パーツ取付・交換
更新日:2024.09.24 / 掲載日:2024.09.09
ブレーキパッド交換時に知っておきたい「ピストン戻し」の方法と注意点

ブレーキパッドは、自動車の安全走行に欠かせない部品のひとつですが、使い続けることで摩耗していく消耗部品になるため、定期的な交換が必要です。
なお、ブレーキパッドを交換する際は、ブレーキキャリパーのピストンを戻す作業が必要になります。このピストン戻し作業を怠ると、ブレーキパッドを正しく装着できません。
そこで、この記事では、ブレーキパッド交換時におけるピストン戻しについて、その重要性から具体的な方法、注意点までをくわしく解説します。
なお、ブレーキパッドの交換には自動車整備士並みの知識や技術が必要になるため、作業に少しでも不安がある場合は、業者に依頼しましょう。
1.ブレーキパッド交換とピストン戻しの重要性

ブレーキパッドを交換する際は、ブレーキキャリパーのピストンを戻す作業が必要になります。
そこで、ブレーキパッドの役割と交換時期、ピストン戻しが必要な理由をご紹介します。
(1)ブレーキパッドの役割と交換時期
ブレーキパッドの役割と交換時期をご紹介します。
①ブレーキパッドの役割
車の速度を落とす、あるいは停止させるためにはブレーキ操作が欠かせません。そして、ブレーキをかけたときに重要な役割を果たすのがブレーキパッドです。
ブレーキパッドは、ブレーキシステムに使用されている摩擦材のひとつです。ブレーキをかけると、回転しているディスクローターを両側からブレーキパッドで挟み込みます。
挟み込んだ際に発生する摩擦力によって、運動エネルギーが熱エネルギーに変換され、車を徐々に減速させ停止させます。
②ブレーキパッドの交換時期
ブレーキパッドは、ディスクローターとの摩擦によって徐々にすり減っていきます。ブレーキパッドの残量は、ブレーキの利き具合や制動距離に大きく影響するため、定期的な交換が必要です。
新品のブレーキパッドの厚さは通常約10mmで、この厚さが3mm未満になると交換が必要になります。
ブレーキパッドの摩耗スピードは、運転の頻度やブレーキのかけ方、材質によって異なりますが、一般的には約10,000km走行するごとに1mmずつ薄くなるといわれています。
そのため、新車を購入した場合や、ブレーキパッドを新品に交換した場合は、30,000~50,000km走行したタイミングで点検するとよいでしょう。
ただし、走行距離はあくまでも目安になります。こまめな点検を心がけ、残量が減ってきたら早めに交換しましょう
(2)ピストン戻しが必要な理由
ブレーキパッドは摩擦によって徐々にすり減るため、使えば使うほど厚みは薄くなります。
そして、ブレーキパッドが薄くなると、ブレーキパッドとディスクローター(ブレーキパッドが押し付けられる円盤)との間に隙間が生まれます。
この状態でブレーキペダルを踏むと、隙間を埋めるようにピストン(ブレーキパッドをディスクローターに押し付ける部品)が押し出され、ディスクローターにブレーキパッドを押し付けているのです。
しかし、ブレーキパッドを新しいものに交換すると厚みが増すため、ピストンが押し出された状態のままでは、新しいブレーキパッドが入りません。
そのため、押し出されたピストンを押し戻し、ブレーキパッドとディスクローターの隙間を適切な状態に調整する必要があるのです。
2.ブレーキキャリパーのピストン戻しの方法
ブレーキキャリパーのピストン戻しをする際に必要な道具と、方法をご紹介します。
なお、ブレーキパッドに関する作業は、安全走行に大きな影響を与えます。車種によっても交換方法は異なるため、作業に自信がない人は、自分で作業せず専門業者に依頼しましょう。
(1)ブレーキキャリパーのピストン戻しに必要な道具
ブレーキキャリパーのピストン戻しをする際は、以下の道具が必要になります。
・ブレーキキャリパーピストン戻し(ディスクブレーキピストンツール)
・作業用手袋
これらの道具は、お近くのカー用品店やネットストアなどで購入できます。
(2)ブレーキキャリパーのピストン戻しの手順
ブレーキキャリパーのピストンを戻す際は、専用のピストン戻しを使うことで簡単にピストンを元の位置に戻せます。
具体的には、ピストン戻しをブレーキキャリパーにセットし、ハンドル(ボルト)を回すことでピストンが押し込まれます。ピストンの位置を確認しながら、ゆっくりとハンドルを回しましょう。
ただし、使用するピストン戻しによって、形状や使用方法が異なる場合があります。そのため、作業前には必ず取扱説明書を読み、正しい方法で作業しましょう。
ブレーキパッドを交換する手順は、こちらの記事でくわしく解説しています。
3.ピストン戻し作業の注意点
ピストン戻しの作業は、ブレーキパッドを取り付けるうえで重要な作業です。作業は慎重に進める必要があるため、以下2つの点に注意しましょう。
(1)ブレーキフルードの量に注意

