パーツ取付・交換
更新日:2024.07.18 / 掲載日:2024.06.10
車高調のバンプラバーとは|バンプタッチや交換方法も解説

走行中に車体が沈み込むと、突き上げるような衝撃を受ける、ぶつかっている音が聞こえる……このような現象が発生している場合、バンプラバーが劣化していたり、バンプタッチが起きていたりする恐れがあります。
この記事では、車高調のバンプラバーの概要やバンプタッチの原因や影響を紹介しています。バンプタッチの解消法やバンプラバーの交換方法なども解説していますのでご覧ください。
1.車高調のバンプラバーとは
車高調のバンプラバーとは、ショックアブソーバーがストローク(伸び縮み)し過ぎた際にバンプタッチし、底付きするのを防ぐ部品のことです。バンプラバーは、ゴム製やウレタン製です。
バンプラバーはアッパーシートとスプリングの間、またはスプリング部分に装着され、底付きしないようにクッションとなり、ショックアブソーバーのストロークを強制的に抑えます。
バンプラバーを装着していないと、ストロークし過ぎた際にショックアブソーバーが底付きし、ほかの部品と衝突します。その衝突によって、大きな衝撃や異音(ガンガン・ゴンゴン)の発生、最悪の場合はショックアブソーバーの破損につながります。
2.車高調のバンプタッチとは
車高調のバンプタッチとは、ショックアブソーバーがストロークした際、底付きを防ぐためにバンプラバーに接触することをいいます。
(1)バンプタッチによる悪影響
バンプタッチは、走行中のストロークによってショックアブソーバーがバンプラバーに接触している状態です。接触するたびに突き上げ感を感じるため、頻繁なバンプタッチは乗り心地の悪化につながります。
バンプタッチ(接触回数)が増えると、バンプラバーが固くなってしまい衝撃が大きくなるため、乗り心地がさらに悪くなるでしょう。
(2)バンプタッチする原因
車高調を装着した際にバンプタッチする主な原因は、以下の2つです。
1.ストロークが短い
2.バネレートが低い
順にご紹介します。
①ストロークが短い
ダウンサス(全長の短いスプリング)を装着した際にスプリングだけ短くし、純正のショックアブソーバーをそのまま使用するとストロークが短くなるため、バンプタッチしやすくなります。
純正品をそのまま使用すると、スプリングが短くなった分だけショックアブソーバーを縮めた状態で車体に装着することになります。装着時点でショックアブソーバーがストロークできる量(縮められる量)が短くなっているため、走行中に車体が少し沈んだだけでもバンプタッチしてしまうということです。
スプリングの全長と、ショックアブソーバーの長さが適合していない場合もバンプタッチしやすくなります。
②バネレートが低い
バネレートの低いスプリングはストローク幅が広くなるため、少ない荷重で大きく縮み込みます。
その結果、段差などを走行した際にスプリング(車体)が沈み混み過ぎて、ショックアブソーバーがバンプラバーに接触するということです。
とくに車高を下げている車はショックアブソーバーとバンプラバーの距離が短いため、バンプタッチしやすくなります。
3.車高調のバンプタッチを解消する方法
車高調のバンプタッチを解消する方法は以下のとおりです。
1.バンプラバーを切って調整する
2.ショートバンプラバーを装着する
3.バネレートを上げる
順にご紹介します。
(1)バンプラバーを切って調整する

バンプラバーを切って短くすることで、ストロークが広くなり余裕ができるため、バンプタッチしにくくなります。バンプラバーはカッターやハサミなどで簡単にカットできます。
ただし、切り過ぎてしまうと、ストロークした際にタイヤがタイヤハウスの天井に接触する恐れがあります。そのため、バンプラバーを切る際は、ひと山の半分ずつを目安にカットしましょう。
カット可能な許容範囲を事前に知りたい場合は、以下の方法で確認します。
1.車体をジャッキアップしウマをかけたら、タイヤとホイールを取り外す
2.バンプラバーを取り外す
3.ウマに載せたまま、タイヤとホイールを取り付ける
4.ガレージジャッキをリアアスクルにかけて、足回り全体を車体に近づける
