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更新日:2021.03.09 / 掲載日:2021.03.09
助手席でのチャイルドシート使用はNG?付け方や注意点も含めて解説!

小さな子どもを乗せて車を運転する際には、チャイルドシートを着用しなければなりません。基本的には後部座席に取り付けるものですが、子どもと2人きりのときや目が離せない場合など、助手席にチャイルドシートを取り付けたい場合もあるでしょう。
しかし、助手席へのチャイルドシートの設置は、後部座席と比較するとさまざまな観点から推奨されていません。
このページでは、助手席へのチャイルドシートの設置が推奨されていない理由や、やむを得ず助手席に設置する場合に、知っておきたい知識・注意点について解説します。
助手席へのチャイルドシート装着は非常識?

前提として、6歳未満の子どもを乗車させる際は、チャイルドシートを設置しなければいけません。2000年以降から道路交通法の改正により法律として義務化されています。
しかし、令和元年の調査ではチャイルドシートの使用率は70.5%となり、一部の保護者は子どもにチャイルドシートを着用させずに乗車しているのが現状です。
大人と同じくシートにそのまま座らせる、子どもが嫌がるからとチャイルドシートを着用させない、といったケースが多くあります。
もし子どもが嫌がったとしても、徐々にチャイルドシートの着用を習慣化させることが大切です。
チャイルドシートの着用が必要なことは前提として、問題となるのが「どこにチャイルドシートを置くか」です。助手席に設置する考えを持つ保護者もいるでしょう。
法律上の話をすれば、チャイルドシートを助手席に設置しても問題はありません。ただし、危険性があるので、推奨はされていないのが事実です。
助手席への取り付けはエアバッグに注意
なぜ、助手席へのチャイルドシートの取り付けは推奨されないのでしょうか?
それは、万が一交通事故が起きてエアバッグが作動した場合、チャイルドシートとの間に子どもが挟まってしまい、取り返しのつかない事態になるからです。
エアバッグは、大人が助手席に乗っていることを想定して、頭部が直接包み込まれるように調整されています。助手席にチャイルドシートを取り付けると、大人が乗車するよりもエアバッグに近くなり、膨張した際は押し上げられて助手席との隙間が潰されてしまうのです。
したがって、安全面を考慮し、チャイルドシートは後部座席へ設置するのがおすすめです。後部座席であれば、エアバッグに挟まれる心配がありません。また、車両の中心位置に近いため外部からの衝撃で押し上げられる可能性が低くなります。
また、1歳くらいまでは後ろ向きに取り付けるのがよいでしょう。強い衝撃を受けた場合、背中側からのほうが耐えられます。
チャイルドシートを助手席へ取り付ける際の注意点

推奨されないとはいえ、さまざまな理由からチャイルドシートを助手席に取り付けたいケースはあるでしょう。
その場合は少しでも安全性を確保するために、特に以下の2点に注意を払ってください。
後ろ向きのチャイルドシートは使わない
助手席に取り付ける際は、後ろ向きのチャイルドシートを使用しないでください。エアバッグが背面に当たり、子どもが負傷する可能性があります。
必ず、前向きのチャイルドシートを使うようにしましょう。
なお、車種によっては後ろ向きのチャイルドシートが設置可能な場合もあります。
助手席へ設置するこの問題点は、エアバッグとチャイルドシートの干渉です。つまり、エアバッグが作動しないようにできる車種であれば、後ろ向きのチャイルドシートを設置しても問題ないのです。
安全面が不安だと感じるかもしれませんが、正しくチャイルドシートを取り付けてシートベルトを締めれば、子どもの安全を守るには十分だといえるでしょう。
助手席の座席は十分にスペースを広げる
助手席のスペースを広げ、エアバッグが作動したときに子どもが圧迫されないようにしましょう。可能な限り後ろまでスライドさせて、エアバッグとの空間を広く取ることを心がけてください。
チャイルドシートの助手席への正しい取り付け方

