パーツ取付・交換
更新日:2021.01.01 / 掲載日:2021.01.01
スタッドレスが雨で滑りやすい理由とは

雪や凍結路面に対しては絶対的な効果と安全性能を発揮するスタッドレスタイヤですが、一方で雨などの濡れた路面には弱いと言われています。しかし、雪道や凍結路面でさえしっかりグリップするスタッドレスタイヤが、どうして濡れた路面を苦手としているのでしょうか。すぐには納得できないという方も多いことと思います。そこで今回は、スタッドレスタイヤが雨で滑りやすい理由について解説します。
スタッドレスが雨で滑りやすい理由は?ノーマルタイヤとの違いは?

そもそも大前提としてスタッドレスタイヤは、雪道や凍結路面を安全に走行するために設計されているタイヤであり、ノーマルタイヤは乾いた路面や濡れた路面を安全に走行するために設計されています。それを念頭に以下の点を見ていくとわかりやすくなります。
ゴムの質
スタッドレスタイヤのゴムの質はノーマルタイヤと比べると非常に柔らかく、低温の雪道・凍結路面・シャーベット状路面で最大の性能を発揮できるように設計されています。そのため、普通の濡れた路面ではそのグリップ力を最大限に発揮することができず、滑りやすくなってしまいます。
トレッド(接地)面の構造
スタッドレスタイヤのトレッド面に刻まれている溝は、ノーマルタイヤと比べるとはるかに深くなっています。またサイプという細かい溝などが、雪を確実に捉え引っ掻くため、雪道などでは安定した走行ができます。しかし、濡れた路面ではこれらの細かい溝はほとんど意味をなさず、スピードが上昇するとハンドル操作ができなくなる「ハイドロプレーニング現象」が発生しやすくなります。そのため、排水性を重視したトレッドパターンを持ち、しっかりと濡れた路面をグリップするノーマルタイヤよりも滑りやすくなってしまいます。ただし、スタッドレスタイヤも日々進化しており、濡れた路面の対応を謳っているウェット性能が大きく向上したタイヤも登場しています。
ノーマルタイヤと比べてどの位滑りやすいの?
濡れた路面でスタッドレスタイヤがどれだけ滑りやすいかと言うと、時速100km/hからのフルブレーキテストでは、ノーマルタイヤが50.8mで止まったのに対して、スタッドレスタイヤは止まるまで72.2m必要だったという実験結果があります。およそ1.4倍近くかかったことになります。ちなみに乾いた路面ではノーマルタイヤが44.1mで止まったのに対して、スタッドレスタイヤは止まるまで51.1mかかっています。濡れた路面ほどではありませんが、かなりの差があることがわかります。
上記のようなことからスタッドレスタイヤで、濡れた路面を運転する際は十分に注意して安全運転を心がけるようにしてください。特に雨の日の高速道路では、スタッドレスタイヤはハイドロプレーニング現象を発生しやすくとても危険です。特にスピードは控えめに急な操作を避け、車間距離を保ち慎重な運転に心がけてください。