パーツ取付・交換
更新日:2024.05.16 / 掲載日:2024.04.20
車高調のスプリングメーカーおすすめ3選!選び方と交換方法をわかりやすく解説

車高調を取り付けることで、走行シーンや目的に応じて車高を自由に変更できます。そのため、より見た目や乗り心地にこだわりたい人は、スプリングを交換するとよいでしょう。
この記事では、スプリングの選び方とおすすめのスプリングメーカー3選を紹介しています。交換方法もわかりやすく解説していますのでぜひご覧ください。
1.車高調のスプリングの選び方
車高調とは、「車高調整式サスペンション」の略称です。車高調を車に取り付けることで車高を一定範囲内で自由に上げ下げでき、見た目や乗り心地を自分好みにカスタマイズが可能です。
車高調のスプリングは車高調の部品のひとつで、車体の高さや乗り心地、走行性能に大きな影響を与える重要な役割があります。
車高調のスプリングには多くの商品があるため、選ぶ際のポイントをご紹介します。
(1)スプリングのID
スプリングのIDとは、バネの内径(単位mm)のことです。たとえば、バネの内径が62mmの場合「ID62」と表記されます。
車高調によって、スプリングを取り付けるロアシートの大きさが異なるため、スプリングを交換する際は、現在取り付けられているスプリングと同じIDのスプリングを取り付ける必要があります。
車高調にID62(62mm)のスプリングが取り付いている場合、ID60(60mm)のスプリングを取り付けようとしても、スプリングがロアシートにはまらず取り付けられません。
一方、車高調IDより少し(2〜3mm程度)大きいIDのスプリング(たとえば、ID62の代わりにID65を取り付ける)は取り付けられます。
スプリングとロアシートのサイズがピッタリで異音がする、スラストシート(ID変換シート)を使いたいといった際に、車高調より大きいIDのスプリングを取り付ける場合もあります。
ただし、異なるIDを取り付けたことで不具合が起きる可能性もあるため、基本的には車高調と同じIDを選ぶのがよいでしょう。
(2)長さ(自由長)とバネレート
①長さ(自由長)
スプリングの自由長とは、荷重がかかっていないスプリングの全長のことです。
スプリングとショックアブソーバーが一体(ストラット式)になった車高調の場合、バネレートが同じでプリロードもかかっていなければ、スプリングの自由長が異なっても車高には影響しません。
ただし、リア側によく採用されているスプリングとショックアブソーバーが別体の場合は、スプリングの長さが直接車高に影響します。
また、同じバネレートのスプリングの場合、自由長の長いスプリングは一巻当たりのバネの変化量が少ないため乗り心地がマイルドになります。短いスプリングは、一巻当たりのバネの変化量が大きいため、クイックな動きになります。
ストラット式の車高調において、自由長の長さが異なるスプリングにしたい場合は、ロアシートの位置を調整することで取り付けられます。
ただし、極端にスプリングの自由長が長すぎると物理的に取り付けられません。逆に短すぎるとロアシートの調整範囲を超えるため、スプリングに遊びが生じてしまいます。
遊びとは、スプリングの下側とロアシートの間に隙間が生じ、スプリングが上下に動く状態のことです。スプリングが固定されないため非常に危険で、乗り心地の悪化や車高調の寿命を縮める原因になります。車検にも通らないため、注意しましょう。
②バネレート
バネレートとはスプリングの硬さのことをいい、1mm縮めるために何kgの力が必要かをkgf/mmという単位で表しています。たとえば、10kgf/mmのスプリングの場合、100kgの荷重がかかると10mm縮みます。
バネレートが高ければ、荷重がかかってもスプリングが縮みにくいため車高は高くなります。逆に、低ければ、少ない荷重でスプリングも大きく縮むため車高も低くなります。また、バネレートが高ければスプリングは硬くなり、低ければ柔らかくなります
スプリングの長さとバネレートの関係は以下の表にてまとめました。(ストラット式の場合)。
スプリングの特徴 | スプリングの長さ(自由長) | バネレートの高さ | ||
---|---|---|---|---|
長い場合 | 短い場合 | 高い場合 | 低い場合 | |
車高 | 基本変わらない | 基本変わらない | 高くなる | 低くなる |
乗り心地 | マイルド(柔らかい) | クイック(硬い) | 硬くなる | 柔らかくなる |
スプリングによって自由長とバネレートは異なるため、判断が難しい場合はディーラーやカー用品店などの専門業者に相談することをおすすめします。
(3)スプリングの種類
スプリングの形によって「直巻きスプリング」と「荒巻スプリング」の2種類あり、それぞれ特徴が異なります。
①直巻スプリング
直巻きスプリングとは、スプリングの太さやピッチ、直径(巻きの大きさ)が一定になっているスプリングのことです。市販されている車高調に多く使われているスプリングです。
直巻きスプリングはバネIDが同じであれば、別のスプリングに交換できます。たとえば、車高を上げたければバネレートの高いスプリング、乗り心地を柔らかくしたければ自由長の長いスプリングを取り付けます。
ただし、直巻きスプリングのバネレートは一定のため、目的や用途が限定されます。たとえば、サーキット走行を目的にしたスプリングで一般道を走行した場合、走行環境が目的と異なることで乗り心地が悪く感じるでしょう。
②荒巻スプリング
荒巻スプリングとは、スプリングの太さやピッチ、直径(巻きの大きさ)が一定ではないスプリングのことです。ひとつのスプリングに複数のバネレートがあるのが特徴です。
国産車の場合、走行環境に柔軟に対応するよう、基本的には荒巻スプリングが使われています。
複数のバネレートがあることで、サスペンションの沈み始めは柔らかく、大きく動くときは硬いスプリングとして反応し、さまざまな目的や用途、走行環境に対応します。
たとえば、街乗りでは柔らかな乗り心地を、高速道路やコーナリング時などはスプリングも強く踏ん張るため、安定した乗り心地が得られます。
ただし、市販の車高調に取り付けて車体を過剰に下げると、スプリングの大きな巻きの箇所が車体やホイールなどに干渉しないか注意が必要です。
また、スプリングの上下でIDが異なるため、車高調に荒巻スプリングを取り付ける際は、確認しましょう。
2.【おすすめ】車高調のスプリングメーカー3選
おすすめの車高調スプリングメーカーを3社ご紹介します。
(1)TEIN

