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故障・修理
更新日:2023.07.31 / 掲載日:2023.07.31

スパークプラグの基本知識丨役割や交換時期、取り付け方、種類を紹介

スパークプラグは、ガソリン車が走るために不可欠なパーツです。

この記事では、スパークプラグに関する基本的な知識として、役割や構造、交換時期、取り付け方などを紹介します。

スパークプラグの正しい取り扱い方法を理解して、車の安全性や快適性を確保しましょう。

1.スパークプラグとは

(1)スパークプラグの役割と重要性

スパークプラグとは、ガソリンエンジンのシリンダー内で生成された混合気(燃料と空気が混ざったもの)に火をつける装置です。

着火された混合気は爆発を起こし、エンジン内にあるピストンの上下運動を促します。この上下運動がクランクシャフトによって回転力に変わり、ドライブトレインと呼ばれる回転力の方向を変えるパーツを伝って、タイヤを動かします。

そのため、スパークプラグは、ガソリン車の心臓ということもできます。エンジンが正常に稼働するためには、スパークプラグが問題なく機能していることが不可欠です。

(2)スパークプラグの構造

スパークプラグの構造は基本的に、電極、ネジ部、ガスケット、ハウジング、碍子(がいし)、ターミナルから構成されます。

  • ・電極:混合気に火をつけるために火花を起こす部分。スパークプラグのネジ部分の中から外に向かって飛び出している電極を中心電極、中心電極と向き合うようにスパークプラグの先端から外側からL字上に曲がっている電極を接地電極(外側電極)と呼ぶ。また、中心電極と接地電極の間の空間を火花ギャップという。
    電極にはイリジウム、白金、銅などの異なる素材が使われており、素材の違いによって性能が異なる
  • ・ネジ部:プラグホールに固定される部分
  • ・ガスケット:ハウジングとエンジンの間に入ることにより密着度を高め、燃焼室の機密性を保持する役割を持つ部分
  • ・ハウジング:スパークプラグを固定するのに必要な六角ナットの部分
  • ・碍子(がいし):中心電極からハウジング間の漏電を防ぐ絶縁体。コルゲーションと呼ばれるひだをつけて絶縁距離を伸ばしている
  • ・ターミナル:イグニッションコイル(スパークプラグが放電するための電圧を作る装置)から出力された電圧を受ける部分

(3)スパークプラグの主なメーカー

日本の車に用いられているスパークプラグは、NGKかDENSOであることがほとんどです。

①NGK

NGK社は、1936年に創業したメーカーです。スパークプラグをはじめとする自動車用エンジン部品を製造しています。NGKのスパークプラグは、耐久性が高く、性能が安定していることで知られています。また、白金やイリジウムといった高性能な素材を使用したプラグも製造しており、高性能な車両やレース用車両にも使用されています。

②DENSO

DENSOは、1949年創業の自動車部品メーカーです。DENSOのスパークプラグは、イリジウムやプラチナなどの高性能素材を使用しているため、長寿命化や燃費効率の向上に貢献しています。また、DENSOはさまざまな自動車メーカーとの取引実績があり、各車種に適したスパークプラグを提供しています。

2.スパークプラグの交換時期と交換方法

スパークプラグは、車に乗り続けていると劣化していきます。

劣化したスパークプラグを使用していると、エンジンの始動が悪くなるだけでなく、燃費が悪化したり、エンジン不調の原因となったりする場合があります。そのため、適切なタイミングで交換することが重要です。

(1)スパークプラグの交換時期

スパークプラグの交換時期は、メーカーによって異なりますが、一般的には1年程度走行したときか、走行距離が15,000〜20,000kmに達したときに交換するように推奨されています。

ただし、車両の使用環境によっては、交換時期が変わることがあります。例えば、長距離ドライブや高速道路走行が多い場合は、スパークプラグに負荷がかかりやすいため、寿命が短くなる傾向にあります。

そのため、走行距離だけで判断するのではなく、定期的にスパークプラグそのものの状態をチェックすることも大切です。例えば、中心電極や接地電極が異様に黒ずんでいる、ハウジング部分まで黒く焦げている状態は劣化のサインのため、速やかに交換する必要があります。

