コーティング・クリーニング
更新日:2022.05.13 / 掲載日:2022.05.13
車のコーティングに欠かせない下地処理とは?DIYでの手順も解説

車のコーティングを行なうと、傷・汚れ・剥離といったトラブルから塗装面を守れるだけではなく、見た目の美しさや資産価値も高めることができます。コーティングを成功させるためには、事前の下地処理が欠かせません。
下地処理とはそもそも何をするのか、どのような手順で実施するのかなど、詳しく知らないという方も多いのではないでしょうか。
ここでは、下地処理の基礎知識を踏まえつつ、各手順の詳細や注意点などを解説しています。
車のコーティングに欠かせない下地処理とは?

下地処理とは、コーティングを行なう前に塗装面の汚れや細かい傷を取り除いて、きれいな状態に整えることです。料理に例えると食材の下ごしらえ、化粧に例えるとファンデーションが当てはまるでしょう。
この下地処理によってコーティング剤の密着性がアップし、最大限の効果が発揮されるようになるのです。具体的に説明すると、以下のような効果が見込めます。
・塗装面のツヤや輝きがしっかり出る
・コーティング効果の持続時間がより長くなる
・コーティングのムラが出にくくなる
つまり、下地処理をきちんと行なうかどうかで、コーティングの仕上がりに大きな差が出るということです。そのため、コーティングの成否は下地処理にかかっているといっても過言ではありません。
また、下地処理とコーティングは基本的にセットで実施しますが、どちらも時間がかかる作業です。コーティングの性質上、1日で作業を終える必要があるので、朝一から取り組まなければなりません。
下地処理の基礎知識をさらに詳しく解説するので、こちらも併せてご確認ください。
下地処理に必要なものは?
下地処理を行なう場合、まずは以下のものを準備する必要があります。
・カーシャンプー
・スポンジ
・マイクロファイバークロス
・絵具用筆
・バケツ
・鉄粉除去剤
・トラップ粘土
・水垢除去剤
・イオンデポジット除去剤
・コンパウンド
・マスキングテープ
・脱脂剤
下地処理ではボディ全体を洗車したり、薬剤を塗布したりするため、服装にも注意が必要です。季節や気温のことも踏まえながら、動きやすく汚れても問題ない服を選びましょう。
また、指輪やネックレスをつけたまま作業すると、車を傷つけてしまう可能性があるので、事前に外しておいてください。
下地処理の流れ
下地処理では、基本的に以下のような手順で作業を進めます。
1.カーシャンプーを使って洗車する
2.鉄粉を除去する
3.水垢を除去する
4.イオンデポジットを除去する
5.コンパウンドで研磨する
6.水洗いで洗車する
7.脱脂する
各手順の詳細は後述するので、まずは全体の流れを押さえておきましょう。
下地処理の手順詳細【コーティング初心者必見!】

