パーツ取付・交換
更新日:2024.07.18 / 掲載日:2024.05.09

車高調のアッパーマウントとは|選び方や交換方法をわかりやすく解説!

車高調のアッパーマウントは、車高調を車体に固定するパーツです。アッパーマウントには走行中の衝撃や振動を吸収する役割もあるため、装着するアッパーマウントによって乗り心地や走行性能が異なります。

この記事では、アッパーマウントの概要や選び方、交換方法をわかりやすく解説しています。交換目安も紹介していますので、乗り心地や走行性能の劣化などが気になる人はぜひご覧ください。

1. 車高調のアッパーマウントとは

アッパーマウント(イメージ)

車高調のアッパーマウントとは、車高調(フロント側)の先端(上部)にナットが取り付けられている部品のことです。アッパーマウントには、車高調を車体に固定する役割があります。

走行中の振動や衝撃は路面からタイヤ、車高調、そして車体へと伝わります。アッパーマウントには振動や衝撃を吸収する役割もあるため、取り付けるアッパーマウントによって乗り心地やハンドリング性能が異なります。

2. アッパーマウントの選び方

アッパーマウントは数多くの商品が販売されていますが、それぞれ乗り心地やハンドリング性能などの特徴は異なります。そのため、アッパーマウントを交換する際や車高調を選ぶ際は以下のポイントをおさえておきましょう。

1.走行環境や乗り心地
2.キャンバーの角度
3.車高調に装着可能

順にご紹介します。

(1) 走行環境や乗り心地

アッパーマウントの種類によって、走行性能や乗り心地が大きく異なります。

アッパーマウントには、ゴムブッシュ式とピロ式の2種類があります。ゴムブッシュ式とは、車体に接合する部分にゴムが使われているアッパーマウントのことです。

路面から受ける振動や衝撃をゴムが吸収してくれるため、比較的やわらかい乗り心地になるのが特徴です。

一方、ピロ式は接合部分にゴムを使っておらず、アッパーマウントの中心に金属製のピロボールが入っています。ゴムを使っていないため振動や衝撃を受けやすくなりますが、タイヤの動きをダイレクトに感じられるようになります。

ピロ式はステアリング操作への応答やコーナリング性能が上がるなど、ハンドリングしやすくなるのが特徴です。

つまり、街乗りが多い人やドライブ時などの乗り心地を求める人はゴムブッシュ式、サーキットなどでの高速走行が多い人はピロ式がよいでしょう。

(2) キャンバーの角度

ネガティブキャンバーをつけている車(イメージ)

アッパーマウントの種類によって、キャンバー角(タイヤが車体に対して傾斜している角度)を調整できます。キャンバー角は、サーキットカーやレースカー、カスタムカーなどにつけられています。

車体に対して、タイヤが内側に倒れている(ハの字)ことを「ネガティブキャンバー」、外側に倒れている(逆ハの字)ことを「ポジティブキャンバー」といい、キャンバー角をつける車の多くは、ネガティブキャンバーです。

キャンバー角を調整したい場合は、基本的にピロ式のアッパーマウントを選ぶことになります。ただし、ゴムブッシュ式でもキャンバー角を調整できる場合はあるため、商品を選ぶ際に確認してみましょう。

なお、カスタムカーがキャンバー角を調整する主な理由はデザイン性向上ですが、以下のようにそれぞれメリット・デメリットがあります。

キャンバー角メリットデメリット
ポジティブキャンバーハンドルが軽くなる・タイヤが減りやすくなる
・ハンドリング性能が落ちる
ネガティブキャンバー・デザイン性が上がる
・コーナリングが安定する
・タイヤが偏摩耗を起こす
・直進安定性が下がる

ただし、キャンバー角を過度に調整することで車検に通らない恐れがあるため注意しましょう。

タイヤが車体より10mm以上出ている場合や、ホイール軸中心に前方30度、および後方50度の範囲内でホイールやホイールキャップなどがフェンダーからはみ出している場合は、道路運送車両の保安基準違反となります(参照:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 p.1|国土交通省)。

(3)車高調に装着可能

車高調によっては、特定のアッパーマウントタイプ(ゴムブッシュ式かピロ式か)を推奨している場合があります。

また、形状によって取り付けられない場合もあるため、アッパーマウントを交換したい場合は、車高調に取り付けられるかを事前に確認しましょう。

3. アッパーマウントの交換目安

アッパーマウントの交換目安は、走行距離100,000km、または使用期間10年になります。

アッパーマウントは走行中の振動や衝撃を受け続けているため、走行距離や時間によって劣化する消耗部品です。ひび割れや亀裂、ゴム部品の劣化などが発生した場合、乗り心地の悪化やハンドリング性能の低下につながるため、車高調の性能を十分に発揮するためにも定期的な交換が必要です。