出典|S.TECH:TEIN
TEIN(テイン)は、日本を代表する世界的な車高調メーカーであり、スプリングなど車高調に関するパーツも提供しています。
純正同等のスプリングやローダウン用、競技用など、さまざまなスプリングを展開しており、目的にあったものを見つけやすいでしょう。
商品紹介ページでは適合する車種の一覧を確認でき、商品によっては乗り心地や異音、へたり保証があるため、安心して購入できます。
(2)CUSCO

CUSCO(クスコ)は、主にスポーツ走行を想定した車高調やドリフト走行用のパーツを展開する日本の自動車部品メーカーです。信頼性の高い製品を提供するために、車高調サスキットは開発から製造まで一貫して国内で生産しています。
新開発された「Blue spring」は、優れた耐久性と安定性を備えており、スポーツ走行やドリフト走行などのハイパフォーマンスな走りを追求するドライバーに最適です。
(3)BLITZ

BLITZ(ブリッツ)は、品質と信頼の高い車高調を提供する日本のメーカーです。車高調以外にも、多くの車種に適合するカーパーツを多数展開していることから人気を集めています。
ドライバーのニーズや目的に応えられるよう、幅広い自由長とバネレート、そして長巻と樽型のスプリングを販売しています。
3.車高調のスプリング交換方法

