故障・修理
更新日:2024.12.23 / 掲載日:2023.06.30
車のバッテリーはいつ交換すべき?タイミングや費用、作業時間を解説
車のバッテリーは、他のバッテリーと同様に寿命があります。寿命が近づくにつれてさまざまなトラブルが起きやすくなるため、適切な交換時期を知ることが重要です。
この記事では、車のバッテリー寿命と交換時期などを解説。また、修理店に依頼したときにかかる費用や作業時間もご紹介します。
1.車のバッテリー いつ交換すべき?

(1)バッテリーの交換時期は3~5年
車のバッテリーの寿命は、一般的には3〜5年程度と言われています。
バッテリーが寿命に近づくと、充電しても十分に貯まらなくなり、すぐに充電が切れやすくなります。最終的に寿命を迎えてしまうと、エンジンの始動が困難になることがあります。
バッテリーを交換するタイミングは、エンジンの始動に時間がかかると感じたときなどと言われることもありますが、その判断は難しいものです。できれば3年、遅くとも5年で交換する、と思っておくと良いでしょう。
(2)バッテリーが劣化する原因
車のバッテリーが劣化する原因には、次の2つが挙げられます。
①充放電の繰り返しによる劣化
車のバッテリーは、鉛バッテリーが用いられるのが一般的となっています。バッテリー内部には、プレートと呼ばれる正極と負極の板がありますが、それが鉛で作られているのが特徴です。
バッテリーの充放電は、電解液という液体に浸かった2極のプレート間を、電子が行き来することで発生します。この化学反応が起きるとき、プレートが鉛だと、プレートの表面に絶縁物質である硫酸塩などの結晶が形成されます。
充放電を繰り返し行うとバッテリーの性能が低下してしまうのは、この結晶がどんどんプレートに付着していくためです。この現象を、サルフェーションと言います。
②外的要因による劣化
バッテリーはサルフェーションによって自然に劣化していきますが、次の外的要因によって、劣化が早まってしまうことがあります。
・必要以上に充電回数が多い
→プレートの表面に形成される結晶が急増するため、バッテリーの寿命が短くなる
・高温で使用する
→バッテリー内部での化学反応が加速するため、バッテリーの劣化が進む
・バッテリーに与える振動が大きい
→バッテリー内部のプレートや電解液が動いたり、内部の部品が破損したりして、劣化が進むことがある
2.車のバッテリー交換をする前に……知っておきたい3つのこと
車のバッテリーを交換するときは、自分の車や使用環境に適したバッテリーを選ぶことが重要です。
ここでは、交換する際に知っておきたいバッテリーの種類や性能を解説します。
(1)主なバッテリーの種類
車のバッテリーには、開栓型バッテリー、密閉式バッテリー、ドライバッテリーの3種類があり、車種やバッテリーが車体のどの位置についているかで種類が変わります。
開栓型バッテリーは、液体の電解液が入っており、定期的に液体を補充する必要があります。
一方、密閉式バッテリーは、液体を封入しているため、液漏れや蒸発がなく、メンテナンスフリーで長寿命化が期待できます。ドライバッテリーも電解液を繊維に染み込ませているため液漏れや蒸発の心配がないタイプですが、それに加えて車両の傾斜や振動に強く安全性に優れているのも特徴です。
(2)バッテリーの性能
車のバッテリー交換にあたっては、バッテリーの容量・電圧・CCAについても理解しておく必要があります。
容量は、バッテリーの電力の蓄えられる量であり、アンペア時(Ah)で表されます。一般的な車のバッテリーの容量は、30Ah~100Ah程度です。
電圧は、バッテリーの出力電圧であり、車両によっては12Vや24Vなど異なります。電圧が適合しない場合、電気を必要とする部品の故障やバッテリーの過充電、過放電が発生し寿命を縮める原因になります。
また、CCAはバッテリーの始動能力を示す指標で、寒冷地での始動時に重要とされます。CCAが高いほど低温下でも始動しやすくなります。一般的に、軽自動車など小型車の場合は300A以上、中型車や大型車の場合は600A以上を目安に選ぶとよいでしょう。
これらの数値は、車両やバッテリーによって異なりますが、車種ごとに適合するバッテリーの型番が決まっていますので、購入時には車両メーカーやバッテリーメーカーの適合表を参考に自分の車両に合ったバッテリーを選びましょう。
(3)保証期間
車のバッテリーには、メーカーによって異なる保証期間が設けられています。一般的には2年から3年程度、なかには5年以上の長期保証を設けているメーカーもあります。
保証期間内に故障が生じた場合、修理店で無料で交換してくれますが、保証期間の対象となる故障には制限があるので注意が必要です。例えば、自然放電や過充電、不適切な使用方法による故障や、取り付け時の不具合などは保証の対象外となることがあります。
3.車のバッテリー交換 費用や作業時間はどのくらい?
