パーツ取付・交換
更新日:2024.09.20 / 掲載日:2024.09.09
車のガスケットとは?役割・交換時期・費用相場をわかりやすく解説

車のエンジン内部や冷却系、排気系など、重要なパーツの接合部分には「ガスケット」が使われています。
ガスケットが劣化すると、冷却水やエンジンオイルの漏れ、燃費悪化、エンジン出力の低下などを引き起こす可能性があります。そのため、「最近車の調子がおかしい…」と感じたら、ガスケットの劣化を疑ってみましょう。
この記事では、車のガスケットの役割や交換時期、費用相場などをわかりやすく解説していきます。車のガスケットについて正しく理解し、適切にメンテナンスするための参考となれば幸いです。
1. 車のガスケットとは?

車のガスケットは、エンジン本体や各種パーツの接合部分に使用される重要な部品です。ガスケットの役割とパッキンとの違いをご紹介します。
(1) 車のガスケットの役割
ガスケットとは、エンジンやパーツの接合部分に使われる、シール剤の部品のことです。
ガスケットは、エンジン本体や排気系、冷却系など、さまざまな場所で使われており、密封や保護の役割を果たしています。
たとえば、エンジン内部を循環している燃焼ガスやエンジンオイル、冷却水などが漏れてしまわないように密封してくれます。また、外部からの異物混入を防ぐ役割もあります。
(2) 車のガスケットとパッキンの違い
車に使われるガスケットとパッキンは、どちらも気体や液体の漏れを防ぐために使われる部品です。しかし、ガスケットは動かない部品の接合部に、パッキンは動きが発生する部品の接合部に取り付けられます。
たとえば、ガスケットはエンジンのシリンダーヘッドとシリンダーブロックのように、常に密着して動かない部品の接合部分に取り付けられます。
一方、パッキンはエンジンのピストンリングやバルブのように、上下運動や開閉運動する部品に最適な部品です。
このように、ガスケットとパッキンは 「動かない部品」と「動く部品」のどちらに取り付けるかによって、使い分ける必要があります。
2. 車のガスケットは用途に合わせて複数の素材が使われている
車のガスケットには、用途に合わせてさまざまな素材が使い分けられています。
ここでは、代表的なガスケットの素材を大きく3つの種類に分けてご紹介します。
(1) 金属ガスケット
金属ガスケットは、主に鉄鋼やステンレス鋼などの金属材料で作られたガスケットです。
高い強度と耐久性を持ち、高温や高圧の環境にも耐えられるため、エンジン内部など過酷な条件の場所で使用されています。
板状のものやリング状のものがあり、用途や使用環境に合わせて適切な金属ガスケットが選択されています。
(2) 非金属ガスケット
非金属ガスケットは、ゴムや樹脂など、金属以外の素材を用いたガスケットのことです。
金属ガスケットと比べて安価で、加工もしやすいというメリットがあります。そのため、複雑な形状にも対応でき、さまざまな場所で使用されています。
非金属ガスケットには、ジョイントシートやゴムシート、フッ素樹脂(PTFE)、紙質など複数の素材があります。それぞれの特徴は異なり、耐熱性や耐油性、耐薬品性など、用途に合わせた素材が選ばれています。
(3) セミメタリックガスケット
セミメタリックガスケットとは、金属ガスケットと非金属ガスケットを組み合わせたガスケットのことです。金属の持つ強度と、非金属ガスケットの持つ柔軟性を兼ね備えています。
セミメタリックガスケットは、金属製の芯材に非金属材料を覆ったり、金属と非金属材料を重ねたりすることで作られています。
なお、芯材にはステンレス鋼や銅などの金属が、被覆材にはグラファイト、PTFEなどの非金属材料が使用されます。
セミメタリックガスケットは、金属ガスケットと非金属ガスケットの両方のメリットを兼ね備えているため、過酷な環境下でも使用できるガスケットとして多くの分野で採用されているのです。
3. 車のガスケットが使われている場所
車のガスケットは1台に1カ所ではなく、さまざまな場所で使用されています。
ここでは、代表的な場所と、そこで使われているガスケットの役割について解説します。
(1) エンジン本体
車の心臓部であるエンジンには、重要な役割を担うガスケットが多数使用されています。
高温・高圧な環境にさらされるエンジンは、ガスケットの性能がエンジンのパフォーマンスや寿命に大きく影響します。
エンジンに使用される主なガスケットと役割は以下のとおりです。
ガスケットの種類 | 役割 |
---|---|
シリンダーヘッドガスケット | シリンダーブロックとシリンダーヘッドの間を密閉し、冷却水やオイルの漏れを防ぐ |
シリンダーヘッドカバーガスケット | エンジンの上部にあるシリンダーヘッドカバーとシリンダーヘッドの間を密閉し、同様にオイル漏れを防ぐ |
オイルパンガスケット | エンジンオイルを貯めておくオイルパンとエンジンの間を密閉し、オイル漏れを防ぐ |
(2) 吸気・排気系
車の吸気・排気系には、複数のガスケットが使用されています。吸気系は吸入した空気をエンジンの各気筒へ送り込む役割があります。また排気系は、エンジンから排出される高温・高圧の排気ガスを処理し、車外に排出するのが役割です。
ガスケットはそれぞれの部品の接続部分に取り付けられ、気密性を高めています。吸気系では二次エアと呼ばれる余分な空気の流入を防ぎ、排気系では排気ガスの漏れを防いでいます。
排気系に使用される、主なガスケットと役割は以下のとおりです。
ガスケットの種類 | 役割 |
---|---|
インテークマニホールドガスケット | インテークマニホールドとエンジン本体の間を密閉し、空気の漏れを防ぐ |
エキゾーストマニホールドガスケット | エンジンから排出された高温・高圧の排気ガスをエキゾーストパイプに導く |
フロントパイプガスケット | エキゾーストマニホールドとエキゾーストパイプを接続する部分の排気漏れを防ぐ |
マフラーガスケット | エキゾーストパイプとサイレンサーを接続する部分の排気漏れを防ぐ |
(3) 冷却系
車のエンジンが高温になると、エンジン性能の低下や部品の損傷など、走行トラブルにつながる恐れがあります。そのため、適切な温度を保つ冷却系の役割は非常に重要です。
ガスケットは冷却水路の密閉性を保ち、冷却水の漏れを防ぐ役割があります。
冷却系にも複数のガスケットが使われているため、とくに重要な役割を担う、以下2種類のガスケットをご紹介します。
ガスケットの種類 | 役割 |
---|---|
サーモスタットガスケット | サーモスタットとシリンダーブロックの間に装着され、冷却水の漏れを防ぐ |
ウォーターポンプガスケット | ウォーターポンプとシリンダーブロックの間に装着され、冷却水の漏れを防ぐ |
4. 車のガスケットを交換が必要な場合