車高調のスプリングを交換する手順をご紹介します。
車高調を取り外してスプリングを交換する手順をご紹介しますが、車高調によっては取り外さずに交換できる場合があります。
(1)前輪の車高調のスプリングを交換する手順
前輪(フロント)と後輪(リア)でスプリングを交換する手順は異なります。まずは、前輪の車高調のスプリングを交換する手順をご紹介しましょう。
①ジャッキアップする
車高調を取り外すには、車からタイヤとホイールを取り外す必要があります。
車のエンジンを平坦で安全な場所で停止させたら、ジャッキを使って車体を持ち上げ、安全に作業できるようジャッキスタンドで支えましょう。ジャッキアップ前にレンチなどでホイールナットを少しだけ緩めておくと、ジャッキアップ後にホイールが取り外しやすくなります。
②タイヤとホイールを取り外す
緩めておいたホイールナットを外し、タイヤとホイールを取り外します。タイヤとホイールが車体に当たらないように気をつけて取り外し、万が一に備えて外したタイヤは車体の下に置きましょう。
③車高調を取り外す
車高調はアッパーマウントのナット3本(上)、ロアブラケットの取り付けボルトとナット2本で装着(車種によってはスタビライザーやブレーキホースの取り付けナットやボルトを外す必要がある)されているため、これらのボルト類を外します。
まずは、アッパーマウントのナット3本を緩めたあとに、ロアブラケットの取り付けボルトとナット2本を取り外します(スタビライザーやブレーキホースが車高調に取り付いている場合は、それらのボルトなども一緒に外します)。
続いて、車高調を押さえながらアッパーマウントのナット3本を外し、車高調を取り外してください。
④プリロードを緩める
車高調からアッパーマウントを取り外す前に、フックレンチでスプリングシート(スプリングの下部が乗っているお皿)を下げて、プリロードを緩める(スプリングが上下に動く状態)必要があります。
プリロードを緩めておかないと、アッパーマウントを取り外す際にアッパーマウント自体が飛んでしまう恐れがあります。スプリングシートについては、下記の記事で解説しています。
⑤アッパーマウントを取り外す
プリロードを緩めたら、アッパーマウントのトップナットを外しましょう。
ナットが外れたら、アッパーマウントは手で取り外せます。アーパーマウントを取り外したら、ベアリングやスプリングシート(アッパーシート)、スプリングを外します。これらの部品を外す順番をメモしておくことで、再度つける際に順序を間違えずに作業できます。
⑥スプリングを交換する
スプリングは、上下の向きが決まっているものがあります。取扱説明書を確認し、正しい向きで取り付けましょう。
スプリングを交換したら、アッパーマウントを取り付けます。アッパーマウントの取り付けは、外した手順の逆におこないましょう。
(2)後輪の車高調のスプリングを交換する手順
後輪の車高調のスプリングを交換する手順は以下のとおりです。
①リアショック下部のボルトを抜く
タイヤとホイールを取り外したら、左もしくは右のリアショックをジャッキアップで持ち上げます。
リアショックを持ち上げたら、ジャッキアップした側のリアショック下部のボルトを抜きましょう。なお、スプリングにプリロードがかかっていなければ、リアショックをジャッキアップせずにボルトが抜ける場合もあります。反対側のリアショックも同様にボルトを抜きます。
②スプリングを交換する
左右のリアショックのボルトを切り離し、足回り全体を手で下げることで、スプリングを簡単に取り外せます。
古いスプリングを取り外したら再度足回り全体を手で下げ、新しいスプリングを取り付けてからリアショック下部のボルトを締めましょう(スプリングの長さに応じてリアショックの長さの調整が必要)。
③タイヤとホイールを取り付ける
最後にタイヤとホイールを取り付けたらジャッキアップを解除し、ホイールを規定トルクで締め付けます。
4.スプリング交換を業者に依頼する場合
車高調のスプリング交換は、運転時の安全性に直結する作業であり、専門的な知識や技術、複数の道具が必要になります。そのため、整備士並みの知識がない人や交換に自信がない人は業者に依頼することをおすすめします。
依頼する業者によって料金体系は異なりますが、スプリング交換の工賃は、20,000~30,000円(本体代除く)程度が目安です。
業者に依頼することで安全かつ適切にスプリング交換でき、業者によっては保証やアフターサービスも提供しているため、長期的な安心感を得られます。
5.車高調に関することはグーネットピットにご相談ください
車高調のスプリングは、車高や乗り心地、走行性能を自分好みに変えられるパーツです。しかし、愛車や目的に適さないスプリングを取り付けたり、取り付け方法を誤ったりすると、車の安全性や乗り心地に悪影響を及ぼします。
そのため、スプリング選びや交換に自信がない人は、ぜひお近くの整備工場にご相談ください。
車高調の専門知識や技術を持つスタッフが、お困りごとやお悩みを伺い、丁寧に対応いたします。