パーツ取付・交換
更新日:2018.08.29 / 掲載日:2018.08.29
車のホイールナットの締め付けトルクについて
タイヤの交換やホイールの交換などで、脱着作業を自分で行う方も多いと思います。この時、最終的にホイールを取付ける際に、取れないように固く強くナットを締めなければ!そう思ってナットの締め付けに全体重をかけている人はいませんか?ホイールナットの締め付けに必要なのは強い力ではなく、規定値のトルク(回す力)で締め付けることが重要になります。締め付けトルクの基本と、ホイールナットの締め付けについてご説明いたします。

締め付けトルクとは、ねじを回して締め付ける時の回転方向に回す力のことを言います。締め付けトルクには、T系列という規格があり、ねじの用途ごとにトルクが規定されていています。車は様々なねじやナットが用いられ、各部品を接続して構成されていますが、もちろんそれらにも各々ねじやナットの大きさや種類、素材によって適正トルク値が存在しています。今回ご紹介する車のホイールナットを締め付けに対しても、適正トルク値が存在します。適正トルクより弱い力でナットを締めてしまうと、締め付けが弱く外れやすくなってしまう可能性が出てきてしまいますし、適正トルク値より強い力でナットを締めてしまうと、ナットに過剰な負荷がかかり破損してしまう可能性も出てきてしまいます。このように、適正トルクの規定から外れてしまうことでトラブルが発生することもあるので、ホイールナットの締め付けを行う際は、適正トルク値に従って作業することが重要と言えます。それでは、実際のホイール交換に必要な作業と、ホイールナットの締め付けに必要な規定トルク値について見ていきましょう。
ホイールナットの締め付けに必要な道具とは?
タイヤホイールは車の荷重を支えている重要な役割を担うパーツです。自分で交換作業を行う前に、しっかりと道具の準備をする必要があります。ホイールナットの締め付けにはまず以下の道具を揃えましょう。
・ホイールレンチ(十字レンチ)
・ジャッキ
・タイヤ止め
・トルクレンチ
作業をする時にはケガなどの心配がありますので、必ず軍手を着用してください。服装は汚れても良く、作業しやすい服装がおすすめです。締め付けにはレンチが重要ですが、ホイールレンチ、トルクレンチは両方あった方が作業しやすくなります。特に専門工具であるトルクレンチがないとホイールナットの締め付けが完了しません。
車のホイールナットを締め付ける手順
道具が揃ったところで、ホイールナットを締め付ける手順について説明します。基本的には「対角線上に順番に締め付けていく」という方法がセオリーです。例えば、5穴のホイールの場合は☆型を描くようなイメージで締め付けます。最初からレンチを使うのではなく、手の力で締められる所まで締めましょう。不思議なことに全部のナットを締め終わると一番初めに締めた所がゆるくなります。タイヤを少しゆすりながら、再度、順番通りに締めると自然と固く締まっていきます。手で締められなくなったらレンチの登場です。同じように対角線上で少しずつ締めていきます。途中でタイヤが回り出してしまうので、ジャッキで少しだけ下げながら作業を続けてください。無理な力を加えずにナットを締められたら、仕上げに適正トルクで締め付けて出来上がりです。
ホイールナットの締め付けに必要な適正トルク値の確認と締め付けの注意点
ホイールナットの締め付けに必要な適正トルク値については、車の取扱説明書にその数値が記載されています。この数値を元に作業を行うようにしましょう。ホイールナット締めの仕上げに使うトルクレンチにはトルク数値が刻まれていて、設定・調整ができるようになっています。車の取扱説明書に記載されている適正トルク値を設定して使う事により、適切なトルクでの締め付けが可能となります。この適正トルクを使わずに大人が全体重をかけてナットを締め付けた時、適正トルクを使った時の何倍もの荷重がかかってしまいます。体重が軽い人が行った場合でも、適正トルクに比べ、大きな荷重がかかってしまうこともあります。締め付け過ぎるとハブボルトの破損やホイールの変形などの恐れがある為、適正トルクで仕上げた方がより安全が保証されると言えます。車のメンテナンスに慣れている方であれば適正トルクを理解しトルクレンチを適切に使用して、タイヤやホイール交換を自分で行うことも可能です。しかし、車のメンテナンスに慣れていない場合や安全性を重要視する場合は自分で行うよりも、整備工場など専門の業者にお願いするようにしましょう。