パーツ取付・交換
更新日:2024.08.19 / 掲載日:2024.08.03
車のダンパーの役割とは?寿命や交換時期などを網羅的に解説

車のダンパー(ショックアブソーバー)は、サスペンションシステムの一部です。乗り心地や走行安定性に大きな影響を与える消耗品のため、定期的に交換する必要があります。
この記事では、ダンパーの役割や交換時期、業者に依頼する際の費用相場を紹介しています。
1.車のダンパーとは

車のダンパーとは、サスペンションシステムの一部で、ショックアブソーバーとも呼ばれています。
サスペンションシステムはダンパーとスプリングで構成されており、ダンパーは乗り心地や走行安定性を向上させる重要なパーツです。
(1)車のダンパーの役割
車のダンパーの役割は以下の3つです。
1.乗り心地の向上
2.ブレーキ性能の向上
3.コーナリング安定性の向上
順にご紹介します。
①乗り心地の向上
ダンパーは走行中にスプリングが振動するのを抑え、車体の揺れを最小限にします。
スプリングは、走行中に路面から受けた衝撃を吸収します。しかし、スプリングは受けた衝撃の反動で大きく伸縮しようとするため、そのままでは車が上下に振動しながら走行することになります。
このとき、スプリングが大きく伸縮するのを抑え、ゆっくりとした動きにするのがダンパーの役割です。
ダンパーがスプリングの伸縮を抑えることで走行中の車体は安定し、乗り心地が向上します。
凹凸の多い道路でも乗車中に感じる振動が少なくなり、長距離または長時間のドライブでも快適に過ごせるでしょう。
②ブレーキ性能の向上
ダンパーがブレーキング時の車体の沈み込みを抑えることでノーズダイブが抑制され、ブレーキ性能の向上にもつながります。
走行中にブレーキをかけた場合、荷重が車の前部にかかり、フロントが沈み込みます。この現象がノーズダイブです。
ダンパーが適切に機能していれば、ノーズダイブが発生した際に車両フロント部の余計な沈み込みを抑えられます。
これにより、車体の安定性が保たれ、4輪すべてが路面にしっかりと接地した状態を維持できます。
4輪が路面にしっかりと接地することで、ブレーキの性能が最大限に発揮され、制動距離が短くなるなど、ブレーキ性能が向上するということです。
③コーナリング安定性の向上
ダンパーには、コーナリング時の安定性を高める効果もあります。
コーナーを曲がる際、遠心力によって車体は外側に傾こうとします。このとき、ダンパーがスプリングの伸縮を適切に抑制し、急激な車体の傾きの変化を抑えることで車体のふらつきを軽減します。
また、タイヤが路面にしっかりと接地するためグリップ力が高まり、ドライバーのハンドル操作に適切に応答し、コーナリングが安定します。
(2)車のダンパーの種類
車のダンパーには、「単筒式」と「複筒式」の2種類があります。種類によって、ダンパー内部のシェルケースの構造とピストンの動きによる減衰力の発生方法などが異なります。
①単筒式ダンパー
単筒式ダンパーは、ダンパー内部のシェルケース自体が筒になっており、1本の筒の中にオイルとガスが入っています。この筒の中を穴の空いたピストンが動きます。
単筒式ダンパーのメリットは、オイルを注入できる容量が多く、耐熱性が高いため、長時間走行しても温度が上がりにくく、安定した減衰力を維持できます。
また、シンプルな構造で耐久性が高く、小さな動きにも対応できる応答性の高さが特徴です。そのため、スポーツ走行や高速走行を目的とした車に適しています。
②複筒式ダンパー
複筒式ダンパーは、シェルケースの中にもう1本筒が入っており、その筒の中にオイルとガスが入っています。その筒の中をピストンが動きます。
複筒式のメリットは、注入するガスの圧力が小さくてよいため、乗り心地がよくなりやすく、価格が単筒式と比較して安価なことから、一般的な乗用車に広く採用されています。
2.車のダンパーの寿命と交換目安
車のダンパーは使い続けるうちに劣化し、効果を適切に発揮できなくなります。そのため、寿命が近づいたり、劣化の症状が出たりした場合は速やかに交換しましょう。
(1)車のダンパーの寿命
車のダンパーの寿命は純正品であれば購入から10年、または走行距離80,000〜100,000km程度になります。
ただし、走行状況や路面状況、車の使用目的などによって、劣化スピードは大きく異なります。
高速走行や長距離走行、雪道や坂道の走行が多い場合は、劣化スピードが早くなる傾向にあります。
(2)車のダンパーの交換目安
車のダンパーが劣化すると以下のような症状が発生します。これらの症状が発生した場合、ダンパーが劣化している可能性があるため交換を検討しましょう。
・車体が揺れやすくなった
・ダンパーからオイルが漏れている
・走行中に異音がしている
・ブレーキ時に車体が前方に大きく沈み込む
自分では判断しづらい症状になるため、気になった症状が発生した場合は、最寄りの整備工場に相談することをおすすめします。
3.車のダンパーの交換方法

