パーツ取付・交換
更新日:2024.06.14 / 掲載日:2024.06.03
ブレーキパッドの当たり付けとは|自分で行う方法をわかりやすく解説

ブレーキパッドやディスクローターを交換した直後は、ブレーキパッドとディスクローターの接触が不十分なため、ブレーキの利きが悪くなったり、異音が発生したりする恐れがあります。
そのため、新品に交換した際は、ブレーキパッドとディスクローターの表面を馴染ませる、当たり付けが必要になります。
この記事では、ブレーキパッドの当たり付けの概要と作業方法などをわかりやすく解説します。
1.ブレーキパッドの当たり付けとは
ブレーキパッドの当たり付けとは、ブレーキパッドの全面がディスクローターに当たるようにする作業のことです。
新品のブレーキパッドやディスクローターの表面には、細かな凹凸があります。そのため、新品に交換した直後は、ブレーキをかけてもブレーキパッドとディスクローターが部分的にしか当たりません。
走行中に車を停止させたり、速度を落としたりするには、ブレーキパッドをディスクブレーキに押しつけた際に発生する摩擦力が必要です。
しかし、ブレーキパッドの全面がディスクブレーキに当たらない場合、押しつける接地面積が減ってしまいます。その結果、摩擦力が低下してブレーキの利きが悪くなる恐れがあります。
また、ブレーキパッドとディスクローターが部分的に当たることで、一時的な鳴きや異音が発生する場合もあります。
ブレーキの当たり付けによって、ブレーキパッドとディスクローターの表面が適切に馴染み、ブレーキ性能を最大限に発揮できるようになるということです。
2.ブレーキパッドの当たり付け方法
ブレーキパッドの当たり付けの方法をご紹介します。
当たり付けは難しい作業ではなく、慣らし運転のようなイメージです。ただし、メーカーによって当たり付け方法が異なるため、作業する前に商品の取扱説明書や購入店で確認してください。
(1)街乗り用ブレーキパッドの場合
街乗り用ブレーキパッドの場合は、当たり付けに200〜1,000kmの一般道走行が必要になります。
特別な走行は必要なく、通常の安全運転で上記の距離を走行すれば当たり付けは完了です。
なお、当たり付けしている間は、急激な加速や急ブレーキ、急ハンドルは避けてください。
また、無理やりディスクローターの温度を上げるような運転はせずに、優しいブレーキを心がけることが重要です。
(2)サーキット走行用ブレーキパッドの場合
サーキット走行用ブレーキパッドの場合は、以下のとおりです。
1.装着後初めてサーキット走行する際、全開走行せずに50%程度の踏力でブレーキを使いながら5分間走行する
2.5分程度、自然冷却する
3.70〜80%程度の踏力でブレーキを使いながら10分間走行する
4.10分程度、自然冷却する
5.80%程度から徐々に100%の踏力に近づけるように、ブレーキを使いながら走行する
サーキット走行用のブレーキパッドは、ディスクローターに皮膜を形成することで適切なブレーキ性能を発揮します。当たり付けが完了する前にディスクローターの温度を急激に上げると、皮膜が形成不足になる恐れがあります。
また、急激な温度変化によって、ディスクローターにひずみやクラック(小さなヒビ割れなど)が発生しやすくなり、ブレーキの性能低下や故障につながります。
そのため、装着後にディスクローターの温度を急激に上げたり、無理やり温度を上げたりする運転をしないことが重要です。
(3)2ピースローターの場合
一般的なディスクローターは1つの金属から形成されていますが、2ピースローターはディスクローターとベルハウジング、2つのパーツで構成されています。
2ピースローターの当たり付けの方法は、以下のとおりです。
1.速度120km程度で走行中に、80km程度に速度を落とすブレーキを40回程度連続して行う
2.走行中にジャダー(車体振動)が発生しても、当たり付けが進むに伴い減少する
3.ディスクローターの温度が100度程度になるように、クーリング走行する
クーリング走行が完了したら、以下を確認し問題がなければ当たり付けは完了です。
・ブレーキパッドの摩擦材表面が1mm程度白く焼けているか ・ブレーキパッドとディスクローターの全面が当たっているか ・ディスクローターにヒートスポットなどの斑点模様がないか ・ブレーキパッドの摩擦材に異常な付着物がないか |
2ピースローターでサーキット走行する場合は、とくに当たり付けが重要になります。当たり付けが不十分のまま走行した場合、適切なブレーキ性能を発揮できないだけでなく、ジャダーや歪みといった問題につながります。
3.初期馴染みや鳴き防止には面取りが有効
新品のブレーキパッドに交換した場合、初期馴染みの向上やブレーキ鳴きの防止に面取りが有効です。
面取りとは、ブレーキパッドの角(エッジ)を斜めに削り、ディスクローターに接触する面の角を滑らかにする作業のことです。
面取りすることでディスクローターとの接触面積が少なくなり、接触面にかかる圧力が高くなるため、馴染みやすくなります。
また、面取りで角を滑らかにすることで、ディスクローターと干渉しづらくなり、ブレーキ鳴きを抑えられます。
面取りの詳しい方法については、こちらの記事で解説しています。
4.ブレーキパッドに関することはグーネットピットにお問い合わせください
ブレーキパッドの当たり付けには、ブレーキパッドとディスクローターの表面を適切に馴染ませ、ブレーキ性能を最大限発揮させる効果があります。
ブレーキパッドの当たり付けが悪いと、ブレーキの利きが悪くなったり、ブレーキ鳴きや異音が発生したりする恐れがあります。
ブレーキパッドに当たりを付ける作業は慣らし運転のようなイメージですが、メーカーによって方法が異なります。そのため、適切な当たり付けの方法を知りたい人は、お近くの整備工場にお問い合わせください。
専門知識と経験が豊富なスタッフが、ブレーキパッドの点検から選定、交換など、あらゆるブレーキ関連の作業に対応いたします。