車検・点検・メンテナンス
更新日:2024.10.28 / 掲載日:2024.10.25
車の異臭の原因は?異臭の種類と危険性、対処法をわかりやすく解説

車から発生する異臭は、快適なドライブに悪影響を与えるだけでなく、車の故障や健康被害の原因になる可能性があります。放置すると大きなトラブルにつながる恐れがあるため、早めに対処することが大切です。
この記事では、よくある車の異臭と危険性、対処法をわかりやすく解説しています。車の臭いが気になる人は、ぜひ最後までご覧ください。
1. 車の異臭に気づいたらすぐに対処しよう

車内でいつもと違う異臭を感じたら、車のどこかに異常が発生しているサインかもしれません。車の異臭を放置すると、故障や事故などの重大なトラブル、健康への悪影響につながる恐れがあります。
異臭に気づいたら、まずは原因を特定し、適切に対処することが重要です。しかし、異臭の原因はさまざまで、専門知識がないと判断できない場合が多いでしょう。
異臭の原因が特定できない場合や、自分で対処できないと感じた場合は、すぐに専門業者へ相談することを強くおすすめします。
次の章では、異臭の種類や原因、対処法についてくわしく解説していきます。
2. 車の異臭の種類と原因、対処法

車から発生する異臭は、原因によって危険度や対処法が異なります。ここでは、よくある異臭の原因と危険性、対処法を解説します。
(1)ガソリンや軽油の臭い
①原因・危険性
ガソリンや軽油の臭いが燃料タンクやエンジンルーム付近からする場合、燃料漏れの可能性があります。
燃料漏れは、以下の原因が考えられます。
臭いがする場所 | 主な原因 |
---|---|
燃料タンク付近の場合 | ・燃料タンクや燃料パイプからの漏れ ・燃料キャップの閉め忘れ ・ガソリンの入れ過ぎによるキャニスターの処理能力超過 |
エンジンルーム付近の場合 | 燃料パイプやインジェクターからの漏れ、ガスケットなどの部品の劣化による漏れ |
なお、ガソリンや軽油は引火性が高いため、臭いがする場合は火気厳禁です。
②対処法
ガソリンや軽油の臭いがする場合は、車付近や車内でのタバコやライターを使用しないでください。車内で臭いがする場合は窓を開けて換気しましょう。
安全な場所に停めたら車からすみやかに離れ、専門業者に点検を依頼してください。
(2)ゴム臭や焦げ臭さ
①原因・危険性
ゴムが焼けたような臭いや焦げ臭さは、急発進や急加速、または急ブレーキなどでタイヤに負担がかかるときや、ブレーキの引きずりによりタイヤが引きずられた際に多く起こります。
タイヤに異常がなく、エンジンルームから焦げ臭さがする場合、「キュルキュル」という音が聞こえたら、ファンベルトのスリップが原因でしょう。この場合、ファンベルトもしくはオルタネーターなどの補機類にトラブルが発生している可能性があります。
ファンベルトは、エンジンの動力をオルタネーターなどさまざまな機構に伝える重要な部品です。ファンベルトが切れてしまうと、バッテリー上がりやオーバーヒートを起こし、最悪の場合エンジンが焼き付き、車が動かなくなります。ほかにもエアコンやパワステが使えなくなったり、切れたベルトがほかの部品を傷つけたりする恐れもあるでしょう。
②対処法
タイヤやファンベルト類が原因と考えられる場合、そのまま運転するのは大変危険です。
すぐに専門業者に点検を依頼し、必要に応じてこれらを修理・交換しましょう。
(3)薬品のような甘い香り
①原因・危険性
エアコンの外気導入時や暖房使用時に、車内で薬品のような甘い香りがする場合、ラジエーターやヒーターコアから冷却水が漏れている可能性があります。
またラジエーターから冷却水が漏れている場合、エアコンの使用の有無に関わらずエンジンルーム付近から冷却水の臭いがします。
冷却水には、エチレングリコールという成分が含まれており、この成分が独特の甘い臭いの原因です。
冷却水はエンジンの熱を下げるという重要な役割があります。そのため、冷却水漏れによって冷却水が不足するとオーバーヒートを引き起こし、重大な故障につながる危険性があります。
以下の症状に心当たりがある場合は、冷却水漏れが発生している可能性が高いでしょう。
・車の下に液体が広がっている
