パーツ取付・交換
更新日:2024.07.18 / 掲載日:2024.06.03
車高調のピロアッパーとは?メリットやデメリット、交換方法を解説

車高調のピロアッパーはアッパーマウントの一種で、車高調の先端に取り付けられている部品です。ピロアッパーには、固定式と調整式があり、それぞれ特徴が異なります。
この記事では、ピロアッパーの特徴やメリット・デメリットを紹介しています。選ぶ際の注意点や交換方法も解説していますのでぜひご覧ください。
1.車高調のピロアッパーとは
車高調のピロアッパーとは、車高調(フロント側)の先端(上部)に取り付けられているアッパーマウントの一種です。
アッパーマウントは車高調を車体に固定する部品で、ピロアッパー(ピロ式)とゴムアッパー(ゴムブッシュ式)の2種類があります。
(1)車高調のピロアッパーの特徴
ピロアッパーは、車体に接合する部分(アッパーマウントの中心)に金属製のピロボールが入っているのが特徴です。接合部分にはゴムが使われておらず、走行中のタイヤの動きをダイレクトに感じられるため、サーキットなど高速走行する車に多く採用されています。
一方、ゴムアッパーは、接合部分にゴムが使われているのが特徴です。接合部分のゴムが路面から受ける振動や衝撃を吸収してくれるため、ピロアッパーと比較して、やわらかい乗り心地になります。
(2)車高調のピロアッパーの種類
車高調のピロアッパーには、固定式と調整式の2種類があります。
固定式ピロアッパーはアライメント調整機能がないため、キャンバー角をつけられません。一方、調整式ピロアッパーはキャンバー角を調整できます。
キャンバー角とは、車を正面からみたときのタイヤの角度のことです。タイヤが内側に倒れている(ハの字)ことを「ネガティブキャンバー」といい、外側に倒れている(逆ハの字)ことを「ポジティブキャンバー」といいます。
キャンバー角のメリットやデメリットについては、こちらの記事で詳しく解説していますのでぜひご覧ください。
2.ピロアッパーのメリット・デメリット
ピロアッパーのメリットとデメリットをご紹介します。
(1)ピロアッパーのメリット
ピロアッパーのメリットは以下の2つです。
①走行性能が向上する
ピロアッパーは走行中のタイヤの動きを直接感じられるため、ステアリングの応答性が向上し、正確なハンドリングにつながります。
また、コーナリング中の車体のブレを抑えられるため、コーナリング性能や走行中の安定性が上がります。
とくにサーキットなどの高速走行時に、コーナリング性能や安定性が発揮されます。
②キャンバー角を調整できる

