コーティング・クリーニング
更新日:2018.05.29 / 掲載日:2018.05.29
エアコンメンテ塾 フィルター交換

快適な空気を 得るための エアコン フィルター交換
現在のクルマにはエアコンフィルターが装着されているが、定期交換パーツという意識が低いのか何年も継続して使用されていることが珍しくない。ホコリまみれのフィルターでは不快なだけでなく、エアコンの性能も確実に低下してしまう。
フィルターは毎年交換を実施するのが理想的

クルマのエアコンにはフィルターが装備されていて、花粉や粉じんなど外気中に含まれる様々な微粒子を取り除くようになっている。エアコンへの空気の取り入れは、外気導入ではワイパーの下あたり、内気循環だとグローブボックスの裏側で行っているのが大半だが、それらの切り替え機構の後ろにフィルターがあり、どちらのモードでも微粒子を除去できるようになっている。
家庭用のエアコンと違って、カーエアコンでは吹き出し口と操作パネルしか見えず、エアコンユニットの存在はついつい忘れられがち。そのためか一般の人はフィルターが付いていること自体を知らない人もいる。5年くらい使ってフィルターが目詰まりして、風量が落ちたり冷房の効きが悪くなってから交換されることも決して珍しくはないようだ。
長期間使ったフィルターは、ホコリや花粉、虫の死骸が付着するなどしており、いくらろ過されるとはいえ、直前にそこを通過した空気は吸いたくないという気分になる。
エアコンの性能としても、風量が落ちるとエバポレーターが冷えすぎるため、凍結を防ぐためにコンプレッサーが停止しやすくなり、結果的に冷房能力も低下する。
フィルターの交換時期は1~2年だが、最近は花粉やPM2.5などにより空気中の粉じんが増えていると思われるので毎年交換するのがいいだろう。
交換は自分できるものが多いが、車種によっては内装パネルを外したり、場所が極端に狭い部分に装着されている場合もある。交換しやすい車種では、取扱説明書に記載されている。なにも記述がない場合やディーラーでの交換が推奨されている場合、そこそこ手間が掛かると思って間違いないだろう。
フィルターの 装着位置の主な例



オーナーができるものは取扱説明書にも記載、5分でできる!フィルターの交換方法


POINT グローブボックスを完全に外す車種も多い



POINT フィルター枠を外したら UPマークをチェック






POINT 内気循環にして交換するタイプも


せっかく交換するなら製品ごとの特徴も知っておきたい、交換用フィルターの機能に注目して選ぼう

ろ紙の形崩れを防止
純正の標準タイプ。同梱されているメンテナンスの目安には各国でのメンテ時期が示してあり、日本では標準で清掃が1万5000km、交換が3万km。多塵では半分だ。カナダでは清掃が8000km、交換が1万6000kmだった。フィルターの折り畳んだ谷間にはスペーサーがあるが、これはフィルターの変形や隣との密着を防ぐものだろう。


分厚いろ紙を採用
モノタロウのエアコンフィルター。スタンダードなろ紙タイプで高品質な不織布により、ゴミ・花粉・粉じんからミクロン以上の粒子まで取り除く。ろ紙が分厚いのが特徴。

ろ紙は機能別に2重
不織布フィルターと帯電フィルターの2重構造で、1μm以下の微粒子をカット。花粉も99.9%カット。粒子の径にもよるが、PM2.5も0.3μmまでは99~65%を除去、それ以下でも30%~程度の除去が可能。軽量だがサイド部も形崩れしにくい作りだ。




活性炭もラミネートする3層型
フィルターは白とブルーの不織布があり、内部には活性炭が万遍なく分散されている。活性炭の密度も高いので、高い脱臭効果を発揮する。フィルターの重量も112g(今回の製品)もあり、高い性能や機能が反映されている。



測ってみました。フィルターの機能や汚れで風量が変わるのか?

目詰まりフィルターの風量ダウンを確認

エアコンフィルターにはメーカーや機能によって、ろ紙の種類が多くあり、それぞれの形状や細かい仕上げを見ても、製品ごとの狙いやノウハウがあるのが感じられる。重さも様々で、今回ピックアップした製品では、46~112gと倍以上の違いがある。これはろ紙の枚数や厚み、面積、活性炭の有無やろ紙の形を保持する部材の質などが関係しているようだ。
ここでは、フィルターの汚れや製品別に、風量や通気抵抗が異なるのか測ってみた。風量は吹き出し口に風速計を設置して風量を変えながら計測した。通気抵抗はエアコンユニットの一部に測定用の管を取り付け、デジタル式のマノメーターで作動時の負圧を測ってみた。
テストに使ったクルマはトヨタマークXで、1年使用した純正フィルターが付いていた。まず、これを新品と比較すると、やはり風量の低下があり、ブロワー速度3段目で11%、速度最大で7.6%の違いが見られた。通気抵抗はほとんど違いがなかった。
風速の変化で意外なのがフィルターの違いよりも空気の取り入れ方による違いで、内気循環よりも外気導入のほうが風速は低下し通気抵抗も大きくなっていた。
フィルターごとによる計測では、ピアのフィルターが低速の風速が高くブロワー3段で2.9m/sだった。風速より通気抵抗で他との差が目立ち最も小さな数値を出していた。冷房で風の流れを重視したい人にはお薦めな製品である。
モノタロウは安価だが、フィルターの厚みは最も分厚いもの。他と比べるとフィルター自体が硬くゴワッとした感触。その分、若干抵抗が増えるのか風速では新品フィルター中では最も低い数値となる。通常使用では気にならないレベルだが、ブロワー1段など微風で比較すると違いが分かるレベル。通気抵抗も大きめの数値となっていた。
ボッシュは最上位の高機能バージョンで活性炭入りだったので、ろ紙も分厚い部類だ。こちらもブロワー1段では若干の風量低下を感じるが、フィルターをあれこれ比較して分かるレベル。通気抵抗も大きめだが、脱臭やウイルス除去などの高い機能性とトレードオフとなる部分だろう。微風を好む人には、フィルターで調整するという手もありそうだ。



風量測定の結果とろ紙の通気抵抗の値には完全な一致はなかったが、ろ紙の厚みによる違いは出ているようだ。最も通気抵抗が小さいのはピアで、低速から高速まで万遍なく低めを記録。こちらも外気導入はピアフィルターでの数値だ。フィルターが分厚いと通気抵抗は大きくなる傾向だった。1年使用品はさほど抵抗が増大せず。
提供元:オートメカニック