子ども用のシートはまとめて「チャイルドシート」と呼ばれることが多いですが、厳密には子どもの年齢によって名称が変わります。
・ベビーシート…新生児から1歳頃まで使用可能
・チャイルドシート…1歳頃から4歳頃まで使用可能
・ジュニアシート…4歳頃から使用可能
また、これらを兼用できるタイプのシートもあり、種類はさまざまです。
さらに、これらには以下の種類があります。
・進行方向のチャイルドシート(前向き)
・逆方向のチャイルドシート(後ろ向き)
・ISOFIXのチャイルドシート
ここでは、取り付け前の事前チェックと、各タイプのチャイルドシートの取り付け方を解説します。
進行方向のチャイルドシート(前向き)
まずはシートベルトを通す前に、チャイルドシートの背中と車の座席をぴったりとくっつけましょう。隙間があると事故の際に衝撃を受け止められないので、注意してください。
スペースが埋まったことを確認できたら、チャイルドシート下の部分からシートベルトを通してください。このとき、いったんシートベルトを伸ばしきってから行なうと、作業しやすくなります。
ベルトを通したら、チャイルドシートがぐらつかないよう、シートベルトをしっかりと引っ張って固定しましょう。最後にシートベルトをベルトロックの部分に通せば、作業は完了です。
逆方向のチャイルドシート(後ろ向き)
設置する際は前の座席との距離を詰め、隙間がないようにしてください。隙間があると、衝撃があった際に座席とチャイルドシートがぶつかり合うので大変危険です。
基本的な取り付け方は、前向きのチャイルドシートと変わりません。シートベルトを通したらベルトを強く引っ張り、しっかりとチャイルドシートを固定してください。
最後は、忘れずにベルトロックへシートベルトを通しましょう。
ISOFIXのチャイルドシート
ISOFIXは他のチャイルドシートと違い、専用の金具で車のシートと固定する方式となります。
チャイルドシートの左右のコネクターを引き出したら、車の座席部分にある専用の金具に「カチッ」とロックされるまで差し込み、固定してください。しっかり固定できたら、サポートレッグを調整してぐらつきがないか確認し、完了です。
シートベルト固定の方法とは違い、作業がシンプルなので手間をかけずに設置できます。
注意点として、ISOFIX非対応の車では使用できないことが挙げられます。すべての車に対応しているわけではないので、購入を検討の際は事前に確認しておきましょう。
チャイルドシートはISOFIXがおすすめ

先に述べたISOFIXですが、これは2012年7月以降の車に装備されているチャイルドシート専用アンカーの総称です。
ISOFIX導入以前の、シートベルトに固定する従来タイプのチャイルドシートは、間違えて取り付けられることも多く、安全面での不安がありました。
その点、ISOFIXはチャイルドシートにあるコネクターを差し込むだけで簡単に固定できるので、取り付け不良の心配がありません。現在では、回転式や後ろ向きのチャイルドシートなど、多くの種類が販売されています。
ただし、先ほども触れたように、ISOFIXに対応していない車には取り付けができません。また、複数台の車に載せ替える場合は、軽量なシートベルト型のほうが使い勝手が良い場合があります。回転式はさらに重くなるので、持ち運びに少し手間がかかることもあるでしょう。
コストも従来のシートベルト方式に比べるとやや高めです。0歳~1歳まではベビーシートしか使えないので、子どもの成長に合わせてそれぞれチャイルドシートを用意すると、割高になってしまいます。
1歳まで車の利用を控えるのであれば、ジュニアシート兼用タイプのISOFIXを選ぶのがおすすめです。子どもの成長に合わせてチャイルドシートの高さや幅が調整できるので、買い替えの必要がなく、コストを安く抑えられます。
まとめ
チャイルドシートを助手席への設置すること自体は違法ではありませんが、安全面からあまり推奨はできません。もし助手席へ取り付ける場合は、エアバッグが作動したときの危険性を考慮し、注意点を守って設置をしてください。
また、チャイルドシートを設置していても、正しい取り付けができていない場合が多くあります。そうなると、事故が起こった場合も子どもの安全が確保できません。
固定のしやすさや安全面を考慮すると、ISOFIX対応のチャイルドシートを後部座席へ設置するのがベストです。今の生活環境に合う方法で、できる限り安全な取り付けを検討してみてください。