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更新日:2024.09.25 / 掲載日:2024.09.11
キャンピングトレーラーのヘッド車とは?選び方や牽引免許の必要性を解説

近年、アウトドアレジャーとしてのキャンプの人気が高まっています。キャンプと合わせて注目されているのが「キャンピングトレーラー」です。
キャンピングトレーラーは、車で牽引して移動できる、生活必要設備を備えた車両のことです。ただし、キャンピングトレーラーを移動させるには、ヘッド車と呼ばれる牽引車が必要になります。
そこで、この記事ではヘッド車の基礎知識から選び方、牽引免許の必要性までくわしく解説していきます。
1. キャンピングトレーラーの人気が高まっている

近年のキャンプ人気に伴い、キャンピングトレーラーの人気も高まっています。雄大な自然のなかで宿泊したり、旅先で快適なプライベート空間を確保したりと、従来の旅行とは一味違う体験をできることが、人気の理由です。
しかし、キャンピングトレーラーは、それ自体だけでは移動できません。そこで必要となるのが、トレーラーを牽引する「ヘッド車」です。
以下では、キャンピングトレーラーとヘッド車の基礎知識を紹介していきます。
2. キャンピングトレーラーとヘッド車の基礎知識
キャンピングトレーラーを牽引して旅行やキャンプを楽しむためには、「キャンピングトレーラー」と牽引する「ヘッド車」について理解しておく必要があります。
(1) キャンピングトレーラーとは

キャンピングトレーラーとは、車に牽引して移動できる生活必要設備を備えた車両のことです。
キャンピングカーのように自身で走行する機能はなく、別の車に牽引してもらう必要があります。牽引する車をヘッド車と呼び、ヘッド車とキャンピングトレーラーはヒッチメンバーという連結装置で繋がれています。
キャンピングトレーラーは、キャンピングカーと比較して安価なのが特徴です。また、ヘッド車と分離できるため、目的地に到着後、ヘッド車のみで観光地などにも出掛けられます。
なお、キャンピングトレーラーは、普通の乗用車でも牽引できるものから、大型のトレーラーヘッドでなければ牽引できないものまで、さまざまな種類があります。
(2) ヘッド車とは
ヘッド車とは、キャンピングトレーラーを実際に牽引する車のことです。
キャンピングトレーラーにはエンジンがなく自走できないため、目的地まで運ぶためには必ずヘッド車が必要です。
キャンピングトレーラーの大きさなどに合わせてヘッド車を選ぶ必要がありますが、普通の乗用車から大型トレーラーヘッドまで、さまざまな車種が牽引車として使われています。
なお、ヘッド車の所有状況は人それぞれ異なり、一台のヘッド車を複数のキャンピングトレーラーと組み合わせて使用する場合や、用途に合わせて複数のヘッド車を所有している場合もあります。
用途や目的に合わせて複数のヘッド車を所有する場合は、維持費などのコストがデメリットです。
一方、ヘッド車を複数所有することで、状況や目的に応じた、最適なヘッド車を選択できるという点がメリットになります。
(3) キャンピングトレーラーとヘッド車の組み合わせ方
キャンピングトレーラーは、車中泊やキャンプを楽しむための移動可能な住居空間を提供してくれる一方、ヘッド車は、その空間を目的地まで安全に運ぶための重要な役割を担います。
キャンピングトレーラーとヘッド車の組み合わせは、デザインやカラーによって見た目の雰囲気が大きく変わるだけでなく、牽引するうえでの安全性や快適性にも大きく関わってきます。
そのため、ヘッド車を選ぶ際には、キャンピングトレーラーのサイズや重量、そして自身の運転スキルや用途などを考慮することが重要です。
たとえば、ひんぱんに長距離移動する場合は、燃費性能や快適性を重視したヘッド車を選ぶことがおすすめです。一方、悪路走行を想定している場合は、4WDや高い最低地上高を持つヘッド車が適しています。
そこで、キャンピングトレーラーのヘッド車の選び方をくわしくご紹介していきます。
3. キャンピングトレーラーのヘッド車の選び方

