コーティング・クリーニング
更新日:2023.12.28 / 掲載日:2023.12.28
コーティング前に研磨は必要?効果や手順、注意点をわかりやすく解説

長年、車を使っているとボディに傷や汚れが蓄積し、光沢感やツヤ感は失われていきます。しかし、傷や汚れを研磨で取り除いてからコーティングすることで、新車用のような輝きを取り戻すことが可能です。
この記事では、コーティング前に研磨が必要な理由や効果、施工手順について詳しく解説しています。愛車のコーティングを検討している人は、ぜひご覧ください。
1.コーティング前に研磨が必要な理由
コーティングには、ボディについた小傷を目立たなくし、光沢やツヤを与える効果があります。しかし、これらの効果を最大限発揮させ、長期間維持するには塗装面を研磨し、コーティングする下地を整えておく必要があります。そこで、コーティング前に研磨が必要な理由を、メリットとあわせて2つご紹介しましょう。
(1) コーティング効果が長持ちする
コーティング効果を長持ちさせるには、塗装面にコーティング剤を密着させることが重要です。しかし、塗装面に汚れや水アカ、小傷などがあると、それらの凹凸によってコーティング剤の密着率が下がり、剥がれやすくなります。
そこで、塗装面の凹凸を均一にし、コーティング剤の密着率を上げるためには研磨する必要があるということです。
研磨とは、コンパウンド(研磨剤)を使って塗装面の表面を削る作業のこと。塗装面についた汚れや水アカ、小傷などを取り除き、ボディの光沢やツヤを復活、向上させる。 |
基本的にコーティング前には車全体を洗車し、塗装面についた汚れや砂、ほこりなどを洗い流します。しかし、汚れや砂などは洗車で落とせても、固着した汚れや水アカ、小傷は取り除けません。
そのため、研磨で固着した汚れや水アカ、小傷を取り除き、塗装面をなめらかにすることで密着率を向上させます。
(2) 見た目の仕上がりが向上する
コーティング前に研磨することで塗装面の凹凸がなくなり、光沢やツヤなど見た目の仕上がりが向上します。
車のボディには日常的な使用や外部からのダメージ(鳥の糞や砂、洗車傷、雨水など)によって、汚れや小さな傷が付着しています。
これらが長年蓄積されると塗装面は凹凸がある状態になり、光の反射が散乱するため、ボディの光沢やツヤが失われたように見えるのです。
そこで、研磨によって塗装面の凹凸を均一にすると、適切に光が反射するため、ボディは美しい光沢やツヤを取り戻せます。
また、光沢やツヤを取り戻してからコーティングすることで、コーティング剤の密着率が上がり、さらに塗装面の光沢感を向上させることが可能です。
なお、研磨せずにコーティングした場合でも、元々ついていた傷が目立たなくなることがあります。
これは、コーティング剤が傷に入り込み、凹凸をなくしているためです。しかし、この傷は埋めて隠しているだけのため、コーティングが劣化したり剥がれたりすると、残っている傷は再び現れます。
2.新車と中古車で研磨方法は異なる
新車と中古車ではボディについている傷や汚れが異なるため、コーティング前の研磨方法も異なります。
(1) 新車の場合
新車の場合、基本的に大きな傷はないため、一目で見てわかる傷がボディになければ研磨する必要はありません。
新車でも工場から販売店舗へ輸送される間や保管中に傷がついてしまう恐れはありますが、研磨されてから納車になるため、一目でわかる傷はないでしょう。
また、新車はルーフやボンネットに汚れや傷を防止するラッピングがされています。在庫として長期滞留していると、ラッピングの境目がうっすら見えることがあります。その場合は、少し研磨するとよいでしょう。
その他にも、実際はパッと見でわからない小さな傷が多数ついており、太陽の光や光の加減によって見えるようになります。そのため、見方を変えることで見えたり、気になったりする傷があれば研磨して取り除きましょう。
なお、車全体に傷がついていない限り、広範囲を研磨する必要はありません。目の細かい超微粒子のコンパウンドで傷がついている部分を中心にその周りのみを研磨してください。
(2) 中古車の場合
中古車は多くの傷や汚れがボディに付着しています。以前のコーティングが残っていることもあるでしょう。