ピストンを戻すとブレーキフルードがリザーバータンクに戻り、液量が増加します。
ピストンを戻した際に溢れる可能性があるため、事前に量を確認し、必要があれば減らしておきましょう。リザーバータンクの中のフィルターが汚れていれば、同時に清掃することをおすすめします。
(2)ピストンやオイルシールを傷つけないよう注意
ピストンを傷つけると、ブレーキの性能低下や故障の原因になります。
ピストンを傷つけないためにも、ピストンを戻す際は専用のツールを使用し、無理な力や衝撃を加えないようにしましょう。
またピストンの汚れがひどい場合は、できる限り汚れを除去したあとに戻すことをおすすめします。
もし、ピストンが固着して戻せない場合、無理に力を入れると破損する恐れがあります。また、汚れがひどい状態で戻すと、汚れが入り込みオイル漏れの原因となる場合があるため、注意してください。
潤滑剤を使うことで動く場合もありますが、固着がひどいとオーバーホールが必要になるため、状況に応じてプロに依頼するなど、適切に対処しましょう。
4.ブレーキパッド交換後の安全確認

ブレーキパッドを交換したら、安全のために必ず以下の2つを確認しましょう。
・ブレーキペダルの踏みしろ確認
・試運転でブレーキの利きを確認
順にご紹介します。
(1)ブレーキペダルの踏みしろを確認
ブレーキパッドを交換したら、必ずブレーキペダルの踏みしろを確認しましょう。踏みしろとは、ブレーキペダルを踏んでからブレーキが利き始めるまでの間のことを指します。
ブレーキパッドを交換した直後は、踏みしろが深くなっている場合があります。これは、新しいブレーキパッドがまだ馴染んでいないためです。
踏みしろが深すぎる場合は、ブレーキペダルを踏んでもブレーキが利きにくくなってしまい大変危険です。踏みしろが適切でないと感じたら、無理せず整備工場などで点検してもらいましょう。
(2)試運転でブレーキの利きを確認
ブレーキパッドの交換作業が完了したら、安全な場所で必ず試運転しましょう。試運転では、ブレーキの利き具合をしっかり確認することが重要です。
試運転する際に確認すべき項目を、以下の表にまとめました。
確認項目 | 確認内容 |
---|---|
ブレーキの利き具合 | 緩やかなブレーキングから急ブレーキまで、違和感なくブレーキが利くか |
異音の有無 | ブレーキパッドとディスクローターがこすれる音や、異常な音がしないか |
ブレーキの引きずりの有無 | ブレーキペダルを離したあとも、ブレーキが利きっぱなしになっていないか |
試運転で少しでも違和感を感じたら安全な場所に停車し、整備工場に相談しましょう。
5.ブレーキパッドの交換を業者に依頼する場合
ブレーキパッドの交換は、安全走行するうえで非常に重要な作業になるため、業者に依頼することをおすすめします。
(1)業者に依頼したときにかかる費用相場
業者に依頼する際の費用は、7,000円+ブレーキパッド代が相場です。
ただし、費用相場はあくまでも目安であり、依頼する業者や交換する車種によって異なります。
そのため、ブレーキパッドの交換費用を抑えたい場合は、いくつかの業者に見積もりを依頼し、比較検討することをおすすめします。
(2)ブレーキパッドの交換作業は業者に依頼を
ブレーキパッドの交換は、道路運送車両法で定める特定整備に該当します。
これは、ブレーキが車の安全走行に直結する非常に重要な部品であり、その整備には専門的な知識と技術が不可欠とされているためです。誤った手順で作業すると、重大な事故につながる恐れもあります。
そのため、自動車整備士の資格を持たず、専門的な知識や整備経験がない人は、自分で交換せずにプロに任せるのが安全で安心です。
お近くの整備工場やカーディーラーなど、専門知識と技術を持つ専門業者に依頼することを強くおすすめします。
6. ブレーキに関することはグーネットピットにお任せください。
ブレーキパッドは、安全に車を運転するために欠かせない部品です。
ブレーキパッドの交換時期を見誤ったり、ピストン戻しを適切に行わなかったりすると、ブレーキ性能が悪くなり、重大な事故につながる恐れがあります。
なお、ブレーキパッドの交換やピストン戻しといった作業は、専門的な知識と技術が必要となります。
そのため、ブレーキに関するトラブルを避けるためにも、ブレーキパッドに関する作業は、信頼できる専門業者に依頼することをおすすめします。
もし、専門業者をお探しの場合は、グーネットピットを利用してみてはいかがでしょうか。グーネットピットでは、全国の整備工場からお近くの整備工場を簡単に検索できます。