キャンピングトレーラーのヘッド車選びは、安全で快適な旅を楽しむために非常に重要です。
ヘッド車は、トレーラーを安全に牽引できるだけの性能を備えている必要があるだけでなく、乗車人数や積載量、走行性能なども考慮する必要があります。
ここでは、キャンピングトレーラーのヘッド車選びで、とくに重要なポイントを4つ解説します。
(1) 牽引能力
キャンピングトレーラーを選ぶうえで、ヘッド車の牽引能力はもっとも重要なポイントです。牽引能力とは、ヘッド車が安全に牽引できるトレーラーの最大重量を示したものになります。
牽引能力は連結検討書を作成し、後述する950登録することで車検証に記載されます。排気量が大きいほうが牽引能力も大きくなるため、より重いトレーラーを牽引できるのです。
安全に牽引する基準として、トレーラーの総重量がヘッド車の車両重量の70%以内が目安として推奨されています。なお、トレーラーの総重量は車両重量だけでなく、付属している家電やバッテリー、積載物なども含まれるため注意しましょう。
ただし、アメリカ製とヨーロッパ製のトレーラーでは、タイヤの位置と荷重の関係性が異なります。そのため、同じ牽引能力を持つ車でも、実際に牽引できるトレーラーの重量は異なる場合があります。
アメリカ製のキャンピングトレーラーは、車軸がトレーラーの中心よりも後方に配置されているため、ヒッチポイント(トレーラーとヘッド車の連結部分)にかかる荷重が大きくなります。
そのため、より牽引能力の高いヘッド車が必要です。
一方、ヨーロッパ製のキャンピングトレーラーは、車軸がトレーラーの中心近くに配置されており、ヒッチポイントにかかる荷重は小さくなります。アメリカ製に比べて、ヒッチポイントにかかる荷重が小さくなるため、牽引能力が低くても牽引できるのです。
(2) ヒッチメンバーの取り付け
キャンピングトレーラーを牽引するには、ヘッド車の後部にヒッチメンバーを取り付ける必要があります。
ヒッチメンバーとは、トレーラーとヘッド車を連結するための装置のことです。
ヒッチメンバーには、トレーラー側に取り付けられたカプラーを引っ掛けるためのヒッチボールが取り付けられています。
ヒッチメンバーはトレーラーのサイズや重量に合わせて、適切なものを選ぶ必要がありますが、車種によってはそもそも取り付けられない場合があります。
そのため、事前にヘッド車にしたい車のメーカーや販売店に問い合わせて、ヒッチメンバーの取り付けが可能かを確認することが重要です。
(3) エンジンタイプ(ディーゼル・ガソリン)
キャンピングトレーラーを牽引するヘッド車のエンジンタイプには、ディーゼルエンジンとガソリンエンジンがあります。
ディーゼルかガソリンかは選ぶ際の必須ポイントではありませんが、それぞれに特徴があるため、どちらがご自身のキャンピングカーライフに合っているかの確認をおすすめします。
エンジンタイプ | メリット | デメリット |
---|---|---|
ディーゼル | ・重いトレーラーの牽引に適している(ヘッド車向きである) ・ガソリンエンジンと比べて、燃費がよい ・燃料費(軽油)がガソリンに比べて安価である | ・エンジン音が大きく、振動が大きい ・車両本体価格がガソリン車より高価である |
ガソリン | ・エンジン音が静かで振動が少ない ・車両本体価格がディーゼル車より安価である | ・ディーゼルエンジンに比べて、燃費が劣る ・燃料費(ガソリン)がディーゼルに比べて高価である |
上記の表のように、それぞれにメリット・デメリットがあります。
キャンピングトレーラーに積載する荷物の量や、走行距離、費用などを考慮して、どちらのエンジンタイプが適しているかを検討しましょう。
(4) 駆動方式(2WD・4WD)
キャンピングトレーラーを牽引するヘッド車の駆動方式は、2WDと4WDがあります。
それぞれにメリット・デメリットがあるので、走行シーンや重視したいポイントに合わせて選びましょう。
駆動方式 | メリット | デメリット |
---|---|---|
2WD | ・燃費が良い ・価格が安い ・車種が豊富 ・車体が軽い | ・悪路走破性が低い ・牽引時の安定性が低い |
4WD | ・悪路走破性が高い ・牽引時の安定性が高い ・雪道に強い ・ヘッド車向き | ・燃費が悪い ・価格が高い ・車種が少ない ・車体が重い |
2WDは、燃費の良さや車両価格の安さがメリットです。街乗りや舗装された道路をメインに走行する場合は、2WDで十分でしょう。
一方、4WDは、2WDに比べて駆動力が強く、悪路走破性に優れています。キャンプ場までの道のりが険しい場合や、雪道など滑りやすい路面を走行する機会が多い場合は、4WDがおすすめです。
4. 【参考】人気のヘッド車を紹介
キャンピングトレーラーを牽引するヘッド車は、牽引能力や車体の大きさなど、考慮すべき点がいくつかあります。
ここでは、ヘッド車選びの参考になるように、人気のヘッド車をご紹介します。
(1) SUV