調整式ピロアッパーは、走行状況やドレスアップなどの目的に応じてキャンバー角を調整できます。
とくに、ネガティブキャンバーはデザイン性が上がるとされているため、カスタムカーに人気のあるドレスアップです。
また、ネガティブキャンバーはコーナリング時にタイヤ全面が地面に接し、グリップ力が上がります。コーナリング時の走行安定性につながるため、サーキット走行車の多くにネガティブキャンバーがつけられています。
キャンバー角のメリットとデメリットは以下の表にまとめています。
キャンバー角 | メリット | デメリット |
---|---|---|
ポジティブキャンバー | ハンドルが軽くなる | ・タイヤが減りやすくなる ・ハンドリング性能が落ちる |
ネガティブキャンバー | ・デザイン性が上がる ・コーナリングが安定する | ・タイヤが偏摩耗を起こす ・直進安定性が下がる |
ただし、過度なキャンバー角は車検に通らない恐れがあります。
以下に該当した場合は、道路運送車両の保安基準違反となるため注意してください(参照:道路運送車両の保安基準の細目を定める告示 p.1|国土交通省)。
・タイヤが車体より10mm以上出ている場合
・ホイール軸中心に前方30度、および後方50度の範囲内でホイールやホイールキャップなどがフェンダーからはみ出している場合
なお、ゴムアッパーによってはキャンバー角を調整できる商品もあるため、キャンバー角が目的の場合はゴムアッパーを検討してもよいでしょう。
(2)ピロアッパーのデメリット
ピロアッパーのデメリットは以下の2つです。
①乗り心地が悪い
ピロアッパーは走行中のタイヤの動きを感じやすい反面、路面の少しの凹凸も振動として伝わりやすく、乗り心地が悪いと感じる場合があります。
一方、ゴムアッパーは、車体との接合部分のゴムが衝撃を吸収してくれるため、ピロアッパーに比べて乗り心地は良好になります。
②異音が発生する
ピロアッパーは、サスペンションの動きに合わせてピロボールが動いており、金属製のピロボールとピロボールの受け部分は擦れ合うことで摩耗します。
そのため、長期間使用を続けるとピロボール部にガタが生じ、走行中や段差などを乗り越えたときに発生することがあります。
また、ピロボール部に砂利などが付着すると、ハンドルを切った際などにピロボールとピロボール受けに入り込み、摩耗を促進させる原因にもなります。
③ピロボールを定期的に交換する必要がある
ピロボールは消耗品です。サビや砂利、経年劣化などの影響で摩耗しやすく、ガタが発生したピロボールは交換する必要があります。
一般的な交換頻度は20,000〜30,000kmですが、使用環境によって寿命は大きく変わるため、定期的な点検が必要です。
3.車高調のピロアッパーを選ぶ際の注意点
車高調とピロアッパーの適合性が悪いと車の操縦性に悪影響を与えるだけでなく、異音の発生や乗り心地が悪化する原因になるため注意してください。
車高調メーカーによっては、アッパーマウントの構造が異なる場合もあるため、汎用品が取り付けられない場合もあるでしょう。
そのため、新しいピロアッパーに交換する場合や、ゴムアッパーからピロアッパーに交換する場合は、車高調純正品のピロアッパーを選ぶことをおすすめします。
もし、車高調純正品がない場合は、ピロアッパーの販売元に適合するかを確認しましょう。
4.車高調のピロアッパーの交換方法

車高調のピロアッパーを交換するには、車高調を取り外し、分解する必要があります。安全性に直結する作業になるため、専門知識を持っていない人や自信を持って作業できない人は専門業者に交換を依頼しましょう。
車高調のピロアッパー(アッパーマウント)を交換する手順は以下のとおりです。
1.車体を持ち上げる
2.タイヤとホイールを取り外す
3.フロント側の車高調を取り外す
4.アッパーマウントを交換する
5.車高調を再度取り付ける
6.タイヤとホイールを取り付ける
交換に必要な道具と詳しい手順は、こちらの記事で解説しています。
5. 車高調のピロアッパーの交換を業者に依頼する場合
ピロアッパーの本体代はメーカーや性能などによって大きく異なり、20,000〜50,000円が相場です。交換費用も業者によって異なりますが、1カ所7,000〜10,000円程度かかるでしょう。
なお、ピロアッパーの交換には車高調に関する専門知識が必要になります。そのため、業者を選ぶ際は車高調の専門知識が豊富か、交換した実績の有無を確認することが重要です。
専門知識や実績は、業者のWebサイトやレビューサイトなどで確認できます。
ピロアッパーの取り寄せを業者に依頼する場合は、その業者に交換についても相談しましょう。
6.車高調に関することはグーネットピットにご相談ください
車高調のアッパーマウントには、ピロアッパーとゴムアッパーがあります。ピロアッパーは走行性能の向上やキャンバー角を調整できることから、サーキット走行する車やドレスアップを目的とする車の多くに装着されています。
しかし、ピロアッパーの交換には車高調に関する専門知識と技術が必要です。取り付けや調整を誤ると、乗り心地や走行安全性に悪影響を与えるため、適切に交換する自信がない人は業者に交換を依頼しましょう。
グーネットピットには、車高調に関する専門知識や経験が豊富なスタッフが在籍しています。アッパーマウントの選び方や取り付け方、メンテナンス方法など、車高調に関することはお近くの整備工場にご相談ください。