車のバッテリー交換は工具と専門知識が必要なため、自信のない人は修理専門店などに依頼する方が安心です。その際にかかる費用や作業時間をご説明します。
(1)交換費用の目安
バッテリー本体代金と交換作業費用をあわせて、約1~2万円程度が相場です。
ただし、修理店によって異なり、大手チェーン店のほうがディーラーよりも安価なケースが多く見られます。また、高性能なバッテリーを選ぶ場合や車種によっては、もっと高くなる場合もあります。
(2)作業時間の目安
車のバッテリー交換作業は、大体20分~1時間程度で完了します。
交換作業で最も時間がかかるのは、バッテリーがどこにあるのかを見つけることです。一部の車種ではエンジンルーム内に隠されているため、そこで作業時間が伸びるときがあります。
また、車種や修理店によって異なるため、依頼するときに聞いてみるとよいでしょう。
3.バッテリー交換を依頼する修理店選びのポイント
車のバッテリー交換では、修理店選びも重要です。以下のポイントを考慮しましょう。
(1)信頼性の高い修理店を選ぶこと
信頼性の高い修理店を選ぶことで、トラブルになる可能性を少なくできます。レビューサイトや口コミを見て、安心してお願いできるかチェックしてみましょう。
(2)施工実績の豊富な修理店を選ぶこと
修理店の施工実績は、技術力の高さを証明する重要なポイントです。施工実績が豊富な修理店は、多くの車のバッテリー交換に関わってきたため、正確かつ迅速に作業を行うことができるでしょう。施工実績は修理店のWebサイトやSNSで調べるのが一般的です。
4.自分でバッテリーを交換するときの手順と注意点
自分でバッテリー交換がしたいときは、次のような手順で行います。
1. 車のエンジンを停止し、キーを取り外す
2. バッテリーのプラス端子とマイナス端子を外す
※プラス端子を外す際は、先にマイナス端子を外すことが大切です
3. バッテリー固定用のボルトやクランプを外し、バッテリーを取り外す
4. 新しいバッテリーを設置する
※取り外したバッテリーと同じ規格のものを選びます。また、バッテリーに必要な液体を注入する必要があるときは、取扱説明書に従って注入します
5. 新しいバッテリーを固定する
※取り付ける方法は、車種によって異なるため、車両の取扱説明書を参照します
6. プラス端子とマイナス端子を取り付ける
※先にプラス端子を取り付け、次にマイナス端子を取り付けます
7. エンジンをかけ、バッテリーの充電を確認する
なお、自分でバッテリーを交換する場合、スパナやレンチが必要です。車種によって適したサイズが異なるので、購入前に下調べしておきましょう。
また、最近の車はバッテリーを外すとコンピューターがリセットされたり、パワーウィンドウが正常に動かなくなったりすることがあります。時計やラジオのメモリーもすべて初期化されるのが一般的です。いざというときに困らないように、対処方法を事前に情報収集しておくと安心でしょう。
他にも、あわせてターミナルクリーナーの用意もおすすめします。ターミナルクリーナーでバッテリーの接点部分をキレイにしておくと、バッテリーの寿命を伸ばすことができます。
5.バッテリーの寿命を延ばすには
バッテリーの寿命を延ばすために、次のことを意識してみましょう。
1. 定期的にメンテナンスする
2. 運転の仕方に気をつける
3. 車両の保管環境を整える
(1)定期的にメンテナンスする
