車検・点検・メンテナンス
更新日:2021.09.01 / 掲載日:2021.08.31
ワイパーブレードは全3タイプ!交換時期はいつ?正しい外し方を解説

ワイパーの「ゴム」を交換する必要性は知られていますが、ワイパーの「ブレード」にも定期的な交換が必要なことをご存知でしょうか。
ワイパーブレードは、1~2年に1回の頻度で交換するのが目安です。ただし、ワイパーブレードには3つの種類があり、ゴムと一体化している場合は交換時期が少し変わってきます。
そこで今回は、ワイパーブレードの特徴・役割を踏まえて、各タイプの比較や交換の必要性を解説します。後半では、交換費用やセルフ交換の方法もご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
ワイパーブレードの特徴と役割

ワイパーの基本構成は「アーム」「ブレード」「ゴム」の3つです。ワイパーブレードは、ゴムが付いている骨組み部分(アームとゴムをつなぐパーツ)を指しますが、種類によってはブレードとゴムが一体化しているタイプもあります。普通乗用車の場合、フロントウィンドウに2つ、リアウインドウに1つ装備しているのが一般的でしょう。
雪や雨、汚れを取り除く役割を担うワイパーは、ブレードとゴムが劣化しやすいため、定期的な交換が必要です。特に、フロントガラスは平面ではなくカーブを描いているため、曲面をムラなく拭き取るにはワイパーブレードの角度や形状が適切でなければなりません。運転時の視界と安全の確保のためにも、ワイパーブレードのメンテナンスを心がけましょう。
ワイパーブレードのタイプは全3種

ワイパーブレードの種類は、大きく3つに分けられます。それぞれにメリット・デメリットがあるので把握し、好みや目的に合ったワイパーブレードを取り入れましょう。
搭載車種が多い「トーナメントタイプ」
トーナメント表のように、アームとの接続部が枝分かれしているタイプのワイパーブレードです。国産車両の多くに標準装備されているため、見かける頻度は高いでしょう。
メリット | ・ゴムに均一な力を加えられる ・骨格の強度があり歪みにくい ・曲面にもフィットしやすい ・交換費用が安い |
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デメリット | ・見栄えがあまり良くない ・汚れたときの手入れが面倒 |
ゴムと一体化した「フラットタイプ」
ゴムとワイパーブレードが一体となっているタイプです。しなやかな芯軸により曲面への密着度が高く、トーナメントタイプと比較すると拭き取る力が優れています。
こうした特性から、フラットタイプは面積やカーブが大きいガラスを持つ車におすすめです。欧州での新車搭載率が90%を超えているため、国内でも輸入車で見かけることは多くあるでしょう。
メリット | ・ガラスへの密着度が高い ・面で支えるため拭き取りに安定性がある ・見た目がシンプル |
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デメリット | ・ゴムのみ ・ワイパーブレードのみを交換できない |
2つの仕組みを兼ね備えた「デザインタイプ」
トーナメントタイプの構造をベースに、フラットタイプのようなスタイリッシュさを兼ね備えたワイパーブレードです。
メーカーによって異なりますが、トーナメントタイプの上にゴムや樹脂ケースなどのカバーを被せたものが多く、「デザインワイパー」や「エアロデザインワイパー」などとも呼ばれています。
メリット | ・風浮きが少なく安定する ・トーナメントタイプよりも拭払性能が高い ・スタイリッシュで視界の妨げになりにくい |
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デメリット | ・トーナメントタイプと比べて交換費用が高い |
ワイパーブレードの交換時期は1~2年に1回?

ワイパーブレードは紫外線や寒暖差の影響で劣化しやすいため、1~2年に1回のペースで交換するのがおすすめです。
ただし、ブレードとゴムが一体化している「フラットタイプ」「デザインタイプ」は、ゴムに合わせて交換時期を見定めましょう。ワイパーゴムの交換ペースは、1年に1回が基本です。
ワイパーブレードのタイプ | 交換時期の目安 |
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トーナメントタイプ、デザインタイプ(ゴムの交換ができるもの) | 1~2年に1回 |
フラットタイプ、デザインタイプ(ゴムの交換ができないもの) | 1年に1回(ゴムの交換時期に合わせる) |
使用状況によっても、劣化状態が変わります。そのため、使用年数だけではなくフロントガラスの拭き上げ具合やワイパーブレード本体に生じる不具合を基準に、交換時期を検討するのもおすすめです。
異音や振動を感じる際はもちろん、下記に該当する場合もワイパーブレードのタイプに合わせてブレードやゴムを交換しましょう。
フロントガラスの状態 | ・筋状の拭き残しが出る ・拭き上げにひび割れのような跡が残る ・水がにじむ ・拭きムラができる |
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ワイパーブレード本体 | ・ガタツキがある ・ひび割れがある ・裂けている ・変形している |
なお、ワイパーには夏用・冬用の2タイプがあります。冬用ワイパーはガラスに乗った雪を落とせるよう強度を上げているため、積雪が多い地域では季節の変わり目に取り換えておくと安心です。
また、気温が低い時期はワイパーが凍結するリスクもあります。積雪の少ない地域でも、凍結防止カバーが付いた冬用ワイパーに交換しておきましょう。
ワイパーブレード交換の必要性