(2)スパークプラグを自分で交換する場合

スパークプラグの交換方法には、自分で行う場合と業者に依頼する場合の2パターンがあります。

自分で交換する場合の主な手順は、以下のとおりです。

①車両情報を確認する

スパークプラグを交換する際には、まず自分の車の情報として、メーカー・車種・型式を調べることから始めます。これらによって、適したスパークプラグが異なるためです。

  • ・メーカー:車検証から調べる
  • ・車種:メーカーカタログなどで確認する
  • ・型式:車検証から調べる

②適合するスパークプラグを探す

車両情報を確認したら、その車両に適したスパークプラグを探します。スパークプラグを探すときは、販売メーカーの検索ページを利用するのが一般的です。

③スパークプラグ交換用のレンチを用意する

スパークプラグを自分で交換する際、必要となる道具の一つに、スパークプラグ交換用のレンチがあります。

このレンチは、スパークプラグを緩めたり、締めたりする際に使用します。スパークプラグによって大きさが異なるため、正しいサイズのレンチを用意しなければいけません。

用意するときは、販売メーカーの品番一覧から、六角二面幅が何mmかを調べます(NGKの場合は、Hexの数字)。例えば、六角二面幅(Hex)が16.0mmであれば、16.0mmのレンチが必要です。

なお、レンチには、ソケットのみと、ソケットとハンドルが一体になっているタイプの2種類があります。ソケットのみを購入する場合は、エクステンションバーやハンドルの購入が必要ですが、拡張性があるため、今後も自分で交換したいと考えている人は別々に購入することをおすすめします。

交換用のレンチを用意する手順については、下記でも詳しく紹介しています。よろしければご参考ください。

④スパークプラグを交換する

スパークプラグを実際に交換するときの、大まかな手順は以下のとおりです。

1. エンジンが冷えるまで待つ
2. イグニッションコイルを外す
3. レンチを使ってスパークプラグを外す
4. 新しいスパークプラグを外した箇所にはめ込み、手である程度のところまで締め付ける
5. レンチを使って締め付ける
6. イグニッションコイルを取り付ける

スパークプラグ交換において特に重要なのが、レンチを使って推奨トルク、または推奨回転角でプラグを締め付ける点です。加えて、スパークプラグがエンジンに対してまっすぐ入っているかの確認も怠ってはいけません。

締め付けが弱いと、走行中の振動によってスパークプラグが破損する可能性があります。一方、締め付けが強いと、ネジ部が切れてしまう恐れがあります。

交換するスパークプラグの推奨トルクはどれくらいか、販売メーカーのサイトをよく見て確認するようにしましょう。

(3)スパークプラグを業者に交換してもらう場合

スパークプラグを自分で交換する場合、さまざまなポイントを知っておく必要があります。もし自信がない場合は、業者に依頼するのがおすすめです。

①スパークプラグを業者に交換してもらうときの費用相場

スパークプラグを業者に交換してもらうときにかかる費用相場は、10,000円程度です。

ただし、車種やエンジンの種類、作業時間によって異なります。依頼する前に、業者によく確認することが大切です。

②スパークプラグの交換業者の探し方

スパークプラグの交換を初めて業者に依頼する場合は、複数の業者を探して見積もりを取ることをおすすめします。

スパークプラグの交換業者を探すには、まずは自分が住んでいる地域の自動車修理業者を検索して、口コミや評価を確認します。

そのうえで、実際に担当者と話して、

1. 料金は明瞭か
2. こちらの話を親身になって聞いてくれているか
3. スパークプラグの品質や種類に詳しく、かつそれをわかりやすく説明してくれているか
4. 作業時間や代替車の提供など、サポート体制が整っているか

などを確認し、納得のいく業者を選ぶようにしましょう。

(4)スパークプラグを長持ちさせる方法

スパークプラグは車のエンジンを始動させる重要な部品の一つであり、交換時期を守ることが大切です。一方で、無駄な交換を避けるために、スパークプラグを長持ちさせる以下の方法もあわせておさえておきましょう。

一つ目は、自分の乗り方にあったスパークプラグを選ぶことです。後ほど詳しく紹介しますが、スパークプラグは熱価や種類によって性能が異なります。これらの知識をおさえたうえでスパークプラグを選ぶと、より長く使うことができます。

二つ目は、エアフィルターの清掃を定期的に行うことです。エアフィルターにホコリや汚れが溜まると、エンジンの吸気量が減少し、スパークプラグにも影響を与えます。そのため、定期的な清掃を行い、エアフィルターをきれいに保つことが大切です。

