フロア端とはいえ、有効スペース内にパイプ脚を設けたため、荷物の出し入れの邪魔になっている。脚の設置位置を見直してスペースをフル活用したい。 ラゲッジに仕切り棚を設けることで効率よく荷物を積みたい
【1】現状でも機能的には十分だが側面に設けた足場が邪魔!
棚板を設置したことで荷室の使い勝手がグンと向上。機能的だ。
ところが、蓋付きの右サイドの物入れは蓋の開閉ができなくってしまった。
大きな荷物の出し入れ時に内側に張り出した脚が邪魔になることが……。 サードシートのドリンクホルダーを有効活用する
現状の荷室用フレームは安定性を重視して、長方形のテーブル状に組んだ4本の脚がタイヤハウスの内側にピッタリ収まるよう配置した。
このため、後方の左右の脚はトランクサイドに設置されている物入れに干渉。特に蓋付の右サイドの物入れは、蓋の開閉ができず使用が困難になってしまった。また、脚が飛び出しているため、実質的な有効スペースが狭くなってしまうという問題も抱えていた。
それでも使用を開始した当初は快適で、重宝したが、搭載する荷物の関係でそろそろ作り直そうと考えていた。
そのため、フレームワークの再検討を始めた当初は左右のサイドパイプをトランクサイドライニングに直接ボルト留めしてしまおうと考えた。しかし、サードシートのドリンクホルダーをほとんど使わないので有効活用することにした。
使用した用品
骨格を形成するパイプには矢崎化工のφ28イレクターパイプを使用。300/450/600/900/1200mmといった長さ違いの種類があり、目的サイズに近い物を購入後、必要サイズにカットして使用する。■ヤザキ/イレクターパイプ 価格:205~529円(税込)
3方向全てはめ込みの3つ又のコーナージョイント。同じ色を4個、揃えたかったが黒の在庫が2個のみだったため、2個は白にした。■イレクター ジョイントJ-4 価格:205円(税込)
1方向通しで、その両サイドははめ込み仕様になっているクロスジョイント。今回はこれを2個使用した。■イレクタージョイントJ-6B S BL 価格:259円(税込)
1方向通しで、側面に1カ所、はめ込み部が設けられているT字ジョイント。これも2個使用した。■イレクタージョイントJ-7C S BL 価格:162円(税込)
2方向はめ込み仕様の直角ジョイント。パイプをはめ込み部の深さは30mmで、はめたパイプの末端から交点までの距離は20mmとなる。■イレクター ジョイント J-5 S BL 価格:140円(税込)
【2】現状の棚板の高さをマーキングする
棚板の高さおよび水平線の目印として、棚板上面とトランクサイドライニングの接触面にマスキングテープを貼っておく。
棚板を取り外してフレームを剥き出しにし、フレーム周囲の空きスペースを確認。
足場をどこにどのように設けるか検討する。【3】サードシートのドリンクホルダーを足場に利用!?
検討の結果、サードシードのドリンクホルダー内に後脚を設置することにした。
その前後ライン上に前脚配置。
採寸しつつどのようにフレームを組むかスケッチしながら検討する。
そのスケッチを清書し、最終的に使用した各パイプの寸法を記した図面がこれ。 脚は再利用する
脚は前2本がそのまま、後ろ2本はパイプ長を縮めることで再利用する。
J4ジョイントを前脚にセットしてサイドパイプを組み付け、後脚までの長さを計測する。
実測値は370mm。
パイプに切断位置をケガき、高速カッター(もしくはイレクターパイプ専用パイプカッター)にセットしてカットする。
左サイド用にもう1本、370mmサイズにカットする。元の棚板高のマーキングを目印に、まず両サイドのフレーム位置を決める
370mmにカットしたサイドパイプを前脚に接続。
パイプ後端にJ4ジョイントをはめ込み、サイドパイプが水平になるよう保持しながらパイプ上面からドリンクホルダー底面までの距離を測る。
フロア固定用に利用したJ-103ジョイントの底面から160mmの位置にカット線を記入。
高速カッターでカットする。
再利用する脚をもう1本、同じ長さにカットする。
サイドパイプに接続して収まり具合を確認。
水平も出ており問題なし。OKだ。 【6】前端の横フレームを設置して左右を接続する
左右の前脚に組み付けたJ4ジョイント間の距離を計測する。実測値は1140mm。
1200のイレクターパイプの端から1140mmの位置にカット線を記入。
高速カッターでカットする。
切り出したフロントパイプで左右の前脚を接続。手を離しても立ったまま安定するようになった。 【7】後方延長バーのホルダーを組み付ける
フロントパイプを一旦取り外し、J-7Cジョイントを2個共はめ込んで組み付ける。
J-7Cジョイントは後方の延長面のサイドパイプの支え。
