。
狭い場所や部分的な修理にも使いやすく、速度事前選択機能と効率的な吸じんシステムが特徴。さらに、手にフィットするラバーグリップは振動を軽減する効果があります。
(2)APED130KT|KYOCERA

初心者や中級者でも扱いやすいダブルアクション方式のポリッシャーです。小傷や汚れだけでなく、日焼けやオーロラマーク、ヘッドライトのくすみなども簡単に取り除けます。回転数調節ダイヤルで磨き方の調整が可能です。
(3)電動ダブルアクションポリッシャー AC100V|STRAIGHT

出典:電動ダブルアクションポリッシャー AC100V|STRAIGHT
速度調整ができる変速機構付きのポリッシャー。塗装面の磨きや艶出し作業をおこなえます。さらに、バフなどの取り付け可能なパーツは別売りとなっており、自分の好みや作業内容に合わせて選ぶことが可能です。
(4)コードレスポリッシャーサンダー 12V|STRAIGHT

出典:コードレスポリッシャーサンダー 12V|STRAIGHT
充電式で電源コードやエアー設備機器が不要なため、使う場所を選びません。さらに、回転速度を調整することでポリッシャーとサンダーの2種類の方法で使えるため、車のヘッドライトレンズやバイクの磨きなどに利用できます。
(5)シャインポリッシュ|Pro Staff

一般家庭のコンセントから電源が取れる車用の電動ポリッシャーです。軽量コンパクトで、初心者から上級者まで簡単にプロ並みの仕上げが可能です。ダイレクトモータードライブ方式を採用したことで、振動と騒音を最小限に抑えられています。
上記4商品より研磨力が弱いため、はじめてポリッシャーを使う人におすすめです。
4.ポリッシャーの使い方やポイント

