パーツ取付・交換
更新日:2024.07.18 / 掲載日:2024.07.02
車高調のスラストベアリングとは?効果や選び方、取り付け方法を紹介

車高調のスラストベアリングとは、スプリングが走行中に伸縮する際の回転をスムーズにする役割があります。回転がスムーズになることで乗り心地や操舵性が向上し、走行中の異音を防ぎます。
この記事では、車高調のスラストベアリングの概要と効果を解説しています。取り付け方法についても紹介していますので、取り付けや交換を検討している人にご覧いただけると幸いです。
1.車高調のスラストベアリングとは
車高調のスラストベアリングとは、スプリングとアッパーマウントの間に装着する部品のことです。ストラット式(ショックアブソーバーとスプリングが一体)の車高調に取り付けることで効果を発揮します。
走行中に受ける衝撃や振動は、スプリングが伸び縮みすることで吸収しています。このとき、スプリングは少しだけ回転しながら伸び縮みしており、スラストベアリングを入れることで伸び縮みする際の回転がスムーズになります。
スプリングの下側にも装着できますが、下側は走行中の砂や砂利などが付着して劣化する原因になるため、基本はスプリングの上側(スプリングとアッパーマウントの間)に装着してください。上側と下側、どちらにつけてもスラストベアリングの効果は変わりません。
ただし、スプリングの上側につけても砂や砂利の付着を完全には防げないため、定期的に砂などが噛んでいないか点検する必要があります。
2.車高調のスラストベアリングの効果