J-6Bジョイントを利用して後脚のJ4ジョイントに接続固定する。【8】後方延長バーの長さを決めてカットする
延長面サイドパイプを水平に保持し、テールゲートと干渉しないギリギリの長さを確認する。
なお、パイプ後端にはめるJ-5ジョイントのパイプはめ込み部の深さは30mm。
はめ込み部末端からジョイント外面まで70mmなため、パイプ末端から40mm後方にリヤパイプ(フレーム末端)がくる。
これを踏まえて680mmにカットした。 【9】短パイプでサイドバーに接続する
延長用サイドパイプにはめたJ-6Bジョイントと後脚のJ4ジョイントは密着するように配置する。このため、接続パイプは30×2の60mm。
60mm長のパイプを2本切りだす。
60mmパイプでJ-6Bジョイントと後脚のJ4ジョイントを接続。
取り付けた様子。
左サイドも同様に接続し、水準器を当てて水平が出ているか確認する。OKだ。 【10】残りの横フレームを組み付ける
左右の延長用サイドパイプのJ-6Bジョイント間の距離を計測する。実測値で900mm。
900mmの規格品が無加工で収まった。
後方末端のリヤパイプも同サイズ。J-5ジョイント間を接続してフレームの完成だ。 接着する前に棚板をセットした状態での収まりを確認する
完成したフレームは仕上げに、各ジョイントとパイプの接続面に専用接着剤(サンアロー接着液)を流し込んでしっかり固定する。
が、その前に、棚板をセットした最終形態における収まり具合を確認しておく必要がある。イレクターパイプは一度接着してしまったら分解不可。万が一、修正が必要となったとしても手も足も出なくなるからだ。
さて、その棚板には9mm厚の合板をチョイス。ガッチリしたフレームに支えられるため、この厚みで十分な強度が得られるからで、サイズは700×1270mm。一般的な規格サイズ品から切り出す。
前作の棚板をはめて収まり具合を確認しつつ新規棚板のサイズを割り出す。横幅は1270mm、奥行き(前後幅)700mm。
9mm厚の合板を調達し、そのサイズにカット。
そのまま収めようとしたら引っかかってはまらない。【2】後方の突起した面に合わせて切欠く
前作の棚板もタイヤハウス上部の張り出し面に合わせた切り欠きが逃げとなってはめることができた。このため、切り欠き加工すれば入るはず。
まずは、その切り欠き加工を行うべく、張り出し面の縦/横サイズを計測する。
その計測値を元に、棚板に切り欠く面を書き込む。
書き込む。
ジグソーを使用して切り欠く面を切り抜く。
切断面をヤスリで研磨してササクレを削り落としエッジを丸めておく。 【3】切欠きを設けたことで難なく収まった
張り出し面の形状は左右で異なり、棚板はこのような非対称の形状になった。
切り欠きを設けたことで、はめ込むときに引っかかった箇所をスルー。
はめ込むことができるようになった。
サイズもピッタリ。きれいに収まった。 【4】カーボンシートを利用して棚板を化粧する
棚板の仕上げにちょうどガレージにあったカーボン調フィルムで化粧を施すことにした。
このフィルム、以前企画で没になった一品。写真だとカーボンっぽく見えるが、目視では単なる模様のついたフィルムで、かなり安っぽい。
棚板表面をペーパーがけして平らに均す。
エアブローして削りカスを吹き飛ばす。
剥離紙を端から10cmほど剥がす。
板端にフィルム末端が板端に合致するよう慎重に位置合わせして貼り付ける。
剥離紙を剥がしながら残りを少しずつ貼り付けていく。
全面に貼りつけたら中央から外に向かって擦って密着させる。
棚板からはみ出た部分をカット。
切欠き面をカットして化粧板の完成だ。
仕上がりはこんな感じ。 【5】平面に乗せて歪みを取り、接着剤を流し込む
組み上がったフレームを一旦バラして取り出し、脚を除いた上部フレームを平らな台上で組み直す。
上から押さえ付けて歪みをとったところで接着剤を用意。
スポイトで適量吸い出し、各パイプとジョイントの接続面の隙間に流し込んで接着する。【6】脚を接続してネジ留めする
着剤が固まったところでラゲッジルームに入れ込む。
前後脚をセット。
各脚とJ-4ジョイントとの接続部は分解できるようネジ留めにする。
下穴を空け、タッピングスクリューを締め込む。
脚は下端のJ-103ジョイントの傘部をフロアにネジ留めする。 ワンランク上の納得の仕上がりとなった!
左右端に鎮座していた脚がなくなったことで、前端までスッキリ見通せる状態に。そして、本来のラゲッジスペースをまるまる使えるようになった。
脚がはみ出していた前作でも、スーツケースが2個、収まるスペースがあっただけに、かなりの余裕が生まれた。また、棚板にカーボン調シートを貼ったことで外から覗き見てみるとトノカバーを設置したがごとく、ワンランク上の仕上がり。グレードアップは大成功だ。