パーツ取付・交換
更新日:2022.11.25 / 掲載日:2022.11.25
「つながるクルマ」コネクティッドカーのマネタイズとは?
「100年に一度の大変革」を迎えた自動車業界において、特にコネクティッド技術は業界に大きなインパクトを与えている。急激なデジタル化に伴う「つながるクルマ」の登場により、自動車メーカーはコネクティッド技術を活用したアフターセールス領域での新価値創出に乗り出している。ここでは、イードが主催したオンラインセミナー「クルマを売った後の儲け方~コネクティッドカーのマネタイズ~」の中からスバルの取り組みと、商用車コネクティッド市場の可能性について矢野総合研究所の発表をみていく。
デジタルがもたらしたクルマのビジネス・サービス
スバルは新たな価値創造を図るため、データとデジタルを活用したビジネスとして、コネクティッドカー技術を活用した安心・安全なカーライフの実現に貢献するサービスに加え、スバルブランドとユーザーの結びつきを強化するためのアプリケーションのリリースなど様々な施策を展開している。
米国発売のスバル車はコネクティッドサービスが定番に

コネクティッドカー技術を活用して開発したサービスに「スバル スターリンク」がある。第一世代は2015年に米国向け車両に導入。スマートフォンと連動して警告灯点灯時の通知、ドアロックやアンロック、ホーンやライトなどを遠隔で操作できるリモートサービス、衝突検知時の自動通報サービスなどを提供する。
19年にリリースした第二世代は、リモートエンジンスターターやリモート空調、リモート車両状態確認機能、プラグインハイブリッドリモートチャージ、リコール通知、入庫予約などの多機能化を実現した(国ごとに機能は異なる)。
第一・第二世代とも新車購入から5年の無料期間が設定されており、無料期間終了後も利用するためには有料プランに申し込む必要がある。第一世代の中には無料期間が終了した車両もあるが、多くのユーザーが継続利用しており、第一・第二世代を合わせた利用率は90%、有料プランで継続利用しているユーザーは全体の60%を占めており、継続性・事業性ともに高いサービスとなっている。
国内では安心・安全機能にフォーカスし展開を開始
国内では新型レヴォーグの発売に合わせて20年から開始した。前述した機能に加え、より安心・安全なドライブに貢献する「つながる安心パッケージ」(年間5,500円)をウリに展開している。
つながる安心パッケージには、エアバッグが展開するような衝突事故発生時に自動でコールセンターにつながり、緊急車両やドクターヘリの要請をリアルタイムで行う「先進事故自動通報」、あおり運転やドライバーの体調不良などで運転に支障が出た場合にコールセンターへ通報し、緊急車両の要請ができる「スバル SOSコール」、急な故障の際などに車内の「iボタン」を押してコールセンターに接続し、ロードサービスの手配などをオペレーターが行う「スバル ⅰコール」などの機能がある。利用できる車種はレヴォーグやレガシィアウトバックなどに限られるが、今後、随時拡大していく計画だ。
快適な環境を創出する新機能でユーザーとの「つながり」を強化

コネクティッドカーサービスに続くデジタル領域強化策として、スバルユーザーとのつながりをより強くするドライブアプリケーション「SUBAROAD」(スバロード)をリリースした。
「走りがいのある道と新しい発見を提供する」ことをコンセプトに、効率を最優先して目的地へ移動する従来のカーナビゲーションでは案内されることが少なかったワインディングロードや、海・山など自然の景観を楽しめる道、地域の魅力を感じられる名所など、スバル車のパフォーマンスと地域の特色を楽しみながら気持ちよく走ることができるドライブコース案内アプリだ。
ナビ機能に加え、クルマの位置情報とリアルタイムに連動した地域の歴史や観光情報を音声で案内するとともに、定額制音楽ストリーミングサービス「AWA」と連携することで、その道や車窓から見える景色に合った音楽を流す機能を搭載し、よりドライブを楽しめる環境を創出する。
コネクティッドカー技術で死亡事故ゼロを目指す

スバルはコネクティッドカー技術を活用して「2030年死亡事故ゼロ」を目標にしている。特に交通事故が起きた場合は救命活動を早期に行うことがカギとなる。厚生労働省によると、救命活動が10分早まると死亡率が約7割改善(症例:大量出血)するとしており、事故後のリカバリーを迅速に行うためにコネクティッドカー技術の活用を図っている。
こうしたサービスをサブスクリプションで提供し、新たなビジネスモデルの構築へとつなげる。今後も「新たな価値の創出」を図るべく、デジタル領域での活動に注力していく考えだ。
出展:アフターマーケット 2022 年 10月号