車検・点検・メンテナンス
更新日:2023.11.27 / 掲載日:2023.11.27
乗り心地重視の車高調ランキング 快適なドライブを実現するコツも解説

車高調(車高調整式サスペンション)は、車高を調整するパーツです。
この記事では、乗り心地を重視したときにおすすめの車高調を、ランキング形式で紹介しています。
また、乗り心地をよくするコツも紹介していますので、快適なドライブを実現したいときの参考としてください。
1. 乗り心地重視での車高調の選び方
現在、車高調は多くのメーカーから多様なモデルが登場しています。そのなかから、乗り心地を考えて車高調を選ぶときは、主に次のポイントをおさえておくとよいでしょう。
1.乗り心地を変えずに車高を下げたいときは「全長調整式」
2.ストリート走行での乗り心地をよくしたいときは「複筒式」&「ゴムブッシュ式」
3.乗り心地を細かく調整したいときは「減衰力調整付き」
(1)乗り心地を変えずに車高を下げたいときは「全長調整式」
車高調には、全長調整式・ネジ式・Cリング式の3種類があります。乗り心地を犠牲にせずに車高を下げたいときは、全長調整式の車高調がおすすめです。
全長調整式とは、車高を下げたときのストローク量が短くならないタイプを指します。ストローク量とは、ショックアブソーバーが上下に動ける範囲のことで、短いとそれだけ路面からの衝撃を受けやすくなり、乗り心地が悪くなります。全長調整式の場合はそれが起きにくいのが特徴です。
一方、ネジ式は、調整が簡単・シンプルな構造で耐久性が高いなどのメリットがあるものの、その構造の特徴から車高を下げるとストローク量が短くなり(正確にはプリロード〈事前にスプリングにかけておく負荷〉がよりかかり)、乗り心地に影響が及びます。また、車高を下げすぎた場合は、ショックアブソーバーが縮んで底付きが発生するリスクもあります。
Cリング式は、上記2つのタイプと比較して安価であるのがメリットです。ただし、その構造上、段階的にしか車高を変えられず、車高の微調整ができません。ネジ式と同じように車高を下げると乗り心地に影響があります。
これらのことから、乗り心地を重視するのであれば、全長調整式を選ぶのがベターです。
(2)ストリート走行での乗り心地をよくしたいときは「複筒式」&「ゴムブッシュ式」
ストリート走行(街乗り)で乗り心地を重視する場合、ショックアブソーバーの筒は「複筒式」で、アッパーマウントは「ゴムブッシュ式」が最適とされています。
1.ショックアブソーバーの筒内は、オイル室・ガス室・オイル室内を上下運動するピストンバルブなどで構成されており、この構造の違いによって複筒式と単筒式に分かれます。
複筒式は、筒内にもうひとつ筒があるのが特徴で、外側の筒にガス室、内側の筒にオイル室があります。単筒式は、ひとつの筒内に、フリーピストンを挟んでガス室とオイル室が設けられているタイプです。
こうした構造の違いから、複筒式のほうが単筒式よりもピストンバルブのストローク量が長く、衝撃吸収性能に優れています。そのため、複筒式は、道路状況が多様なストリート走行に適しているとされています。
2.アッパーマウントは、車高調を車に取り付ける部分のことで、ゴムブッシュ式とピロ式の2種類があります。
ゴムブッシュ式は、接合部分にゴムが用いられていることから、路面からの振動を吸収します。そのため、ストリート走行に向いているとされています。
なお、サーキット走行が中心の人は、単筒式・ピロ式が適しているとしばしばいわれます。単筒式は複筒式よりも耐久性が高いのが特徴で、ハードな使用環境に適しているためです。また、ピロ式も、車の動きを直接伝えてくれる特徴から、乗り心地よりも走行性能が重視されるサーキット走行においてはよく選ばれる傾向にあります。
ただし、最近では、次に紹介する「減衰力調整付き」の車高調が増えてきており、ストリート走行向きとしながら、単筒式やピロ式であるものも少なくありません。
そのため、各メーカーの商品ページにおいて、ショックアブソーバーの構造やアッパーマウントの種類だけでなく、どんなシーンに適しているのかもあわせて見ることをおすすめします。
(3)乗り心地を細かく調整したいときは「減衰力調整付き」
減衰力調整付きの車高調は、ショックアブソーバーの効きを変更できます。これにより、乗り心地を微調整することが可能になります。
減衰力は、それが弱いとスプリングの伸び縮みがゆっくりになり、乗り心地がやわらかくなります。一方、強いと乗り心地は硬くなります。
そのため、ストリート走行での乗り心地を重視する場合には減衰力を弱めに、サーキットなどでスポーティーな走りを求める場合には減衰力を高めに設定すると、それぞれの状況に応じた最適な乗り心地を実現できます。
2. 車高調を選ぶときにあわせて確認したい3つ
車高調を選ぶときは、乗り心地だけでなく、次の点も確認することをおすすめします。
(1)耐久性に優れているか
車高調は一度取り付けると長期間使用するため、耐久性は重視すべきポイントです。
具体的には、腐食に強いステンレス製や、耐衝撃性・耐久性に優れたアルミ製などの素材が用いられているかをチェックしましょう。製品によっては、耐久性を高めるための専用コーティングが施されているものもあります。
これらを購入前に、Webサイトを見たり、メーカーに問い合わせしたりして確認しておくと、より安心してドライブを楽しむことができます。
(2)メーカーの保証期間はどのくらいか
車高調を選ぶときは保証期間もチェックしましょう。保証期間がある程度の期間、設定されていれば万が一のトラブルがあったときも安心です。一般的な保証期間は1年間か走行距離10,000km未満ですが、それ以上の期間を設定している車高調もあります。
また、保証内容も、メーカーによって異なります。一部のメーカーでは部品の修理だけでなく、乗り心地に関する不具合に対して対応してくれるところもあります。
保証期間とあわせて保証内容も、耐久性と同様にWebサイトを見たり、メーカーに問い合わせたりして事前に確認しておくことが大切です。
(3)口コミ・レビューにはどんなことが書かれているか
車高調の口コミやレビューをチェックするのも重要です。選定するにあたり、以下のポイントに注目してみてください。
1.乗り心地の評価:乗り心地が良好であると評価されている商品を選ぶことで、より快適なドライブを楽しめるでしょう。
2.耐久性:耐久性が高く、長持ちすると評価されている商品か見ておきましょう。
3.取り付けやすさ:自分で取り付ける予定の人は、特に見ておきたい口コミです。
以上の3点を総合的に参考に、自分の求める乗り心地を実現する車高調を選んでみてください。
3. 乗り心地重視の車高調ランキング2023
上記を踏まえ、おすすめの車高調をランキング形式でご紹介します。
なお、本ランキングは、性能やAmazonや楽天市場における口コミ・レビューの内容、現場で働く整備士の意見などから独自に付けたものとなります。
(1)1位:BLITZ:DAMPER ZZ-R Spec-C