ワイパーには、下記のとおり道路運送車両の保安基準が設けられています。保安基準を満たしていないワイパーは、車検に通らなくなってしまうので注意しましょう。
道路運送車両の保安基準 第45条(窓拭き器等)
「基準に適合する自動式の窓ふき器を備えなければならない(一部省略)」
道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 第147条
「窓ふき器のブレードであって、老化等により著しく機能が低下しているものは、この基準に適合しないものとする(一部省略)」
引用:https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_fr7_000007.html
保安基準の内容を見ると、ワイパーの「設置状況」「正常な動作・機能」が重要なポイントとなるようです。払拭機能が低下している、ワイパーブレードまたはゴムに損傷がある状態では保安基準違反となるので、定期的に点検し適切なタイミングで交換しましょう。
ワイパーブレードの選び方は?適合チェック

ワイパーブレードを選ぶときは、車に適合する商品を探し出す必要があります。適合するワイパーブレードは下記2つの方法で調べられるので、参考にしてください。
・「車種名」「年式・型式」「交換するワイパーブレードの場所」から調べる
・ブレードに刻印された「シリアル番号」または「メーカー名」から調べる
一緒にワイパーゴムを交換する際は、車種だけでなくワイパーブレードとの適合もチェックしなければなりません。特に市販メーカーは純正品と違って種類が多く、車種名や年式などの情報だけで1つのメーカーに絞り込むのは難しいでしょう。
「どのようなワイパーブレードを使っているのか」がわかるよう、シリアル番号やメーカー名などの詳細も控えておくことをおすすめします。
適合する商品がよくわからない場合は、交換前のワイパーをお店に持ち込むと安心です。「グーネットピット」では全国各地の優良店が簡単に検索できるので、ぜひ活用してください。
https://www.goo-net.com/pit/
ワイパーブレードを交換に必要な費用

ワイパーブレードの交換は、ディーラーやカー用品店などで受け付けていますが、もちろん自分で交換することも可能です。
かかる費用はそれぞれ異なるため、下表を参考に目安を把握しておくとよいでしょう。
ディーラー | ・ワイパーブレード(ゴム含む):4,000~5,000円程度 ・ワイパーゴムのみ:2,000~3,000円程度 ・工賃:1,500円程度 |
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カー用品店 | ・ワイパーブレード(ゴム含む):2,000~3,000円程度 ・ワイパーゴムのみ:1,000~2,000円程度 ・工賃:500~1,000円程度 |
自分で交換 | ・ワイパーブレード(ゴム含む):2,000~3,000円程度 ・ワイパーゴムのみ:1,000~2,000円程度 ・工賃:0円 |
ディーラーで交換する場合
ディーラーでは基本的に、純正品のワイパーブレードやゴムに交換します。そのため、市販メーカーを取り扱うカー用品店と比較すると全体的に割高です。
ただし、純正品の知識に優れた整備士が担当する分、整備内容に不安を抱きにくく高い満足度を得られやすいでしょう。ワイパーブレードやゴム選びに迷うことがないため、すべてお任せしたい方におすすめです。
カー用品店で交換する場合
カー用品店は持ち込みができる場所も多くありますが、店内の商品から適合するワイパーブレード、ゴムを選ぶのが基本です。お店によって取り扱っている商品の種類に差があるため、取り付けたい商品があるか事前に確認しておきましょう。
純正品だけにこだわらず、さまざまな種類を総合的に判断して選びたい方はカー用品店がおすすめです。
自宅でセルフ交換する場合
セルフ交換の場合、工賃はかかりません。ワイパーブレード、ゴムもカー用品店だけではなく、インターネットなどを使って自由に選べます。ただし、選び間違いのリスクや交換の手間が発生するため、初めての方は念入りに調査することが必要です。
自分でワイパーブレードを交換する方法

ワイパーブレードは、セルフでも短時間で簡単に交換可能です。この記事では、国産車両に多いUクリップ型ワイパーブレードの交換方法をご紹介します。クリップを押し込みスライドさせるだけなので、チャレンジしてみてください。
1.反動でガラスを傷つけないように、タオルなどをワイパーアームの先とガラスの間に挟む
2.ワイパーブレードの向きを写真で残しておく
3.ワイパーアームを立てる
4.接続部分(クリップ)を押しながらブレードを下にスライドさせて外す
5.新しいブレードをアーム先端に差し込み、上にスライドさせるように持ち上げる
6.カチッと音が鳴ったら装着完了
7.ワイパーの接触具合を確認し、問題なければ終了
交換時の注意点は、「ワイパーブレードの向き」です。向きが違うとうまく装着できない、拭きムラが残るなどの不具合が起こります。そのため、ブレードの向きがわかるよう、交換前にブレードの状態を写真に残しておくとよいでしょう。
まとめ
ワイパーブレードは、アームとゴムの間に位置しています。ゴムと一体化しているタイプもありますが、国産車両の多くはゴムを取り外せる「トーナメントタイプ」です。
また、ワイパーブレードは紫外線や気温などによって劣化しますが、それによりワイパーの保安基準を満たせなくなれば車検を通過できません。機能・性能に問題がないか、拭き上げやブレード本体の状態を定期的に確認しましょう。
なお、ワイパーブレードは、自分で簡単に交換できます。ただし、種類が豊富なので、選び方に迷ったときはプロに相談してください。交換作業に不安があったり、交換の時間が取れなかったりする場合は、ディーラーやカー用品店などで交換してもらうことをおすすめします。