3.知っておきたいスパークプラグの専門知識

スパークプラグは、基本的には業者やメーカーが推奨するものを使い、適切なタイミングで交換すれば、普通に走行する分には問題ありません。

一方で、スパークプラグは、使用環境にあわせてより適したものを選ぶと、さらに長持ちし、燃費の改善・エンジン出力の向上にもつながります。

それに必要なこととして、とくに知っておきたいのが、スパークプラグの「熱価」と「種類」です。

(1)スパークプラグの熱価

①スパークプラグの熱価とは

スパークプラグの熱価とは、スパークプラグの中心極から、どの程度熱が放射されるのかを示した数値です。熱価が低いスパークプラグは「熱を逃しにくい」、熱価が高いものは「熱を逃しやすい」ということを意味しています。

なお、低熱価を焼け型、高熱価を冷え型と呼ぶ場合もあります。

②選ぶときは低熱価?それとも高熱価?

スパークプラグの熱価は、車の使用環境によって適した数字が変わります。

スパークプラグの熱価が低い場合、中心電極の温度が上昇しやすくなり、低速で走行しても自己清浄温度(電極などに付着するカーボンをスパークプラグ自身が焼き払う、自己清浄機能が発動する温度。650度前後とされる)まですぐ上がります。

一方で、プレイグニッション温度(電源が熱源となり、火花がなくても点火するプレイグニッション〈過走着火〉が起きる温度。950度前後とされる)にも達しやすくなります。プレイグニッションが起きると、エンジンに大きな負担をかけ、劣化を早めてしまいます。

対して、スパークプラグの熱価が高い場合、低速のときに自己清浄温度までスパークプラグの温度が上がらず、カーボンがたまりやすくなり、本来の性能を発揮しにくくなります。

このように、車の使用環境によって適切な熱価を選ぶことが、スパークプラグやエンジンの性能維持につながります。

低熱価 高熱価
自己清浄温度 達しやすい 達しにくい
プレイグニッション温度 達しやすい 達しにくい
おすすめの使用環境 ・街乗りが多く、速いスピードを出す機会がそれほどない
・外気温が低いときに走ることが多い
・長距離走行が多い
・外気温が高いときに走ることが多い

なお、スパークプラグの熱価は、品番に表記されているのが一般的です。

NGKのスパークプラグであれば、品番の「-」前のアルファベットに挟まれている数字が熱価のため、「BR6HS-10」という品番なら熱価は「6」となります。

DENSOのスパークプラグであれば、型式に記載されている二桁の数字が熱価のため、「IQ16」という型式なら熱価は「16」です。

各メーカーによって数字の基準が異なるため、複数のメーカーのものを比較するときは熱価の対応表を見るようにしましょう。以下はNGKとDENSOの熱価の対応表です(プラグ型式の読み方丨DENSOから一部抜粋)。

NGK DENSO
5 16
6 20
7 22
8 24
9 27
9.5 29
10 31
10.5 32
11 34
11.5 35

(2)スパークプラグの種類

スパークプラグには、さまざまな種類があり、それぞれ特徴が異なります。

下表にまとめたのは代表的なスパークプラグの種類です。下にいくほど高性能で、燃費の改善やエンジン性能の向上が大きく期待できるものですが、その分だけ高価です。予算を加味したうえで選択することをおすすめします。

種類 特徴 交換時期の目安
(普通自動車)
価格相場
レジスタープラグ ・一般的なスパークプラグ
・中にレジスター(抵抗)が埋め込まれている
・中心電極の素材はニッケル合金
・低価格だが、こまめな交換が必要
20,000km 500円前後
グリーンプラグ ・中心電極の先端に付いたV字溝によって着火しやすくなっているスパークプラグ
・始動時やアイドリング時、加速時の安定性の向上が期待できる
20,000km 500〜1000円
白金・イリジウムプラグ ・中心電極にイリジウムという白金が使われているスパークプラグ
・長時間使っても摩耗しにくい
・性能の良さから価格が高め
100,000km 5,000円前後

詳しくは、下記記事もご覧ください。

4.スパークプラグに関してお困りならグーネットピットにお問い合わせください

スパークプラグは、ガソリン車が走るために、非常に重要な役割を担うパーツです。

スパークプラグが劣化や故障している場合、エンジンの始動が困難になったり、燃費が悪化したり、不完全燃焼によってエンジントラブルが発生したりすることがあります。

一方、交換にはさまざまな知識が必要なことから、不安を感じている人もいるでしょう。

もしスパークプラグに関してお困りのときは、グーネットピットにお問い合わせくださいませ。車の整備に関して専門知識を持つスタッフが、スパークプラグに関する説明やアドバイス、交換対応など、さまざまなサポートを親身になって行います。

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