・冷却水の減りが早い
なお、冷却水の色は車種によって異なり、緑やピンク、青などさまざまです。
②対処法
冷却水漏れが少量で自走できる状態であれば、応急処置して修理工場まで移動し、点検してもらいましょう。
しかし、冷却水が大量に漏れている場合や、オーバーヒートの兆候が見られる場合は無理に運転せず、レッカー車を呼ぶようにしてください。
冷却水漏れの応急処置については、こちらの記事でくわしく解説していますので、参考にしてください。
(4)硫黄臭
①原因・危険性
車から硫黄のような臭いがする場合、オルネーターの故障によりバッテリーが過充電されている可能性があります。過充電によって過剰にバッテリー液が温められると、バッテリー液は気化し、硫黄のような臭いが発生するのです。
とくに暑い時期に発生しやすく、バッテリー液が減少すると蓄電できなくなり、バッテリーが上がります。最悪の場合、バッテリーが破裂する危険な状態です。
②対処法
車内にいても硫黄臭がする場合は、すぐに窓を全開にし、換気しましょう。
オルタネーターが故障している可能性が高いため、できるだけ早く専門業者に点検を依頼してください。
(5)生臭さやカビ臭さ
①原因・危険性
車内から生臭さやカビ臭さがする場合、主な原因はエバポレーターのカビやエアコンフィルターの汚れが考えられます。車内にカビが充満すると吸い込んでしまい、健康被害を引き起こすリスクがあります。
エバポレーターは冷媒という物質を使って冷たい空気を作り出し、車内を冷やす役割を担っています。常に冷たい空気に触れて冷やされているため、周囲との温度差でエバポレーターには結露が発生しやすい状態です。
この結露がエバポレーターに溜まり、湿度が高くなることでカビが発生してしまうのです。
また、エアコンフィルターは、空気中のホコリや花粉、ゴミなどを除去しています。長期間交換しないと汚れが溜まり、カビが発生する原因となります。
②対処法
エアコンの吹出口から生臭さや、カビ臭さがする場合、エバポレーターやエアコンフィルターをきれいにすることが重要です。
エバポレーターにカビが発生した場合は、直接洗浄して取り除く必要があります。しかし、エバポレーターは車のダッシュボード奥深くに設置されているため、取り外す際はダッシュボードを外すなど、専門的な知識や技術、道具が必要です。
ご自身で作業するのは難しいため、無理をせず専門業者に依頼することをおすすめします。
エアコンフィルターは洗浄して汚れを取り除くか、1年に1~2回を目安に交換しましょう。車種に合った適切なエアコンフィルターを購入すれば、ご自身でも交換できます。
助手席のグローブボックスの取り外し方や、エアコンフィルターの交換方法がわからない場合、不安な場合は専門業者に依頼すると安心です。
(6)金属臭
①原因・危険性
金属臭がエンジンルームや車内で臭う場合、以下の原因が考えられます。
原因 | 危険性 |
---|---|
ブレーキパッドの加熱 | ブレーキの利きが悪くなり、最悪の場合ブレーキが利かなくなる |
クラッチディスクの摩耗 | スピードが出なくなる、走行不能になる、異音が発生する |
クラッチ操作の問題 | クラッチの摩耗や故障につながる |
ブレーキパッドの加熱は、ひんぱんなブレーキ操作やブレーキの引きずりが原因で起こります。ブレーキを踏むと、2枚のブレーキパッドがブレーキローターを挟み込み、摩擦によって運動エネルギーを熱エネルギーに変換することで制動力を発生させます。
しかし、変換できる熱エネルギーの量には限界があり、ブレーキパッドやブレーキローターの温度が上昇しすぎると、金属臭の発生につながるのです。
クラッチディスクは、エンジンの動力をトランスミッションに伝える役割を担っています。クラッチディスクの摩耗や、クラッチ操作に問題があるとクラッチ滑りが発生し、摩擦熱が発生し、クラッチが焼けて金属臭が発生します
②対処法
【ブレーキパッドの加熱による金属臭への対処法】
山道の下り坂では、ブレーキを踏みっぱなしにせず、エンジンブレーキを併用することでブレーキパッドの温度上昇をおさえられます。
また、ブレーキの引きずりが原因で金属臭がする場合も多くあります。ブレーキを使っていないときにブレーキがかかっている場合は引きずりを疑い、すぐに点検を依頼しましょう。