ストラット式の車高調は、ハンドルを切った際に一緒に回転するため、スラストベアリングを装着することで以下4つの効果を得られます。
1.乗り心地の向上
2.操舵性の改善
3.異音の防止
4.スプリングの耐久性アップ
順にご紹介します。
(1)乗り心地の向上
スプリングが伸び縮みする際の回転運動をスムーズにし、適切に衝撃や振動を吸収できるようになるため、乗り心地の向上につながります。
スラストベアリングが装着されていない場合、スプリングが伸び縮みする際に回転したくても、うまく回転できずによじれた状態になります。
よじれた状態になるとスプリングにストレスがかかり、走行中に受ける振動や衝撃をスプリングが適切に吸収できず乗り心地が悪化します。
このとき、スラストベアリングを装着することでよじれがなくなり、スプリングの回転がスムーズになるため乗り心地が向上します。
(2)操舵性の改善
スラストベアリングは、ハンドルを切った際の操舵性(ハンドル操作のしやすさ)を改善します。
ハンドルを切った際も、スプリングはよじれながら回転するため、スプリングにストレスがかかり操舵性が悪くなります。
スラストベアリングを装着することで、ハンドルを切った際もスプリングが回転し、よじれる力を逃してくれるため、ハンドルの動きに追従して操縦性が改善します。
(3)異音の防止
スラストベアリングはスプリングのよじれを防ぎ、伸び縮みする際の回転をスムーズにすることで異音を防止します。
スプリングがよじれた状態になると、スプリングシートとの摩擦によって異音が発生します。スラストベアリングはスプリングのよじれを防ぎ、スプリングシートとの摩擦を軽減するため、異音の防止になるということです。
(4)スプリングの耐久性アップ
スプリングがよじれている場合、スプリングに負荷を与えている状態になります。
スラストベアリングはスプリングのよじれを防いでくれるため、スプリングに与える負荷が抑えられ、耐久性をアップしてくれます。
3.スラストベアリングは車高調純正品がおすすめ
車高調のスラストベアリングを取り付け・交換する際は、車高調純正品のスラストベアリングを選ぶのがおすすめです。
純正品のスラストベアリングは、各車高調の形状やサイズに合わせて最適に設計されています。
スラストベアリングはスプリングID(内径)をもとに選びますが、車高調メーカーによってスプリングIDの太さが微妙に違う場合があります。そのため、汎用品を装着した際に車高調と適合せず、異音や振動など思わぬ不具合が発生する恐れがあるでしょう。
車高調本来の性能を発揮できないこともあるため、多少高価でも車高調純正品の装着をおすすめします。
純正のスラストベアリングは、車高調メーカーの公式サイトや車高調を取り扱う専門業者で取り寄せられます。
4.車高調のスラストベアリングを取り付ける方法
スラストベアリングの効果をもっとも発揮する、ストラット式の車高調の前輪に取り付ける手順についてご紹介します。
なお、車高調にスラストベアリングを取り付けるには、車体から車高調を取り外す必要があります。
車両の安全性に直結する重要作業になるため、適切な手順で行わなければ走行中の安全性を損なう恐れがあります。
そのため、車高調に関する専門知識や作業経験がない人は、無理に自分で行わず、信頼できる業者に依頼しましょう。
(1)車をジャッキアップする
平坦で安全な場所に車を停め、エンジンを切ったらサイドブレーキをかけます。
ジャッキアップした際にタイヤとホイールが取り外しやすいように、ホイールナットを少しだけ緩めます。
次に、ジャッキを使用してゆっくりと前輪を持ち上げましょう。車体が十分に持ち上がったら、ジャッキスタンドで車体をしっかりと支えます。
(2)タイヤとホイールを取り外す
事前に緩めておいたホイールナットを完全に外し、タイヤとホイールを車体から取り外します。
タイヤとホイールを取り外す際は、車体に当たらないように気を付けてください。
取り外したタイヤは、万が一ジャッキが外れた際の安全のため、車の下に置いておきましょう。
(3)車高調を取り外す
車高調を取り外すには、アッパーマウント(上部)とロアブラケットの固定部分を外す必要があります。車種によっては、スタビライザーやブレーキホースの取り付けナットやボルトも外す必要があります。
なお、スタビライザーをとめているナットは再使用できない場合があるため、取り外す前に再使用できるかを確認してください。
まずはアッパーマウントを固定している3本のナットを緩め、次にロアブラケットのボルトとナットを外します。この際、スタビライザーやブレーキホースのナットやボルトなども同時に外しましょう。
最後に車高調が落下しないように手で支えながら、アッパーマウントの3本のナットを完全に外し、車高調を慎重に取り外します。
(4)プリロードを緩める
車高調からアッパーマウントを取り外す前に、プリロードを緩めます。
フックレンチを使ってスプリングシートのロックシートを緩め、プリロード(スプリングの初期張力)が掛かっていない状態にしましょう。
プリロードが掛かったままアッパーマウントを取り外すと、スプリングの反発により、アッパーマウント自体が勢いよく飛んでしまう危険性があります。
プリロードの調整方法については、下記の記事で解説しています。
(5)アッパーマウントを取り外す
プリロードを緩めたらアッパーマウントのトップナットを外し、アッパーマウントを手で取り外しましょう。
(6)スラストベアリングを取り付ける
アッパーマウントを取り外したら、スラストベアリングを取り付けます。スラストベアリングを取り付ける際は、リチウムグリスを塗布してください。
古いスラストベアリングが装着されている場合は、取り外してから新しいスラストベアリングを取り付けます。
(7)車高調を再度取り付ける
スラストベアリングを装着したらアッパーマウントを取り付け、車高調を再度車体に取り付けます。
取り付けは、取り外しの逆の手順で行います。
(8)タイヤとホイールを取り付ける
タイヤとホイールを取り付け、ホイールナットを手で仮締めします。
ジャッキを使って車をゆっくりと地面に下ろし、最後にホイールナットを規定トルクで締め付けます。
5.業者に取り付けを依頼する場合

繰り返しになりますが、車高調のスラストベアリングの取り付けには、車高調に関する専門的な知識や経験が必要です。
そのため、車高調初心者や取り付けに自信がない人は、車高調に関する専門知識を持った業者に依頼することをおすすめします。
業者に取り付けを依頼する場合の費用は、20,000〜30,000円(4カ所の部品代・工賃)です。ただし、車種や車高調の種類などによっても費用は変動します。
依頼する業者によっても費用は異なるため、複数の業者から見積もりを取り、費用と内容を比較することが重要です。
6.車高調に関することはグーネットピットにご相談ください
車高調のスラストベアリングは、スプリングが伸縮する際の衝撃や振動を吸収し、乗り心地や操舵性の向上や異音を防ぐ役割があります。
そのため、乗り心地や操舵性などが気になる場合は、スラストベアリングを取り付け・交換することで改善することがあります。
しかし、スラストベアリングの選定や取り付けには、車高調に関する専門知識や経験が必要なため、業者に相談したい人は多いでしょう。
車高調やスラストベアリングに関する疑問やお悩みがある場合は、グーネットピットをご利用ください。車高調の専門家が適切にアドバイスし、ニーズにあった部品の選定から取り付けまでサポートいたします。
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