走行状況によっても劣化スピードは異なるため、以下のような異変を感じたらアッパーマウントを点検し、交換を検討しましょう。

・異音や振動の発生(ガタガタ、ゴトゴト、ギシギシなど)
・乗り心地の悪化
・足回りのガタつき

ただし、一般的な車高調の寿命は走行距離30,000〜40,000km、または使用期間2〜3年のため、アッパーマウントの交換時期が来る前に車高調の寿命を迎えます。

寿命を迎えた車高調は交換、またはオーバーホールが必要になるため、その際にアッパーマウントの点検や交換を検討するとよいでしょう。

車高調の寿命については、下記の記事でくわしく解説しています。

4. 車高調のアッパーマウントを交換する方法

車高調のアッパーマウントを交換する方法をご紹介します。

(1) 必要な道具

アッパーマウントの交換に必要な道具は以下のとおりです。

1.ジャッキとジャッキスタンド
2.ホイールレンチ
3.インパクトレンチ、またはヘキサゴンレンチ
4.メガネレンチ
5.車高調レンチ
6.フックレンチ
7.トルクレンチ

(2) 交換手順

アッパーマウントを交換する手順は以下のとおりです。

①車体を持ち上げる

アッパーマウントを交換するには車高調自体を取り外す必要があるため、タイヤとホイールを取り外しましょう。

平坦で安全な場所で車のエンジンを停止させたら、ジャッキポイントにジャッキをかけて前輪を持ち上げましょう。前輪を持ち上げたら安全確保のため、ジャッキスタンドで車体を支えます。

持ち上げる前にホイールナットを少し緩めておくことで、持ち上げた際にタイヤを外しやすくなります。

②タイヤとホイールを取り外す

車体を持ち上げたら、緩めておいたホイールナットを取り、タイヤとホイールを取り外しましょう。

タイヤとホイールを取り外す際は、車体に当たらないように気をつけてください。

③フロント側の車高調を取り外す

アッパーマウントを交換するために車高調を取り外しましょう。

フロント側の車高調は、アッパーマウント上部のナット3本、ロアブラケットの取り付けボルトと下部のナット2本で固定されています。車種によっては、スタビライザーやブレーキホースの取り付けナット、ボルトの取り外しも必要です。

まず、アッパーマウントのナット3本を緩めます。完全に外してしまうと、下側のナットを外した際に車高調が落下する恐れがあります。

次に、ロアブラケットのボルトとナット2本を外します。スタビライザーやブレーキホースが取り付けられている場合は、それらのボルトやナットも外してください。

最後に車高調が落下しないよう手でおさえながら、アッパーマウントのナット3本を完全に外して、車高調を取り外しましょう。

④アッパーマウントを交換する

インパクトレンチかヘキサゴンレンチを使い、アッパーマウントのトップナットを外します。トップナットを外したらアッパーマウントは手で外せるようになるため、新しいアッパーマウントの取扱説明書を参考に交換してください。

なお、トップナットを外す前にフックレンチでスプリングシートを下げて、スプリングのプリロードを緩めましょう。スプリングシートを下げて、スプリングが上下に動く状態にします。

プリロードがかかっていると、トップナットを外した際にアッパーマウント自体が飛んでしまう恐れがあります。

スプリングシートについては、下記の記事をご覧ください。

⑤車高調を再度取り付ける

アッパーマウントを交換したら、車高調を再度取り付けます。取り付けは、外した手順と逆におこないましょう。

取り付けに自信がない人は、アッパーマウントの交換自体を業者に依頼することをおすすめします。

⑥タイヤとホイールを取り付ける

タイヤとホイールを取り付けたらホイールナットを仮締めし、ジャッキアップを解除します。最後に規定トルクでホイールを締め付けましょう。

5. 車高調のアッパーマウントの交換を業者に依頼する場合

アッパーマウントを交換するには車高調を取り外し、再度取り付けが必要になります。そのため、車のメンテナンス作業初心者や車高調に関する専門知識や経験がない人は、専門業者に依頼することをおすすめします。

アッパーマウントの交換費用は、1カ所で7,000〜10,000円(工賃のみ・本体代除く)が相場です。ただし、車高調や取り付けるアッパーマウントの種類、依頼する業者によって費用は変動するため、依頼する際は複数の業者から見積もりを取りましょう。

また、業者を決める際は、車高調に関する専門知識や技術を持っているか、交換した経験があるかを確認することが重要です。これらは、業者のホームページやレビューサイトなどを参考に確認しましょう。

6.車高調に関することはグーネットピットにご相談ください

アッパーマウントによって乗り心地や走行性能は異なるため、これらを向上させたい人は目的に合ったアッパーマウントや車高調の取り付けを検討しましょう。

ただし、現在装着している車高調のアッパーマウントを交換する場合、車高調を一度取り外し、アッパーマウント交換後に再度車高調を取り付ける必要があります。

そのため、車や車高調に関するメンテナンスの知識や経験がない人は専門業者に依頼することをおすすめします。

グーネットピットには、車高調に精通したスタッフが在籍しており、車高調に関するあらゆる疑問やお困りごとに丁寧に対応いたします。ぜひ、下記のページからお近くの整備工場を検索してみてください。

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グーネットピット編集部

ライタープロフィール

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車検・点検、オイル交換、修理・塗装・板金、パーツ持ち込み取り付けなどのメンテナンス記事を制作している、
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