パーツ取付・交換
更新日:2024.10.29 / 掲載日:2021.01.01
車のサスペンションの役割とは|仕組みや寿命、交換費用などを解説

車のサスペンションには、走行中に路面から受ける衝撃を吸収し、車体の安定性を保つという重要な役割があります。サスペンションは消耗品になるため、適切な時期に交換しなければ、異音の発生や乗り心地の悪化につながります。
この記事では、車のサスペンションの役割や仕組み、種類、交換時期の目安などをわかりやすく解説しています。
愛車の異音や乗り心地が気になる人は、ぜひ最後までご覧ください。
1. 車のサスペンションの役割
車のサスペンションは、車体とタイヤをつなぐ重要な部品です。車の足回りにおいて欠かせない部品であり、主に以下の2つの役割を担っています。
・路面からの衝撃を吸収
・ドレスアップ
役割について、ご紹介します。
(1) 路面からの衝撃を吸収
普段走る道路は一見平らに見えて、実はさまざまな凹凸があります。小石や段差、道路の継ぎ目など、車は走行中に絶えず小さな衝撃を受けているのです。
サスペンションは路面からの衝撃を吸収しており、車体が受ける振動をおさえてくれるため、走行は安定し、乗り心地が快適になります。
(2)ドレスアップ
サスペンションは、車のドレスアップにも欠かせないパーツです。車高を調整できるサスペンションに交換すれば、車の見た目をカスタマイズできます。
たとえば、車高を低くすればスポーティな印象に。車高を高くすれば、オフロード走行に適したSUVのようなスタイルになります。
サスペンションは車の乗り心地や走行性能だけでなく、車の見た目までも大きく変えられる重要なパーツです。
2. サスペンションの仕組み

サスペンションは、いくつかの部品が組み合わさって構成されており、それぞれの部品が重要な役割を担っています。
ここでは、主な構成部品である「コイルスプリング」「ショックアブソーバー(ダンパー)」「サスペンションアーム」の3つについて解説していきます。
(1) コイルスプリング
コイルスプリングは、金属を螺旋状に巻いたバネ状の部品です。路面からの衝撃を吸収し、車体の安定と快適な乗り心地を確保する、重要な役割を担っています。
走行中、車は大小さまざまな衝撃を受けますが、コイルスプリングが伸縮することで、それらを効果的に吸収してくれているのです。
その性能は素材や巻き方、太さなどによって異なり、とくにスプリングの硬さを示す「バネレート」は、乗り心地に大きく影響します。
バネレートが高い場合は、路面からの反応がダイレクトに伝わることでスポーティな乗り心地に、また、高速で曲がる際の安定感アップとなります。
一方、バネレートが低い場合は、路面の凹凸を細かく吸収してくれるので、快適で安定感のある乗り心地を提供してくれます。
(2) ショックアブソーバー(ダンパー)
ショックアブソーバー(ダンパー)はスプリングの伸縮を抑制し、車体の揺れを最小限にする役割があります。
走行時、路面からの衝撃はまずコイルスプリングによって吸収されます。しかし、コイルスプリング単体では、その伸縮の反動をおさえきれず、車体はいつまでも上下動を繰り返してしまうのです。
ショックアブソーバーは内部にオイルやガスが封入されており、スプリングが伸縮する際に抵抗となる力を発生させます。これにより、コイルスプリングの動きが抑制され、走行中の車体は安定するため、快適な乗り心地となります。
(3) サスペンションアーム
サスペンションアームは、車体とタイヤを繋ぐ部品です。路面からの衝撃を吸収すると同時に、ハンドリングや走行安定性を高めてくれます。
具体的には、サスペンションアームには、以下2つの役割があります。
1. 車体とタイヤの位置決め
車体に対して車軸やタイヤの位置を適切に定めています。車が安全かつスムーズに走行するうえで、非常に重要な役割です。
2. タイヤの動きを制御
路面からの衝撃に応じてタイヤを上下に動かすことで、車体の安定性を維持しています。これにより、ドライバーは快適に運転できます。
サスペンションアームには複数の種類があり、車種や用途に合わせて最適なものが選ばれます。たとえばスポーツカーでは、コーナリング性能を高めるために、高い剛性を持つサスペンションアームが採用される傾向にあります。
3. サスペンションの種類
車のサスペンションには、いくつかの種類があります。ここでは、代表的なサスペンション2つの特徴をご紹介します。
(1) 独立懸架方式(インディペンデントタイプ)
独立懸架方式(インディペンデントタイプ)とは、左右のタイヤがそれぞれ独立して動くサスペンションのことです。
たとえば、片方のタイヤが段差を乗り越えても、もう片方のタイヤには影響が伝わりにくいので、安定した走り心地を実現できます。
独立懸架方式には、下記のような種類があります。
種類 | 構造 | 特徴 |
---|---|---|
ストラット式 | ショックアブソーバーとコイルスプリングを一体化し、ストラットと呼ばれる部品で車体を支える | ・構造がシンプルで、強度が高い ・車輪の上下運動でタイヤの角度が変化するため、操縦安定性が低下しやすい |
スイングアーム式 | Aの字、または似た形の1本のアームに車輪を取り付け、反対側の2本を車体に取り付ける | ・シンプルな構造 ・ブレーキ時に操縦安定性が低下しやすい |
トーションビーム式 | 左右の車輪をビームで連結し、ねじり棒の弾性を利用して車体を支える | ・コンパクトで低コスト ・左右の車輪がビームで連結されているため、路面追従性や操縦安定性は低い |
ダブルウィッシュボーン式 | 2本のA字型アームで車輪を支持し、上下運動をサポートする | ・路面追従性と操縦安定性に優れる ・構造が複雑でコスト高になりやすい |
マルチリンク式 | 4つ以上のリンクアームで車輪を支持し、複雑な動きを制御する | ・路面追従性、操縦安定性、乗り心地に優れる ・高性能だが、構造が複雑でコスト高になりやすい |
構造が複雑になるほど、路面追従性、操縦安定性、乗り心地が向上する傾向にあります。しかし、構造が複雑になるとコストも高くなるため、車両の価格や用途に合わせて、最適なサスペンション形式が選択されています。
(2) 固定車軸方式(リジットタイプ)
固定車軸方式(リジットタイプ)は、左右の車輪が一本の車軸で連結されているサスペンションのことです。
シンプルな構造で耐久性が高く、低コストで製造できる点と整備がしやすい点が特徴になります。
ただし、一方のタイヤが受けた衝撃が反対のタイヤにも伝わるため、独立懸架方式と比べると乗り心地や走行安定性で見劣りします。とくに悪路走行時には、車全体が大きく揺さぶられるでしょう。
4. サスペンション交換時期の目安