近年、アウトドアレジャーの人気が高まり、それに伴いキャンピングトレーラーを牽引できるSUVが注目されています。
SUVはほかの車種と比べて、馬力、トルク、最低地上高が高く、悪路走破性に優れている車種が多いため、キャンピングトレーラーのヘッド車として適しています。
【代表的な車種例】
・トヨタ ランドクルーザープラド
・三菱 アウトランダーPHEV
・スバル フォレスター
(2) ミニバン

ミニバンは、車内の広さと居住性から大人数でのキャンプに適しています。キャンピングトレーラーを牽引しない場合でも、大人数で出かける際や荷物をたくさん積む必要がある際に便利です。
また、ミニバンはスライドドアを備えているため、狭い場所でも乗降しやすいというメリットがあります。
【代表的な車種例】
・トヨタ アルファード
・ホンダ ステップワゴン
・日産 セレナ
(3) ピックアップトラック

ピックアップトラックとは、荷台を備えた車両のことで、近年ではアウトドアやレジャーを楽しむための車としても人気が高まっています。
とくにアメリカでは、ピックアップトラックは生活に密着した車として広く普及しており、キャンピングトレーラーのヘッド車としても頻繁に利用されています。
【代表的な車種例】
・トヨタ ハイラックス
・三菱 トライトン
・Jeep グラディエーター
(4) 軽自動車

軽自動車は、維持費の安さや小回りのよさが魅力です。
ただし、軽自動車のほとんどは車両総重量が小さく、牽引能力も低いため、キャンピングトレーラーとの組み合わせには注意が必要です。
もし、ヘッド車として利用する場合は、コンパクトなキャンピングトレーラーを選ぶようにしましょう。
【代表的な車種例】
・スズキ ジムニー
・スズキ ハスラー
・ダイハツ タフト
5. 牽引するための手続きは必要?
キャンピングトレーラーを牽引するには、いくつかの手続きが必要となる場合があります。
法律によって定められているため、必要な手続きをしっかりと理解しておきましょう。
(1) 牽引免許が必要なケース
車両総重量が750kg超えのキャンピングトレーラーを牽引する場合、牽引免許が必要になります。
車両総重量とは、キャンピングトレーラーの車両重量と最大積載量を合計した重量のことです。
キャンピングトレーラーの車両総重量が750kg超え、2t未満の場合は牽引小型トレーラー限定免許の取得が必要です。
なお、2tを超えるトレーラーを牽引する場合は、牽引免許(第一種免許)が必要です。
(2) 連結検討書の準備
連結検討書とは、キャンピングトレーラーと牽引車が安全に走行できる組み合わせであるかを検討した書類のことです。
キャンピングトレーラー自体には単独で走行する機能がないため、連結検討書を作成し、車検証に記載することで連結・走行可能となります。
連結検討書の作成は、「950登録」と「型式追加」の2とおりの方法があります。
なお、連結検討書は各種計算書を作成するため、トレーラーや牽引車の車両情報が必要となります。
手続き | 内容 |
---|---|
950登録 | 牽引車の車検証に、牽引可能なトレーラーの最大車両総重量を記載する手続き |
型式追加 | ・トレーラーの車検証に、牽引車の型式が記載する手続き ・または、牽引車の車検証にトレーラーの型式を記載する手続き |
950登録は、牽引可能なトレーラーの最大車両総重量を記載することで、能力の範囲内で複数のトレーラーを牽引できるようになります。この場合、トレーラーの所有者が自分以外(リース会社など)であっても牽引できます。
型式追加は、トレーラーの車検証に牽引車の型式を記載、または牽引車の車検証にトレーラーの型式を記載することになります。この場合、キャンピングトレーラーと牽引車の組み合わせが固定されます。
6. ヘッド車に関することは、グーネットピットにご相談ください
ヘッド車は、キャンピングトレーラーを牽引するうえで大切なパートナーです。
ヘッド車を選ぶ場合、まずは牽引するキャンピングトレーラーの重量に見合った牽引能力を持つ車種を選ぶことが重要です。
なお、求められる牽引能力は、キャンピングトレーラーがアメリカ製かヨーロッパ製かでも異なります。
ほかにも、牽引するキャンピングトレーラーのサイズや重量に合わせて適切なヒッチメンバーを取り付ける必要があります。
自分では判断が難しい部分も多いため、キャンピングトレーラーの販売店や整備工場などに相談することをおすすめします。
もし、キャンピングトレーラーとヘッド車の組み合わせなどが不安で、専門業者に相談したい場合はグーネットピットをご利用ください。
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