5.タイヤがタイヤハウスの天井に接触したら、フェンダーアーチの頂点からホイール中心(ハブセンター)までの距離を測る(例:距離200mm)
6.ガレージジャッキを解除して、タイヤとホイールを取り外す
7.再度ガレージジャッキを使い、フェンダーアーチとハブセンターの距離を200mmに戻す
8.バンプラバーを装着できる隙間を測定する(例:20mm)
9.ストロークした際にバンプラバーが縮む分(5〜10mm程度)を踏まえて、25mm程度残してカットする
10.スプリングとバンプラバー、タイヤ、ホイールを取り付けたら完了
なお、ショックアブソーバーに内蔵されているタイプのバンプラバーは、構造的に切って調整できません。
(2)ショートバンプラバーを装着する
ショートバンプラバーを装着することで、バンプラバーをカットするのと同じようにストローク幅を広げられます。ショートバンプラバーとは、ローダウン車用にもともと短く設計されているバンプラバーです。
装着されているバンプラバーをカットできなかった場合、劣化しており交換したい場合は、ショートバンプラバーを検討しましょう。
(3)バネレートを上げる
スプリングのバネレートを上げることでストローク幅は狭くなるため、バンプタッチしにくくなります。
バンプラバーのカット、ショートバンプラバーを装着してもバンプタッチが発生する場合は、バネレートを上げることで解決できる可能性があります。
車高調のスプリングについては、下記の記事で詳しく解説しています。
4.車高調のバンプラバーを交換する方法
車高調のバンプラバーを交換する方法をご紹介します。
車高調メーカーによっては、メーカー専用のバンプラバーを推奨している場合があります。車高調と汎用品バンプラバーの適合性が悪いと、性能を発揮できない恐れがあるため、基本的には純正品を装着しましょう。
(1)自分で交換する場合
バンプラバーは、取り付け位置によって交換方法が異なります。
①ショックアブソーバーに内蔵されているタイプ
内蔵されているタイプは、車高調を分解し、アッパーマウントを取り外す必要があります。アッパーマウントを取り外したら、バンプラバーはシャフトにはめるだけです。
アッパーマウントの取り外し方の概説は以下のとおりです。
1.車体を持ち上げる
2.タイヤとホイールを取り外す
3.車高調を取り外す
4.アッパーマウントを取り外す
5.車高調を再度取り付ける
6.タイヤとホイールを取り付ける
こちらの記事では、アッパーマウントの交換方法を解説しています。取り外し方も同じになりますのでぜひご覧ください。
②ショックアブソーバーに内蔵されていないタイプ
内蔵されていないタイプの交換方法をご紹介します。
1.ジャッキを使い車体を持ち上げたら、ウマで車体を支える
2.タイヤとホイールを取り外す
3.アクスル(車軸)を下げ、サスペンションを取り外す
4.バンプラバーを取り外し、交換する
5.サスペンションを取り付け、アクスルを元の位置に戻す
6.タイヤとホイールを取り付ける
7.ジャッキアップを解除し、規定トルクでホイールナットを締め付ける
(2)業者に依頼する場合
業者に交換を依頼する場合の工賃は、5,000〜7,000円(本体代除く)程度です。
ただし、業者によって工賃や作業内容が異なります。そのため、業者に依頼する際は複数の業者から見積りを取り比較しましょう。
単に安価な業者を選ぶのではなく、過去の施工実績や評判などを確認し、安心して依頼できる業者を選ぶことが重要です。
5.車高調に関することはグーネットピットにご相談ください
車高調のバンプラバーは、ショックアブソーバーの底付きを防ぐ部品のことです。バンプラバーを装着せずにショックアブソーバーが底付きすると、大きな衝撃や異音の発生、ショックアブソーバーなどが破損する原因になります。
そのため、絶対に底付きしない設定になっている場合を除き、バンプラバーは必ず装着しておきましょう。
また、頻繁なバンプタッチも乗り心地の悪化につながるため、適切に対処することが重要です。
グーネットピットでは、車高調全般に関するメンテナンスに対応しています。ニーズに合わせた最適なアドバイスをしていますので、車高調に関するお悩みがある場合はお近くの整備工場にご相談いただけたら幸いです。