車のサスペンションは、走行距離や使用年数とともに劣化していく消耗品です。安全で快適なドライブを楽しむためにも、定期的な点検や交換が必要になります。
そこで、サスペンション交換時期の目安を2つご紹介します。
(1) 使用年数5年・100,000km
一般的には使用年数5年、または走行距離100,000kmが交換の目安とされています。
しかし、これはあくまでも目安であり、車の使用状況や環境によって前後します。
たとえば、悪路走行が多い場合や、重い荷物をひんぱんに積載する場合は、サスペンションへの負担が大きくなるため、早めの交換が必要となるでしょう。
(2) 異音の発生や乗り心地の悪化
走行距離や使用年数に関わらず、以下のような症状が現れた場合は、サスペンションの劣化が疑われます。
症状 | 概要 |
---|---|
異音がする | 走行中にガタガタ、コトコト、キーキーといった異音がする場合は、サスペンションの不具合が考えられる |
乗り心地が悪くなった | 路面の凹凸の影響を受けやすくなったり、車体が揺れやすくなったりした場合は、サスペンションの劣化が考えられる |
ハンドル操作の反応が鈍い | サスペンションの不具合により、ハンドル操作に対する車の反応が遅くなったり、不安定になったりすることがある |
タイヤの偏摩耗が見られる | サスペンションの不具合により、タイヤが特定の部分だけ摩耗することがある |
これらの症状に心当たりがある場合は、安全のためにも、早めに整備工場やディーラーで点検を受け、必要に応じて交換してもらいましょう。
5. サスペンション交換を業者に依頼する場合
サスペンション交換は、安全運転に直結する重要な作業になるため、専門知識と設備が整った業者に依頼することを強くおすすめします。
ここでは、業者に依頼する場合の費用相場と、業者を選ぶポイントを紹介します。
(1) 依頼する場合の費用相場
サスペンション交換の費用は、交換する部品代と作業工賃の合計金額になります。
項目 | 費用相場 |
---|---|
交換部品代 | 10,000~50,000円 |
作業工賃 | 10,000~50,000円 |
合計 | 20,000~100,000円 |
上記はあくまで目安であり、車種や交換する部品の種類、工賃によって費用は大きく変動します。また、サスペンション交換と同時にアライメント調整する場合は、別途費用が発生します。
(2) 業者を選ぶポイント3つ
業者を選ぶ際には、以下の3つのポイントを参考にしましょう。
1. 専門知識と技術力
専門的な知識と、高い技術力を持つ業者を選ぶことが大切です。実績や経験豊富な業者を選ぶようにしましょう
2. アフターフォロー
交換後の保証期間や点検サービスなど、アフターフォローが充実している業者を選ぶようにしましょう
3. 費用
安すぎる業者は、技術力が低かったり、追加料金が発生したりする可能性があります。複数の業者から見積もりを取り、作業内容と価格を比較検討することが大切です
6. サスペンションに関することはグーネットピットにお任せください

サスペンションは、車の走行安定性や乗り心地に大きな影響を与える部品です。使っていくうちに劣化する消耗品になるため、定期的に点検し、適切なタイミングで交換する必要があります。
なお、使用年数5年・走行距離100,000kmが交換目安ですが、異音や乗り心地の悪化を感じたら、早めに点検・交換を検討しましょう。
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経験豊富な整備士が愛車に最適なメンテナンスをご提案しますので、まずはご相談いただけると幸いです。