車のガスケットは、過酷な環境で使用されているため、経年劣化は避けられません。そのため、定期的な点検や交換が必要です。
(1) 交換時期は異常が見つかったとき
車のガスケットの交換は高額になるため、定期的に交換する部品ではありません。
以下のような症状が出ている場合は、ガスケットの劣化が疑われるため、早めに点検・交換しましょう。
・オイル漏れ
・冷却水の漏れ
・排気ガスの漏れなどによる異音
(2) 交換方法は取り付け場所によって異なる
車のガスケットは、取り付け場所によって交換方法が異なります。
たとえば、エンジンのシリンダーヘッドガスケット交換はエンジンを分解する場合があるため、専門知識や技術が求められます。さらに、複数の道具や専用の工具をそろえる必要があるなど、手間がかかります。
ただしく行わなければオイル漏れや冷却水漏れなどのトラブルの原因にもなるため、自信がない場合は、自分で交換せずに専門業者へ依頼しましょう。
(3) 交換費用は取り付け場所などによって異なる
車のガスケットは、取り付け場所や交換する部品によって費用が大きく異なります。
ここでは、代表的なガスケットの交換費用を紹介します。
部品名 | 交換費用相場 |
---|---|
シリンダーヘッドガスケット | 50,000~150,000円 |
インテークマニホールドガスケット | 10,000~30,000円 |
エキゾーストマニホールドガスケット | 10,000~30,000円 |
サーモスタットガスケット | 5,000~10,000円 |
オイルパンガスケット | 10,000~30,000円 |
ただし、交換費用は車種や部品代、工賃などによって異なるため、あくまでも目安として考えてください。正確な費用を知るためには、お近くの専門業者に見積もりを依頼することをおすすめします。
5. 車のガスケット交換を怠るとどうなる?
車のガスケット交換を怠ると、以下のようなトラブルにつながります。
・エンジン故障のリスク
・燃費悪化
・排気ガスによる環境汚染
順にご紹介します。
(1) エンジン故障のリスク
ガスケットの劣化によって気密性が保たれなくなると、冷却水やエンジンオイルが漏れてしまいます。
冷却水が不足するとエンジンの温度が適切に保てなくなり、オーバーヒートを引き起こす可能性があります。オーバーヒートに気づかず走行し続けると、エンジンに大きな負担をかけ、故障の原因となるため注意が必要です。
最悪の場合、エンジンが焼き付いてしまい、高額な修理費用が発生する恐れがあるでしょう。
(2) 燃費悪化
ガスケットはエンジン内部や排気系、冷却系など、さまざまな場所で気体や液体の漏れを防ぐ役割を担っています。
そのため、ガスケットの劣化によって気密性が低下すると、エンジンの燃焼室から混合気が漏れだし、エンジンの出力が低下するため、燃費が悪くなります。
さらに、燃料を噴射する量は、排気ガスの酸素濃度などをもとに計算しています。そのため、排気ガスが漏れだしていると燃料を噴射する量が狂い、さらに燃費が悪化するでしょう。
(3) 排気ガスによる環境汚染
車のガスケットが劣化すると、排気ガスが外部に漏れやすくなります。
排気ガスには、大気を汚染する有害物質が含まれているため、ガスケットの劣化を放置すると、環境問題につながります。
近年では、自動車からの排気ガスによる環境問題が深刻化しているため、環境負荷を低減する上でも、定期的なガスケット交換は重要です。
6. 車のメンテナンスに関することは、グーネットピットにご相談ください
車のガスケットは、エンジンや排気系、冷却系など、さまざまな場所に使用されている重要な部品です。
ガスケットが劣化すると、オイル漏れや冷却水漏れなどのトラブルを引き起こし、エンジンの故障や燃費の悪化、環境汚染につながる恐れがあります。
そのため、車のガスケットの交換は、車の寿命を長く保ち、環境負荷を軽減するためにも重要なメンテナンスです。
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