BLITZのDAMPER ZZ-R Spec-Cは、同社の人気シリーズDAMPER ZZ-Rのハイスペックモデルです。
単筒式ですが、別タンクを設けてオイル量を増やしており、かつ伸側・縮側を別個に調整できる2WAY32段減衰力調整機構を採用。サーキットでの走行性能とストリートでの乗り心地を両立させたい人におすすめです。アルミ製アッパーマウントやロックシートなどを取り入れ、強度と軽量化を両立しているのも特徴として挙げられます。
商品名 | 種類 | 単筒式 or 複筒式 | アッパーマウント | 減衰力調整 | 保証期間 |
---|---|---|---|---|---|
DAMPER ZZ-R Spec-C | 全長調整式 | 単筒式 | ピロ式 | 伸側・縮側それぞれ32段階 | 購入日から1年または走行距離10,000km未満 |
(2)2位:TEIN:FLEX Z

出典:FLEX Z丨TEIN
FLEX Zは、低価格でありながら、高品質な特性を持つ車高調を提供するTEINの製品です。複筒式を採用しているため、スムーズな動作と快適な乗り心地を体感できます。16段の伸縮同時減衰力調整機構によって、自分にとって最適な設定を見つけることも可能です。
また、リプレイスメントサービスを提供しており、ショックアブソーバーが劣化した場合でも、新品同等の性能を簡単に取り戻すことができます。
商品名 | 種類 | 単筒式 or 複筒式 | アッパーマウント | 減衰力調整 | 保証期間 |
---|---|---|---|---|---|
FLEX Z | 全長調整式 | 複筒式 | ピロ式 | 16段階 | 購入日から3年または走行距離60,000km未満 |
(3)3位:TANABE:SUSTEC PRO ZT40

「SUSTEC PRO ZT40」は、超微低速域から減衰力を発生させる「TVS(ツインバルブシステム)」を搭載し、全速度域で安定した乗り心地を実現しているモデルです。また、大容量ベアリングとスラストシートを採用し、静粛性にも優れています。
商品名 | 種類 | 単筒式 or 複筒式 | アッパーマウント | 減衰力調整 | 保証期間 |
---|---|---|---|---|---|
SUSTEC PRO ZT40 | 全長調整式 | 複筒式 | ゴムブッシュ式 | 40段階 | 購入日から2年間または走行距離40,000km未満 |
(4)4位:Cusco:Street ZERO A

Cuscoの「Street ZERO A」は、減衰力を40段階に調整可能で、理想的な乗り心地を追求できる製品です。車種は限られますが、e-con2と呼ばれる独自のコントローラーを使い、運転席から一つのボタンで減衰力を調整できます。また、アッパーマウントは標準装備、CPRV(圧力適正化バルブ)の採用により、低速から高速までの全領域で高い操縦安定性を実現しています。
商品名 | 種類 | 単筒式 or 複筒式 | アッパーマウント | 減衰力調整 | 保証期間 |
---|---|---|---|---|---|
Street ZERO A | 全長調整式 | 複筒式 | 車種による(スポーツ車、セダンはゴムブッシュ式) | 40段階 | 購入日から1年間または走行距離10,000km |
(5)5位:HKS:ハイパーマックス S