そのため、中古車をコーティングする前には車全体を研磨し、傷や汚れ、コーティングを取り除き、光沢やツヤを取り戻してから施工してください。これらが残ったまま施工すると、コーティング剤がムラになったり、剥がれやすくなったりします。
中古車の場合は、研磨する範囲は広範囲になるため、ポリッシャーを使って研磨することをおすすめします。ポリッシャーとは、塗装面を磨き、小傷や汚れを取り除く道具です。
下記の記事では、ポリッシャーの特徴やメリット、使い方を詳しく解説していますので、参考にしてください。

3. コーティング前に研磨する手順
コーティング前に研磨する手順を解説します。あわせて、コーティング方法についてもご紹介しましょう。
(1) 研磨に必要なもの
研磨に必要なものは以下のとおりです。
・カーシャンプー
・シャンプー用スポンジ
・洗車時の水滴拭き取り用クロス
・水道水(用意できる場合はコーティング用の純水も)
・鉄粉落とし(液剤や粘土)
・コンパウンド
・コンパウンド塗布用のスポンジやクロス(コンパウンドによって使い分ける)
・ポリッシャー・バフ(持っている場合)
・コンパウンド拭き上げ用のクロス
・マスキングテープやビニール
(2) 研磨の手順
研磨の手順をご紹介します。
①車を洗車する
ボディに付着した砂やほこりなどは、研磨時に表面を傷つける原因になります。まずはカーシャンプーを使い、ボディを丁寧に洗車し、きれいに落としましょう。洗車後は、クロスで水分を拭き取ります。
また、鉄粉汚れが残っている場合、専用の鉄粉落としを使って除去してください。鉄粉が残っていると、その箇所を研磨したときにボディが傷ついてしまいます。
なお、鉄粉落としには液体タイプと粘土タイプがあります。粘土タイプは、一時的に小さな傷ができることがありますが、研磨のときに取り除ける程度です。
②周辺を保護する
研磨する場所以外に、コンパウンドが付着しないように保護します。マスキングテープやビニールテープを未塗装の樹脂部分やゴム製の部品、ガラスパーツなどに貼ってください。
これらの箇所にコンパウンドが付着すると、変色する可能性があります。
③適量のコンパウンドをつける
摩擦熱を抑えるために、コンパウンドを塗布するスポンジやクロス、バフを水で濡らしておきます。
これらにコンパウンドを適量取り、傷とその周辺を丁寧に磨きます。コンパウンドの適量は磨く範囲や傷の程度によって異なりますが、リキッドタイプの場合は五百円玉サイズ、ペーストタイプの場合は1cm程度が目安です。
おすすめのコンパウンド剤は下記の記事で紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
④ボディを研磨する
磨くときは上から下へ、または左から右へといったように、一定の方向を意識しながら均一に磨くことが重要です。円を描くように磨くと新たな傷がついたり、ムラが生じたりする可能性があるため注意してください。
ポリッシャーを使う場合は、スピードは上げずに、ゆっくり磨くことを意識しましょう。
⑤コンパウンドを拭き上げる
ボディに残ったコンパウンドをクロスで丁寧に拭き取りましょう。コンパウンドがボディに付着したままでは、ボディに悪影響を与える可能性があります。
ただし、強い力で拭き上げると、新たな傷をつけてしまう可能性があるため注意してください。
拭き取り作業中に磨き残しがないか確認し、まだ目立つ傷がある場合は、再度コンパウンドを使用し磨き直しましょう。
⑥仕上げ磨きをする
最後に一番小さい粒子のコンパウンドを使用し、仕上げの磨き作業をします。小さな粒子で仕上げることで、ボディに残った細かな磨き傷などがきれいになり、さらに光沢感が出ます。
その後、再度コンパウンドをきちんと拭き取り、保護用として貼っていたマスキングテープなどを剥がしてください。
この次の手順はコーティングになります。もし、ボディの隙間にコンパウンドの粉がたくさん入っている場合は、再度洗車することでより美しくコーティングが仕上がります。
(3) コーティングの手順

ボディの傷や汚れを除去し、新車のような光沢を取り戻したら、コーティング作業になります。