車のバッテリーを長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが必要です。バッテリーの正常な機能を維持するために、バッテリーターミナルの清掃や液量の確認、充電状況のチェックなどを行うとよいでしょう。
①バッテリーターミナルの清掃
バッテリーターミナルの清掃は、バッテリー端子に付着した汚れを取り除くことで、バッテリーと車両の接続を良好に保ちます。ターミナルクリーナーを使って汚れを取り除き、ターミナルに新しいグリスを塗るのが一般的な方法です。
②液量の確認
液量の確認は、バッテリーを横から見て、バッテリー液が上限と下限の間にあればOKです。
一般的なバッテリーは中で6つくらいの部屋に仕切られています。それぞれの部屋の液面の高さにバラツキがあったり、液量が下限近くまで減っていたりする場合は上についているバッテリーの蓋を開けて、バッテリー液(または蒸留水)を補充してください。
バッテリー液はボディにかかると塗装を痛めるため、万が一ボディにかかってしまったときは、すぐに水で洗い流します。
補充したのが蒸留水の場合、バッテリー液の比重(濃度)が下がって逆にバッテリー上がりの原因になることもありますので、充電も一緒にしてあげると良いでしょう。
③充電状況のチェック
充電状況のチェックは、バッテリーの充電が適正かどうかを確認することです。バッテリーが充電されていない状態だと寿命が短くなるため、バッテリーチェッカーを使って充電状況を確認し、必要があれば充電器で充電しましょう。
(2)運転の仕方に気をつける
車のバッテリー寿命を延ばすためには、運転の仕方にも注意が必要です。
例えば、エンジンをかける際にエンジン始動時にかける時間が長くなりすぎると、バッテリーに負担がかかり、劣化の原因となります。また、エアコンやライト、オーディオなどの電気部分を長時間使用すると、バッテリーの消耗が早まります。そのため、運転中にできるだけ電気を節約することが大切です。
また、車を停車させた際には、エンジンを停止する前にエアコンやオーディオ、ライトなどを切るように心掛けることもポイントです。これらの電気部分はバッテリーからの消耗が大きいため、車を停車させる際にはできるだけ電気を切り、バッテリーの消費を抑えるようにしましょう。
(3)車両の保管環境を整える
車のバッテリーのために、車両の保管環境も整えましょう。
例えば、高温の場所ではバッテリー内部の液体が蒸発し、バッテリーの容量が低下する可能性があります。逆に寒冷地では、バッテリーのエネルギー効率が低下することがあります。
他にも、湿度の高い場所では、バッテリー端子部分が腐食したり、バッテリー内部に水分が溜まったりして、バッテリーの劣化につながります。
そのため、バッテリーを長持ちさせるためには、できる限り温度や湿度が安定した場所で車を保管するよう心がけることが大切です。長期間車を使用しない場合には、バッテリーを外して別途保管するのもよいでしょう。
6.バッテリー交換でお悩みならグーネットピットにお問い合わせください
車のバッテリー交換についての正しい知識を持つことは、車のメンテナンスにおいて非常に重要なポイントとなります。
ただ、何か問題が起きて悩んだときは、修理店にすぐに相談することも大切です。
グーネットピットには、車のメンテナンスに関するお悩みに対して、適切なアドバイスができる専門のスタッフが多数在籍しています。ぜひ、お気軽にご相談いただけたら幸いです。