下地処理は大きく分けると、7つの手順があります。作業自体はそれほど難しくありませんが、何をどうすべきなのかわからない、コーティング自体やったことがないという方も多いでしょう。
そこで、コーティング初心者でも一から学べるよう、下地処理におけるDIY手順の詳細をまとめました。
手順1.カーシャンプーで洗車する
下地処理で最初にやるべきことは、ボディ全体の洗車です。一見きれいな車でも、塗装面には砂やホコリなどがたくさん付着しています。これらが残ったままコーティングを行なうと、塗装面が傷ついたり、コーティング効果が落ちたりするので、きちんと取り除かなければなりません。
実際に作業するときは、まず砂やホコリを水で洗い流してから、カーシャンプーとスポンジを使って優しく丁寧に洗車します。カーシャンプーは弱アルカリ性のものが最適ですが、ボディカラーによって選ぶべき製品も変わるので、その辺りも確認しておきましょう。
カーシャンプーはバケツ内でしっかり泡立ててから使うと、泡が不純物を包み込んでくれるので、塗装面にかかる負担も減ります。
エンブレムや塗装面のパネル間など、細かい部分の汚れを取り除く場合、イオンデポジット除去剤やコンパウンドも併用すると効果的です。絵具用筆を使うと、スポンジが届かない部分の汚れも簡単に落とせるので、ぜひ活用してみてください。
ボディを隅々まで洗車したら、シャンプー液などが残らないようしっかり水で洗い流します。続いて鉄粉除去を行なうので、塗装面の水分は拭き取らなくても構いません。
手順2.鉄粉を除去する
洗車後の塗装面を触ってザラザラする場合、鉄粉やピッチタールが付着している証拠です。
鉄粉は文字どおり鉄分を含む不純物であり、車のブレーキダストや工場から出る粉塵などが原因で付着します。一方、ピッチタールはアスファルトから跳ね返る油汚れであり、舗装したばかりの道路や炎天下で熱くなった道路でよく付着するものです。
これらが残っているとコーティングの密着性もダウンするため、事前に取り除かなければなりません。しかし、洗車だけでは対処できないので、専用の鉄粉除去剤を使う必要があります。
塗装面に鉄粉除去剤をかけると、化学反応によって鉄粉が紫色へと変化するため、どこに付着しているか一目で確認することが可能です。あとはトラップ粘土(鉄粉除去用粘土)を使って付着箇所を優しく擦れば、鉄粉をきれいに取り除くことができます。鉄粉除去が終わったら、水ですすぎましょう。
手順3.水垢を除去する
水垢もコーティングの密着性を下げる原因なので、しっかり取り除く必要があります。また、塗装面が水を弾いている場合、ワックスや排気ガスによる油膜が付着しているので、こちらも対処しなければなりません。
洗車しても落とせない水垢や油膜に対しては、専用の水垢除去剤(油膜除去剤)が効果を発揮します。スポンジに薬剤をつけて優しく擦るだけで、簡単に取り除くことが可能です。
特にドアミラーやバンパー、灯火類まわりは水垢が付着しやすいので、重点的かつ丁寧に擦りましょう。除去作業が終わったら、水で薬剤を洗い流してからマイクロファイバークロスで拭き取ります。
手順4.イオンデポジットを除去する
イオンデポジットとは、水分に含まれる不純物(ミネラルなど)が付着することで生じる、白いウロコ状の汚れです。雨が降ったときや洗車後など、塗装面が濡れた状況でよく発生します。
カーシャンプーや水垢除去剤でも落ちないことがあるので、専用のイオンデポジット除去剤で対処しましょう。マイクロファイバークロスに薬剤をつけて塗布すれば、イオンデポジットはすぐに落とせます。
何度か擦っても汚れが落ちない場合、それは塗装面に侵食しているウォータースポットです。イオンデポジット除去剤では対処できないので、次の手順に移りましょう。
手順5.コンパウンドで研磨する
コンパウンドとは、ボディ表面を滑らかにする研磨剤のことです。塗装面を薄く削ることで、上記の手順で落とせなかったしつこい汚れ、爪が引っかからない程度の浅く細かい傷を解消できます。また、塗装面のツヤや光沢を引き出せるため、見た目の美しさにも関わるポイントです。
今まで紹介した汚れと同じく、塗装面の傷もコーティングの密着性を下げてしまうので、事前にきちんと対処しなければなりません。
コンパウンドは、粒子が粗いタイプや細かいタイプ、液状タイプやペースト状タイプなど、さまざまな種類に分かれています。それぞれ特徴や使用感が異なるため、傷の状態や作業箇所に合わせて選ぶことが大切です。
使い方はシンプルであり、コンパウンドをスポンジにつけて、優しく塗装面を磨けば効果を発揮します。円運動ではなく、縦・横を往復するように磨きましょう。
また、コンパウンドが車内やタイヤに付着すると悪影響なので、事前にマスキングテープやビニール袋で養生することも重要です。
なお、研磨しすぎると塗装が剥がれて下地まで出てしまうので、あらかじめ注意してください。
手順6.水洗いで洗車する
手順1~5が完了したら、もう一度ボディ全体を洗車します。各種薬剤が塗装面に残らないよう、水でしっかり洗い流しましょう。マイクロファイバークロスなど併用すると、よりきれいに洗うことができます。
それが終わったら、ボディの隅々まで水分を拭き取ってください。
手順7.脱脂する
最後は塗装面に残った油分や余剰成分を取り除くため、脱脂作業を行ないましょう。脱脂によってコーティング剤がさらに密着しやすくなるので、よりきれいに仕上げることができます。
マイクロファイバークロスに脱脂剤をつけて、塗装面にまんべんなく塗布したあと、乾いたマイクロファイバークロスで拭き取れば下地処理は完了です。
コーティング前の下地処理に関する注意点

車をきれいにコーティングするためには、基本手順をきちんと把握したうえで、以下の3つのポイントに注意することが大切です。
汚れや傷を徹底的に取り除く
塗装面の汚れや傷が残ったままコーティングを行なうと、コーティング剤の密着性がダウンしてしまいます。その結果、仕上がりや見た目が悪くなったり、効果の持続時間が短くなったりして、作業をやり直すことにもなりかねません。
コーティングは下地処理も含めて時間がかかる作業なので、一回で成功させるつもりで取り組む必要があります。鉄粉除去やコンパウンドといった各手順を踏まえつつ、汚れや傷が残らないよう丁寧に作業することが大切です。
各種薬剤を正しく使用する
下地処理を行なう場合、水垢除去剤・イオンデポジット除去剤・コンパウンドなど、さまざまな薬剤を用いる必要があります。当然ながら薬剤によって用法・用量や使うべきシーンは異なるため、それらをきちんと把握しないまま作業すると、車にダメージを与えてしまいかねません。
あらかじめ説明書や注意書きをよく確認して、正しく使用することを心がけましょう。
難しいと感じたら業者に依頼する
下地処理やコーティングの手順はそれほど複雑ではありませんが、実際に作業を行なう場合、まとまった時間や作業に適した場所が必要となります。時間や場所をなかなか確保できない場合、自分で対応することは難しいかもしれません。
また、コンパウンドなどある程度の技術が求められる作業もあるため、不安ならプロの業者に依頼するのも一案です。
近くの業者を探すときは、ぜひグーネットピットをご活用ください。エリアや対応メニュー、お店の特長といった条件を指定して、ピッタリの業者を探せます。
まとめ
下地処理はコーティングの成否に関わる最重要ポイントであり、丁寧かつ徹底的な作業が求められます。必要なものや基本手順を把握しておけば、DIYで取り組むことも可能です。
しかし、下地処理を終えても汚れや傷が消えなかった場合、専門的な知識や技術を身につけた業者に任せるべきでしょう。無理に作業を続けると、車が修復不可能なダメージを負ってしまうかもしれないからです。
自分で対処できるかどうかのラインを見極めて、DIYか依頼かを判断しましょう。