①コーティングに必要なもの
コーティングに必要なものは以下のとおりです。
・コーティング剤
・コーティング剤塗布用のスポンジやクロス
・コーティング拭き上げ用のクロス
②コーティング剤を塗布する
コーティング剤はムラなく塗る必要があります。取扱説明書の指示に従い、専用のスポンジやクロスを使い、均一に塗布してください。
塗布後は、コーティング剤が定着するまで乾かします。乾燥する時間は、コーティング剤や気温などによって異なるため、使用するコーティング剤の指示に従ってください。
なお、乾燥中に水分が付着すると、硬化不良やムラになる可能性があるため気をつけましょう。
おすすめのコーティング剤や施工方法は下記の記事で詳しく解説しています。ぜひこちらもご覧ください。
③コーティング剤を拭き上げる
一定時間経過後、余分なコーティング剤をクロスで拭き上げます。拭き上げに使うクロスは一度水に濡らし、しっかり絞ってから使いましょう。水分を含んだクロスを使うことで、ボディに傷がつくリスクを抑えられます。
余分なコーティング剤を丁寧に拭き取ることで、コーティング効果が均等に広がるため、見た目の美しさがさらに引き立つことでしょう。
(4) 業者に依頼する場合の相場と注意点
依頼するときの相場は、一般的には約7万円から12万円程度になります。ただし、業者や車の大きさ、ボディの状態、使用するコーティング剤の種類などにより変動します。
また、専門業者に依頼する場合、コーティング前に研磨するかを確認しましょう。車の状態や使用するコーティング剤によっては、研磨する必要性がない場合があります。
なお、依頼する専門業者を選ぶときは、以下のポイントを確認しましょう。
1.施工実績:研磨とコーティングの実績が豊富か
2.施工方法:使用するコーティング剤や研磨材、研磨方法
3.アフターサポート:施工後の保証内容やメンテナンスの有無
4.口コミ・評判:インターネット上や周りの人の口コミや評判
信頼できる業者に依頼するためにも、複数の専門業者に問い合わせて、コストとサービス内容を比較することも重要です。
4. 研磨するときの注意点
自分で研磨するときの注意点は以下の5つです。
1.爪で引っかかる傷は研磨しない
2.直射日光が当たる場所で施工しない
3.何度も研磨しない
4.同じ箇所を集中的に磨かない
5.研磨力の弱いものから順に使う
順にご紹介します。
(1) 爪で引っかかる傷は研磨しない
爪で引っかかる傷の場合はクリア層だけでなく、塗装面や下地まで傷が達しているため、研磨してはいけません。
研磨は、ボディのクリア層(ボディの一番上の層)にある傷や汚れなどを削り取ることで目立たなくする作業です。そのため、クリア層を削りすぎるとその下にある塗装を剥がしてしまい、下地が出てくる恐れがあります。
なお、研磨によって目立たなくできるものは、以下のとおりです。
・車についた浅い傷 ・鳥の糞やシミ ・イオンデポジット(白いリング上の水シミ) |
なお、鳥の糞は塗装に侵食している可能性があります。強い力で磨くと塗装が剥がれるかもしれないため、他の汚れより慎重に磨いてください。研磨経験が少ない人は、研磨力が一番弱いコンパウンドやバフの組み合わせで施工することをおすすめします。
(2) 直射日光が当たる場所で施工しない
直射日光が当たる場所で、研磨作業はしないように注意してください。
車に直射日光が当たるとボディが熱くなります。さらに、研磨時の摩擦熱が加わることで塗装面が削れすぎてしまうことや、コンパウンドが塗装面に焼き付いてムラになる恐れがあります。
そのため、直射日光が当たる場所を避け、日陰や屋内で施工しましょう。とくに、気温の高い日はコンパウンドの乾燥が早まる可能性もあるため、作業する日は慎重に選んでください。
(3) 何度も研磨しない
何度も繰り返し研磨することでクリア層を削りすぎてしまい、塗装や下地に達してしまう可能性があります。
一般的な車の膜厚は約100μm(0.1mm)と非常に薄く、そのなかでもクリア層は約40μm(0.04mm)と言われています。