HKSの「ハイパーマックス S」は、ショックアブソーバーが逆立ちした倒立式を採用し、さまざまな走行条件でも優れたハンドリングと良い乗り心地を実現する車高調です。Dual PVS(デュアルプリロードバルブシステム)によって、路面に吸いつくような乗り心地を強く感じることができます。
商品名 | 種類 | 単筒式 or 複筒式 | アッパーマウント | 減衰力調整 | 保証期間 |
---|---|---|---|---|---|
ハイパーマックス S | 全長調整式 | 単筒式 | ゴムブッシュ式 | 30段階 | 購入日から3年間または走行距離60,000km |
4. 車の乗り心地をよくするためにしておきたい見直し
乗り心地を重視して車高調を選んでも、「乗り心地が悪いまま」「むしろ乗り心地が悪くなった」といったことがあるかもしれません。
その際は、次の点を見直してみると状況が変わることがあります。
(1)ロアアームのゴムブッシュの状態
車の乗り心地を左右する重要な要素の一つが「ロアアームのゴムブッシュ」の状態です。ロアアームのゴムブッシュは、車体とタイヤをつなぐロアアームに取り付けられ、衝撃や振動を吸収する役割を担っています。
破損や劣化が進んだゴムブッシュは、振動を適切に吸収できなくなるため、車体に走行中の振動や衝撃が直接伝わりやすくなります。したがって、乗り心地重視で車高調を選んでも乗り心地があまりよくない場合は、ロアアームのゴムブッシュの状態を確認し、必要であればロアアームを交換することがおすすめです。
また、車高を下げることでノーマル車高の状態で締め付けられたゴムブッシュには余計なねじれが発生します。ロアアームの取り付け部を一度緩め、タイヤを設置させた状態(1G状態)でアームを締め直すだけでも乗り心地はよくなります。
(2)タイヤの種類や状態
タイヤは直接路面と接触するため、乗り心地に大きく影響を与えます。特に関係するのが種類・扁平率・状態です。
一般的な道路を走る場合、基本的には多くの車で採用されているコンフォートタイヤ(乗り心地や安定性、静粛性を重視したタイヤ)で問題ないでしょう。一方で、雪道やオフロードなどの特殊な環境下の場合は、それぞれに適したタイヤ(雪道ならスタッドレスタイヤなど)を選択すると乗り心地が大きく変わります。
扁平率とは、タイヤの幅に対するタイヤの高さの割合のことです。扁平率が高いタイヤはタイヤが厚く、クッション性能が高いため、走行中の衝撃を吸収しやすいとされています。乗り心地を改善したいときの検討材料のひとつとしてもよいでしょう。ただし、扁平率を上げると、その分、安定性やハンドリング性能が低くなるデメリットは考慮する必要があります。
タイヤが劣化していたり空気圧が低下していたりしても、乗り心地を悪化させることがあります。あわせてチェックしてみてください。
(3)ホイールバランス
ホイールバランスは、車の乗り心地に大きく影響します。
ホイールバランスとは、タイヤとホイールが回転したときに均等に重さが分布するようにすることです。不均衡があると、特定の部分に重力が集中し、それが振動の原因となります。
ホイールバランスは、タイヤを交換したときに実施するのが一般的ですが、一回調整すればOKというわけではありません。ホイールが損傷したりタイヤが劣化したりすると狂うことがあります。
なお、ホイールバランスの調整は、専門知識や道具が必要となるため、カー用品店やディーラー、整備工場などに依頼することがほとんどです。
(4)シートの硬さや形状
車の乗り心地を改善するには、車高調だけでなく、シートの硬さや形状も重要な要素です。
一般的に、シートが硬すぎると長時間のドライブで体に負担がかかり、乗り心地が悪くなります。逆に、シートが柔らかすぎると体が沈み込みすぎ、運転中の安定感が失われます。
また、シート形状も大切なポイントです。体にフィットする形状のシートは、運転時の安定性を高めて乗り心地を良くします。特に、背もたれやサイドサポートが人間工学に基づいて設計されていると、体への負担を軽減し、長時間運転でも快適に過ごすことができます。
5. 車高調選びで悩んでいたらグーネットピットにご相談ください
車高調は多種多様で、どれがよいか悩みやすいパーツのひとつです。どれがよいのか選べない……となったら、ディーラーや整備工場など、専門の業者に聞いてみるとよいでしょう。
グーネットピットでも、車高調に関するお問い合わせを受け付けています。知識豊富なスタッフが丁寧にアドバイスしますので、ぜひお気軽にご相談くださいませ。