車検・点検・メンテナンス
更新日:2019.12.12 / 掲載日:2019.12.12
自動車用ガソリンのオクタン価
オクタン価とは、ガソリンエンジンの大敵であるノッキングのしにくさを示したもので、車の走行性能にも影響する重要な数値である。今回は、オクタン価の意味から測定方法、主なガソリン基材のオクタン価まで、詳細情報をまとめて紹介する。
■【自動車用ガソリン】ハイオク、レギュラーの区別はオクタン価で決まる
自動車用ガソリンには、JIS規格(K2202)によって、1号(オクタン価96.0以上)と2号(オクタン価89.0以上)に分類される。一般的に、1号がハイオクガソリン、2号はレギュラーガソリンと呼んでいる。
冒頭でも触れた通り、オクタン価は、ガソリンエンジンの大敵であるノッキングのしにくさを示したもの。ノッキングはスパークプラグで点火した後に、燃焼室内の圧力が上昇することでエンドガスが自己着火し、激しい圧力上昇を引き起こす現象。その度合いによってはエンジンが溶損したり破損することもある。また、ノッキングはエンジンの圧縮比や過給度を上げると起こりやすく、パワーアップの足かせにもなってくる。高出力エンジン搭載車がハイオクガソリン仕様になっているのはこのためである。
■ガソリンのオクタン価の意味~オクタン価とはノッキングのしにくさを示す数値~

■ガソリンのオクタン価とクルマの走行性能

オクタン価を計測するために使われるのがCFRエンジンという試験用エンジンである。このエンジンでオクタン価が分かっているシンプルな組成の標準燃料とノッキングの起こりやすさを比較してガソリンのオクタン価を算出するようになっている。 この試験法は、日本ではリサーチ法(RON)、欧州ではリサーチ法とモーター法(MON)、米国ではRONとMONの平均であるアンチノック指数(AKI=Anti Knock Index)が使われる。なお、実車で走行したときの相関性はRONが低速域、MONが高速域で高いとされている。
■オクタン価はどのように測定するのか?


オクタン価はノックしにくいイソオクタンとノックしやすいN(ノルマル)-ヘプタンを混合して作った標準燃料とガソリンを比較して求めるようになっている。上の図のように、イソオクタンとN-ヘプタンが90:10であれば、オクタン価90となる。半々の混合率なら50だ。

オクタン価の測定条件は2つあるが、日本ではリサーチ法(Research Octane Number)が使われる。オクタン価は、測定するガソリンの想定オクタン価(設計時に推定されている)の上下2種類の標準燃料を作っておき、ガソリンのノック強度が2種の標準燃料のノック強度のどのあたりになるかを計算で求める。

■主なガソリンのオクタン価と製造方法
●主なガソリン基材のオクタン価(オクタン価は一例)

原油を精製する常圧蒸留装置(トッパー)から得られるガソリン留分(ライトナフサ)はオクタン価70程度であるため、アイソメレート(異性化ガソリン)、リフォーメート(改質ガソリン)へ品質を向上させたり、CCGガソリン(分解ガソリン)、アルキレートといった高オクタン価のガソリン基材を混合してレギュラーガソリン(オクタン価90)、ハイオクガソリン(オクタン価100)を製造する。
資料提供:新日本石油株式会社(2008年7月号掲載時)