一度の磨きで1~3μm程度削り取られるため、何度も繰り返し研磨することで、いつの間にか塗装や下地を削っているかもしれません。ボディに光沢やツヤが出るからといって、研磨しすぎないように注意してください。
(4)同じ箇所を集中的に磨かない
塗装面を研磨するときは、同じ箇所を集中して磨かないようにしてください。また、強い力で押し付けるように磨いてはいけません。
同じ箇所を集中的に磨くと、その一点に摩擦熱が集中します。すると、摩擦熱によってコンパウンドが焼ける可能性があり、最悪の場合、塗装面が変色する恐れがあります。強い力で磨くと摩擦熱はより高くなるため、優しく磨きましょう。
(5)研磨力の弱いものから順に使う
コンパウンドは研磨力が弱い(粒子が小さい)ものから順に使いましょう。
研磨力が強い(粒子が大きい)ものから使うと、傷に対して必要以上の力で研磨する可能性があり、ボディに過度なダメージを与える恐れがあります。研磨力が弱いものから順に使うと、必要以上に研磨することを避けられます。
なお、コンパウンドの特徴は以下のとおりです。番手の数字が大きいほうが研磨力が強く、小さい数字のほうが研磨力も小さくなります。
番手 | 粒子 | 用途 |
---|---|---|
600〜800 | 粗目 | 広い傷用、ウールバフに使用 |
800〜1,000 | 中目 | 通常の傷、浅い傷用、ウールバフに使用 |
1,200〜1,500 | 細目 | 肌調整用、ウールバフに使用 |
2,000〜3,000 | 極細目 | 磨き跡用、水アカ除去用、スポンジバフに使用 |
6,000〜15,000 | ツヤ出し | ツヤ出しや磨き上げ用、スポンジバフに使用 |
バフは、ポリッシャーに取り付けて塗装面の傷を研磨、ツヤを出します。ウールバフは、比較的研磨力が強く、スポンジバフは研磨力が弱いのが特徴です。
具体的には、極細目のコンパウンドから始めます。もし、極細目で傷が消えなければ、次に細目、そして中目と研磨力を上げてください。
大まかな傷が消えたら、仕上げの研磨作業を行います。この工程では、細目から極細目、ツヤ出しの順に研磨します。
5.研磨やコーティングに関するQ&A
研磨やコーティングに関してよくあるQ&Aを3つご紹介します。
1.コーティング施工車に研磨してもよい?
2.コーティングで傷消しできる?
3.コーティング後はメンテナンスが必要?
(1) コーティング施工車に研磨してもよい?
コーティング施工車についた浅い傷は、コンパウンドを使い研磨することで目立たなくできます。
ただし、傷と一緒にコーティングも削ってしまうため、研磨後は再度コーティングする必要があります。
下記の記事では、コーティング施工車についた傷や汚れにコンパウンドを使う方法を解説していますのでご覧ください。
(2) コーティングで傷消しできる?
コーティング自体に傷を消す効果はありませんが、傷を目立たなくすることは可能です。
これはコーティング剤が傷に入り込み、凹凸をなくすことで、目立ちづらくするという方法です。
ただし、この傷は埋めて隠しているだけになるため、コーティングが劣化したり剥がれたりすると、残っている傷は現れてきます。
(3) コーティング後はメンテナンスが必要?
コーティングは紫外線や酸性雨、傷、汚れなどによって日々ダメージを受けています。
これらのダメージが蓄積されるとコーティングが劣化し、期待する効果が発揮されにくくなるため、定期的なメンテナンス(洗車やメンテナンス剤の使用)が必要です。
6.車のメンテナンスに関することはグーネットピットにご相談ください
コーティング効果を最大限発揮させ、持続させるには、コーティング前にボディについた傷や汚れを取り除く必要があります。傷や汚れがなくなり、塗装面の凹凸が均一になると、新車のような光沢とツヤを取り戻せます。
しかし、傷や汚れを取り除くには塗装面を削る必要があり、誤ってコンパウンドやポリッシャーを使った場合、塗装や下地にダメージを与えてしまうかもしれません。また、自分で作業するには道具が必要であり、準備する時間や知識が足りない人もいるでしょう。
もし、専門業者に相談したいと悩まれている人は、グーネットピットにお問い合わせください。専門知識と豊富な経験を持つスタッフが、あなたの愛車を丁寧にメンテナンスします。