ポリッシャーの使い方やポイントをご紹介します。
(1)ポリッシャーを使う前の準備
ポリッシャーを使う前に必要な道具を揃え、ボディに付着している砂やほこりを洗い流しましょう。
①必要な道具を揃える
施工に必要な道具は以下の14つです。
1. カーシャンプー
2. シャンプー用スポンジ
3. 洗車時の水滴拭き取り用クロス
4. 水道水(用意できる場合はコーティング用の純水も)
5. 鉄粉落とし(液剤や粘土)
6. コンパウンド
7. ポリッシャー・バフ
8. コンパウンド塗布用クロス
9. コンパウンド拭き上げ用クロス
10. 研磨ペーパー
11. マスキングテープやビニール
12. コーティング剤
13. コーティング剤塗布用のスポンジやクロス
14. コーティング拭き上げ用のクロス
②車を洗車する
ボディに砂やほこりなどが付着している場合、ポリッシャーで磨くと表面に傷をつける可能性があります。
そのため、カーシャンプーを使って洗車し、ボディに付着した砂やほこりをきれいに落としましょう。洗車後は、ボディについた水滴をクロスで拭き上げてください。
また、洗車で落ちなかった鉄粉汚れは、鉄粉落としを使って取り除きましょう。鉄粉が残ったままだとバフに鉄粉が入り込み、研磨によってボディを傷つけてしまいます。鉄粉落としには、液剤タイプと粘土タイプがあります。
粘土タイプの場合、一時的に小傷が入る可能性がありますが、ポリッシャーを使ってきれいな表面にしてください。
(2)ポリッシャーを使う手順
ポリッシャーを使う手順をご紹介します。
①マスキングテープなどで周辺を保護する
ポリッシャーが磨く場所以外にバフが当たらないように、その部分の周辺はマスキングテープで保護しましょう。未塗装樹脂やゴム部品、ガラスパーツなどにあたると傷をつける可能性があります。
②コンパウンドを適量つける
適量のコンパウンドをバフにつけてください。磨く範囲や傷の程度によって異なりますが、リキッドタイプの場合は五百円玉サイズ、ペーストタイプの場合は1cm程度が目安です。
コンパウンドの量が多いと、ポリッシャーを使ったときに飛び散る可能性やムラになる可能性があります。磨く範囲に何箇所かポリッシャーでスタンプしてから磨くと、飛び散りなどを抑えられます。
おすすめのコンパウンド剤は下記の記事で紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
③ポリッシャーでボディを研磨する
ポリッシャーを使い、ボディを研磨します。スピードは上げずに、ゆっくり磨くことを意識してください。ただし、同じ箇所を長時間磨いた場合、熱が入りコンパウンドが焼ける可能性があります。
最悪の場合、変色する恐れもあるため、同じ箇所を磨き続けるのではなく、ポリッシャーをゆっくり動かしましょう。
④クロスでコンパウンドを拭き上げる
ボディに残ったコンパウンドをクロスで拭き上げます。コンパウンドが付着したままでは、ボディに悪影響を与える可能性があるので丁寧に拭き上げてください。力強くこすってしまうと、きれいになったボディを傷つけてしまうため注意してください。
また、拭き上げるときに、磨き残しなどがないかを確認します。まだ傷が目立つ場合は、再度コンパウンドを使い磨きましょう。
⑤ポリッシャーで仕上げ研磨する
最後に一番小さい粒子のコンパウンドを使い、仕上げの磨き作業をしましょう。一番小さい粒子で磨くことでボディに残った磨き傷などがきれいになり、さらに美しい光沢が出ます。
再度コンパウンドを拭き上げ、周辺の保護に使ったマスキングテープなどを剥がしたら終了です。
コンパウンドの粉がボディの隙間にたくさん入っている場合は、コーティング作業の前にもう一度洗車すると、コーティングがより一層綺麗に仕上がります。
(3)コーティング作業
ポリッシャーを使った下地処理後は、コーティング作業になります。
①コーティング剤を塗布する
塗布用クロスを使い、コーティング剤をボディに塗布します。取扱説明書に記載されている指示に従い、パネルごとに分けるなど少しずつ塗布してください。液剤を均一に、優しく塗布するように心がけましょう。
おすすめのコーティング剤や施工方法は下記の記事で詳しく解説しています。ぜひこちらもご覧ください。
②コーティング剤を拭き上げる
一定時間経過後、拭き上げ用クロスで余分なコーティング剤を丁寧に拭き上げます。このとき、拭き上げ用クロスを一度水で濡らし、しっかりと絞ってから拭き上げましょう。水分を含んだクロスを使うことで、ボディを傷つけるリスクをさらに抑えます。
拭きムラや拭き残しがないように丁寧に拭き上げることで、コーティング効果が均一に広がり、車の美しさが一層高まります。
(4)ポリッシャーを使うときのポイント
ポリッシャーを使うときのポイントは以下の3つです。
1. 動かし方
2. 磨く順番
3. バフの種類
順にご紹介します。
①動かし方
ポリッシャーの動かし方は、縦横均一にムラなく磨くことが基本です。動かすときはポリッシャー自体の重さだけで十分な圧力がかかるため、押さえつける必要はありません。
できるだけバフがボディに接地している状態にし、手は支えるだけでゆっくり丁寧に動かしましょう。折り返すときは、磨いた部分の半分をバフで覆うことで均等な仕上がりになります。
細かい場所を磨くときにバフを斜めにし、ウィリーさせた状態で角を使って磨こうとすると、ポリッシャーが不安定になり危険です。
②磨く順番
一般的にポリッシャーで磨く順番は、大きな平面部分から順におこないます。
1. ボンネット
2. トランク
3. ルーフ
4. フェンダー
5. ピラー
6. ドア
7. バンパー
8. 細部
磨く面積が大きいパーツは、そのパーツをさらに細かく区分けして順序立てて作業しましょう。フェンダーやピラー、ドアといった縦面部分は曲線も多いため、時間をかけて丁寧に磨いてください。
5.ポリッシャーを使うとき注意点
ポリッシャーを使うときの注意点は以下の3つです。
1. 事前準備は怠らない
2. コードは肩に引っ掛ける
3. 細かい所は手磨き
順にご紹介します。
(1)事前準備は怠らない
ポリッシャーの事前準備が不足したまま磨き作業すると、取り返しのつかないことになる可能性があります。
洗車や鉄粉落としなどをせずにポリッシャーを使った場合、ボディに砂や泥、鉄粉が残ったまま研磨することになるため、ボディが傷だらけになるかもしれません。
また、磨かない場所はマスキングテープなどで保護し、作業中に当たって塗装が剥げるといったことがないように注意してください。
(2)コードは肩に引っ掛ける
コンセント式ポリッシャーのコードや延長ケーブルは、肩に引っ掛けて作業しましょう。コードを地面に引きずったり、ボディに接触させたりすると、安全性や仕上がりに影響を与えます。
コードがボディに当たると傷がついたり、最悪の場合は塗装が剥がれたりする可能性があるため注意してください。
(3)細かい所は手磨き
ポリッシャーは大きな面積を効率的に作業するのに優れた道具ですが、細かい部分や複雑な形状の部分は手磨きが適しています。
たとえば、ドアの持ち手やミラー周りなど細かい場所は、ポリッシャーではなくクロスで磨いてください。汚れや傷がひどい場合は、研磨ペーパーを使います。
無理にポリッシャーを使った場合、押し当てる強さや磨く場所を誤って、ボディにダメージを与える可能性があります。
6.車のメンテナンスはグーネットピットにお任せください
ポリッシャーは、表面の細かな傷や汚れを除去し、ボディの輝きを取り戻します。コーティング前の下地処理にポリッシャーを使うことで、コーティングをより美しく仕上げてくれます。
しかし、ポリッシャーはボディの表面を研磨しているため、誤った方法や力加減で磨いた場合、ボディにダメージを与えてしまうかもしれません。また、ポリッシャーを使う前の事前準備や磨いたあとのコーティング作業などの時間を取れない人もいるでしょう。
もし、きれいに作業する自信がなかったり専門業者に依頼したい場合は、グーネットピットにお任せください。大事な愛車の美しさを維持するために、専門スタッフが事前準備から磨き作業、コーティングを丁寧におこないます。