パーツ取付・交換
更新日:2021.01.01 / 掲載日:2021.01.01
鍛造ホイールと鋳造ホイールでは燃費や乗り心地に違いはあるのか

車のホイールとして、アルミホイールを標準装備する車も多く見かけるようになりました。しかし、アルミ製のホイールでも鍛造(たんぞう)ホイールと鋳造(ちゅうぞう)ホイールがあり、この両者は似て非なるものであるということは、まだ、それほど知られていないようです。そこで今回は、鍛造ホイールと鋳造ホイールの違いについて、燃費や乗り心地の違いも含めて解説します。
鍛造ホイールとは何か?鋳造ホイールとは何か?

「鍛造」「鋳造」というのは、製造方法の違いです。
「鋳造」は、鋳型の中に溶かしたアルミ合金を流し込んで製造する方法です。この方法のメリットは、製造コストが安く、大量生産できることと言えるでしょう。そのため外国製の安いアルミホイールは、ほとんどがこの方法で作られたものです。デメリットは、製造工程の中で「巣」と呼ばれる空洞や穴ができてしまうことです。出荷前に透過検査を行うことで不具合の発見は可能ですが、安い製品を大量に作っている外国の工場では、全数検査まで実行できていないのが実情です。また、鍛造に比べ強度が低くサイズ的にも精度の高いものが作れないというデメリットもあります。
一方、「鍛造」は金型の中にアルミ合金をセットし、大きな圧力をかけて塑性加工する製造方法です。この方法のメリットは、軽くて強く、精度の高いアルミホイールが作れることです。デメリットは、「鋳造」よりもはるかに手間がかかるため、コストが高くなってしまうことです。
鍛造と鋳造では燃費や乗り心地に違いがあるの?
鍛造と鋳造を比べると、鍛造で製造したアルミの方が、はるかに強度が強くなるため、地金の肉厚を薄くした軽いアルミホイールを作ることができます。車の燃費や乗り心地は、バネ下荷重を軽くすることで良くなると言われています。このバネ下荷重というのはサスペンションのスプリングより下の重さ、つまり主にタイヤとホイールの重さのことを言います。燃費に関しては、軽量なアルミホイールを装備することで、車の重量が軽くなり、その分、車を推進させるエネルギーを削減できるため、燃費は向上します。乗り心地に関しては、タイヤとホイールが軽くなることで、サスペンションの衝撃を吸収する力や減衰力は効きやすくなります。そのため、無駄な振動が少なくなることで乗り心地は多少改善します。つまり、より軽いアルミホイールである鍛造ホイールの方が、燃費や乗り心地を良くしてくれるというわけです。
鍛造ホイールと鋳造ホイールはどちらを選ぶのがおすすめ?
基本的には、性能で選ぶなら鍛造ホイール、コストで選ぶなら鋳造ホイールということになります。ただし、鋳造ホイールの中にはスチールホイールよりも重いホイールというのも存在しますし、鍛造ホイールには、レース用に製造されていて、一般道にはあまり向いていないアルミホイールが混ざっていることもありますから、どちらを選ぶにしても注意が必要です。鋳造ホイールと鍛造ホイールは、外見からは重さや強度などがなかなか判断しにくいです。そのためアルミホイールを購入する際は、できるだけ専門家の意見を聞くようにしましょう。