【クラッチディスクの摩耗による金属臭への対処法】
クラッチディスクは、100,000kmを目安に交換が必要な部品です。摩耗が確認された場合は、専門業者に交換を依頼しましょう。
また、以下のようなクラッチ操作はクラッチディスクの摩耗を早め、金属臭の原因となるため注意が必要です。
・クラッチペダルに足を乗せたまま運転する
・発進時に必要以上に半クラッチを使う
・半クラッチ時に必要以上にエンジン回転を上げる
これらの操作は、クラッチディスクに過度な摩擦熱を発生させ、焦げ付きや異臭の原因となります。スムーズな発進を心がけ、半クラッチの使用は必要最小限に留めましょう。
(7)ビニール臭
①原因・危険性
エンジンルームからビニールを燃やしたような臭いがする場合、電気配線の異常が原因として考えられます。
電気配線は通常ビニール製の被覆で覆われていますが、配線に以下のような異常があると過剰に発熱し、ビニールが溶けて焼けたような臭いを発生させます。
・電気配線の劣化や損傷
・電気配線のショート
・接続不良
電気配線の異常発熱はビニール臭だけでなく、火災を引き起こす危険性もあります。
また、もうひとつの原因として、ビニール袋が車体の下に入り込み、マフラーに張り付くことで異臭が発生するケースが多くあります。
②対処法
ビニール臭が発生した場合は、エンジンルームの電気配線を目視で確認し、焦げ跡や断線がないかチェックしましょう。また、マフラーに異物が張り付いていないか確認します。
電気配線に焦げ跡や断線がある場合は、感電や火災の危険があるため、自分で修理しようとせず、すぐに専門業者に修理を依頼してください。また、マフラーに異物が張り付いている場合は取り除きます。
そもそも、電気配線は専門知識がないと、異常の有無を判断するのは難しい場合がほとんどです。安全のため、少しでも異臭を感じたら、専門業者に相談し、原因を特定してもらうことを強くおすすめします。
3. 車の異臭を防ぐためのメンテナンス

車の異臭を防ぐには、日ごろから車内を清潔に保つことが大切です。こまめな清掃に加え、定期的な点検や専門業者によるメンテナンスによって、車の異臭やトラブルを防げます。
車の異臭を防ぐ日常的なメンテナンス
ここでは、日常的に実践できる簡単な車の異臭対策をご紹介します。
項目 | 内容 |
---|---|
定期的な換気 | 窓を開けて車内の空気を入れ替え、湿気や臭いを排出しましょう |
車内清掃 | 食べかすやゴミは放置せずにこまめに捨て、フロアマットは定期的に洗いましょう |
シートの清掃 | 汗や飲みこぼしは、臭いの原因になるため、シートに付着した汚れは速やかに拭き取りましょう |
エアコンフィルターの交換 | エアコンフィルターは、定期的に交換して、臭いの発生を防ぎましょう |
禁煙 | タバコの臭いは、車内に染み付きやすく、完全に除去できません。 車内では禁煙を心がけましょう |
これらの習慣を心がけることで、車内で異臭が発生するのを防げ、快適な車内空間を保てます。こまめな清掃を心がけ、気持ちよくドライブを楽しみましょう。
専門業者に点検やメンテナンスを依頼
臭いの原因が特定できない場合や、自分では清掃できない場合は、無理をせず専門業者に相談しましょう。
とくに、異臭の原因がパーツの故障や劣化の場合は、専門知識と技術を持った業者に依頼することで、適切な修理や交換を受けられます。
なお、専門業者を選ぶ際には実績や評判、費用などを比較検討することが大切です。複数の業者に見積もりを取り、比較検討することで、より適切な業者を選べます。
4. 車の異臭のことならグーネットピットにご相談ください
異臭の原因はその種類によってさまざまですが、早めに対処し、異臭の発生を防ぐことが安全・快適なドライブにつながります。
日頃から、車内に食べかすやゴミを放置しない、定期的に換気するなど、清潔な状態を保つように心がけましょう。
もし、車の異臭でお困りでしたら、グーネットピットにご相談ください。グーネットピットでは、お近くの整備工場を簡単に検索できます。
原因の特定から適切な対処法まで、ニーズに合ったご提案をいたしますので、お気軽にご連絡いただけると幸いです。