劣化したダンパーでは走行中の車体が安定せず、乗り心地や走行安全性に悪影響を与えます。上記寿命が近づいたり、症状が発生したりした場合は交換しましょう。
車のダンパーの交換方法の概説は以下のとおりです。
【フロント側のダンパーを交換する方法】
1.ジャッキアップし、ジャッキスタンドで車体を支える
2.タイヤを取り外す
3.アッパーマウントやロアブラケットのボルト・ナットを外し、ストラットを取り外す
4.スプリングコンプレッサーを使用し、ストラットからスプリングを取り外す
5.新しいダンパーにスプリングを取り付けたら、外した際の逆の手順で車体に取り付ける
6.タイヤを取り付けたらジャッキアップを解除し、規定トルクで締め付ける
【リア側のダンパーを交換する方法】
1.ジャッキアップし、ジャッキスタンドで車体を支える
2.タイヤを取り外し、ジャッキなどでダンパー下部を持ち上げダンパーを縮んだ状態にする
3.ダンパーを固定している下部のボルトを外してから、上部のナットを外す
4.ジャッキをゆっくり下ろしていき、ダンパーを取り外す
5.外した際の逆の手順で車体に取り付ける
6.タイヤを取り付けたらジャッキアップを解除し、規定トルクで締め付ける
ダンパーの交換は、整備士並みのメンテナンス知識や技術、経験があれば自分でも行えます。ただし、足回り部品になるため、適切に交換しなければ走行トラブルや最悪事故につながる恐れもあります。
脱着する部品や注意点が多く、かなりの労力と作業時間が必要になるため、自信を持って交換できる人以外は業者に交換するのを強くおすすめします。
4.ダンパーの交換を業者に依頼する場合
ダンパーの交換を自分で行うのは難易度が高いため、整備士並みの知識や技術、経験があり、自信を持って交換できる人以外は業者に交換を依頼しましょう。
(1)交換を依頼する場合の費用
ダンパーの交換を業者に依頼する際の費用相場は以下のとおりです。
・本体代:40,000〜80,000円(4本分)
・工賃:20,000〜40,000円(1台分)
ただし、費用相場はあくまでも目安であり、商品やグレードによって価格は変動します。
工賃はダンパー本体や車種、依頼する業者によって変動するため、複数の業者から見積もりを取り、費用と内容を比較するのが重要です。
(2)依頼する業者を選ぶポイント
ダンパーの交換を依頼する業者を選ぶポイントを3つご紹介します。
1.評価や実績
ダンパー交換の実績が豊富で、高い評価を得ている整備工場を選ぶことが大切です。
口コミサイトやレビューサイトなどで評価や実績を調べたり、実際に利用したことがある人の意見を聞いたりしましょう。
2.価格
予算に合わせて適切な業者を選びましょう。
ダンパー本体も選定してもらう場合、品質と価格、そして予算とのバランスをとる必要があります。
必ずしも高い製品がよいとは限りませんが、性能や耐久性が高い製品は価格も高くなる傾向にあります。
3.アフターサービス
交換後の保証やトラブル対応など、アフターサービスが充実している業者がおすすめです。
万が一、交換後に不具合が発生した場合でも、適切に対応してくれる業者を選ぶようにしましょう。
5.車のダンパーに関することはグーネットピットにご相談ください
車のダンパーは乗り心地や安全性、走行性能に大きく影響を与える重要なパーツです。
しかし、純正品のダンパーは購入から10年程度、または走行距離80,000〜100,000km程度で寿命を迎えるため、劣化した際の症状が発生した場合は交換しましょう。
ただし、ダンパーは安全性に直結するパーツであり、交換は難易度の高い作業になるため、交換は業者に依頼することをおすすめします。
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